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JBトップ50 第2戦

エースメーカーCUP

06月10日(金)~06月12日() 岡山県 旭川ダム

ストーリー

誰もがパターンなど無いと思った激タフ戦・・・
青木大介がセオリー通りのパターンで逆転優勝。

2011年6月10日~12日岡山県旭川ダムでJBトップ50第2戦エースメーカーCUPが開催された。旧ワールドシリーズを含め6月に開催された大会で、ここまでタフコンディションだったのは記憶に無い。多くの選手は一日ワンバイトあるかどうかという状況。そんな激タフ戦を制したのは若手実力No1の青木大介だった。

プラクティスデイ

記者は今大会も火曜日~水曜日に湖上で釣りをしてみた(今戦も前回同様のプラクティスルール適用)。前週開催されたJB旭川の結果を見て覚悟はしていたが本当に厳しい。6月なのにこれほどまでにバスの気配すら感じられないのは珍しい。

複数の選手に軽く話を聞いた。多くが一日1本釣れるかどうか。もちろん戦前は皆嘘つきになるのは解っているが、今大会ばかりはどうやら本当に厳しいようだ。ただし、釣れればサイズはかなり良く、1500g~2キロ前後が多いらしい。反面、いわゆる「キーパーサイズ」が殆ど釣れないのも特徴的。一年生と思われる20cm弱のノンキーはたくさん居るが、その上の世代が極めて少ない。一匹釣る難しさは25cmも45cm変わらないという極めて珍しい状況。

季節進行的にはスポーニング後期。前週から一気に3m減水したらしいが、その影響でスポーニングベッドが干上がった。長期プラを行っているある選手は「急な減水で強制的なポストスポーン状態」と分析していた。

一方で上流域には産卵から回復しフィーディングモードになっているバスが居て「いつもの上流サイト組」は虎視眈々と旭川バスの癖を見極めようとしていた。しかし、見えるバスも「ロッドを振りかぶっただけで逃げる」「3lbsラインでは太すぎて釣れない」と一筋縄ではいかないようだった。

通常プラクティスでは場所と釣り方を消去法で絞り込んでいくが、今回その方法を採用すると全てが消去してしまう勢い。したがって、各選手「1本釣れた」「ワンバイトあった」その場所・釣り方を心の拠り所とし、自分を信じてやり切るしか無いという感じだった。

あまりのタフさに「予選で30人釣ってくるのか?」「毎日1本ずつでお立ち台」「毎日2本で優勝」と囁かれた。

そんなプラクティス最終日の夕方、湖上で青木大介に遭遇。今日本気で釣りをしたら何本釣れるか?という問いに・・

「5本釣れないですね」

と答えてくれた(驚)

Day1 予選初日

曇り空で始まった第2戦。7時30分静かにフライトが始まった。

記者は水曜日に7本掛けたという泉和摩に同船した。同選手は中~下流域がメインだったが、下流域はボートが少なかった。

泉はプラクティスでグッドサイズを釣ったという曽母谷ワンドの出口をファーストポイントに選んだ。泉の到着後、直ぐにやや下流の橋脚部へ吉田秀雄が入ってきた。

泉の釣り詳細は別ページに譲るが、ポストスポーンのバスいが好みそうな地形を周り、自身が開発しているプロトタイプのシャッドプラグ(HMKLシャッド)で3本のバスをキャッチした。

終盤にもう一度曽母谷橋へ行ってみると、吉田秀雄が朝と同じポジションに浮いていた。エレキのワイヤーが切れたそうで、動くに動けないらしい。しかし、怪我の功名か、そのスポットが爆発したことを後の検量で知ることになる。

初日の結果はおおかたの予想を上回る37名(61%)が検量台へ。ただし、そのうちの半数が1本のみで、やはり今大会の1本は真冬の大会並の貴重さとなった。

この日のトップは前出の吉田秀雄。4本ながら6,270gという驚異的なウエイトを持ち込んだ。エレキトラブルもあり曽母谷橋で一日心中。旧橋脚5mをHIDEUPスタッガー3インチの9gヘビーダウンショット、イマカツアンクルゴビー2.5インチ1.8gのダウンショットでそれぞれ2本づつキャッチ。プラクティスではギルしか釣れなかったと嘆いていたが、あと1本で7キロ超えという爆発的なパターンをものにした。


単日2位は超地元の小林知寛。チャプターやローカルJB戦では無敵の小林だが、トップカテゴリーでは実力を発揮できないでいた。しかし、今大会はいよいよそれを発揮し4880gをマーク。釣ったエリアは上流域。エバーグリーンのペンシルベイトシャワーブローズをカバー・ブッシュの中に入れるというスゴ技で3本。カバークランキングならぬ、カバーペンシリング?本人曰く「カバーブローズ」。更にスモラバ(アベラバ)+ベイトブレスラッシュクロー2.8インチで1本追加し4本キャッチ。

