巻くか撃つか。大増水の霞ヶ浦で秋のシャロー勝負
スピナーベイトパターンの北大祐が8人抜きで大逆転勝利
9月18日~20日JBトップ50シリーズ最終戦がまかつCUPが茨城県霞ヶ浦水系で開催された。先日の大雨でエリア全体が大増水。セオリーどおりにシャローの巻き物とカバー撃ちが炸裂。数もよく釣れ初日のウエイイン率は脅威の100%を記録。2日目からは天気が変わり巻き物が効きづらくなったものの、ビッグバスの付き場を的確に捉えた北大祐が3日目に4640gを持ち込み、8人抜きの大逆転でトップ50シリーズ3個めの優勝カップを手中に収めた。
プリプラ~公式プラ
今年の夏は異様に暑かったが、その期間は異様に短かった。お盆過ぎからは一気に秋っぽくなった。涼しかったプリプラ期間は本湖しゅんせつで良い釣りをした選手が多かったようだ。が、オフリミット期間に降った記録的大雨が全てを変えた。
16日~17日の公式プラは曇天・雨のもとで行われた。各エリアのシャローは生命感に溢れ、全体的によく釣れる感じだった。また釣れてくるバスはサイズを問わず体高がありヒレピンな健康的なバスがとても多いが良いのが印象的だった。大会とは関係ないが船中70本超え、オカッパリで3人で90本などという驚異的な釣れ具合を耳にした今秋の霞ヶ浦水系だけに大会にも期待がもてる。
Day1 澳原潤が6,755gを持ち込んだ!
荒れることで有名な「がまかつCUP」だが、終わってみれば今大会は3日間通して平穏な霞ヶ浦水系だった。初日のスタート前は雷雨に見舞われスタートを少し遅らせる場面もあったが、8時前に無事フライトを終えた。
長雨が終わり久々に太陽が顔を覗かせるタイミングもあった。程よい風が吹き、いかにも釣れそうな空気だった。
この日のトップは澳原潤。6,755gという大記録。ルアマガのライターさんが持っている過去の記録ノートによれば、ワールド・トップ50シリーズにおいて2番め(10月18日 訂正:3番めの記録でした。)のハイウエイト記録だそう(1番は2002年第3戦霞ヶ浦・藤木淳の6,895g)。朝イチは北利根のシャローを攻め4本キャッチするもサイズが今ひとつだった。その後、流れが止まったタイミングでナサカエリアへ移動。シャローカバーを攻めまくりグッドサイズを連発。最後に北浦のドックで1200クラスを追加しそのスーパーウエイトを達成。総重量戦での大きなアドバンテージを得た。
2位は沢村幸弘。ワンナップシャッドをセットしたスピナーベイト的なもの、フットボールジグ、ワンナップ魂などで北浦・霞ヶ浦本湖のドック・しゅんせつを周り12本ほどキャッチ。最終ウエイトを5300gとした。
3位は馬淵利治。ナサカのシャローをひたすら巻きまくった。イマカツモグラチャター+ジャバシャッド4.5インチで20本くらいキャッチ。白濁していたので、黒いジグをチョイス。ワームも自分で黒に染めたという。ポッパーでキャッチした1738gは今大会のビッグフィッシュ賞を獲得した。
一昔まえの霞ヶ浦から想像もできなかった釣れ具合で、検量を終えるとウエイイン率は100%、リミットメイクも50%を記録。ウエイトも4キロ以上が8名、3キロ釣っても普通の人という驚愕的な数字だった。
なお、その普通の人の中に優勝の北大祐も含まれていた(3286gで18位スタート)。
Day2 晴れ+無風でタフコンディションに。福島健が4390g。
久々に青空となった2日目。更に前半はほぼ無風。初日のような巻き物日和パワーは威力が衰えた。ツィッターの湖上中継からもその様子が伝わってきた。この日もクルマで湖畔をまわってみたが徒労に終わった・・・。みんなどこで釣りしてるんだろう?
