JBトップ50 第1戦 ゲーリーインターナショナルCUP
04月19日(金)~04月21日() 高知県 早明浦ダム

ストーリー

気難しい早春リザーバーのプリスポーナーを完全攻略!

ビッグウエイト戦を制したのは2年目の澳原潤

2013年のJBトップ50シリーズは去年どうよう4月の早明浦ダムにてゲーリーインターナショナルCUPとして開幕した。プリプラクティス期間は春爛漫の天候で季節が一気に進んだ。本戦ではあわやミッドスポーン期の開催になりそうだったが、大会期間中は寒波の訪れもあり季節進行がスローダウン。めまぐるしく変わる天候にあわせて上がってくるメスをいかに釣るかが勝負の鍵を握った。前日プラでは「厳しい」という声が多かったが、蓋を開けてみれば連日ハイウエイトが続出。トップ50参戦2年目の澳原潤(おきはらひろし)は5275g、4910g、6820gというビッグウエイトを持ち込み360満点中353点という会心のゲームで優勝した。

公式プラクティス

大会前の水~木曜日は公式プラクティス日。水曜日は本降りの冷たい雨。木曜日は朝こそ冷え込んだものの、午後からは夏のような暑さになった。2週間前のプリプラクティスの頃は比較的容易にメスバスを見たり・釣ったりできたそうだが、直前になりその姿が消えたという声が多かった。全体的には「去年よりも難しい」という声が多く、45・35・30で優勝?3500を3日間でお立ち台?という空気だった。木曜日は水温が下流部で15度を超えシャローでは小バスの活性が上がっていた。

Day1

気温は9度ちかくあったが冷たい風で体感気温が低い朝。防寒ウエアに身を包む選手も多かった。10時過ぎには青空になったが風の冷たさは変わらずだった。湖を一周してみたところ、下流部と本流上流部、白滝ワンドが人気だった。下流部3~5mのミドルレンジ狙い・上流部 岸スレのシャローを狙い・風の影響がなくクリアな白滝ワンドでのサイト。これら3つの釣りが多かった。途中、五十嵐誠・加藤誠司のヒットシーン・入れ替えシーンに遭遇。なかなか大会中に入れ替えシーンを見ることが出来ない近年だけに、戦前予想よりも釣れている印象だった。

青空のもと15時に検量が始まった。ウエイイン率は100%で過半数がリミットメイク。終わってみれば「よく釣れた」初日。ウエイトもハイレベルで5キロ超えが5名。16位の大塚茂までが4キロ台というハイウエイト具合。多くの選手が「え?なんでこんなに釣れてるの?」と思ったようだ。風が吹いたことによりプリスポーナーが差してきたのでは?と予想する選手もいた。明らかに前日までとは魚の動きが違ったようである。しかも、良い方に変わった。

この日のトップは青木大介。本流上流部の冠水樹木周りのフラットな地形・段々畑状になっている地形の岩や岸際を半サイトで攻めた。魚が見える時はノーシンカーワーム(ゲーリーのD-SHUワーム「i字系プロトタイプ」)で、見えないときはジグヘッドワッキー(ゲーリー・スリムヤマセンコー)を使用。暫定ビッグフィッシュとなった2456gはジグヘッドワッキーで仕留めた。

2位は加藤誠司。スタート直後会場裏のオイルフェンス部へボートを進入させ得意のサイトフィッシングを展開。浮きゴミ下にいた2キロフィッシュをスモールラバージグ(ジャッカル・ベクタージグ+Jリーパー)見事キャッチ。ラバージグとノーシンカーワーム(ジャッカル・ヤミー)のサイト技で合計7本キャッチしトータルウエイトを5625gとした。

3位は市村直之。中~下流域の岩盤エリアをひたすらランガン。天候に合わせてその時々に釣れる条件を探しネコリグ(ゲーリー5インチスリムヤマセンコー・プロセンコー)の早い釣りで10本近くキャッチ、最終ウエイトを5295gとした。