3位は上流サイト組の加藤誠司。湖上中継で伝えられたように朝の早い段階で1400gクラスを2本連続キャッチした。後に1本追加し4785g。使用ルアーは3本ともジャッカル・ソウルシャッド(キンクロ)。クルーズするバス、土管につくバス、岩陰に潜むバスを得意のシャッドサイトで攻略した。

単日4位は青木大介でここまでが4キロ台。以降、10位の大熊までが3キロ台。大型バスが多いためウエイト的にはハイレベルだが、現実問題として「1匹」釣れるかどうかというタフさは変わらない。更に、夕方から雨が本降りになり、更なる状況悪化が懸念された。

Day2 予選2日目

前日からの雨は2日目スタート後まで続いた。上流側は激しく濁っていた。

「ともかく1本」。恐らく全員が思ったであろうキーワード。技術よりも心の強さを試された今大会。初日ノーフィッシュだった選手は今日釣らないと全てが終わる。いつも以上の緊張感が漂う中、7時10分フライトが始まった。

2日目は陸上をまわってみた。まずは上流側へ。山木・馬渕・小林が濁りでカバーに避難してるであろうバスを狙っていた。ほどなくして馬渕が吠えた。遠目でもわかるグッドサイトをネットに収めていた。
旦土橋まわりには加藤・秦・青木の姿も。

クルマを下流側へ進める。結果的に上位陣を輩出することとなった、江与味橋・曽母谷周辺は人気エリアとなっていた。初日トップの吉田秀雄はこの日も同じスポットで粘っていたが、バイトを得られることは無かったもよう。
曽母谷ワンドの濁りは酷くまさにカフェオレ色。それでも、バスは居るようで、同エリアの野村俊介は早い時間に1本釣っていた。最上流には福島健の姿が。

本流下流域までは濁りが到達していなかった。ただし、放水による流れが発生したせいか、浮きゴミが広範囲に広がっており、ハードルアーやライトリグをやるのが辛い状態になっていた。

運命の予選最終日。15時の帰着と同時に多数のゼロ申告。雨による状況変化とフィッシングプレッシャーが効いのか、60名中釣ったのはわずか24名、うち17名が1本のみという厳しい結果に。

朝イチの絶叫を皮切りに4本という驚異的結果を出したのが馬淵利治。パワーホグ3インチのテキサスリグ、アベラバ+アンクルゴビーのベイトフィネスなどで冠水ブッシュの根本を攻め、他の上流組が撃沈する中、4670gを持ち込んで単日トップ、暫定2位で予選を終えた。

そんな馬渕に12ポイントもの差をつけて暫定トップになったのが小林知寛。この日も単日2位となる3690g(3本)を持ち込んだ。悲願のトップカテゴリー初優勝は目の前に。なおWHOISによればこの8年間でチャプター旭川ダムで3回、JB旭川で4回優勝している。トップ50シリーズに地元有利はほぼ無いに等しいが、今回の小林に関しては周りの期待は大きかった。しかし、それが逆に本人にはプレッシャーになったのかもしれない。小林と出会ってから10年近く経つが、こんなに緊張している姿を見たのは初めてだった。

単日3位は川又圭史。中流域のアウトサイドベンド側にある反転流+ブッシュをスモラバ(ケムケム1.4g)のフォールで狙い、本人は出会い頭の事故と謙遜していたが、グッドサイズを2本キャッチして3134g。

濁りによりサイトフィッシングが不能になった結果、初日上位につけたサイト組がノーフィッシュの憂き目を見ることに。

2日間安定して高ウエイトを出したのは馬淵と小林のみ。暫定3位には、2日目単日15位の青木大介が入った。2日間連続して2キロを超えた小野俊郎が暫定4位。波はあるものの2日合計3キロを超えた福島・江口・五十嵐・北らが暫定シングルで予選を終えた。

雨は朝の早い段階でやんだ。昼前には上流側の水はかなりクリアになっていた。思ったほど雨の濁りは酷くない感じで、3日目は再びサイト組の復調が予想された。

Day3 決勝日

曇り空でスタートした最終日。一般的に梅雨時期の寒くない日はバスの活性が高まり、トップウォーターなどでエキサイティングな釣りが楽しめる。しかし、今回はそんな「楽しい趣味」には程遠い「過酷なプロトーナメント」だ。

そんな過酷過ぎる2日間の予選を勝ち抜いた30名が湖上へ。

上流の濁りはすっかりおさまり、サイトフィッシングも可能な状態に。最終日も最上流域は暫定トップ2を含む数艇のボートが浮く人気エリアに。一方で、江与味橋エリアにも青木や福島などの上位陣が浮いていた。

