JBトップ50 第5戦 がまかつCUP
10月04日(金)~10月06日() 徳島県 旧吉野川

ストーリー

2013年10月4日~6日に徳島県旧吉野川でJBトップ50最終戦がまかつCUPが開催された。ウィード減少で激変した同フィールド。誰もが「厳しい」と口を揃えた。明確なパターンを構築するのは極めて困難で、リミットメイクは奇跡に近い状況。そんな中、川又圭史は初日4本、2日め5本のキロ弱フィッシュを持ち込み予選をトップ通過。最終日は単日15位の結果ながら、競合相手が軒並みスコアを落とし参戦8年目で嬉しい栄光を手にした。

プラクティス

二週間前まで行われたプリプラクティスは終盤に台風の直撃をうけた。二週間あけた公式プラクティス時にはその濁りは回復し、いつもどおりの水色になっていた。水温は23~25度。噂通りウィードは極めて少ないため、ショアラインのストラクチャーやカバー、そして橋脚を狙うしか手立てがなかった。会う人みんなが「釣れない」とこぼしていたが、果たして・・・

公式プラの2日間は減水+流れのある日。そして、大会中は3日間とも高い水位+流れが弱い状況での開催。プリプラがご破産になったため、前日プラの2日間で「今の旧吉」を把握せねばならないが、水位が極端に違うことも選手を大いに悩ませることになった。

予選初日

少し肌寒さを感じる薄曇りのもと55名がスタートした。今切下流へ向かうボートが多いのが印象的だった。この日はスタート時が+60cmの上げ止まり、帰着時刻がソコリになり、7時間かけて+20cmまで水位が下がる。7時間で40cmなので流れはとても弱い。

ツイッターによれば、そこそこは釣れている印象。1/3がノーフィッシュという予想もあったがそれは杞憂だった。

本流上流の川崎橋、下流の共栄橋~大谷川付近が人気エリアだったが、優勝の川又圭史は大谷川河口をメインスポットの一つとしていた。

結果、55名参加で43名がウエイインしたものの、そのうち半数が1~2匹という厳しい結果に。

初日トップは五十嵐誠。プラ初日に数本のバスを見つけていた中流域にエリアを絞った。「流れのヨレ・壁・ヒシモ」をキーワードにネコリグによる半サイトを行った。結果サイトで1本、ブラインドで5ヒット1バラシ。合計5本をキープし4350gを持ち込み、桧原湖戦に続き初日トップとなった。

2位は本流水門周りの浮きゴミをリーダーなしダウンショットやヘビーテキサスリグで撃った黒田健史。4本で4280g。

上位2名が4キロ台で9位の庄司潤までが3キロ。予選通過の目安となる30位のウエイトは1260gだった。

予選2日め

少し寒い雨で始まった予選2日め。水位変化は初日とあまり変わらないが、このローライトな天気が効いたのか、2日めはよく釣れた。

三ツ合堰・本流の橋脚をジグヘッドワッキー(ジャッカルフリックシェイクロボ4.8インチ)と5gダウンショット(ジャッカルウエーバーシュリンプ3.8インチ)で攻めた小野俊郎が5本で5キロ超え。

河辺裕和は三ツ合堰~JR鉄橋エリアのリップラップとオーバーハングをスモラバ(QU-ON BFカバージグ+ゲーリーヤマモトモコリークロー)とノーシンカーリグ(ゲーリーヤマモト 4インチカットテール)で4本、馬詰橋テトラの3~4.5mラインをスモラバ(QU-ON BFカバージグ+ゲーリーヤマモトモコリークロー)で2本キャッチし5キロに迫る4985gをシャキーンと検量した。

川又圭史は単日3位の4520gを持ち込みトーナメントリーダーに。

加藤誠司・大塚茂のベテランも4キロ前後を持ち込むなど、戦前の予想を遥かに上回るビッグスコアが続出し会場を沸かせた。

ただし、景気が良いのは上位のウエイトみで、全体的には1~2匹が半数を占めた。また9名がノーフィッシュの洗礼をうけ、その中には初日のワンツー2人が含まれるという波乱の予選2日めだった。

予選結果

2日間ともにハイウエイトを出したのは川又圭史のみ。重量ポイントも満点で、トータルを233ポイントとして予選トップ通過。続く2位は2日めに追い上げた加藤誠司で227ポイント。3位に江口俊介と続いた。
予選ボーダーは2日間で3キロ釣るのが目安だった。