そんな広大な水域にもホットなエリアはたくさんあったようだ。この日も終わってみればウエイイン率は94%、リミットメイクは37%を記録した。
巻き物メインの選手は苦しんだようだが、カバー撃ち組はこの日も好調だった。
単日トップは福島健。霞ヶ浦本湖のアシ・ブッシュをリーダーレスダウンショット+ホグ系ワームで狙い4390gをマークした。増水で寄れるようになったシャローカバーの「キワ」を狙わず、手前をハイテンポで狙う作戦が功を奏した。前半は500~600g+キロフィッシュ1本だったが、晴れ上がってからはシェイドを意識するようにし、キロクラスを2本追加することに成功した。
単日2位は青木大介。湖各所の増水時しか寄れないシャローのカバーをテキサスリグメイン、フォローでスモラバを用い4190g。
3位は澳原潤。初日良かったナサカエリアのカバーを攻め4180gを持ち込んだ。
以上3名が4キロ超え。4位の山木一人から13位の前山智孝までが3キロ台だった。
初日の荒天を味方につけ巻き物メインで組んでいた選手は2日目に失速。しかし、1人だけ終了間際にスピナーベイトで大きなヒントを掴んだ選手がいた・・・
予選結果 澳原潤が10キロ超えでトップ通過
ポイント合計では初日1位、2日目2位の澳原潤が10キロ超えで予選をトップ通過。初日11位、2日目1位の福島健が2位通過、初日9位、2日目2位の青木大介が3位通過。ウエイト順に並べ替えても上位3名のは変わらず。ウエイト順では北大祐が9位で予選を通過した。
予選通過には2日間合計で4キロ後半が必要というハイウエイトな大会だった。
Day3 暫定上位3名が失速・・・
前プラの時は暖房を入れるほどだったが、最終日は久々に夏を思わせる天気になった。強風予報で開催も危ぶまれたが終始穏やかな霞ヶ浦だった。
そんな天気と裏腹に暫定上位の釣果は荒れていた。朝は低めだった水位も再び上昇に転じていた。3日間を通して天気と水位はコロコロ変わった。
ウエイイン率は90%で高めをキープしたものの、リミットメイクは20%まで下降。時間が短いこともあるが、快晴微風・3日目のプレッシャーが選手を悩ませた。
濱田禎二は北浦本湖シャローをジャッカルブレイクブレード+アイシャッドテールで攻めキロフィッシュを2本キャッチ。その後、霞ヶ浦のスノヤワラまで移動しネコリグ(OSPドライブクローラー)で1本追加。3,030gで単日3位の成績を収めた。
暫定トップの澳原潤は496g1本、2位の福島健が2本1734gとスコアを大きく崩してしまった。暫定3位の青木大介はリミットメイクはしたもののサイズに恵まれず2716gとなった。
そんな中、北大祐と篠塚亮は最終日にして4キロを超えるウエイトを持ち込んだ。
Result 北大祐が11,731gで逆転優勝
北大祐は他の選手と同じく平水時は近寄れない北浦のアシエリアをメインとした。公式プラでは、スピナーベイトを巻いて全体をざっくりとチェックしたところ、過去に良かったいわゆるA級場所はことごとくダメ。普段はやらないようなスポットで釣れたため過去の経験をバッサリと切り捨てた。
大会初日は朝の早い段階でリミットメイクするもサイズに恵まれなかった。ナサカエリアまで足を伸ばし、ワームでも何匹か釣ったが、岸べったりで釣れるのはやはりサイズがよくなかった。
そんな中、ピックアップ寸前のスピナーベイトにグッドサイズが追ってきた。
それに気づいてからは、アシ際までキャストしてから、ボート際まで丁寧に巻くことを心がけた。更に、ショートバイトが多かったので、ゆっくり丁寧に巻くのではなく、敢えてスピードアップし、ひったくりバイトが出るように巻き方をシフト。
そして2日目の帰着間際。快晴無風でスピナーベイトに適した天候には思えなかったが、水深50cmほどの中層で1200フィッシュがヒットしてきた。この1匹に大きなヒントと勇気を貰った。
バスの付き場についても大きなキモがあった。それはアシの手前にバスの付き場があること(例:八幡ワンドの矢板)。最終日は大会中も増減水を繰り返していた。アシに着いてるバスが減水で沖へ退避しても付き場があることがキーだった。そのキモを踏まえた場所選択が見事にハマリ、最終日にして4640gというハイスコアをだし8人抜きの大逆転優勝となった。
広く探る場合はHMKLダイナモスピナーベイト3/8oz、モノに当てながら引くときはOSPハイピッチャー3/8ozを使った。
大好きなスピナーベイトでパターンを組めて嬉しいと語っていた。
総合2位 澳原潤 11,431g
