ジャパンスーパーバスクラシック
11月16日()~11月17日() 茨城県 北浦

ストーリー

得意のテトラ穴撃ち炸裂!篠塚亮 悲願の地元初勝利で「ドーン♪」

2013年JBトーナメントの総決算ともいえるジャパンスーパーバスクラシックが11月16~17日の2日間にわたって開催された。東北~九州まで全国のJBトーナメントを勝ち抜いた34名の精鋭が茨城県北浦に集結した。数は少ないものの秋特有のコンディション抜群のバスが釣れ、2日間にわたり3キロ台を持ちこんだ篠塚亮が地元での初優勝を飾った。

Day1 四国の石川晴彦がビッグウエイトを叩き出す

前週に日本列島を襲った「今年一番の寒気」。茨城県も最低気温が氷点下になるところが出るなど、いよいよ晩秋の様相となった。幸いその寒気は大会当日には抜けた。初日の朝の気温は8度、日中は17度。北からの風が強めに吹き、それが当たる湖上はかなり寒そうだったが、風裏にはいれば暖かさを感じる天気だった。

フライト終了後、記者は北浦中流~上流西岸のワンドと常陸利根をクルマでまわってみた。北浦の山田ワンド・蔵川ワンドで10艇近くのボートを見ることができた。1/3が集まっているので、今回の一番人気エリアだったと言える。強めの北風により南西岸はザブザブ状態。それをブロックできるのもこれらのワンドの特徴だった。また、今年の秋は山田ワンド好調の情報が流れており、それも人気に拍車をかけたと思われる。

常陸利根でもポツポツと移動中のボートを見ることができたが、この広大な水域で34艇を探すのは非常に困難。ハイシーズン中の人気シャローエリアはガラガラ。いくらか水深のある岸沿い+沈みモノストレッチが人気のようだった。

シャローカバー撃ちも見かけたが、釣果には恵まれていない感じだった。

半分はノーフィッシュでは?という事前情報もあったが、ツイッターによれば比較的よく釣れている感じだった。

初日は競技時間が長い。トップ50と同じ15時が帰着。午後からはかなりの強風となったが、全員無事にマリーナへ帰還した。21名61%が検量台へ。戦前の予想を遥かに超える釣れ具合だった。

初日トップは四国から参戦した石川晴彦。四国の大ベテラン選手で2004年から3年間トップ50シリーズに参戦していた実力派。近年は地元のJBII四国・チャプターで選手・運営として活躍している。今回はチャプター徳島年間1位~チャプター中国四国ブロックチャンピオンシップの優勝でクラシックの権利を獲得した。

北浦水系はトップ50時代以来数年ぶりとのことだが、4本で4845gという驚愕のウエイトを叩きだした。6~7月のハイシーズンに開催される大会では平均ウエイトが600~700g台、30cm前後の小型と長さはあっても痩せたバスが多い。が、今大会の平均ウエイトは初日872g、2日め861gと重い。魚体を見ても体高のあるコンディション抜群の個体が多い。

そして石川の魚はアベレージを遥かに上回った。通常の大会のキッカーフィッシュを4本釣ってきたのである。

単日2位はスーパールーキー渡辺泰喜。今年からJB霞ヶ浦シリーズに参戦し初年度でいきなりAOYを獲得。その勢いそのままに本大会でも大暴れ。2キロに迫りそうなスーパーキッカーとキロアップを2本。3本ながら3645gというビッグスコアを叩きだした。

今大会唯一のリミットメイクを果たしたのは地元の篠塚亮。1本だけ小さいのが入ったがおおよそ700gでまとめ3416gで単日3位。

4位は五十嵐誠、5位に沢村幸弘、6位青木大介、7位市村直之とトップ50勢が2キロ台で初日を終えた。

本大会の集計はJBマスターズ方式が採用される。2日間のポイント合計で競われるため、ウエイトのアドバンテージは少ない(トップ50の重量ポイントが無い)。4800gの石川と1828gのSHINGOには10ポイント差しか無い。風向きが初日と真逆になるという予報だけに、大どんでん返しが来るのか・・・

