JBトップ50 第2戦 ベイトブレスCUP 06月06日(金)~06月08日() 茨城県 北浦

ストーリー

ブレイドジグ炸裂!巻きモノだけでキロフィッシュ15本
片岡壮士が激釣れの北浦戦で快勝!

JBトップ50プロシリーズ第2戦ベイトブレスCUPが2014年6月6日~8日に茨城県北浦水系で開催された。産卵から回復しだした状況に荒れ気味の天候の後押しもあり、リミットメイクが続出、4キロ5キロ当たり前の「釣れる」大会となった。そんな乱打戦を制したのは、荒天と増水を味方につけブレイドジグで連日キロフィッシュをキャッチしまくった片岡壮士だった。

ウハウハだったプリプラクティス~ちょっと異変の直前プラクティス

今年の北浦水系はかなり釣れている。近年、復活の声が各方面から聞こえてくるが、今年は特に凄いようだ。目視できるベイトフィッシュの数・種類も多く豊かな水系に戻った。プリプラクティスの頃はスポーニング絡みのバスが多く、シャローでイージーに数が釣れていた。また、いち早く回復した個体が沖の地形変化やマンメイド系に動き6キロ7キロ当たり前のウハウハ状態で「今回は勝った」とニヤニヤした選手が多かったようだ。

2週間のオフリミット期間を挟んで迎えた直前プラクティス。産卵に絡むこの時期の2週間は魚を大きく動かすにはじゅうぶん過ぎる日数だ。また、この期間は真夏のような天候になり水温も一気に上昇。沖の地形変化や岬がらみの杭などの初夏っぽいポジションのバスが増えるかに思われた。が、しかし。プリプラクティスのときに沖の釣りで良い思いをした選手は軒並み不安を抱える状況になっていた。

大会3日間の天気予報は見事に「雨+風」。通常3日間もあればたいてい天気が変わるが、今回はずっと雨・曇の予報だった。

Day1 小林知寛が得意の釣りで6キロ弱

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前週の真夏はどこへやら。大会初日の朝は肌寒さを感じる18度。雨を伴う東からの強風と波が北浦スロープに打ちつけていた。

スタート直後から雨・風ともに激しさを増し、人間には辛い展開になったが、バスの活性は高まりトップウォーターや巻きモノが各地で炸裂した。

初日トップは小林知寛。霞ヶ浦のアシ際をポッパー(EVERGREENワンズバグ)とペンシルベイト(EVERGREENシャワーブローズ)で、アシ奥をフロッグ(EVERGREENキッカーフロッグ)という小林らしい攻めで次々とバスをキャッチ。フォローのノーシンカー(BAITBREATHフィッシュテール改)も効いて10数本キャッチ。今大会最重量記録となった5930gを持ちこんだ。

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2位は秋葉紀幸。下流域の水深があるアシ際へダウンショットリグをキャスト、リーダー分フォールさせるパターンでリミットメイク。終了間際には風のあたっているアシ際で高活性な群れに遭遇。1600フィッシュを含む3連発で入れ替え。最終ウエイトを5005gとした。

3位は片岡壮士。プリプラ~直前プラで完全に手応えを得ていたというブレードジグ(JACKALLブレイクブレード)攻めが本番中も機能しキロフィッシュを連発。4955gで3位スタート。

4位の関和学・5位の五十嵐誠も4900g台。10位の神谷勇紀までが4キロ台というハイウエイトっぷり。検量率は94%。リミットメイクは脅威の47%。北浦水系の絶好調ぶりは数字にもはっきり現れた。

Day2 変わらぬ天候・釣れ具合。そして増水・・

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天気・気温・風、全てが初日とほぼ変わらなかった2日めだが、長引く雨や水門の開閉によるカレントと水位変化がエリア全域に影響しだした。増水により、普段は浅過ぎて機能していないアシ際が魅力的なものに変わってきた。

