JBトップ50 第5戦 がまかつCUP 10月03日(金)~10月04日() 徳島県 旧吉野川

※台風接近により2014年第5戦は2日間の大会になりました。

ストーリー

リアクションフットボール炸裂
加藤誠司が最高年齢優勝記録更新!

JBトップ50最終戦がまかつCUは台風の影響で2日間の競技となった。7割の選手が0~2本というタフコンディション。釣れる場所は解明され尽くした感のある同フィールドにおいて、勝負の鍵を握ったのは「釣り方」だった。スピードによるリアクションか、極めてスローに釣るか。中途半端な普通の釣りではなかなか手に負えない。そんな中、フットボールのリアクション釣法を用いた加藤誠司が優勝。同ポイントで沢村幸弘が準優勝。50代紳士のワンツーフィニッシュに会場が湧いた。

公式プラクティス

旧吉野川の大会で話題になるのが水位変動。この川の特徴の一つで、選手たちの戦略に大きな影響を与える。だが、今回に限って言えば、直前プラ2日間から大会の3日間は比較的変動差が少ない潮回りだった。ソコリ時刻が毎日後ろにズレていくものの、基本的にはスタート時が低水位で帰着時に徐々に上がっていく感じだった。
公式プラクティス初日は朝から快晴。2日めは曇天で風の強い一日だった。記者も2日間釣りをしてみたところ、三ツ合から下流側、特に最下流部が人気で多くのボートが浮いていた。以前話題になった本流上流は人気薄になっていた。水温は21度前後。水質は思っていたより濁りが少なく、大雨の影響はかなり薄れているように思われた。魚の居るところには居るが、そうでないところには全く居ない。カニはたくさんみるものの、ベイトフィッシュや鳥がかなり少なくなったという印象だった。

Day1 山岡計文が4キロオーバーでスタートダッシュ!

台風18号が接近していたため、最終日はキャンセルになるかもしれない旨がスタート前に本部から発表された。この会場は風よりも雨に弱い。最上流は高知県の早明浦ダム。徳島で雨が降っていなくても、上流で大雨が降ると会場が閉鎖され使えなくなる可能性があるのだ。2日間の競技になるかもしれない。各選手の戦略に大きな影響を与えたことだろう(ってもセーブするほど見えていた選手は極わずか?)。

爽やかな空気と黄金の日差しに包まれ初日のフライトが始まった。今切川にUターンする選手はすくなく、殆どが本流方面へ向かっていった。

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10時頃に取材艇で全域をまわってみた。やはり本流下流域が人気だった。曇天弱風で釣れそうに思える天候。テトラやリップラップでじっくりゆっくりライトリグをしてる選手が大多数だった。ツィッターでも報告されたように、戦前の噂よりははるかに釣れている感じだった。

59名中51名が検量台へ。しかし1~2本が36名という噂通りの厳しい結果だった。

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初日トップは山岡計文。低水位時は本流中流域のリップラップが入ったブレイクにノーシンカー(サワムラ・バレット)を落とす~着底~ピックアップというパターンを繰り返し4本キャッチ。水位が上がってからはフロッグ(ティムコ・アーマーガエル)でカバーを撃ち2本キャッチの1本入れ替え。唯一の4キロオーバーな4065gを持ちこんだ。

2位は小林知寛。下流域のリップラップエリアでフロッグ(エバーグリーン・キッカーフロッグ)で2本、ネイルリグ(ベイトブレス・フィッシュテール)で3本キャッチ。3940gというハイスコアをマークした。

3位は本堂靖尚。地元の利を活かし、今の時期に釣れるであろうピンスポットをランガン。橋脚は右から何番目を1本のみ、テトラでも一つの穴のみ、それくらいのピンスポットをひたすらまわった。ネコリグ(イマカツ・イールクローラー5.5)と3.5gダウンショット(イマカツ・ハドルフライ3.5)という比較的スピーディーに落ちるリグを使い、最初のフォールから着底一発のバイトだけを狙った。まわりにまわって掻き集めた5本のウエイトは3602gだった。

なお、お立ち台に上がった選手の初日の結果を見てみると、優勝の加藤誠司が10位、5位の篠塚亮が18位、4位の関和学は24位で初日を終えている。2日間の大会の恐ろしさを垣間見た気がした。

また年間ポイントランキング暫定3位の小林知寛は2位という高位置につけた。一方、暫定トップの青木大介と2位の福島健がゼロ申告という異常事態が発生し会場がどよめいた。

Day2 加藤誠司が5キロオーバー!

