JBトップ50 第4戦 エバーグリーンCUP 08月29日(金)~08月31日() 福島県 桧原湖

ストーリー

桧原湖に革命を起こしたい!
ビッグワームで怒涛のバイトを得た吉田秀雄が11キロ超えで優勝

2014年8月29日~30日福島県桧原湖でJBトップ50シリーズ第4戦エバーグリーンCUPが開催された。不安定な天気が続いた今年の夏。桧原湖も例に漏れずたびたび大雨の被害を被った。その影響で慢性的なターンオーバーや濁り、不安定な水温など去年に比べて湖のコンディションはよくなかった。歴史的ハイウエイト戦だった去年に比べ、全体のウエイトは下がったものの、ビッグワームで怒涛の連発劇を演じた吉田秀雄は過去最高ウエイトとなる11287gを持ち込んで優勝した

予選初日 ルーキー大場直樹が4キロ超え!

気温14度の薄曇りのなか、58のボートが思い思いの方向へバウを向けて散らばった。毎年船団が形成される「早稲沢フラット」「ラーメン屋沖」「神社沖」、いずれもスタート地点に近い北エリアのディープフラットであるが、今年は不人気で、わずか4~5艇が散らばっているのみ。例年であれば半数の選手が浮く北エリアがガラガラ。

image image image

結果的にウィニングスポットとなった糠塚島の岬にはフライト順が良かった吉田秀雄、大塚茂が朝イチから浮いていた。湖中央部の月島周辺に10艇近く浮いており、今回の一番人気に。他は、ポツポツという感じ。

ツィッターには続々キャッチ報告がつぶやかれるものの、去年・一昨年のような爆発的釣果ではない感じをうけた。

10時過ぎに取材艇を出してみる。基本厳しめとはいえ、そこは桧原湖。行く先々でヒットシーンを見ることができた。

image image image

15時に帰着締め切り。ここで北大祐・馬淵利治・野村俊介の3名が帰着遅れ失格になってしまう。

全体的な釣果はまずまず。今年からキープ可能サイズが30cmになった(去年までは25cm)ため、5本揃うとだいたい2キロは超えるが、2500前後では上位進出も予選通過も危うい感じ。賞金圏内は3キロ超えが必要だった。

3500g超えが連発した去年よりは少し上位のウエイトも落ち、3300g以上が初日のシングル圏内、3500超えが優勝争い、という感じだった。

初日トップはオールド・ルーキー大場直樹。ベースを作ったのは誰もが敬遠した早稲沢沖。前日プラで5~6mラインのハードボトムに好感触を得ており、初日はそのスポットが朝から火を吹いた。エビっぽいカタチの小さいワームを数種類ローテーションしながらキャロライナリグで確実に数を重ね、推定3300gのベースを作った。
その後、糠塚裏のウィード・スタンプエリアへ移動。旧吉野川戦で使おうと思って購入していたブレイドジグ(ジャッカル・ブレイクブレイド+アイシャッド)を巻いたところ、すぐにスモールマウスの800gがヒットで入れ替え。更に、ラージマウスの1400gもヒットし初日唯一の4キロ超えを達成。

image image image

単日2位は吉田秀雄。1番フライトを活かし糠塚島岬のベストポジションをキープ。大塚茂とポイントをシェアするかたちになったが、後日大塚茂は「30対1くらいのペースで秀雄に釣り負けた」と漏らした。大塚茂のキャロライナリグの30倍釣れた吉田秀雄のルアーは自身が開発・発売してるハイドアップ社のスタッガーワイド4インチと同4インチツインテールをセットしたラバージグ(イマカツ・アベラバ7g)だった。扁平な大きめのワームで、口の小さいスモールマウスにはいっけん向かなさそうであるが、そのリグへのバイト数はとんでも無い回数だそう。もちろん全てのバイトをものにできるわけではなく、良いサイズを選んで釣ることができた。結果、スモールマウスのみで最終ウエイトは3860gとした。

3位はほぼ地元の澳原潤。渋めの状況ゆえにピンスポットを多く知るローカルが有利になったのか。ディープの小さい沈みモノや糠塚シャローフラットなどをランガンし3680gまでウエイトアップした。

