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ホーム > JBトーナメント情報2011 > JBトップ50第1戦ゲーリーインターナショナルCUPストーリー

JBトップ50 第1戦

ゲーリーインターナショナルCUP

04月22日(金)~04月24日() 高知県 早明浦ダム

ストーリー

「被災者のために戦った」
激変する3日間に上手くアジャストした今江克隆がトップカテゴリ8勝め。

2011年4月22日~24日に高知県早明浦ダムでJBトップ50シリーズ開幕戦ゲーリーインターナショナルCUPが開催された。産卵直前にあたるこの時期、ビッグウエイトが期待できる一方で、バスは気難しい。それに加えて毎日激変した天候、そして広いトーナメントエリア。コンディション変化へのアジャスト能力とバスを探す能力が試された今大会。いつも以上にハイレベルな戦いを制したのはキングオブトーナメンター今江克隆だった。

変則ルール

今大会は東日本大震災の影響で2つの特別ルールが適用された。

ひとつはプラクティス期間の変更。通常、プリプラクティスは大会前2週間が禁止。大会直前2日間が「直前プラクティス」となる。今回は、プリプラクティス禁止期間がなくなり、水曜日まで練習が可能になった。

通常のスケジュールでは5日間連続で釣りをすることになるため、最終日は極度のフィッシングプレッシャーにさらされる。しかし今回は直前の木曜日に選手とバスに休暇日が設けられることになった。これがどんな影響をもたらしたのかが興味深い。

もうひとつは、エンジンの馬力制限。JBトーナメントレイクでは最大級の規模を誇る早明浦ダム。大型バスボートの機動力を生かせる貴重なフィールドである。しかし、今回は60馬力制限が設けられ、多くの選手はアルミボートでの参戦となった。機動力と面積を鑑みれば、過去最大級のトーナメントエリアでの開催となった。

冬のようなプラクティスデイ

記者は土日に河口湖で開催されたマスターズ戦を終えてから、そのまま高知入りし、月曜日から水曜日まで湖上にでてみた。4月中旬とは思えないほどの陽気だった河口湖から一転、暖かいと思っていた高知は極寒。
月曜日は雨と強風、火曜日~水曜日も終日冷たい風が吹き荒れ場所によっては白波の波頭が飛沫をあげるほどの荒れ模様。防寒ウエアを着ていても体の芯から冷え切るほどの「冬」だった。

シャローで目視できるバスは極めて少なく、岬まわりの3~4mレンジに産卵を控えた700g前後のバスが多くいるように感じられた。また、多くの選手がそのようなポイントを狙っており、大会では魚の取り合いが予想された。上流域はビッグワンの可能性が高いものの、天候・降雨の有無による水温変化と濁りに左右されそうだった。去年秋の大会でたくさんウエイインされたキーパー有るか無いかの小バスはまだ活発に動いている感じではなかった。

そしてオフリミットとなった木曜日。幸か不幸かこの日は風もおさまり終日穏やかな一日。記者は高知市内に滞在していたが、早明浦ダムも気温が20度近くまで上がり、産卵行動を始めたバスの姿も見えたとか。

この陽気が続けば、厳しかったプラクティスから一転、一気にバスが動き出す気配が濃厚だ。

しかし、無情にも大会初日からはまた荒天となる天気予報だった。

Day1

今大会は3日間を通して、天気予報がピタリと的中した。ミーティング時は曇天だったがフライトが始まる頃から雨が降りだした。ただし、プラクティス時のような冷たい強風はなく、前日の高気温+ローライトで好釣果が期待された。

ビューポイントが極めて少ないが、クルマで湖畔を回ってみた。全体的には水温の安定してる下流域にボートが多い。岬まわりのライトリグによるスローな釣りをしている選手が多かった。

雨が上がりじゃっかん空が明るくなった15時に検量が始まる。ウエイイン率は89%、リミットメイク率は32%と好釣果に恵まれた。

初日トップは片岡壮士の5530g。JBII東条湖からトップ50入りした同選手は高知市が地元のことで、プラの段階で「5キロは余裕」と公言していたらしい。このカテゴリーにおいて地元有利はほぼないに等しいが、有限実行は賞賛に値する。2位は河辺裕和で4935g、3位に星野和正で4500g、4位は小野俊郎で4465g、5位の小林知寛、6位の小森嗣彦、7位の川口直人までが4キロオーバー。予選通過ボーダーは2キロ前後となった。

初日の上位の顔ぶれを見ると、やはりベテランが多い。激変する春の大会ではありがちだ。特にリザーバー戦はそれが顕著にでる。東日本在住でマスターズから昇格した若手選手の多くは、河口湖とライトリグに強いが、土地柄かマウンテンリザーバーの経験値が乏しいからだ。

Day2

2日目は雨~晴れ+強風の予報。ピタリとその通りに進んだ天候。スタート時は本降り。10時頃から空が明るくなり昼には晴れ。気温も一気に上昇した。そして強風。下流域はそれほどでも無かったが、上流部では白波が立つほどの強風だった。

この日真っ先に帰着したのがMr.上流組のひとり加藤誠司。初日はあまりの魚の薄さに心が折れたそうだが、2日目は上流が炸裂し余裕の早帰着で5060gの単日トップウエイトをマーク。

