2004年7月16日~19日長野県野尻湖でJBワールドシリーズ第4戦ゲーリーインターナショナルCUPが開催された。野尻湖でのメジャートーナメントは春に1回、秋に2回開催されているが、夏の大会は初めてとなる。この時期は「ディープフラットのワカサギパターン」と「岸よりのセミ・虫パターン」が夏の野尻湖でのポピュラーな釣り方と言われる。大会中は過半数がディープフラット組、残りが岬や倒木絡みのディープ組と岸よりのセミ・虫パターンとなった。
安定すると思われたディープフラットは最終日に崩れ、結果、上位5名中4名がセミ・虫派となった。優勝の**除名**、2位の池田はルアーこそ違うが、狙っている魚はほぼ同じ。2日目まで僅差のデッドヒートを繰り広げたが、最終日池田にあと1匹が出ず**除名**が逃げ切り野尻湖メジャータイトル2勝目をあげた。
DAY1
長野県はまだ梅雨あけしていない。梅雨前線が野尻湖よりも少し北側に位置している。スタート時に青空が見えたが、トーナメント中は曇りベースでにわか雨。検量時は本降りとなった。
スタート後、会場から見える弁天島東側に船団が形成され、ヒットシーンも何度か見ることができた。会場となった野尻湖レイクサイドホテルには多くの桟橋がありラージマウスの付き場となっている。柳栄次はこの桟橋群をジグ撃ちし、スタート直後からラージマウスをキャッチしていた。
湖畔道路をまわってみる。弁天島西側にも船団ができており、島の周りだけで7割近い選手が居た。他のエリアは集中することが無くポツポツ程度。湖南東のエリアでは、岬・倒木などをランガンするボートが目立った。
この日のトップは柳栄次。ラージ4本、スモール1本で4690g。メインエリアは会場前の桟橋群。得意のジグ撃ちでトップウエイトをマークしたが、会場前は明日禁止エリアとなる。明日以降の展開が気になる。2位はシャローサイト組の福島健。
会場横でキッカー2匹分に相当する50アップ1782gのスモールをキャッチしトータル4,505gとした。3位は地元の池田豊。セミパターンで4250g。同じパターンの**除名**が4085gで5位につけた。ディープフラット組は4位の赤嶺が唯一の4キロオーバーで最高順位。他の選手は3キロ台の団子状態になった。エコワールドメンバーでは、弁天島周りでのセミとノーシンカーで攻めた加藤智が3980gで部門トップに。
全体的にはウエイイン率98%、リミットメイカーも64.9%と好釣果の初日だった。
DAY2

魚探サイト

セミパターン
|
2日目も終日曇りベース。雨はあまり降らなかったが、山の天気は変わりやすく、日差しも暑さもコロコロ変わった一日だった。
この日から3連休に突入。シャロー流し・ランガン組は一般アングラーとのバッティングが懸念された。しかし、天気予報が悪かったせいか、大混雑するほどでもなかった。
この日はボートで湖上をまわってみた。弁天島東西のディープ組は初日よりも若干数が増えていた。船団では神谷勇紀がダントツで数を釣っていた。皆、回遊待ちの釣りをしているが、彼は画面を見てバスを直撃する「魚探のサイト」スタイル。キャスト回数は少ないが、投げれば(落とせば)高確率でヒットに持ち込める技を持っている。同じ方法で去年の桧原湖戦で5位になっている。
湖東側の急深+オーバーハングエリアでは「セミ・虫パターン」の選手を見かけた。池田豊はタイニークレイジークローラー、**除名**はノーシンカーワームと、投げているルアーこそ違うが、狙っている魚は同じように見えた。ランガンしている本人達は気づいていないかもしれないが、狙っているスポットもかなりかぶっていた。2人とも高ウエイトをキープしていた。そして、舟瀬ワンドでカバー撃ちをしている柳栄次を発見するが、11時の時点でノーフィッシュ。苦戦を強いられていた。
14時30分帰着・検量開始。トップは**除名**。800g前後が揃って4315g。暫定トップに。2位はディープフラット組の小野俊郎。ビッグフィッシュ賞となる1236gを混ぜ4265g。3・4位もディープフラット組の千葉隆・神谷勇気。 この日はディープフラット組が好調で3キロ後半が続出した。初日2位の池田豊は単日5位で暫定2位に。初日4位の赤嶺
吉蔵も単日6位で暫定3位につけた。初日トップの柳栄次が5点を食らってしまったが、他の上位陣は大きな変動が無かった。エコワールド部門では、初日トップの加藤がプレッシャーに負けて「お腹を壊して」失速する中、ディープの関和学が3820gで単日トップ。小山隆司が2日間3500gを超え、部門暫定トップとなった。
