23歳ワンツースリー!
河野正彦が春の七色サイト合戦を制す
2023年のトップ50シリーズは4年ぶりに春の七色ダムでゲーリーインターナショナルCUPとして開幕した。桜舞う美しい七色ダムの景色と見事な体型の2キロ、3キロのプリスポーンバスが多数持ち込まれる大会・・・と思われたが、今年は色々な動植物の季節進行が早く大会当日は葉桜、そしてバスはスポーニング行動を開始しており、近年稀にみるサイト合戦となった。
優勝の河野正彦は初日にあわや10キロという驚異的なスコアでスタートダッシュを決め、その後も3~4キロを安定してウエイイン。総重量17465gという歴代4位のハイスコアで初優勝を飾った。
終日雨の予選初日 河野正彦が9885gを持ち込む!
8mmを超える大雨が続くという予報は外れたものの、スタート直後から一日雨模様の大会初日。前日から降り続く雨だったので濁りが入るのかと思われたが、水色はいつもどおりだった。
過去の春の大会では大会会場付近~北山川上流、そして西ノ川付近が人気エリアだったが、今回その両エリアともにガラガラ。多くの選手が西ノ川合流地点よりも下流側の岸沿いに点在していた。
久しぶりの雨なのでダムの水位は減水傾向にあった。ローライトで水中を見づらいものの水位が低いことはサイト組みには有利な状況だった。また雨+ローライトで表層の釣りへの反応も良かったようだ。
大会前の選手のSNSでは「釣れない」アピールをたくさん目にしたが15時に検量が始まると長蛇の列。2019年の大会よりも遥かに数・重さも上回る好釣果だった。リミットメイクが33名で68%。2019年は4キロ釣ればトップ5だったが今年は1キロプラス。4キロ釣っても14位でトップ5入りするには5キロ必要なハイウエイト戦だった。
圧巻は河野正彦。キッカー2本ぶんの4150gという65cmモンスターをギルロイドJrで仕留め最終ウエイトは9,885g。旧ワールドシリーズ時代に琵琶湖で5本10キロを超えた記録があるがそれに次ぐ大記録を樹立した。
2位は河野とヒューマン時代に同期だったという同い年のルーキー志達海輝で6,985g。3位は野村俊介で5,760g。いずれもサイトフィッシングでスコアを重ねた。
雨上がり強風の2日め釘崎誠治が7キロオーバーを持ち込む
予選2日めは青空のもとで始まった。この日は取材艇で回ってみた。初日どうよう西ノ川合流地点より上流側はガラガラ。S字カーブを超えた中~下流域の岸沿いに選手が点在していた。
- やや沖側にボートを止めライブスコープを凝視しながら立木につく産卵前のメスを狙うパターン
- 岸に向かい白いワームのダウンショットをピッチングするスポーニング絡みのサイトパータン
- スポーニングベッドを探しつつもネコリグなどで普通釣りをしつつ岸沿いを流すパターン
の3パターンが多かった。結果的にはサイト組みが上位を占めたが、やや沖の中~表層を回遊したり立木に止まる産卵前の個体を狙っている選手も多く、もう少し季節進行が遅ければそれらも強烈なパターンになったかもしれない。
昼前から強風が吹き荒れ白波が立つ場面もあった。急峻な地形のため波が荒れることはないがキャストやその後のライン処理などがやりづらそうな爆風だった。
この日は水位が上昇傾向にあり、ハイライトではあるがシャローのサイト組みにはやや不利な状況かと思われた。が、サイトの達人には影響が少ないようだった。
2日めトップは釘崎誠治。初日の河野の魚に迫る4キロオーバーをキャッチし7,130gをマーク。2位は小林知寛。七色ダムは陸上から撮影できる場所が数カ所しかないが、そのうち一番写真を撮りやすい小口橋の橋脚に3日間ずっと浮いていた(故に写真が多い)。橋脚周りに浮く産卵前のビッグバスを揃え6,585g。3位は得意のサイトに徹した鈴木隆之で5,385gを持ち込んだ。
ローライトボーナスがなくなったためか、サイトの魚が枯れ始めたのか、全体的な釣果は初日よりは下がった。それでもリミットメイクが52%、4キロ釣って10位と七色ダムの高いポテンシャルを発揮した2日めだった。
予選トップは志達海輝、重量順で河野正彦 ヒューマンOB同期対決
ポイント制での予選トップはルーキー志達海輝。重量順では初日の貯金が効きまくった河野正彦がトップ。ただし貯金は多くなく重量順2位の志達海輝が1,340gで追う展開。ヒューマンOBの同期対決だ。
3位釘崎誠治、4位鈴木隆之、5位藤田夏輝あたりまで3~4キロ、15位の小林知寛で6キロの差があるが春の七色は誰にでも逆転のチャンスはある。
河野正彦最終日も4キロ台で逃げ切り初優勝
決勝最終日も朝から晴天になった。朝の気温は4℃くらいに冷え込んだ。終始風は穏やかでサイト組には有利な日差しに(しかし水位は更に上がっていた)。
満月大潮期・雨~晴れ強風~晴れ寒波・水位変動などなど状況が目まぐるしく変わった3日間だったが、そこは七色ダムのポテンシャルとトップ50メンバーの技術により最終日もウエイイン率は100%。リミットメイクも43%が達成した。
叩かれまくり&競技時間が短い最終日にもかかわらず梶原智寛は6,645gを持ちこみ単日1位。
総合暫定トップの河野正彦はきっりち5本揃え4200g。単日7位の成績。暫定2位の志達海輝もリミットメイクし健闘したが3266gで河野との差を埋めることはできなかった。結果、トータルウエイト17,465gという歴代4位のハイスコアで河野正彦が参戦3年目で初優勝した。
最終日に追い上げた梶原智寛が2位、初参戦ながら大活躍した志達海輝が総合3位。この3名は皆23歳のZ世代同級生(青木唯も同級生)でありトップ50最年少クラス(加藤栄樹・大野春人が22歳で最年少)がトップ3を占めるという世代交代を物語る開幕戦となった。
次回第2戦東レソラロームCUPは21年ぶりに山口県小野湖で開催される。今回の上位3名が2歳の頃ぶりでの開催。今年40周年を迎えるJBに歴史あり。
写真・レポート:NBCNEWS H.Togashi
*優勝の河野正彦選手には2日めと3日めにBasser誌記者さんが同船しました。詳細はBasser誌面でお楽しみください。