初日終了後、3位だった篠塚亮にようすを尋ねると「明日は南風予報なのでやる場所が無くなりますねー」と言っていた。初日のメインは北岸だったらしい。。ただし「この水系は今日釣れても明日釣れる保証は無いんで、新しい場所でなんとか頑張ります」とも言っていた。

Day2 南の強風予報がハズレ無風に。初日上位陣も安定して釣れた

2日め最終日は快晴の気温6度で始まった。完全ベタ凪な湖上に朝日と朝モヤがかかりとても美しい光景だった。

スタート前、初日トップの石川に無風の影響を尋ねると「風あったほうがポイントを絞りやすい」と言っていた。

南の爆風という予報は見事にハズレ。魔の10時を過ぎても風が吹く感じは皆無。全域やり放題という状況だった。気温は18度まで上がり、絶好の釣り日和・・・なのかは魚に聞いてみないとわからない。ただツイッターによれば、この日も順調に釣れている感じだった。初日上位陣も2~4匹の釣果。ウエイトはわからないが、良いサイズも釣れていた。

この日は常陸利根をクルマでまわってみた。12時帰着なので下流部しかみれなかった。3時間かけて見かけた選手はわずか4名。この水域をクルマで周る無謀さを悟った。

5時間弱という短い競技時間だったが、2日めも70%の検量率だった。ただしそのうちの半分が1匹のみ。「釣れる人とそうでない人」の差が顕著にでる秋らしい展開だ。

初日ノーフィッシュに終わった福島健がこの日のトップウエイトをマーク。巻きものメインの展開で4本で4040g。同選手にはエバーグリーン社のWEB動画カメラマンが2日間同船していたので詳しくはそちらで。

単日2位はSHINGO。ビッグサイズの群れに遭遇し福島と同じく4040g(ゼッケン負けで2位)。

初日トップの石川晴彦は初日と同じ戦略をとったものの釣れてくるサイズが2まわり下がって3本で2272g。

初日2位の渡辺泰喜は終盤に2本のキッカーサイズをキャッチし2770g。

初日3位の篠塚亮もトップウエイトに迫る3965gを持ちこんだ。

ここで興味深いのは、3965gの篠塚と2770gの渡辺の間に誰も割り込まなかったこと。両者のウエイトには1200グラムの差があるが、篠塚が単日3位、渡辺が4位。ポイント差は僅か1点。少人数によるポイント制の怖さがここに現れた。

初日4位の五十嵐誠も単日6位となり、熾烈なお立ち台争いになった。

Result 同ポイント重量勝ちで篠塚亮が悲願の地元初優勝をゲット

「地元で勝ちたい」。優勝の篠塚亮が何度も口にしていた言葉。JB霞ヶ浦シリーズでは2度の優勝を経験しているものの、トップ50では2位、4位、5位とあと一歩及ばなかった。自身「クリアな水は釣れる気がしない」などと冗談をいうほどのステインウォーターシャローマンだが、トップ50桧原湖で優勝したり2011年野尻湖クラシックで準優勝するなど、クリアウォーター・ディープの釣りも本当は上手い。

しかしながら、自分の得意な場所・釣り方で優勝したいのが本音だろう。今年のクラシックは「瓢箪から駒」で出場できた。年間13位で自力の権利獲得に及ばなかったが、上位ランカーが複数権利獲得したことにより、繰り上げで出場できるという幸運に恵まれた。そのチャンスを活かしての優勝。

釣り方も、もっとも得意とする「レインズホッグヘビダンのテトラ穴撃ち」。他の選手がミスに泣く中、やり込んだ経験とそれに導かれた完璧なタックルバランスによりミス無しでビッグフィッシュをテトラの奥から引きずり出しての勝利。すべてが上手く運んだ結果だった。記者はまだ可愛い顔した大学生の頃から彼を見ている。可愛い顔は変わっていないが、近年トップトーナメンターとしての実力を確実につけてきた。「オレオレ」なタイプではないので、少し地味な存在ではあるが、クラシックウィーナーの肩書を得た来年以降も要注目の選手である。