決勝

薄曇りで始まった決勝日。30名の予選通過者が2013年最後の戦いに挑んだ。ツイッター報告によれば、予選上位が軒並み苦戦。そんな中、川又圭史は厳しい展開ながらも2本キープ。予選6位の小森嗣彦も着実にスコアを伸ばしていたが、川又が2本釣っているため21ポイント差を埋めるのは厳しい。

昼前から見事な秋晴れとなり気温もぐんぐん上昇。夏のような暑さの中、検量が始まった。

結果70%の21名が検量した。最終日トップは小林知寛。朝イチにクランクベイト(エバーグリーン ワイルドハンチ)で1本釣ったのち、日が昇ってからはシェイド周りにバスが居ることを発見。軽めのシンカーでも打ち抜けるヒシモをランガンし、リーダーなしダウンショット(3.5~5g+ベイトブレス バイズクローポートリー)で3本キャッチ。3810gを持ち込んだ。

2位は市村直之。朝イチにテトラで1本釣り、流れが出たタイミングで橋脚と3~4mのピンスポットをランガン。リミットメイクを果たし3580gをウエイイン。使ったルアーはすべてスモラバ(QU-ONエグジグ3/32oz+ゲーリーヤマモトディトレーター)。

3位は川口直人。リップラップをジグヘッドワッキー(ゲーリーヤマモト5インチスリムヤマセンコー+1/16oz)、橋脚をノーシンカーリグ(ゲーリーヤマモト・カットテール4インチ)で狙い合計3本。2866gを持ち込んだ。

複数の予選上位通過者がノーフィッシュ・ロースコアで終わったこともあり、総合結果は大きく動きそうな最終日だった。

総合成績

JB参戦して13年、トップカテゴリ参戦し8年。これが長いか短いかはわからないが初優勝の川又圭史。普段は茨城県のプロショップで働いており、トップ50の他にはJB霞ヶ浦シリースに参戦している。霞水系や利根川の釣りがベースだけあって、旧吉野川は得意なフィールドのようだ。

今大会は本流のアウトサイドベンドにあるストラクチャーをネコリグ(スミス プロトワーム)とテキサスリグ(スミス テナガホッグ・バンドゥクロー)で攻略。他の選手が乱高下するなか、一人安定したウエイトを3日間持ち込み8ポイント差で優勝した。釣りをしている場所も釣り方も他の選手とあまり変わらないように見えたため、安定したウエイトを持ち込めたキモを尋ねてみた。答えは「(1)一番流れがあたるA級エリア (2)バスの通り道 (3)それらにある他の人が見逃すであろうC級スポット」だった。流れがあるところはバスの通り道になる。他の選手は見えるモノや水深のあるアシは攻めるが、裏をかいて目に見えないC級ショボストラクチャーや激浅のアシなどを攻めたという。

総合2位は帰ってきた小森嗣彦。公式プラではジャークベイト(メガバスワンテン)で6キロ2セット釣ったらしいが、本番では流れと水位が代わりそのパターンは爆裂せず。高水位時はテキサスリグ(ゲーリーヤマモトモコリークロー)でカバー撃ち、流れが出てからはリップラップをダウンショット(ゲーリーヤマモトレッグワーム)で攻め、予選6位から2位までジャンプアップした。

3位は江口俊介。初日・二日目は扁平なワームをセットしたスモラバ(QU-ON BFカバージグ+HIDEUPのスタッガーワイド)を使用した。その唯一無比なフォールアクションに旧ヨシバスが参ったようで、予選を3位通過。決勝日はその釣りが効かなくなり、通常のスモラバ(QU-ON BFカバージグ+ゲーリーヤマモトシュリンプ)に切り替え1224gを絞り出し去年のクラシック旧ヨシ戦に引き続きお立ち台へ。

4位は福島健。本流下流域のリップラップをダウンショット(ゲーリーヤマモトフォールシェイカー)のスローフォール+シェイクで誘う方法で口を使わせた。キモは壁状になったところだったという。

5位は大塚茂。初日はプラで良かったジャークベイトパターンを試すも不発で32位。2日目以降はノーシンカーリグ(ゲーリーヤマモト カットテール4インチ)とスモラバ(イマカツフジラバ3.5g+イマカツアンクルゴビー)で橋脚を攻め2日め・3日めともに5位の成績をおさめ総合5位までジャンプアップした。

