2010年9月3日~5日徳島県旧吉野川・今切川でJBトップ50シリーズ第4戦エバーグリーンCUPが開催された。耳にタコができるほど聞いた「暑い」という言葉。今更それについて書く気が起きないほどではあるが、やっぱり旧吉野川も暑かった。お盆時期のプリプラ期から本戦最終日まで連日の猛暑。水温も30℃前後でバスにとっても厳しい猛暑となった。魚を釣るのはもちろんだが、この炎天下で集中力を切らさず、体調を崩さないとこも重要視された大会となった。
この日記者は年間ランキングトップタイの福島健に同船した。やや遅めのフライトで今切川~旧吉野川への合流地点へ向かうと、先行するボートの殆どが旧吉野川上流へバウを向けた。トーナメントエリアは約20Kmほどあるが、3日間を通して殆どのボートが流れの効く上流側約5kmに集中するかたちとなった。魚影の濃さで有名なこのフィールドも、これだけのプレッシャーが掛かるとイージーには釣れない。有名スポット・ストレッチにはボートが連なる格好となり、自由に流すこともままならない。とはいえ、フィールドのもつポテンシャルと「川」という特性も手伝い30℃近い高水温ながらも、98%という高ウエイイン率を記録した。
初日トップは関和学。一時間遅れスタートをものともせず、チャターベイトで5匹で5740gをマークした。2位は大熊一徳、3位に河辺裕和、4位に今江克隆、5位に阿部進吾。ここまでが5キロオーバーのハイスコアを持ち込んだ。以降6位の北大祐から13位の山村道祐までが4キロ台という結果。そして、この日2キロオーバーをキャッチした沢村がビッグフィッシュ賞を獲得。
この日は+70cmの水位で流れの弱い日。シャローカバー撃ちの選手には有利な状況。中流域で沖のウィードを狙う選手にとっては少し釣りずらい状況だった。同船した福島のメインエリアは上流域。この日の上位陣の多くをボート上から見ることが出来た。
2日目はスタート時の水位が0cm、8時半に-20cmでソコリを迎え、帰着時刻の15時に+20cmとなる予定。つまり初日から最大で90cmの減水となる。ただし、データは堰上のものであり実際は流域によって多少違うようだ。
この日は路上からまわってみた。早い時間に、前日の人気エリアだった最上流部へ行ってみたが、流れが速すぎなのか、ボートは一艇のみ。JR鉄橋付近まで下ると多くのボートを見ることが出来た。水位上昇にともない、ボートも少しずつ遡っている印象だ。合流地点も人気エリアで、小型ながらも何度かヒットシーンを見ることができた。
14時半の帰着時刻とともに真っ先に上がってきたのは今江克隆。殆どの選手は15時ギリギリまで粘るが、早い帰着の場合「魚が弱っている」「ブッチギリウエイトを持っている」のいずれか。今回はその両方が該当した。1匹弱り気味の魚がいるための早めの検量。そしてウエイトは今大会MAXとなる6395gを持ち込んだ。
15時に続々と検量にやってくる。残念ながら体調不良で早退した下野正希を除く59名全員が検量。単日2位は6280gを持ち込んだ馬淵利治。会場対岸で「琵琶湖の釣り」をした秦拓馬が5180gで3位。4位の高橋晃から8位の柴田真吾までが4キロ台をマークした。
2日目検量後は「予選結果発表」が行われる。トップ通過は初日4位、2日目トップ、重量ポイント満点のの今江克隆。3点差で2位につけたのが大熊一徳。3位野村俊介、4位高橋晃、5位秦拓馬と続く。
予選通過ボーダーは合計重量でいうと6489g。2日連続で3キロを越える必要があった。
ここで福島健と市村直之がまさかの予選落ち。対する小森嗣彦は今戦も安定して9位通過。年間ポイント争いは小森が大幅リードする結果となった。
前出したようにトーナメントエリア自体は広いものの、季節がら上流域へボートが集中し「狭い旧吉野川」の今大会だが、決勝戦はボートが半分の30艇。予選時よりは釣りやすくなるに違いない。この日も減水日でスタート時が0cm~9時半に-35cmで帰着の頃に再び0cmに戻る。短時間で干満の差が激しい日だ。
通常、最終日は5日目(公式プラ2日間+予選2日間)のプレッシャーと時間短縮により、検量率が大幅ダウンする。しかし、旧吉野川のハイポテンシャル+プレッシャー低下+流れが効いたせいか、最終日もよく釣れた大会だった。検量率100%、そしてリミットメイク率も86%を記録した。
