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ホーム > JBトーナメント情報2011 > JBトップ50第4戦エバーグリーンCUPストーリー

JBトップ50 第4戦

エバーグリーンCUP

09月02日(金)~09月04日() 福島県 桧原湖

ストーリー

嵐の中での記録的なハイウエイト戦
風裏で粘った山村道祐
が連日3キロ越えで優勝

2011年9月2日~4日に福島県桧原湖でJBトップ50第4戦エバーグリーンCUPが開催された。台風12号の影響で3日間続けて風雨に晒されての開催。北部の風裏スポットをメインエリアにスモールマウスのみで連日3キロオーバー、合計ウエイトを9,988gとした山村道祐が2位に20ポイントの差をつけて快勝した。

直前プラクティス

今大会も特例としてオフリミット期間無しルールが適用された。8月中頃までは数もサイズもイージーに釣れていたという。700~800gの桧原湖ではキッカーと言えるサイズは以前に比べて確実に増えている。

しかし、一回目のターンオーバーが起きてからはそれなりに難しくなってきた。更に大会が連続して開催されフィッシングプレッシャーも高い状態が続いた。

今大会も記者は直前の2日間湖に浮いてみた。水温は24度くらいでベタ凪の湖面はトロリとしていて泡々だった。湖北部が一番人気でボートも魚も多かった。去年の人気エリアだった月島や狐鷹森はガラガラ状態だった(南部は行ってないので不明)。400g~500gは釣れても600gを超える魚を釣る難しさを肌で感じることができた。数は思ったほどは釣れない感じ。競技時間外、特に夕方になると簡単に良いサイズが口を使うのだが・・・。

いろいろな話をまとめると「各日3キロ超えが1人くらい居るだろうけど、2500~2キロ後半を3日間でお立ち台」と読んでいる選手が多かった・・気がする。ただし「でも、台風で変わるだろう」と皆が付け加えた。

桧原湖では少し山側に入ると携帯の電波が届かなくなる場所が多い。選手の宿泊場所もそれに該当し、ケイタイやスマホで天気予報を細かくチェックすることが困難だ。TVニュースを見ても、四国の南で足踏みしているようにしか見えない台風12号。その動向を気にしつつも唯一のオフリミットとなった木曜日を迎えた。

Day1

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中心位置からはかなり遠い北関東にまで大雨をもたらした台風12号。桧原湖はじゃっかん南風が強かったものの、大きな混乱もなく初日を迎えることができた。逆に南からの湿った風の影響を受け、気温は3日間を通して異例の高さだった。3日間とも最低気温が20度超え。例年この時期の桧原湖では朝の最低気温が10度前半が平均だ。初秋特有の朝晩の冷え込み、そしてそれに伴う水質悪化が無かったことはラッキーだったように思う。それに加え、強風と気圧低下は確実にスモールマウスの活性を上げたに違いない。

そんな大会初日は、今思えば最も風が弱く、各自「思い通りの場所で思い通りの釣り」を限りなく実現できた唯一の日だった。前プラの傾向通り、会場前の早稲沢フラットから糠塚島周り、神社前が人気エリアとなり9時頃には20艇以上のボートを目視することができた。一方で狐鷹森・月島エリアは人気薄。それ以外のボートは周遊道路からは見ることが出来なかった。

コロコロと変わる天候がスモールマウスのスイッチを入れているようで、風や日差しの変わり目のたびに次々とロッドが曲がっていた。遠目でサイズは解らないが、戦前の予想に反して数は釣れているようだった。

記者の判断で写真撮影ボーダーを2300gとした。が、結果的にこの見積もりは甘かった。予想を遥かに超えるハイウエイト戦で4キロ超2名、3キロ台9名という爆釣状態だった。通常のトーナメント会場に換算すれば、5~6キロ超えが10名以上出たような感じだ。帰着遅れの1名を除き全員が検量しリミットメイク率も88%。数もサイズもイケる桧原湖になっていた。