2日めの朝、役員会議が開かれた。議題は3日め開催の有無。施設の運用ルール、台風の進路などが地元スタッフから説明された。大雨警報が出た時点で即競技を中止にする必要があるとのこと。今年は台風が遠くにあっても大雨被害に遭うことが多いため、予断を許さない状況だった。が、とりあえず朝の時点では判断せず、帰着後にもう一度話し合うことになった。結果的に2日間の大会になったものの、朝の時点では予選二日目として競技が始まった。帰着も15時まで。

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2日めは本流中~下流を取材艇でまわってみた。終日曇天で風が強い一日。朝のうちは流れが強めだった。

この日も低水位のためテトラを狙う選手が多かった。すれ違いざまに釣果を尋ねると、そこそこは釣れている感じだ。関和学ぶが5本指を立てたのには驚きを隠せなかった。大場所テトラでじっくり狙っていた選手で上位に入ったものは居なく、走り回っていた選手が良いウエイトを持ちこんだ印象。加藤誠司は取材艇の横を何度も通過していった。

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初日上位陣にはオブザーバーが同船しツィッターで釣果を報告してくれたが、多くは沈黙していた。そんな中、ひとり気を吐いたのが6位の沢村幸弘。終了間際にリミットメイクし4キロ近いウエイトを持っているようだ。

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同じくオブザーバーが同船している小林知寛も3本キャッチの報告がありワールドチャンピオンは目前という感じに。

15時の帰着時に再び役員会議が開かれ翌日の中止が決定された。

2日めのプレッシャーの影響か21名がノーフィシュに散る。1~2匹が22名という厳しさ。しかし、上位トップ5のウエイトは4キロ前後のハイスコアが並んだ。

2日めトップは加藤誠司。1748gのビッグフィッシュ賞獲得フィッシュを混ぜ4本ながら5キロを超えた。初日10位の加藤が2日めトップウエイトだったが、初日6位の沢村幸弘も3915gで単日4位に。会場の予想では満場一致で沢村幸弘の優勝かと思われたが・・・

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検量が全て終わってから選手へ3日め中止の発表が行われ、そのまま表彰式に移った。

Result 加藤誠司が同ポイント重量勝ち!

記者の記憶が確かであればトップ50シリーズで最終的に同ポイントになったのは今大会が初めて。同ポイントの場合は総重量で順位づけがされる。加藤誠司は231ポイントで7385g、沢村幸弘が231ポイントで7097g。ちなみに加藤は2日間で7本、沢村が8本。加藤が二日目に釣った1748gが威力を発揮し288gの差をつけた。

加藤の使用ルアーはフットボールジグ(ジャッカル・ナカタジグ3./8oz+チャンクロー)。スイミングでの使用がメインだったが、スピーディーなフォールはサイトフィッシングでも効果を発揮した。
前日プラでは藍住大橋付近のシャローで50アップを含む群れを目撃。得意のサイトテクニックで攻略を試みるもガン無視・・・。サブのパターンで使っていたフットボールのスイミングで1本キャッチできたのみで直前プラを終えた。
迎えた大会初日。50アップポイントには岸釣り先行者が居たため入れず。三連橋付近に戻りフットボールのスイミングで1本キャッチ。その後、ブッシュの中に入っていくバスを目撃。根掛かりを恐れずフットボールをそのままキャストしたらそれも釣れた!この時点で「キテる」と思ったらしい。散々ライトリグで狙っても全く相手にしてくれなかったバス達が、フットボールのスピードに反応してることを掴んだ瞬間だった。また、超一級スポットに居るバス達はプレッシャーで口を使わないが、そのまわりに居るであろうと想定し、やや「テキトー」な場所に投げるとバイトがあることも掴んだ。