単日トップは瀧本英樹。流れ絡みにダウンショットを入れて「入れ食い」に遭い最終日にして5キロジャスト。誰もが敬遠した最下流域で3日間しのいだ小森は、最終日の強い流れが効き4785gまでウエイトアップ。年間ランキングNo1を不動のものとした。初日2位の馬淵利治も4725gと気を吐いた。初日トップの関和学は3日目も5位。しかし、2日目の34位が悔やまれる。同じく初日5位スタートながら2日目に48位の阿部進吾もまた3日目単日は4位の成績。3日間安定して釣ることの難しさを垣間見た。
予選上位通過の野村・高橋・秦らはリミットメイクしたものの2500~3000g台。3キロを越えた選手が多かったため、単日の順位を大きく落とした。
そして注目の暫定トップ今江克隆、2位の大熊一徳が最後にトラーラーウエイイン。大熊は入れ替えを行ったようだが、トータルウエイトは伸び悩み2882g。そして今江克隆のライブウエルから最初にできたのはジャストキーパー2本。3本目はグッドサイズだったが、リミットメイクならずで2426g。2人のポイント差は3点。2882gと2426gに割り込む人数で勝負が決まる展開となった。
総合5位は馬淵利治。藍住大橋周辺の流れのヨレに対し、シンカーをこまめに変えたセクシーアンクルのドリフト釣り方をメインにカスミクローのテキサスリグを使い初日39位ながらも2日目2位、3日目3位の好成績で総合5位までジャンプアップ。野村ダム優勝に続き四国戦2連続お立ち台。
総合4位は関和学。ディレイスタートのハンデを背負いながらも前半はモスモグラチャターを巻きまくる強い釣りを展開。2日目はその効果が薄れた時に思い切ってライトリグ(プロヤマセンコーのネコリグ)へシフト。リズムの違いをものともせず、最終日は上手にアジャストさせ総合4位に。
総合3位は「強すぎる」小森嗣彦。マネーベイト「レッグワーム・カットテール」はもちろん、クリーチャー、パルスワームのテキサスリグを交え、3日間人気薄の下流域で過ごした。最終日に怒濤の追い上げをし総合3位。今シーズン5位、優勝、7位、3位とまさに無敵。現時点で2位に27ポイント差で年間ランキングをリード。
総合2位は今江克隆。最終日にまさかの3匹だったが「勝負勘がだいぶ戻ってきた」と言う。お立ち台では次の早明浦戦での優勝を宣言していた。
そして優勝はJBイチ日焼けしている大熊一徳。選手生活10数年で初のメジャー大会優勝。日焼けネタを出すのは決して冗談ではない。快晴・無風・35℃オーバーの炎天下で、集中して釣りを続けるのは本当に大変である。琵琶湖ガイドとして、連日湖上にでている同選手が他の選手より陽射しに強いのは間違いない、、と本気で思う。
それはさておき、大熊が狙ったエリアはJR鉄橋~藍住大橋。人気エリアでもあり、もっともボートトラフィックの多いエリアだ。そんな「目立つ」場所で3日間を過ごしての優勝。初日満水日はサワムラ・バレットのテキサスリグをカバー奥へ、減水日は深めのカバーと沖のウィードをワンナップリングで狙った。とはいえ、この釣り方は他の多数の選手も取り入れている方法だ。大熊だけに釣れる、スペシャルがあるのかもしれない。それか耐直射日光・・
残すは10月頭の最終戦のみとなった当シリーズ。暫定ランキングは以下の通り。
暫定順位 | 氏名 | ポイント計 | 1位との差 |
1位 | 小森嗣彦 | 228 | 233 |
2位 | 青木大介 | 201 | 27 |
3位 | 福島健 | 199 | 29 |
4位 | 今江克隆 | 192 | 36 |
5位 | 江口俊介 | 187 | 41 |
6位 | 馬淵利治 | 183 | 45 |
7位 | 市村直之 | 176 | 52 |
8位 | 本堂靖尚 | 170 | 58 |
9位 | 大熊一徳 | 169 | 59 |
10位 | 横山朋毅 | 158 | 70 |
小森の独走態勢は明かで2年連続ワールドシャンピオンに王手。ただし計算上では、小森が5点だった場合、7位の市村直之まで、小森が0点だった場合は9位の大熊までが逆転の可能性あり。水位低下が懸念されるが、最終戦は10月1日~3日に高知県早明浦ダムで開催される。
■最後になりますが、T50tterと写真撮影にご協力いただいたオブザーバーおよび関係者の皆様へ感謝いたします。
■大会2日目終了後にサーバーがダウンし長い時間アクセスできなくなったことに深くお詫び申し上げます。
写真 NBCNEWS/BASSMAGAZINE
レポート NBCNEWS