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そんな爆釣の初日に4675gという恐らくJB桧原湖レコードであろうスーパーウエイトを持ち込んだのは五十嵐誠。それもそのはず、2504gという他のラージレイクでもそうそう釣れないスーパーキッカーのラージマウスを1本混ぜての記録。もちろんこの魚でビッグフィッシュ賞を獲得した。

2位は野尻湖・桧原湖に強い大塚茂で、2本のキロ前後のラージマウスを混ぜ4210g。両選手とも、ラージマウスは狙って釣っている。平均的なスモールマウスのキーパー数匹分に相当するウエイトを稼ぐことができるラージマウス。狙って釣れる選手は限りなく少ない。特に3日間連続して釣ってきた選手は記憶にない。2日目以降の両名に注目が集まった。

3位は山村道祐でスモールマウスのみで3532gをマーク。4位の奥泉悠介から11位の河辺裕和までが3キロ台。通常なら2500を3日間で上位を狙える感じだが、今回に限っては2500では予選通過すら危うい感じに・・・

なかなかはっきりしない台風の進路にやきもきしながら初日を終えた。

Day2

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2日目も初日どうよう雨が降ったりやんだりの天気。決定的に違ったのが風の強さ。南からの強風は終日吹き続けた。これにより、初日に人気エリアだった馬の首~早稲沢フラットが壊滅状態になってしまう。場所によってはじゃっかん風裏となって辛うじてボートをステイすることも可能だったが、その状況でライトリグを意のままに操作するのは困難を極めた。ライトリグといっても、桧原湖トップ50で使われるリグの軽さは日本一、いや世界一である。特に中層狙いの選手はウルトラライトリグをキャストしている。

とはいえ、釣にならない・・では本末転倒であり、フラットから消えたボートは各地の風裏・風が弱いエリアに点在していた。強風激荒れの中、無理やりステイし続けた選手も居たが、バッテリー切れやエレキ故障などに見舞われる選手も少なくなかった。

そんな状況ゆえ皆んな苦戦中?とおもいきや湖上中継を見ると本日もよく釣れていた(2日目は16名のオブザーバーが同船しT50tterを盛り上げた)。

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この日のトップは小林知寛。北部の風裏にあるピンスポットでキッカーとなるラージマウスをキャッチしトータルウエイトを4340gとした。年間ランキング暫定トップの福島健は初日26位と出遅れたものの、この日は3615gを持込み単日2位に。福島の戦略も小規模岬の風裏側のナニカを狙うというもの。3位の川又圭史は神社前の船団で3560gというハイスコアを叩き出した。年間ランキングで福島を追う青木大介は、スモールでベースを作りラージで入れ替えるという理想的なパターンで3464gをマークした。

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今大会糠塚島の風裏をメインとしていた選手が3名。山村道祐・大塚茂・馬淵利治である。風が弱かった水曜日のプラクティスの時からこの3名はこのエリアをチェックしていた。山村と馬淵は岬を狙い、大塚は島の周囲にあるリバーチャンネル状のエグレを狙っていた。そして山村道祐はこの日も3340gというハイウエイトで単日5位。予選をトップで通過した。単日6位は同エリアの馬淵利治で3164gを持ち込み年間ランキング争いも面白くなってきた。

全体的な釣果を見ると、データ的には初日とほぼ一緒。帰着遅れの1名以外は全員検量、リミットメイク88%。3キロ越えが11名というところまで一緒だった。

予選結果

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3位~5位・重量ポイントトップの山村道祐が234ポイントで予選トップ通過。10ポイント差で青木大介がそれを追う。3位は220ポイントのルーキー北山睦。2日目の失速を重量ポイントでカバーした大塚茂が4位。5位に柴田真吾、6位泉和摩、7位福島健と続く。4位の大塚はトップに21ポイントの差があり、現実的には優勝争いは上位3名に絞られるカタチとなった。

また、年間ポイントランキングに目を向けると暫定3位の馬淵利治は苦手な桧原湖を18位で予選を通過したものの、上の2名、福島健・青木大介がともに上位で予選通過。福島vs青木の一騎打ちとなった。