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この「シャローで速いフォール」の釣りは、2011年の早明浦戦でも威力を発揮したやつだ。加藤は早明浦上流のシャローでヘビーテキサスとラバージグをズドンズドン撃ちこんで連日5キロ前後を持ちこんだ。当時近くに浮いていた優勝者の今江克隆が「加藤さんが重そうなのをドッスンドッスン投げてやたら釣っててびっくりした」的なコメントをお立ち台で話していたのを思い出した。

2日めは2番フライトだったため上流へ直行。運良く狙った場所に入れリアクションフットボールのサイト技を炸裂させた。勝負を決定付けた1700フィッシュを含む3本のバスを仕留めた。足の故障で歩くのもままならない状況だったらしいが、大会中はその痛みを忘れるほどのアドレナリン放出だったらしい。
その後は下流域をランガンし1本追加。合計4本ながら5キロを超えるスーパースコアで自身2度めの優勝をもぎ取った。お立ち台でも話題になったが、53歳10ヶ月での優勝はトップ50の最高年齢優勝記録更新だそうである。

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総合2位は前日までの最高年齢優勝記録保持者の沢村幸弘。初日3182g、2日め3915gと抜群の安定をみせたが惜しくも同ポイント重量負け。釣ったエリアは全域。水位が低い時はテトラ・橋脚・沈みモノ、高い時はブッシュやアシなどのカバーを狙うのが基本的な戦略。使ったリグはリーダーレスダウンショットとネコリグでワームはサワムラスイミーバレット4.8。とにかくバイトが遠く苦しい展開だったというが、2日間を通して一度もミスが無かったという。それが功を奏しての準優勝。50歳代のワンツーフィニッシュに会場は大いに湧いた。

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総合3位は小林知寛。2014年はJBII四国シリーズに参戦し、旧吉野川での魚の多い場所・グッドサイズが釣れる場所を掴んでいた。今大会もその経験を活かして下流域のリップラップをメインエリアとした。前日プラではバズベイトの速さとフロッグの遅さの両極端な攻めに反応があることを掴んでいた。

大会初日はフロッグ(エバーグリーン・キッカーフロッグ)で2本キャッチ。フォローのネイルリグ(ベイトブレス・フィッシュテールに極軽シンカーを埋め込みスローに前かがみで落とす)で3本釣り3940g。2日めは表層への反応が極端に悪くなりネイルリグでなんとか2本キャッチするものの後が続かず。終盤に1本追加し単日10位の総合3位。

過去の小林知寛なら2日めは失速していた。しかし、今年の野尻湖優勝で一皮むけた。記者は同選手を学生時代から知っている。とんでもなく釣りのセンスがある若者という印象だった。職業柄「誰が上手いと思いますか?」とよく聞かれるが「コバとケンくん」と答える事が多い。鉄の心臓を持つ福島健に比べるとプレッシャーに弱かった小林知寛。しかし、今年のコバは確実にステップアップし心技一体のトップトーナメンターに成長した。

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総合4位は関和学。今大会は度々「速いか遅いか」というキーワードが登場したが、同選手のキーワードは「放置」。遅い釣りの極みである。用意したパターンは2つ。一つはウィード面のスイミングジグ(エバーグリーン・スイミングトゥルーパー+ゲーリージャンボグラブ)とノーシンカーワーム(ゲーリー5インチカットテール・3インチファットヤマセンコー)のリップラップボトム放置。