北浦本湖を車で一周してみたところ、東西に広い中流域は東風の影響で荒れているものの、上流・下流部は意外なほど穏やかであった。

結果、この日も検量率96%、リミットメイク率42%という超絶釣れっぷりの北浦水系だった。

上位陣は初日と入れ替わった。産卵絡みのバスを狙っている選手は新たな供給が絶たれ苦戦することになる。一方、産卵から回復したバスを狙っている選手は次々と現れるバスを順調にキャッチできた印象だった。またプリプラクティス中は姿を潜めていたノンキー~小型もたくさん釣れるようになり、大会中に2桁以上キャッチした選手も少なくない。桧原湖を除き、大会中に普通に2桁釣れるのは現在のトップ50戦においては極めて稀で素直にイチ釣り人として「北浦水系楽しい!」という声も聞かれた。

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この日のトップは小池貴幸。本湖東岸の水門やリップラップをダウンショット・ノーシンカーワッキー(GaryYamamotoカットテールワーム)で丁寧に攻め4本ながら5685gを持ちこんだ。

2位は早野剛史。序盤下流域の水門にネコリグ(JACKALLフリックシェイク)を投げリミットメイク。その後本湖東岸へ移動し、シャローをバズベイト、水深のある縦スト(ドッグ壁)はポッパー(JACKALLビンクシー)というトップウォーター攻めでグッドサイズを5~6本キャッチ。入れ替え完了で5560gを持ちこんだ。

3位は薮田和幸。初日にドッグまわりで失敗した結果を踏まえ2日目はシャローへ。アシ周りのシャローでテナガエビを捕食してるバスをネコリグで狙いリミットメイク。少し沖の杭周りを5gのテキサスリグで攻め入れ替え。5025gで単日3位に。

2日めもまた数もサイズもよく4キロ釣っても11位という爆釣れ状態だった。

全体的にアシ周りのシャローが良かった。例年6月中旬から始まるテナガエビの接岸だが、今年はそれが前倒しされ、既に始まっているという声が多かった。産卵から回復し、サマーパターンへ向け沖へ移動し始めたと思いきや、テナガエビにつられて再びシャローへバスが戻ってきたようだ。
直前プリプラクティスのとき、シャローにはイナッコやクルメサヨリ、シラウオ、ハゼ系などたくさんの魚を目視できたが、梅雨入りにリンクしてテナガエビも接岸してるようだ。

予選結果 小林知寛がトップ通過。3度めの正直になるか?

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初日トップ、2日め4位の小林知寛がトップ通過。同選手は2002年のデビューイヤー(当時はワールドシリーズ)2戦目にして2日めまで暫定トップ、3日めに2ポイント差で逆転された。その後チャプターやローカルJB戦では何度も優勝・AOYを獲得するもののトップ50での優勝は遠かった。そして迎えた2011年のトップ50旭川ダム戦。家からスロープまで数分という超地元での開催。ここでも予選をトップ通過したものの、最終日に「1本」が釣れず枕を濡らした。
三度目の正直になるのか、二度ある事は三度あるのか・・・

予選2位通過は小池貴幸。小林との差は5ポイント。トップ50参戦4年目で遂に訪れたチャンス。2日めリミットメイクできていないのが気がかりだが2キロフィッシュを入れてくるなど爆発力は一番かもしれない。

3位通過は片岡壮士。去年もブレイクブレードで準優勝。2度めのチャンスが訪れた。

2日間3キロ釣っても「ただの人」という爆釣大会。予選通過には2日間2500を釣ってくる必要があった。

決勝日 三つ巴の戦い。増水がキーに。

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ポイント差を鑑みれば優勝争いは小林知寛・小池貴幸・片岡壮士の三つ巴の戦いになった。ここまで全体的に釣れている状況で上位3名が全員ノーフィッシュになるのは考えにくい。
懸念材料は2つ。1つは天気が回復傾向にあること。もう1つは異様な増水。
決勝日のスタート前に片岡壮士にインタビューすると「僕の釣りは晴れるとダメなんですよ」と言った。天気予報は回復傾向だったうえに、インタビュー中は3日間を通して唯一の晴れ間が覗いたタイミングだった。だが、フライトが始まると同時に小雨になり、それは昼前まで続いた。