Day3

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台風の進路次第では中止もありえたが、無事に決勝を開催することができた。ただし、3日間を通して最も風が強い日(瞬間最大12mオーバー)で大荒れ状態での操船テクニック・体力も問われる過酷な決勝日となった。選手の分布傾向は2日目とほぼ同じ。早稲沢フラットからボートが消え、北部の風裏エリアに数艇が固まるような展開だった。

風は強かったものの被災地福島のギャラリーに天気の神様は微笑んでくれた。チャリティーオークションなどのイベントが開催される10時過ぎ、ピタりと雨が止んで久々に青い空も顔を出したのだ。

天候回復により陸上イベントは順調に進んだ。一方で水中での「捕食」イベント進行に変化はあったのだろうか。

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13時に検量開始。検量ショーの様子はUstreamの録画を見ていただくとして、決勝日も短時間ながら数・ウエイトともによく釣れた一日だった。ウエイイン率は96%、リミットメイク率86.7%。30名中2500越えが10名という驚異的な釣れ具合。

単日トップウエイトは今江克隆で3272g。同選手も強風でメインパターンを封印された一人だが、風の強さに合わせ重めのラバージグをもちいた中層スイミングでグッドサイズを仕留め最終日、まくりにまくった。

Result

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暫定トップの山村道祐が早い時間に「500台をリリースしている」という衝撃的な事実をT50tterで広報された。最終日に3キロ超えれば優勝は確実。久々に公式発表のずいぶん前に優勝者を特定できる試合となった。同選手のメインエリアは糠塚島の岬まわり。ヤマセンコーのキャロライナリグをメインにフットボールジグを織り交ぜスモールマウスのみで3日間合計9836gを記録。3位・5位・3位で重量ポイントは満点。3日間上位安定での勝利。

山村道祐はヒューマン卒業後河口湖の各大会に出場。2005年にJB登録し2007年にJBマスターズイースタンで年間1位を獲得(ちなみに、この時のウエスタン1位は馬淵利治)してトップ50へ昇格。2年目の第1戦でトップ50初のお立ち台へ登るがその後はトップカテゴリーの荒波に揉まれ続けお立ち台への道は遠かった。笑顔はNo1でカメラマンのウケは抜群。今回の優勝によりミッチースマイルが各メディアを賑わすに違いない?!

2位は大塚茂。エレキトラブルなどに見舞われ2日目は26位だったが、前出の通りウエイトポイントの貯金が効いて暫定4位で予選を通過。同宿の先輩から「どうせ優勝は無理なんだからラージ狙いは辞めてお立ち台をキープすべき」との助言を得る。言われたとおりにスモールマウス狙いで糠塚島裏へ。朝の早い段階でキロアップをキャッチする幸運にも恵まれ優勝の山村とエリアをシェアしつつもウエイトを上げていった。途中でラージ狙いの勝負に出て痛恨のミスをおかしてしまったらしいが、最終的に単日2位となる3208gを持ち込み順位を2つ上げて総合2位。2年ぶりに桧原湖のお立ち台へ。

3位はやっぱり強い青木大介。連日大きく目立つことはなかったが予選は2位通過。3日目にスコアをやや落としたものの終わってみれば総合3位。ディープのダウンショットという定番技をベースに、スーパーシャローをクルーズするキッカースモールをサイトで狙う方法やスピナーベイトでラージマウスを狙うパターンなど、他とは一味も二味も違う戦略をもちいて総合2位。ワールドチャンピオン獲得を公言してる今シーズン、今回大会もしっかりとポイントを稼いだ。なお、同選手はほぼ毎試合オブザーバーやプレスが同船している。初日はオブザーバーの希望が通ることが多いため「青木さんの釣りを見てみたい」というケースが多い。2日目以降は初日のランキングの上からオブザーバーが決まるので必然的に青木に乗ることが多くなる。そして高成績な最終日はプレスが乗る。商業的な意味ではなく、単純に釣りという意味でオブザーバー・プレス同船はメリットよりはデメリットが多いはず(重量・人の気配増加や気遣い・プレッシャーetc)にもかかわらず毎回素晴らしい成績を残す青木は本当に強くてクリーンな選手だと思う。