わずか5グラム差で2位に付けたのは今江克隆。午前中でこのウエイトをメイクし、その後は明日のプラを行っていたらしい。

3位は最下流オイルフェンスの表層狙いという「まかさのパターン」で5キロオーバーの福島健。職人技がここでも光った。

若いながらも、アジャスト能力は桁違いに高い青木大介は、この日の途中から「ある癖」に気づき怒涛のまくりを見せ4位に。

3日間のうちで最も劇的に天候が変わった予選2日目。数字だけ見れば全員での釣れ具合は初日とあまり変わっていないが、2日間連続して高ウエイトをだした選手は意外に少なかった。まさに「アジャスト能力」を問われた予選2日間だった。

予選結果は2日間ともオイルフェンス狙いで好釣果をたたき出した福島健が230ポイントでトップ通過。228ポイントで今江克隆、226ポイントで片岡壮士、223ポイントで小林知寛と暫定上位5名が僅差で並んだ。

予選通過ボーダーは150ポイント。2日間で約3500gを釣ってくる必要があった。

Day3

最終日もまた予報が命中し晴れとなった。ただし陸上は暖かかったかもしれないが、湖上は寒かった。朝の気温は6度。太陽が低い10時頃まで薄曇りもあって肌寒かった。日が高くなった頃には冷たい風が吹きつけた。特に上流部はこの日も強風で、場所によっては白波がたつほどであった。

最終日は暫定4位の小林知寛に同船した。予選上位10名にはオブザーバーやプレスが同船した。小林のメインエリアは下流域。周りを見渡すと、2人乗りのボートがたくさん浮いていた。つまり、暫定上位陣の多くは下流域で釣りをしていることになる。

ひとつの岬で粘る暫定3位の片岡。ランガンを繰り返す青木大介。メインパターンが崩壊したのか、10時頃に上流へ向かった福島健の姿が印象的だった。

月曜日からあまり変わらかなった水位だが、最終日は1m以上高くなり、この一週間で最大の変化となった。また、前日までの雨の影響で、湖面全域に流木やゴミが広がり、場所によってはマット状のカバーが形成されていた。目視はできないが、湖流にも変化があるものと思われる。

天気・風・気温・水温・水位・水色すべてが激変した3日間。さらに一年のうちで最もバスがナーバスになる産卵直前のタイミングとJB会場最大級の面積とそれにそぐわない小馬力エンジン。今大会は近年のトップ50戦で最も難しかった大会の一つだったかもしれない。

そして最終日故の競技時間の短さ。午後の水温上昇パターンをもつ選手も多いと思われるが、最終日はそれも狙えない。時間は全選手平等に過ぎ去り12時半に帰着時刻を迎えた。

単日は青木大介で5305g。前出の「癖」を見抜いて以来、怒涛の追い上げを見せた。2位は山木一人。上流域のクランキングがハマって20本の爆釣劇を演じ5285g。同じく上流で爆発したのが加藤誠司。岩陰にバスが入っていくのを見逃さず、そのスポットにヘビーテキサスやラバージグを投入。リアクションで口を使わせるというベテランならではの技で4740g。青木どうよう加藤もまた初日のローウエイトが悔やまれることに。

Result

その2人以外にも一日だけ大当たりした選手や予選2日間は好調だった選手は少なくない。だが、このシリーズは3日間通して釣ってくるのが一番ウマイ選手だ。

今大会一番上手かったのは今江克隆。予選2日目の後半には決勝日の増水を見込んで下見していたという。決勝日は今までの釣りをすべて捨て、新たなパターンに挑戦。

今季獲得した賞金は全額東日本大震災へ義援金として寄付する、と自らのブログで宣言していた。バストーナメントを通じて、少しでも「被災者の為に釣りをする」、そんな思いでモチベーションを維持しながら釣りをしたそう。結果、最終日も新たなパターンで単日4位となる4705gを持ち込んで優勝した。

同選手はワールドシリーズ時代に7勝。体調不良もありトップ50シリーズに変わってからの優勝はなかったが、昨シーズンの復活宣言から早くも1勝目をあげた。伝説の「ビッグバド」による2001年のワールドシリーズ第4戦優勝・2005年のエリート5優勝と早明浦ダムでメジャー3勝目をあげた。また、産卵前の大会にはめっぽう強く、状況変化への適応能力は群を抜く。今回もその実力をいかんなく発揮しての優勝となった。

2ポイント差で今江を追った片岡も4455gという見事なスコアをたたき出したが、一歩及ばずで準優勝。それでも、トレーラーウエイインではルーキーとは思えない大胆なパフォーマンスをみせてくれ、スター選手になりそうな期待をもたせてくれた。

総合3位は青木大介、5位に江口俊介。2人コンビで語られることの多い第四世代。今回も2人揃ってのお立ち台。この2名の短期間アジャスト能力は誰もが認めるところ。ワールドチャンピオン獲得に向けて好スタートを切った。

暫定トップだった福島健は、増水によりメインパターンが崩壊。なんとか搾り出したもののウエイトは2686gで4位に。マスターズに続き2週連続のお立ち台。

ビッグフィッシュ賞は「コバちゃん」こと小林義典が獲得した。

チャリティーオークション

トップ50最終日は毎回チャリティーオークションを行っている。通常、その売上金は地元とNPO日本釣り環境保全連盟に半々で寄付をしているが、今回は全額東日本大震災の義援金とすることなった。選手が出品したアイテムもいつも以上に豪華。その売上プラス今江選手の優勝賞金全額が地元自治体を通して日本赤十字社に寄付された。

なお、霞ヶ浦で開催予定だった第2戦エースメーカーCUPは震災の影響で岡山県旭川ダムに変更されたことが最終日に発表された。

写真・報告 NBCNEWS H.Togashi

 

 

 

 

 

 

 

JBトップ50シリーズ2011

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