もう一つは急過ぎる増水。この日潮来スロープの低い桟橋が水没していた。後に国交省HPで確認すると初日に比べ40cmも増水していた。全体的に浅い水域での40cmは生き物たちに与える影響は計り知れない。

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最終日のトップ3全員にメディアが同船した。そのうち小池貴幸は動画なのでツィートは不可能。片岡・小林は雑誌記者がツィートに協力してくれた。それによれば、沈黙する小林に対し片岡は朝イチからキロフィッシュをキャッチし11時にはリミットメイクしていた。

最終日は風が少し収まり、昼前には雲が薄くなった。関東エリアは災害クラスの大雨に見舞われたが、東端に位置する大会エリアは豪雨をもたらす雲から少し逸れていた。

結果、暫定トップの小林知寛はノーフィッシュ。小池貴幸は1本のみ。一方の片岡壮士はツィートどおりリミットメイクで4830g。単日トップというオマケもついた。

Result 増水と天を味方につけた片岡壮士が初優勝

3日間を通して「釣れそうな」天気が続くことはかなり珍しい。しかも巻きの展開が有利という珍しいパターンだった。プレッシャーが最高潮に達し競技時間が2時間短い決勝日は「バックアップ的なまとめる釣り」をしがちだが、今回は巻きモノ勝負に出た選手が多かった。しかもそれは無謀な賭けではなく勝算があっての選択。

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優勝の片岡はプリプラ~プラでブレイドジグのパターンが生きていることを確認し3日間巻き続けた。大会前半は斜め護岸のブレイクを回遊するバスを狙った。ミスバイトも含めれば10回以上の反応がったというハマりっぷり。釣れてくるサイズもよく初日は5本、2日めは6本のグッドサイズをキャッチ。

2日めの終わり頃から増水でブレイクが深くなり、ルアーのスイミングレンジがあわなくなってきた。そこで3日めはエリアは変えずに狙いどころをアシ周りにシフト。これが功を奏した。増水でそれまで浅すぎたアシ周りにもじゅうぶんな水深ができバスが押し寄せた。しかも下流域のアシは奥行きが無いため、バスがアシ最奥に入ることがないのもプラスし合計7本キャッチした。
なお、暫定トップだった小林もアシ周りを狙っていたが霞ヶ浦本湖のアシは奥行きがありすぎてじゅうぶんに攻めきることができなかった。

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下流域のアシ周りはバッティングも多かったが、ライトリグや撃ちモノをやっている選手が多かった。もちろん巻きモノをしていた選手もいたが、片岡はショートキャストで投げる回数を極力多くした。更に、アシの小さな出っ張りでもコースを変えて2~3投するという丁寧な釣りを心がけた。

初日はエンジンがトラブルを起こしあわや帰着遅れというピンチもあったが他選手の協力でクリア。3日めスタート前に晴れ間が覗くも、その後は雨になるなど天にも味方された。去年の準優勝時に「次は優勝目指します」とコメントしていたが、見事に実行した。終わってみれば351/360点というハイスコアでの圧勝だった。

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準優勝は澳原潤。去年ランキング3位。今年はTVのレギュラーを獲得。車もボートも新しくなりバスプロとしてのターニングポイントな2014年。その2戦目で準優勝。ノリノリの勢いだ。

霞ヶ浦本湖のしゅんせつを得意とする同選手だが、今大会は連日の荒天激荒れで本命エリアは断念。サブエリアでの釣りを強いられたが、11位、7位、2位と尻上がりに順位をあげ準優勝。パワーゲームのイメージが強いが、実は繊細・スローな釣りも得意なようで今回はダウンショット(GaryYamamotoカットテール・Berkley パワーホッグ)のズル引き・ステイをメインとした。