優勝の澳原潤は5275gで4位通過している。

Day2

予選2日めは3度という真冬のような気温で始まった。日中の最高気温も10度ほどで季節が一ヶ月以上戻ったような寒さ。ただし初日ほどの強風ではなかったのが救い。初日トップの青木大介は、上流部の冠水した樹木のシェイドを狙っていた。風が無いことと曇天・微風なことで、陸上から見る限りではとても釣れそうな雰囲気を醸し出していた。

少し暖かくなったのが効いたのか、この日も4キロオーバーが続出。上位4名は5キロを超えた。

2日めトップは小池貴幸。本流上流の濁ったライン・水中の岩・竹・笹のレインダウンにクランクベイトを投入。オスメス両方合わせて10本ちかく釣れ、最終ウエイトを5800gまで上げた。

2位はマスターズ優勝&3位とノリにノッている五十嵐誠。直前プラで魚の位置を確認していた上流部の冠水樹木にネコリグ(OSPドライブクローラー3.5インチ)をキャスト。シャローカバーに付くプリスポーナーを仕留めた。しかし、この釣りは後半から効かなくなり、下流部のクリークにある張り出し3~4mを同じネコリグで攻めるというサブパターンを使い5375gを持ち込んだ。

3位は去年の覇者山岡計文。瀬戸川上流部・白滝ワンド上流部をショートリーダーのダウンショットリグ(ティムコ・レジェンドリーチ「プロト」)を用いたサイトフィッシングで攻めた。天候や風・水質によりシャローに上がってくるタイミングが違うのでクリークをランガンしタイミングを合わせた。ディフェンディング・チャンピオンの意地を見せる5190gをマークした。

春ゆえに、安定した成績を持ち込むのは比較的難しいのだが、4位に福島健・5位に澳原潤・6位に市村直之と初日上位陣が大外ししなかったのが今戦の特徴の一つである。

初日に2456gで暫定ビッグフィッシュ賞を獲得した青木大介は、2日めに自らの記録を更新。2554gのスーパービッグをD-SHUプロトで釣り上げ会場を沸かせた。そして、この魚でビッグフィッシュ賞が確定した。

予選結果

初日4位・2日め5位の澳原潤が暫定トップ、1位・8位の青木大介が暫定2位、3位・6位の市村直之が3位で予選を通過。ノリノリの五十嵐誠が4位、やっぱり強い福島健が5位。秋田県から下道でやってきたルーキー薮田和幸が6位で予選を通過した。

予選通過には2日間で約4500gを釣る必要があった。

Day3

2日めほどではないが、決勝日の朝も寒かった。 午前いっぱい曇りがちの空で気温上昇も殆どなし。のちに「3日めは魚が上がって来なかった」という声を多くきいた。 湖上をまわってみたものの、広大なトーナメントエリアに30艇のボートなので、選手を見つけること自体が困難だった。 早々に切り上げ帰着30分前に会場へ戻ると、桟橋に一艇のボートが係留されていた・・

通常トップ50戦では帰着時刻ギリギリまで誰も帰ってこない。30分前に帰着しているというのはボートトラブルもしくは「勝ちを確信したウエイトが揃った」時のみ。30分前に係留されていたのは、暫定2位の市村直之のトライトン。本人は既に地上に居た。しばらくすると、暫定トップの澳原潤も早めに帰着してきた。澳原の目に映るのは、市村のトライトン。「え?マジか?」という表情に見えた。

市村のトライトンの横に澳原のボートが繋がれた。そして、お互いのライブウエルを覗きこむ二人。市村のバスは太く短く推定6キロ。対する澳原のそれは長くて細い。本人は5500くらいと思っていたらしい。上から覗くだけでは、なかなか判断がつかなかったようだが、澳原が余裕で2キロ超えを超える1本を見せたとき「これは負けた」と市村は思ったらしい。

予選二日間で誰もが成し得なかった6キロ超えを最終日に釣り上げれば、誰もが勝ちを確信する。最終日は時間が短い事やプレッシャーが最高潮に達するためだ。数日前に琵琶湖でエンジントラブルを起こしたこともあり、大事をとって早めの帰着をしたという理由もあったらしいが、最終的に澳原の6820gという3日間通してのマックスウエイトをきいて市村は「無理!」と素直に負けを認めていた。