4位はやっぱりこの人も強かったという福島健。2011年最強の男。2日目の単日2位以外は地味だったが終わってみれば4大会連続お立ち台、更に桧原湖戦2年連続お立ち台という快挙。自身が開発中のエビっぽい小型ワームのキャロライナリグをもちいて北エリアの風裏スポットをまわって釣ったというが詳細はあまり語らず(近年、トップ50は同じ会場・近い時期で繰り返し開催されることが多く、福島に限らず、釣れた場所や釣り方は秘密にしたがる選手が増えてきたのは事実である)。年間ポイントは青木に1ポイント縮められ8ポイント差に。

5位はトップ50昇格2年目の柴田真吾。アルミボートのハンデを背負いながらも北部エリアの風裏をダウンショット・キャロライナリグで攻略して予選5位通過。運命の3日目、全体的に微妙にウエイトが落ちた中、2548gを持ち込みその5位をキープした。

ちなみに最終日、柴田は2548gで単日8位、そして柴田に僅か82g及ばなかった篠塚亮は単日13位。82gの間に4人も割り込んだカタチ。これが桧原湖の恐ろしいところで、フックのみ等の小さいペナルティーが大きな痛手となるのだ。

そんな篠塚が総合6位、7位は最終日にまくった今江克隆。8位はオールドルーキー北山睦。9位は小林知寛。10位は岩崎広という結果。「2500を3日間でお立ち台」という予想は大きくはずれ、2800を3日間釣る必要があった。長い間「サイズの野尻・数の桧原」と言われ続けた。が、ローカルの話によれば50前後のスモールマウスを複数匹狙って釣れるパターンがあるという(タイミングが超シビアだが)。小森嗣彦も8月頭のガイドで35~40cmクラスを一日最高30本釣ったと言っていた。今大会のプラクティスでも夕方16時を過ぎればパラダイスで700~800が連発という声も。口を使うタイミングが難しいものの大型のスモールマウスの個体数が増えているのは間違い無いようだ。外野としてはプリスポーン時期の開催を見てみたいものである。

というわけで、普通の釣りなら出船を見合わせるであろう強風下での戦いを強いられた第4戦。今大会の特徴を一言で表すならば「強風」に尽きる。そして、それがボートポジションのみならず、魚の動きにも大きな影響を与えた(の、かも)。優勝と2位は同じ糠塚島の風裏。他の上位陣もキーワードは「風裏」。もちろん風表ではボートのステイもライトリグの操作もままならぬ状態ではあったのだが、大塚茂は「3年前からあの場所(糠塚裏)で毎回釣っているけど、今年は異常によく釣れた。ベイトの写り方も凄かった。亮くんのところ(ラーメン屋沖)に居るバスがこっちに逃げて来てたんじゃなかな?」と言っていた。バスが大挙して風裏に避難していたのか真相は謎であるが、そんな場所でハイウエイトが出たのは事実であり、自然に逆らわず味方につけた者が上位入賞した第4戦だった。

最終戦は10月7日から開催!

最終戦となる第5戦は北浦を会場として10月7日~9日に開催される。今度は通常のオフリミットルールが適用されるため来週あたりからプリプラクティスが始まる。単戦の結果もさることながら、熾烈な2人のワールドチャンピオン争い、そしてエリート5出場権を賭けたトップ5入りの戦いなどなど見どころはたくさん。皆様、是非お誘い合わせのうえ観戦に来てください!

PS:湖上中継と写真撮影にご協力いただいたオブザーバーの皆様、ありがとうございました。あの天候でメールを書くのは辛かったと思いますが、たくさんの報告に感謝いたします。また機会があればよろしくお願いいたします。

写真:NBCNEWS/Observers
レポート:NBCNEWS Togashi

 

JBトップ50シリーズ2011

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