4位は3日間を通して吉田とポイントをシェアした大塚茂。3775gを持ちこんだが200gペナで3575gが公式記録となった。

予選2日め 馬淵利治がオールラージで6325gの異次元ウエイトを叩き出す

2日めも初日と同じような天候で開催された。基本は曇りベース。弱めの南風。お昼ごろには晴れたり・にわか雨だったり。猫の目のような天気。初日も二日目も「釣れそう」な天気だった。

image image image

この日は朝イチから糠塚島岬へ取材艇で行ってみた。2日めのフライト順は初日の逆になる。初日1番スタートだった吉田秀雄は最終フライトだったため、昨日のポジションには入れていなかった。同じ理由で大塚茂も理想のポジショニングはとれていなかった。
狭いスポットに吉田・掛水・本堂・渡辺・山村・大塚が並ぶ激戦区になっていた。これだけのプレッシャーが掛かっていながらも、このスポットの爆発力はハンパなくイレグイ状態が続いた。渡辺は早々に移動したが、掛水・本堂・山村の3名には異様なほどのヒットが続いていた。吉田はキャロライナリグでベースを作ってからスタッガーでキッカーをとる目論見。

image image image

端に追いやられた大塚のロッドは全く曲がらない。結果、大塚は11時まで250g1本のみだったという。その間、他の4名合計で軽く100本は釣れていた。
わずか数メートルポイントがズレただけで方やイレグイ・方やノーバイトというスモールマウス戦の恐ろしさを目の当たりにすることができた。

目に毒なイレグイを見せつけられている時、後ろを向くと、最北部のシャローにポツリと浮く馬淵利治。去年もこのエリアで準優勝しているが、まさか、あんな事になっていたとはこの時は知る由もなく。

糠塚島を離れ馬の首~月島方面へボートを進めた。月島の船団は数が減っていた。フラットもハンプも絶好調とは言えない状況であるため、いわゆる「バンクのディープ」を攻めている選手が多かった。

image image image

10時過ぎには青空が見えたが昼には雨。そして午後から曇天。魚の活性は上向きになるように思えた。果たして結果は。

無事に全員帰着できたため、検量率は100%。リミットメイクは83%。ウエイトの散らばり具合も初日とあまり変わらず、3キロ超えが22名、3500超えが6名だった。

別天地のようなイレグイ状態だった糠塚島組は軒並み好成績をおさめた。山村道祐が8位、掛水玲雄奈が6位、本堂靖尚が5位。そして上から3本をスタッガーワイドで仕留めた吉田秀雄は船団でもトップウエイトとなる3875gで単日3位の成績を残した。

image image image

2日めの2位は奥泉悠介。馬の首エリアの水深10mで700グラム前後の群れに遭遇。ライトキャロライナ(ゲーリー3インチグラブ イモチューン)で20本近くキャッチした。それに加え、6mラインをフットボールジグ+ゲーリーダブルテールグラブで750gを、リーダーレスダウンショット(ゲーリーモコリークロー)のレイダウン撃ちでスモールマウスの1100gキッカーをキャッチ。オールスモールで4キロ超えの快挙を成し遂げた。

image image image

そんな快挙を吹き飛ばしてしまったのが、今大会もっとも会場を沸かせた馬淵利治のパフォーマンス。オールラージマウスで6325gという誰もが耳を疑うハイスコアを叩きだした。
糠塚裏のスタンプ・ウィード・チャネルをリーダーレスダウンショット(イマカツ ダッドカット2.5インチ #キャラメルブルーフレイク)とブレイドジグ(イマカツ モグラチャターパーフェクション3/8oz+ジャバシャッド4.5インチ#グリパン)で攻めラージマウス8本、スモールマウス3本をキャッチ。上から5本が全てラージマウスで最大は56cm 2134g。もちろんビッグフィッシュ賞も獲得した。初日の怒りを2日めにぶつけての6キロ超え。後に電話インタビューにて、3日めに釣れなかったことも踏まえて「俺ってロックでしょう?」と言っていた。ええ、最高にロックです。

予選結果

image image image

2日間ともに脅威の3800超えを果たした吉田秀雄が237ポイントで予選トップ通過。9ポイント差で吉田を追うのが地元の澳原潤。3位、4位は吉田とポイントをシェアする本堂・大塚。5位に青木大介。

第3戦終了時の年間ポイント上位だった前山智孝・市村直之が無念の予選落ち。福島健・小林知寛は踏ん張ったものの、青木大介の頭が一つ抜けた感じになった。

予選ボーダーは2日間で5500~5600gあたり。3キロ2日で賞金圏内、3500×2で優勝~お立ち台という感じ。なお、初日失格の馬淵利治が19位で予選通過、初日トップの大場が予選落ちという珍事も起こった。

決勝日 青木大介が4キロでトップ、吉田秀雄も3500超え!