ビッグフィッシュ賞は片岡壮士が獲得。ウエイトは1942gだった。

どのフィールドでも3日間安定して釣ってくる難しさはあるが、旧吉野川は流れ・水位が変わるため、特に難しい(今回はたまたま3日間変化が少なかったが)。今大会は天気も激変した。開催フィールドの慢性化で「釣れるスポット」は周知のものとなりつつあり、それを知る知らないのアドバンテージは少ない。更に今大会はバイト自体が少なく、「あそこでこれをやれば釣れる」という明確なパターンを持っていた選手はかなり少なかったはず。そんな誰もが苦しい展開の中で3日間安定して釣ってきたのが上記の選手達。釣りの腕は当然のことながら、強い心がなければ今のトーナメントは戦えないと痛感した最終戦だった。

JBワールドチャンピオンは北大祐が獲得

今年のAOYレースは熾烈だった。13ポイント差で暫定トップの北大祐。それを追う市村直之。初日の結果は北大祐が1本886gで予選通過も危うい38位だった。そして市村直之はまさかのノーフィッシュという大波乱の展開。点差が開いているものの暫定5位の川口直人が5位。暫定3位、4位の澳原潤・青木大介も単日15位、16位と好成績だった。

運命の予選2日目。北大祐は底力を発揮し11位まで浮上。一方の市村直之は単日9位まで挽回したものの、初日がノーフィッシュだけに予選通過できるか否か。
そして2日め検量後に行われた予選通過発表で最初に名前を呼ばれたのが市村直之。そう、ぎりぎり30位で通過できたのである。北大祐は予選を25位通過。その差は5ポイント。もし北大祐が決勝日にノーフィッシュだった場合、逆転があり得る状況に。逆に北大祐が1本でも釣ればワールド・チャンピオンはほぼ確定。

そして運命の3日め。ツイッターに「北選手、釣った! 」と書かれた。バスなのかノンキーなのか・・・。結果、その1本994gが今年のAOYレースを決めた。しかし市村直之も魅せてくれた。家族が見守るなか、トレーラーウエイイン。結果リミットメイクし3580gを持ち込み単日2位の好成績を披露した。尻上がりにウエイトを伸ばしたものの初日のノーフィッシュが効いてポイント差は9点。北大祐が2013年JBワールドチャンピオンに輝いた。

北大祐は川又圭史と同期でトップカテゴリ8年目。2009年から頭角を表し年間ランキングは2位、8位、4位、11位とかなり高い。そして今年悲願のタイトルを獲得した。これにより、

  • 2013年JBワールドチャンピオン
  • 2011年クラシック優勝
  • 2009年JBエリート5優勝
  • 2006年・2008年JBアングラーオブザイヤー

と、ビッグタイトルをすべて制覇。いわゆるグランドスラムを達成した。エリート5優勝も含めた「新」グランドスラムでは今江克隆・青木大介に続く3人めの獲得となる。

さて、その秋のビッグタイトル戦は以下の要項で開催される。

・2013年ジャパンスーパーバスクラシック 11月16日~17日 茨城県北浦
  トップ50メンバーからは年間上位10名が参戦権利獲得

  • 北大祐
  • 市村直之
  • 澳原潤
  • 青木大介
  • 川口直人
  • 福島健
  • SHINGO
  • 沢村幸弘
  • 本堂靖尚
  • 山木一人

・2013年JBエリート5 日付・開催場所非公開
  参加選手 

  • 北大祐
  • 市村直之
  • 澳原潤
  • 青木大介
  • 川口直人

メディア同船情報

  • バサー 北大祐に3日間
  • ルアーマガジン 川又圭史の3日め
  • ロッド&リール 澳原潤の3日め
  • バスワールド 馬淵利治の2・3日め
  • 釣りビジョン 片岡壮士・市村直之
  • つり人社DVD 青木大介に3日間
  • 内外出版黒帯DVD 今江克隆
  • バスマガジン 奥泉悠介の1日め・小森嗣彦の3日め

*必ずしも掲載・放映・出版されるかはわかりません。

写真:NBCNEWS・バスマガジン
レポート:NBCNEWS H.Togashi

近年のJBトップ50

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2011年

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