10時頃、会場からやや下流のストレッチで小林知寛を見かけた。ショア沿いのカバーを撃っていたが、その空気は非常に重かった。雑誌記者が同船しているため、携帯による途中経過を知ることができないが、釣れている風には見えなかった。1本でも釣れば優勝は確実なのだが・・・

同じくビデオカメラマンが同船している馬淵もまた途中結果は不明。そんな中、T50tterには暫定3位の青木大介が釣ったという報告が入った。

12時半帰着が始まる。帰着を行いボートへUターンするのが釣った選手。そのまま進んで検量所へ向かうのがノーフィッシュの選手。この日も厳しい状況は変わらずUターンする選手は少なく30名中17名がゼロ申告。その中には暫定トップの小林知寛も含まれていた・・

この日のトップは星野和正で今大会唯一のリミットメイクを果たすという快挙。中~下流域にある小規模インレットをランガン。カットテール4インチのネコリグ・ノーシンカーで半サイトの釣りを展開。4825gを持ち込んだ。

単日2位はT50tterでもその好調ぶりがリアルタイムで報告された沢村幸弘。上流域のカバー周りをONEUP魂オフセット+TIEMCOベイトフィネスクローで。中下流域の岩盤+ブッシュをSAWAMURAスイミーバレット3.8インチの1/32ozネコリグで。いずれもベイトフィネスタックルを使っての釣り。詳細は3日間同船したBasser誌で。

単日3位は阿部進吾。濁り回復とともに本人の釣果も回復。上流でビッグベイト(IMAKATSUアンドロイド)を使ったサイトで1500クラスを2本キャッチ。3290gをウエイイン。同選手は初日にもサイトで単日6位の成績。2日目のノーフィッシュが悔やまれることに。

暫定トップの小林がノーフィッシュ。残すは暫定2位の馬淵利治と3位青木大介の一騎打ち。2人の差は6ポイント。

Result

馬淵は辛うじてキロフィッシュをウエイイン。青木はグッドサイズを2本で3046g。両者の間に割り込んだ選手は3名。結果、各日のポイント合計は2人とも160ポイントで同点だったが、重量ポイントで青木が3ポイントリードし逆転勝利となった。

上位お立ち台インタビューを聞いて、ほとんどの選手はガックり&ビックりしたように思える。なぜなら、優勝の青木と3位福島は季節進行に合わせたセオリー通りの「縦ストに浮くポストスポーン(一部半プリ?)」を狙っていたから。2位の馬淵や単日ハイウエイトを出した選手の釣りも回復気味~フィーディングのバスを上流で狙う、という誰もが分る釣り方。なんら特別変わった事をしているわけではなく、いずれも王道パターン。終わってから話で聞けば「なんだ、やっぱりそれが正解か」と。

ただし、頭ではわかっているし、当然プラクティスで全員がその釣りを試したはずだが、あまりにもバイトが遠くそれが答え・ヒントだと信じることはできなかったと思われる。

お立ち台で青木は「橋脚にベタベタにタイトにフォールさせた」と言っていた。また橋下で長い時粘っていたことからも、強いてあげるなら「誰よりも丁寧に」攻めることが勝因だったのかもしれない。もちろん、青木の卓越した釣りの上手さとセンスは誰もが認めるとことで、それを前提としての話だが。

総合2位は上流のカバー周りを狙った馬淵利治。3位は青木同様中流域の縦ストを狙った福島健。4位は中~下流域でサイト・ブッシュでまとめた五十嵐誠。5位は3日間1本ずつ持ち込んだ北大祐。(上位5名の釣り方は別ページで)

第2戦を終えてのポイントランキングTOP10は以下のとおり

1位 青木大介 118p
2位 福島健  115p
3位 五十嵐誠 112p
4位 星野和正 107p
5位 馬淵利治 106p
6位 小野俊郎 101p
7位 江口俊介 101p
8位 片岡壮士 100p
9位 小林知寛 97p
10位 柴田真吾 94p

2大会連続お立ち台の青木・福島、前回6位今回4位の五十嵐誠が僅差で並ぶ状態。ベテラン小野、ルーキー片岡もトップ10入り。詳細はこちら

なお、今回の優勝で青木大介はトップ50で3勝目を挙げた。2006年マスターズAOY・2007年クラシック優勝・2008年第3戦優勝&ワールドチャンピオン・2009年トップ50第4戦優勝・2010年JBエリート5優勝。各賞総なめ状態の快進撃は続く。

次回第3戦 東レ・ソラロームCUPは7月22日から旧吉野川で開催される。去年同様、猛暑の中での熱い大会となるだろう。

写真 NBCNEWS・バスマガジン・オブザーバーの皆さん/レポート NBCNEWS H.Togashi

 

JBトップ50シリーズ2011

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