天候が味方し比較的釣りやすかった予選2日間にくらべ、最終日はややキツイ展開になった。競技時間が2時間短いのもあるが、前半の朝イチは快晴・無風だったのだ。ただし、そんな状況をものともせず一人イレグイの選手がいた。そう優勝の吉田秀雄だ。

image image image

決勝日のフライトは予選順位の昇順になる。暫定トップの吉田秀雄は真っ先に本命スポットへ入りベストポジションへパワーポールを刺した。同じく高順位で予選を通過した本堂・大塚・掛水らも同じスポットへ到着するが、ロッドが曲がるのは吉田・本堂の2名のみ。特に吉田の釣るペースは尋常ではない。また、他の選手は軒並み2lbs、2.5lbsを使っているのにたいし、吉田は3lbsを使っており、ランディングも素早い。スモールマウス戦とは思えないやや強引なやりとりをしている。それでもミスは無い。

image image image

前日の同時間は常に誰かのロッドが曲がっているイレグイ状態だったが、この日は吉田だけがイレグイだった。その理由はルアーを通す向き。周りの選手がダウンヒルで攻めているのに対し、岸にパワーポールを差している吉田だけが岬の尾根をアップヒルで引いいているのだ。リグが通るコースは大塚茂とほぼ同じライン。だが、釣れるのは吉田のみという状況だった。

後に本堂が「最終日はベイトが回ってこなかった」と言っていた。確かに、予選では起こっていた沖ボイルもなく、魚探映像も寂しい最終日だった。そんな中でも吉田のロッドだけは常に曲がっており、朝の2時間で推定3400gは超えていた。

ツィッターを見ると、他の上位選手で目立った釣果を上げているのは青木大介のみ。朝の2時間で吉田の勝利は確実なものになっていた。

取材艇で月島方面へ。早稲沢沖~馬の首バンクにチラホラ浮いてるもの、特にボートが固まっているような場所はなく閑散としている。

image image image

10時過ぎには強めの南風が吹いてきた。スモールマウスは風を好むとされるものの、バンクのライトリグには少しつらい強さになっていた。

南風が強まると、更に釣れるようになるのが吉田が浮く糠塚岬だ。もう一度、島へ戻ってみる。相変わらず吉田のロッドのみが頻繁に曲がっていた。

image image image

最終日のトップは青木大介で唯一の4キロ超え。20本以上釣った吉田秀雄は3552gで単日2位。優勝は確実なものとなった。

総合成績

総合5位は川又圭史。3日間とも月島エリアの8~9mにあるスポットをダウンショット(スミスAR-Wピンテール・レインGテールサターン2.5)で狙い3キロのベースを作った。その後、各地を周りペンシルベイト(ハイドアップパイロン)のナブラ撃ちなどで入れ替えを狙った。

image image image

3日間キレイに3100g台を持ち込み5位入賞。

総合4位は青木大介。初日3500g、2日め2952gで予選を5位通過。メインのリグは1.3gダウンショット(バークレイベビーサーディン #スモークシルバーフレック青木カラー)。

image image image

中の島の張り出しをメインエリアとし、早稲沢沖・馬の首エリアのディープにあるピンスポットをタイトに狙った。最終日は49cmのスーパーキッカーが入り4キロ超え。一つ順位を上げて4位に。

総合3位は本堂靖尚。四国在住ながら桧原湖との相性はよく過去6戦でシングル入賞が3回、今回で2度めのお立ち台に。場所は吉田と同じ糠塚島の岬。2日めのイレグイシーンは記者の脳裏に焼き付くほどの衝撃だった。遠目から薄い白ピンクっぽく桧原湖にしては少し大きいワームのキャロライナリグを投げているように見えた。縦さばきのロッドワークで次から次へとヒットさせていた。3日めは少しペースが落ちていたが、それでも他の場所に比べ圧倒的に魚影の濃い場所であるために3222gをウエイインし単日3位、予選順位そのままにお立ち台へ。

image image image

使用ワームはイマカツのアンクルミノー#イマエワカサギで、1mリーダーのキャロライナリグ。リーダーの太さを魚の活性に合わせて変えるのがキモだったそう。最初のフォールがキモだったので、できるだけ時間を稼ぐための2lbs、イレグイ状態になったときは、早めのフォールと手返しUPのために3lbsを使った。