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3位は馬淵利治。初日はワームによるスローな釣りをし3434gで平凡なスタート。2日目からスピナーベイト(IMAKATSU ジンクスミニ)とシャッド(IMAKATSU ドノーシャッド)の釣りにシフト。ビッグフィッシュを連打し2日め4915gで5位。予選6位通過。最終日も単日5位の4260gを持ちこみ初日20位から一気にジャンプアップ。苦手と公言していたこの水系で2度めのお立ち台。

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4位は小池貴幸。過去の北浦水系戦において、単日ビッグウエイトは何度もあった。2012年には初日4位・3日め3位、でも2日め46位という悪夢もあった。2年前の悔しさを跳ね返すチャンスだったが、今回はおあずけ。同期の片岡に負けてしまったがまだまだ4年目。今後の活躍に期待したい。釣り方は北浦本湖の水門ランガン。ダウンショット(GaryYamamotoカットテール3.5インチ)とノーシンカーワッキーリグ(GaryYamamotoカットテール5インチ)。2日めに持ちこんだ2194gが今大会のビッグフィッシュ賞となった。3日間釣りビジョンが同船したので詳細はそちらで。

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5位は福島健。狙いは下流域のアシ・ドッグ・護岸。釣れそうな匂いがするところにテナガエビをイメージしたノーシンカーのフォール・ダウンショットのミドストを投入。初日16位・2日め14位と地味な予選だったが、最終日に爆発力を見せてお立ち台に滑り込んだ。

記者の記憶が確かならばワールドシリーズ・トップ50シリーズ17年の歴史において検量した全てのバスが巻きモノ(ドラッギングやシャッドキャロを除く純粋なキャスト&リトリーブの釣り)で優勝というのは今大会が初めてである。片岡もそうだが、現在の中堅メンバーは琵琶湖でガイドを行っている選手が多い。そこで培ったテクニック・経験がトーナメントの成果としてあらわれるようになってきたのが興味深い。巻きもので釣ったから偉い・カッコイイなどいう気はサラサラ無いが、ウィニングパターンの多様化は歓迎したい。

年間ランキング

暫定トップ5は以下のとおり。

1位 横山朋毅 108p
2位 市村直之 104p
3位 青木大介 102p
4位 北大祐  101p
5位 小林知寛 100p

初戦6位、今戦8位の横山朋毅が暫定リーダー。2位以下はおなじみの顔ぶれが並んだ。詳細はこちら

次回第3戦東レソラロームCUPは7月18~20日に開催される。場所は久々の野尻湖。過去の野尻湖連戦からセミ・ムシパターンやハイレベルなシューティングの釣りが日本中に知れ渡ることになった。今年も夏の開催でトップウォーターとディープの釣りが有効な時期だが、情報過多な現代では秘密のメソッド・スポットは存在しない。狭い湖ゆえに、場所よりも釣り方に差が出る湖である(直近でいえば2013年の遠賀川戦に近い)。意表を突く新たな釣り方が誕生するのか、それとも王道パターンが強いのか?今から楽しみである。

写真:NBCNEWS・オブザーバーの皆様
レポート:NBCNEWS H.Togashi

メディア同船情報(実際にリリースされるかはわかりません)

  • 月刊Basser 市村直之に3日間
  • つり人社DVDシリアス 青木大介に3日間
  • 月刊ルアーマガジン 片岡壮士の3日め
  • ルアーマガジンDVD黒帯リアルファイト 今江克隆の予選・馬淵利治の3日め
  • 月刊ロッド&リール 小林知寛の3日め
  • 釣りビジョン 小池貴幸に3日間・渡辺泰喜の予選・泉和摩の3日め

今年のJBトップ50

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関連ページ

去年同時期北浦で開催