パターンは初日の項で書いたとおり。シャローのカバー撃ち。バックアップパターンを持たず、3日間自分の釣りをやりきった。他にも同じ釣りをしてる選手は多かったが、誰よりもハイテンポな釣りをしたという。北利根・ナサカの魚は回遊しているので、アシ際に差してくるタイミングになるべく遭遇するようなイメージでまわったという。
北大祐とのウエイト差はわずか300g。キーパーギリギリ1本釣っていれば逃げ切り優勝だった。お立ち台では「自分の釣りをやりきって満足」と平常を装っていたが、今大会2大超悔しい選手の1人に間違いない。
総合3位 青木大介 10,866g
プリプラ~前日プラともに数はよく釣れていた。水深もシャローから4mまで魚を触れていたが、増水時のセオリーとして、本番では前日プラで良かったシャローを選んだ。他の選手と同じく普段は近寄れないシャローのアシをベースに3日間戦った。近隣スポットをハイペースでランガンするのが青木大介の特徴だが、今回は釣れる場所がかなり離れていた。そのため、普段よりは丁寧に流したという。北浦神宮橋のアシをメインとしながらも、北浦上流~霞ヶ浦の和田エリアまで移動しスコアアップを重ねた。メインはクローワームの4gテキサスリグ。フォローで3.5gスモラバ+ディトレーター。
総合4位 小池貴幸 10,492g
釣ったのは霞ヶ浦本湖のブッシュカバーと石積。他の選手が「アシ」を狙っていたのに対し小池はブッシュ、それも、周りに何もない単発のものを狙った。初日と2日目は石積をスピナーベイト、ブッシュをゲーリークリーチャーのテキサスリグで攻めた。快晴となった3日目はテキサスリグのみ。
2時間ノーバイトもざらな釣り。気持ちが折れかかることもあったが「一日5本釣ればOK」という気持ちで我慢を重ねた。初日4780g 4位、2日目 3274g 12位、3日目 2438g 8位と徐々にスコアを落としながらも初戦以来のお立ち台に返り咲いた。
総合5位 篠塚亮 10,144g
9月6日のJB霞シリーズではしゅんせつの釣り優勝している。ただし今大会は水位が高いため、セオリー通りアシの釣りに徹した。使用ルアーはいつものリトルレインズホッグ。テキサスリグやリーダーレスダウンショットで攻めるもミスが多く、途中からロッドを変えるなどの対策をとった。優勝の北大祐もいうように普段釣れるA級スポットは釣れなかったそう。だが、地元ゆえに霞に浮いてる時間は長くB~C級のバックアップは多く知っていてそれが結果に繋がりトップ50参戦10年で5回めのお立ち台へ。
2015年JBワールドチャンピオンは青木大介が獲得
28ポイント差という逆転不可能と思えるリードを保っていた五十嵐誠がまさかの予選落ち。予選さえ通ればワールドチャンピオン獲得だったが、プレッシャーに押しつぶされ42位19ポイントで最終戦を終えた。暫定2位青木大介、3位小森嗣彦、4位福島健という最強メンバー達は最終戦も圧倒的な強さを見せた。
特に青木大介は最終戦を3位でフィニッシュし、五十嵐誠に11ポイント差をつけての大逆転勝利となった。去年は追われる立場で最終戦で予選落ちしてしまったが、今年は逆の立場で大逆転。まさに大どんでん返し。北大祐の優勝と並び2つの大逆転劇で会場は大いに盛り上がった。
仮に年間順位が総重量制だったとしても青木大介のチャンピオンは変わらずである。
2015年の年間トップ10は以下のとおり。上位7名がクラシック、5名がエリート5の出場権を獲得した。
1位 | 青木大介 | 257p | 44,735g |
2位 | 小森嗣彦 | 247p | 39,153g |
3位 | 五十嵐誠 | 246p | 41,921g |
4位 | 福島健 | 241p | 42,677g |
5位 | 沢村幸弘 | 229p | 35,698g |
6位 | 川又圭史 | 229p | 34,492g |
7位 | 北大祐 | 227p | 37,532g |
8位 | 小野俊郎 | 215p | 33,365g |
9位 | 市村修平 | 198p | 33,089g |
10位 | 澳原潤 | 197p | 31,905g |
メディア同船情報
- 月刊Basser 五十嵐誠の予選・小池貴幸の決勝
- 月刊ルアーマガジン 澳原潤の3日目
- 月刊ロッド&リール 河辺裕和の2日目・馬淵利治の3日目・河辺裕和のウィニングパターン検証
- 釣りビジョン 市村修平・福島健に3日間
- 小森嗣彦に動画カメラ3日間(リリース方法は未定)
- ルアーマガジンDVD黒帯リアルファイト 今江克隆に3日間
- つり人社DVD 青木大介に3日間
写真:NBCNEWS・オブザーバーの皆様
レポート:NBCNEWS H.Togashi