単日2位馬淵利治。通常の釣りでは歯が立たず、ビッグベイト(イマカツ・アンドロイド)でスーパーキッカーを入れ6710gをマーク。

単日3位が6310gの市村直之。ということで、暫定トップの澳原が決勝もトップウエイト。発表を待たずに優勝が確定した。

Result

栃木県在住の澳原潤はJB桧原湖シリーズに長年参戦している。2011年に同シリーズでAOYを獲得し去年からトップ50に参戦。また2003~2008年にはマスターズに出ていたことや、利根川でのトーナメント経験も長いことなど、いろいろなフィールドでの経験を積んでいる。ルーキーイヤーだった昨シーズンも年間8位という好成績をおさめた。去年一年間全戦に同船したロッド&リール記者によれば、桧原湖以外は全てベイトタックルでの釣果だったという。今大会もメインはフットボールジグ(3/8ozジグ+ゲーリー4インチシングルテールグラブ・1/2ozジグ+ゲーリー4インチダブルテールグラブ)のスイミング&フォールだった。

大きいサイズがライブウエルでカニを吐き出したのをヒントに、垂直に近い岩盤のエグレをフォールで狙うパターン、ブレイクから少し離れた沖に浮いているバスをスイミングで狙うパターンを軸に、フォローでジグヘッドワッキー(ゲーリー・スリムヤマセンコー)を投入。フットボールの釣りに限界を感じ、ライトリグを投入するも、小さいサイズが釣れてしまうため、最終日はフットボールをやりきっての6820g、そして優勝カップを手にした。

準優勝は市村直之。釣り方は前出のとおり、岩盤エリアをネコリグで攻めた。使用しているのが、ネコリグであるものの、ハードベイト的にハイテンポで使ったという。何よりも「前に釣れた場所」には拘らず、刻々と変化する気象・水質にあわせて、その時々のアタリの地形を探すことに注力したという。

3位はやっぱり強い福島健。釣り方・狙いどころは澳原・市村とほぼ一緒。市村のネコリグと同じ感じで「フットボールだけどクランクベイトな感じ」でボトム付近を狙い、初日10位・2日め5位・3日め5位と安定した結果で3位入賞。

お立ち台インタビューは5位から降順に行われる。3位の福島健が話した内容を澳原・市村は「言いたいことは全部福島さんが喋った」と口を揃えた。つまり上位3名のパターンはほぼ一緒だったのだ。ここまでキレイにパターンフィッシングがハマった大会は記憶に無い。ウエイトからしても、今の早明浦ダムでは最強のパターンだったようだ。

4位は馬淵利治。5位・16位・2位と、2日めにスコアを起こしてしまったが、四国アングラーとしての意地を見せてくれた。ビッグベイト(イマカツアンドロイド)でとった2本のキッカーフィッシュがきいて総合4位。

5位はルーキー薮田和幸。記者は同郷ということもあり個人的に古くから知っている。今は八郎潟でガイド業を行なっており豪快な釣りがメイン。クリアリザーバー(のライトリグ)は苦手かと思っていた。しかし、地元山形のリザーバーでの経験が豊富で、プリスポーン期は得意だという。薮田もまた、刻々と変化するコンディションにあわせレンジを変える工夫をし、ダウンショットのスイミングで3日間コンスタントにバスをキープした。初年度の第1戦でお立ち台は快挙といえる。

寒の戻りで結果まで冷え込むのではないかというのは杞憂だった。終わってみれば近年稀にみるプリスポーン期らしいビッグウエイト戦だった。

広大なフィールドと変わりすぎた天候、ハズレまくった天気予報。「今を釣る」能力が問われた大会だった。

第2戦は久々の遠賀川。エースメーカーCUPとして6月7日~9日に開催される。

写真:NBCNEWS/BASSMAGAZINE
レポート:NBCNEWS H.Togashi

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