総合2位は澳原潤。初日3680gで3位、2日め3248gで10位、予選を7位で通過。最終日も3キロを超え単日7位で予選順位をキープし準優勝。2011年にJB桧原湖でAOYを獲得しトップ50入りした澳原潤だが、初年度は桧原湖で予選落ちするというトップ50の洗礼を浴びた。だがそれも昔の話。渋い時ほど、地元が有利になることは多く、今大会も8~9mディープに沈む「モノ」、スタンプや立木のピンスポット狙い(ゲーリーピンテール・バークレイベビーサーディンのダウンショット)をメインとしつつ、シャロー~ミドルのクランクベイト・スピナーベイトなど地元ならではの幅広い展開で着実にスコアを重ねた。

image image image

2日め。3日目はやや見失い気味だったそうだが、キロフィッシュのキッカーに助けられるなどしてハイスコアをキープした。

桧原湖で革命を起こしたい。大会中に何度も吉田が口にした言葉。2インチほどの小さいワームを使ったライトリグが強いのは間違い無いが、それだけでなく、もっと他の釣りもあることを皆にわかってほしい。ベイトタックルを使ったスタッガーワイド4インチという扁平で(ご当地としては)大きなワームでも釣れることを証明したい。過去の自分はディープフラットで普通の釣りをし、平凡な成績で終わっていた。でも、今回は初日のフライト順が良かったこともあり、糠塚岬へ革命を起こしに行った。

image image image

初日は前出の大塚茂の証言どおりスタッガーワイドの釣りが炸裂し数十本キャッチ。2日めはフライト順の関係でベストスポットに入れず、またプレッシャーが加わりその釣りの勢いは落ちた。それでも、800~900gのキッカーサイズをスタッガーで3本混ぜ初日2位、2日め3位。最終日も積み重なったプレッシャーと魚の回遊が減り周りはほぼ沈黙。しかし、吉田秀雄の「アップヒル」は爆発的効果を発揮し、キャロライナリグとダウンショットで20本以上キャッチ。3日間合計11キロという桧原湖レコードで2位に14点差をつけての優勝となった。

お立ち台でも言っていたが、吉田秀雄は永久シード選手であり年間成績が悪くても下位カテゴリに落ちることは無い。それ故、残留目当ての平凡な成績を求めたり、まとめる保守的な戦いはしていない。閉塞感漂うバストーナメント業界の中で、誰もが驚くような釣り・誰にも似てない釣り・ルアーで成績を出し、バス釣り業界のためにも革命を起こしたい。そんなチャレンジを続けている。突飛な釣り、もしくは強い釣りをしているため、現在のトップ50会場ではプレッシャーで3日間通用しないことが多い。それでも、チャレジンを続けて来た成果が今大会の優勝に繋がった。「自分のメーカーだけでなく、業界のために常にチャンジしていきたい」その言葉を何度も口にした。
公式プラを入れれば計5日間のプレッシャーが掛る現在のトップ50会場では、なかなか難しいことだと思われるが、これからも吉田秀雄のチャレジンには期待したい。

年間成績

簡易年間ポイントランキング

第4戦を終え年間ポイントランキングは青木大介が13ポイント差で首位に。最終戦の舞台である旧吉野川と青木大介の相性は最高に良い。2012年クラシック優勝・2011年エリート5優勝・2009年トップ50優勝。JB戦全8勝中3勝が旧吉野川だ。去年はやや不調だったが今年は徐々に過去の勢いが復活してきている。13ポイント差のアドバンテージもあり、二度目のAOYは目の前に。
ただし後を追う選手も半端ないメンツが揃っている。暫定2位の福島健も2011年優勝・2013年4位と旧吉野川では強い。15ポイント差で暫定3位の小林知寛も今年は勢いに乗っているうえ、得意とするパワーフィッシングが通用する旧吉野川だけに目が離せない。

暫定4位の川又圭史以降は28ポイント差であるためAOYの可能性はかなり低いものの、8位の前山智孝まではポイントが拮抗しておりエリート5出場に向けた熱い戦いが期待される。

そんな最終戦がまかつCUPは10月3日から開催される。

写真:NBCNEWS
レポート:NBCNEWS H.Togashi

メディア同船情報(実際にリリースされるかはわかりません)

  • 月刊Basser 山木一人に3日間
  • つり人社DVDシリアス 青木大介に3日間
  • 月刊ルアーマガジン 吉田秀雄の3日め
  • ルアーマガジンDVD黒帯リアルファイト 今江克隆に3日間
  • 月刊ロッド&リール 澳原潤の3日め
  • 釣りビジョン 西川慧に3日間・山村道祐の予選2日間・大塚茂の3日め

今年のJBトップ50

近年のJBトップ50

関連ページ

去年同時期桧原湖で開催