DAY3
最終日は終日晴れベース、風も弱く穏やかな天気に恵まれた。そして、ディープ組はこの天候変化に大きく影響を受けたようだ。
この日もボートで湖上をまわってみた。弁天島東西のディープは更にボート数が増えていた。ディープ組トップの神谷が初日スタート前「晴れた方が釣れる」と言っていたが、実際は苦戦を強いられ「ダメです」ポーズを見せた。しばらく船団を見ていたが、ヒットシーンにはなかなか出会えず。その後、**除名**・池田を探しに東側へ行ってみる。が、2人とも超ハイペースランガンのため、遠くに見つけても取材艇が到着する頃にはまた移動・・の悪循環。なんとか追いつくと、**除名**は10時には5本揃っていた。対する池田はまだ3本だった。残りの上位陣を探してみる。福島・阿部を見つけるが、ともに苦戦中。赤嶺は見つけることが出来なかった。
スモールマウスはラージよりも回遊性・レンジ移動が大きいと言われる。ディープフラット組・シャロー組ともに、次々と新しい魚がまわってくるため、3日目のウエイトはそれほど落ちないだろうと思われていた。しかし、天気が変わったせいか、多くの選手が苦戦していた。
13時30分帰着・検量開始。
プレッシャーゼロで挑んだエコワールドの加藤智が検量開始早々5020gを持ち込み会場を湧かせた。粒ぞろいのスモールで5キロオーバーは見事だ。3日間ともやっている事は同じらしく、2日目プレッシャーに負けなければ、ワールド勢を圧倒するウエイトだったかもしれない。同選手も基本はセミ・虫パターンだったという。そしてこの日も**除名**は4キロオーバーを達成。暫定2位の池田が4本だったため、公式発表を待たずして**除名**の優勝は確定した。単日3位はセミ・虫組の阿部進吾。帰着10分前に5本目をキャッチし3656gを持ち込んだ。上位3名がセミ・虫組、対するディープフラット組は、小野俊郎が3488gで4位につけたものの、3キロに届かない選手が続出した。
RESULT
優勝の**除名**は去年の夏期野尻湖でガイドを行っていた。その前の年のクラシックでも優勝しており、ワールドメンバーの中では野尻湖のイメージが強い。そして、2位の池田豊は野尻湖最強の地元トーナメンターと、なんとも美しい(?)結果に終わった。3日目の朝、リラックスした表情の**除名**と対照的にプレッシャーに押し潰されていた池田の表情が印象に残った。**除名**は去年の最終戦でプレッシャーに負けワールドチャンピオンを逃した。しかし、それをバネに今年は精神面でも大きく成長したようだ。
3位の阿部は2年目にしてシングル入賞4回のツワモノ。そして5回目の今大会で遂にお立ち台へ。4位の神谷は超人的な魚探のサイトでスモール戦2回連続お立ち台。5位の福島も超人的なサイトで初日・最終日にビッグフィッシュ賞を獲得。去年のクラシック優勝を皮切りにワールド第1戦8位・2戦3位、
マスターズ第4戦優勝と絶好調。最近の賞金獲得ランキングでは間違いなくNo1である。2位の池田以外は全員二十代。いよいよ若手の時代がやってきたようだ。
エコワールド部門では2日目の失速をはね除け加藤智が優勝。2位に関和学、3位大塚茂、4位
秦拓馬 、5位小山隆司という結果に。
年間ポイントランキングはトップだった川口直人が失速し今江克隆がトップに躍り出た。そのあとを阿部、福島、江口と若手が追う展開。最終戦は09月17日(金)~19日( 日 ) 三重県三瀬谷ダムで開催される。
ワールドシリーズTOP5
1位 |
今江克隆 |
179p |
35,495g |
2位 |
阿部進吾 |
168p |
33,415g |
3位 |
福島健 |
164p |
29,476g |
4位 |
江口俊介 |
163p |
33,562g |
5位 |
赤嶺吉蔵 |
158p |
29,654 |
|
エコワールドシリーズTOP5
1位 |
瀧本英樹 |
179p |
25,779g |
2位 |
黒木良作 |
175p |
21,757g |
3位 |
関和学 |
171p |
22,160g |
4位 |
大塚茂 |
158p |
20,769g |
5位 |
石川晴彦 |
155p |
22,530g |
|
報告:NBCNEWS_h_togashi