なおタイトルにある擬音は、近年若手選手の間で流行している優勝コールに対するレスポンスで、篠塚の場合は某芸人風に拳を突き上げて「ドーン」というのが通例(?)になっている。

総合2位はルーキー渡辺泰喜。WHOIS3によれば2009年にチャプターに少し参戦。2年のブランクを経て2012年にチャプター北浦にフル参戦。今年JB霞ヶ浦にエントリーしていきなりAOY獲得という快挙を成し遂げてのクラシック参戦。そして総合2位という偉業を達成、優勝の篠塚亮とは同ポイントという好ゲームをみせてくれた。

2日間ともにわずか50mほどのストレッチでシャッド(イマカツ・ドノーシャッドハイピッチ)を巻きまくった。釣れてくるバスのサイズが頭ひとつ抜けてよく、2日間合計で5本持ちこみ合計6415グラム、1本平均1283グラムという驚異的な数字だった。優勝の篠塚は9本で7381g、1本平均820gなことを考えると、その凄さがよくわかる。初日の石川の魚もそうだったが、この時期の北浦水系には抜群のコンディションのバスが多いようだ。

初年度でAOY獲得からのクラシック準優勝。その勢いのまま来年からトップ50に参戦するとのこと。お立ち台での語りも堂々としており、要注目ルーキーの誕生だ。

総合3位は石川晴彦。初日トップ。2日め単日7位。2日めはサイズが落ちたらしいが、初日の4本4845gは驚異的な数字。ホグ系ワーム(ノリーズエスケープツイン)5gテキサスリグでへら台の中層やテトラまわりの浮きゴミを撃った。
エスケープツインはスポンサーの枠を超えて多くの選手が使うワームだ。去年のトップ50北浦戦のウィニングルアーにもなっている。「全国どこでもすごくよく釣れるんですよ~」と石川は言っていた。
レインズホグヘビダンの篠塚と同じく、石川もまたこのリグ・タックルバランスに絶大な信頼・経験を持っている。1200クラスバスを相手にへら台の錆びれたパイプ越しでのやりとりや、ややこしいテトラ絡みの浮きゴミからもノーミスですべてをキャッチしたという。このレベルの選手になると「誰にも負けないセッティング・リグ」の一つは持っている。それを駆使しての総合3位だった。

総合4位は五十嵐誠。マスターズAOYを獲得しての参戦。初日を4位で終え、奇跡のダブルタイトル同時獲得か!と思わせたが2日めは単日6位。他の上位陣も安定していたため、奇跡は起こらず。プラクティスでは山田ワンドの巻きモノ(OSPハイピッチャー・同ハイカット)で手応えを得ていた。初日も序盤はそれらでキャッチするも、ミスバイトをきっかけに得意のネコリグ(OSPドライブクローラー)にシフト。トップ50イチのネコリグ使いである五十嵐誠が操るワームに北浦バスは降参。サイズが今ひとつ伸びなかったが、初日3本、2日め4本と確実に釣り上げ4位入賞。

総合5位はSHINGO。初日11位と出遅れながらも2日めにビッグフィッシュの群れに遭遇。怒涛のバイトラッシュが起こったそうで短時間でスコアを一気にまとめ単日2位。6人抜きでお立ち台に。山田ワンド・蔵川ワンドなどの流入河川がらみのエリアにはワカサギの群れが差すことがあるらしい。それを捕食しているパンパンのグッドコンディションのバスが今大会のキーの一つだったようだ。

大会終了後は今年度のメジャータイトル獲得者の表彰が行われた。この3名がトーナメントブック2014の表紙を飾る。世代交代を象徴する3名が並んだ。

写真 バスマガジン・オブザーバー・NBCNEWS
レポート NBCNEWS H.Togashi

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