初日は気持ちの焦りからじゅうぶんな放置時間をつくれず2本のみ。2日めは強風にも負けず自身のパターンを信じでやりぬいた。ワンキャストに3~4分掛けることもあるという忍耐の釣り。一度ラインブレイクした場所にあとから入り直したところ、同じバスがまた食ってきたという(自分のワームが口に付いていた)。それで自分の釣り方が完全にハマっていると自信を深めた。結果単日2位となる4885g(5本)を持ち込み初日24位から一気に20人抜きでお立ち台へ。

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総合5位は篠塚亮。用意したパターンは2つ。ウィードをノーシンカーリグ(OSPドライブスティック)のフォーリングで釣るキッカーパターンが一つ。もう一つはいつものテトラ穴撃ち(レイン・リトルレインズホッグのダウンショット)でキーパーサイズを数を釣るもの。
今切川をメインエリアとし、初日はウィードで1本、テトラで7バイト2本キャッチで1896g。テトラ穴撃ちのほうが安定して釣れることを初日に知る。
2日めは朝イチスピナーベイトで1本取った後はひたすら穴撃ちをやりぬいた。その釣りをやらせたら右に出るものは居ないと言われる技が光りリミットメイク達成!単日6位の3436gで初日18位から一気に5位まで昇った。

同シーズン・同会場での開催が極めて多い近年のトップ50シリーズ。もはやシークレットなエリア・スポットは無いに等しい。釣れる場所の選手の密度は以前よりも上がっている。だからといって、繊細なライトリグで食わせにかかる手法は通じなかった。スピードによるリアクション、トップウォーター、ボトムの長時間放置などなど、「普通の釣り」ではないやや特殊な釣り方が目立った最終戦であった。バイトが遠い状況で、そこまでたどり着けるトップトーナメンターの底力を見せてくれた好ゲームだった。釣れる大会ばかりではなく、渋い状況ほど見る側としては楽しくもあり参考になる(やっている側は辛いでしょうけど)。

2014年ワールドチャンピオンは小林知寛が獲得。エリート5&しろ~と5ホストメンバーも決定!

「今年のコバは強かった」誰もが認めた今年の小林知寛の活躍。初戦9位スタート、第2戦では予選トップ通過(最終日はやらかした)、第3戦は一皮むけて優勝し暫定ランキングトップに浮上。第4戦で25位になりトップの青木大介に15ポイント差で暫定3位へ。旧吉野川と青木大介の相性は抜群に良いため、点差も加味すれば青木大介のワールドチャンピオンはほぼ確定に思われた。しかし、蓋を開けてみれば・・・・。青木大介無念の失速。暫定2位の福島健も初日にゼロ申告をしてしまい、小林知寛は15ポイントの大差をつけて2014年JBワールドチャンピオンに輝いた。2012年のマスターズ年間優勝に続きメジャータイトル2つ目をゲット。温厚なキャラでみんなに愛されるコバ。戦い方もとてもクリーンだ。今回のワールドチャンピオン獲得でまた新たなスターが生まれた。

2014年のエリート5およびしろ~と5は上記メンバーがエントリー。誰もが前山智孝の「しろ~と5」に期待すると思われるが、その前に本番のエリート5にも期待したい!

というわけで2014年JBトップ50シリーズ全戦が無事が終了。NBCNEWSにご協力頂いた関係者の皆様、そしてツィッターで盛り上げてくれたオブザーバーの皆様とフォロワーの皆様、ありがとうございました。来年もまたよろしくお願いいたします。

写真 NBCNEWS・BASSMAGAZINE
レポート NBCNEWS H.Togashi
取材艇協力:ボートハウスチャーキー

メディア同船情報(実際にリリースされるかはわかりません)

  • 月刊Basser 小森嗣彦に2日間
  • つり人社DVDシリアス 青木大介に2日間
  • ルアーマガジンDVD黒帯リアルファイト 今江克隆に2日間
  • 釣りビジョン 川又圭史と澳原潤に2日間
  • バスマガジン 小林知寛の2日目

今年のJBトップ50

近年のJBトップ50

関連ページ

去年同時期旧吉野川で開催