JBトップ50 第2戦 ベイトブレスCUP 04月24日(金)~04月26日() 茨城県 北浦

ストーリー

「釣り方の差」で12キロ
五十嵐誠がミッドスポーン戦を攻略

2015年4月24日~26日に茨城県北浦でJBトップ50シリーズ第2戦ベイトブレスCUPが開催された。プリスポーン期のハイウエイト戦が期待されたが、水の中はミッドスポーン期に突入してしまう。ナーバスになったバスの食わせ方を発見し三日間で12キロを持ちこんだ五十嵐誠が参戦7年目で初優勝を果たした。

プリクラクティス~直前プラ

遠賀川戦が終わってすぐに始まった公式プラクティス。まだ気温・水温ともに低く春一歩手前の状態だった。早春名物の強風が吹き荒れる日も多く、満足な練習を出来なかった選手が多い。一方で春の名物「風下ザブザブのワカサギ・シラウオパターン」で良い思いをした選手もいたようだ。

image ほほげほげ
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2週間のオフリミットを経て迎えた直前プラ。状況は一変し急激に釣れなくなった。「過去のこの水系で開催された大会で一番釣れない」という声もあったほど。プリプラクティス時は「普通に釣れた」という選手も首を傾げる感じに変わっていた。水温は16~19度。そう、この時期にありがちな「食い気より色気」状態に突入した感じだった。ブリブリな15キロ超えの熱い戦いを期待していた記者は少し残念な気持ちになった。

予選初日 蓋を開けたらハイウエイト続出!

今思えば初日は一番快適に釣りができた日だった。天気は薄曇り~晴れ。朝のうちは微風、後に南の風。湖上はともかく陸上は暖かかった。4月半ばからずっと寒かった関東地方だが、大会期間からようやく暖かくなってきた感じだ。

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スタート後、主に下流域の湖畔をクルマでまわってみたが、ボートを見つけるのはかなり困難。いつも以上に徒労に終わった。この水系での大会はエリアが広すぎ・湖畔へのアクセス悪すぎでプレス泣かせである。

この水系を得意とする選手にオブザーバー・プレスが同船しツィートしてくれているものの、朝イチ・午後の水温上昇チャンスでも、目立った釣果を目にすることはなかった。

噂通り史上最悪の貧果になるのか・・・

と、思いきや蓋を開けてみたらウエイイン率80%。4キロ超えが12名という春らしいハイウエイトが続出した。

「戦前全員嘘つき説」というよりも、春らしく魚が一気に動いた感じだった。

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初日トップは市村修平。プリプラで春爆を味わったというジャークベイト・キャロライナの2本立てで、やることなす事全てがうまくいき5本5910gを達成。余裕の早上がりだった。

2位は北大祐。江川のシャローで1200クラスと800g、会場近くの沖へ張りだしたハードボトムでもグッドサイズを2本、八幡のサンドバーで1200g。リグは全てゲーリー4インチカットテールのヘビーダウンショット。その後、同じスポットでシャッドなども用い連続ヒット。地味に入れ替えを行い最終ウエイトを5315gとした。

3位はルーキー長谷川太紀。鹿行大橋周辺のドックと杭をテキサスリグやネコリグで攻め7本キャッチで5キロを超えた。

大会前に自信満々だった選手がノーフィッシュだったりで、わずか一日で大きく魚が動く春特有の現象に笑ったり泣いたり、明暗がはっきり出た初日だった。

予選2日目 強風で食い気UP!

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2日目を一言で表すならば「強風ダバダバ」の日だった。産卵モードに突入し食い気が無くなっている感じはあるものの、全てのバスがそのモードになるわけでは無い。まだまだ色気<食い気の個体は存在するし、一旦産んだメスでもチャンスがあればエサは食べる。

風とともに活性が上がったバスを巻物でうまく仕留めたのが2日目1位の市村直之と2位の大塚茂だった。

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市村直之は初日の終了間際に会場横リップラップのシャッドパターンを発見していた。2日目は強い風が当たっていて、そのパターンが激ハマリ。自ら開発に関わったジャクソンフローシャッドが火をふき5580gをウエイイン。

下流域では大塚茂も火を吹かせていた。風が当たるアシや護岸をスピナーベイトとブレイドジグ(チャター系ベイト)を巻いて5460gを持ちこんだ。

SHINGOは風が吹いたことによりバスが一段下がったと判断し、風裏エリアの一段手前なやや深めを丁寧に攻めメスバスっぽいグッドサイズでリミットメイクし5120g。

上位3名が5キロオーバー。7位の沢村幸弘まで4キロ台と、この日もハイウエイトな戦いとなった。が、その一方で0~2匹が半数近くでた。

予選結果

2キロ+2キロが予選通過の大まかなボーダーラインだった。

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実質暫定順位ではSHINGOが9590gでトップ。330g差で五十嵐誠、524g差で市村修平。500gちょいに3人という僅差。
会場のポテンシャルを考慮すれば、まだまだ全員に逆転優勝の可能性はある(30位で5270g差)が、現実的には3キロ差で12位の北大祐あたりまでだろうか。

優勝はともかく賞金・お立ち台圏内へのジャンプアップは全員にチャンスがあり、総重量フォーマットの面白さを改めて実感できる結果となった。選手たちの最終日に懸けるモチベーションもかなり高いはずだ。

決勝日 2日連続で市村直之がトップウエイト

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この日は快晴・無風~微風。巻く展開は辛そうだが、水温上昇でシャローに上がってくるバスは増えそうだ。

上位陣の多くが本湖東岸に居ることがわかり、クルマで行ってみた。鹿行大橋から北浦大橋までの間にSHINGO・市村修平・五十嵐誠を見ることができた。更に3名とも同じような場所を狙っていた。

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今大会はオブザーバーさんはもちろん、他媒体にもかかわらずメディアの方々のサポートにより湖上中継ツィートは大盛り上がりだった。

最終日も上位陣に関するツィートが多数投稿され、手に汗握る展開をネットを通じて体験できた。

暫定上位陣の多くが苦戦する中、暫定2位の五十嵐誠は早い時間に5本揃えていた。ただしウエイトは低めらしい。

同じく早いペースで数を重ねていたのが、2日目トップの市村直之。前日5キロを超えているだけに、そのウエイトが気になる。

13時に検量開始。30名中29名が釣ってきた。3~5匹が半数。最終日にしてはよく釣れた日だった。

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単日成績では市村直之が4465gでトップ。北利根のシャローをスモラバスイミングで攻めた神谷勇紀が4265gで単日2位。同じく北利根のリーズフロントに5gのリーダーレスダウンショット(ハイドアップスタッガーワイドツインテール)をキャスト~放置気味という釣りを展開した吉田秀雄が4255gを持込み単日3位だった。

総合成績 市村の猛追撃を僅差でかわし五十嵐誠が初優勝

ウエイインショーの感じはツィッターの動画をご覧頂きたい。総重量制になり、他のトーナメント団体と同じようなハラハラドキドキの検量ショーになった。

優勝は五十嵐誠。初日4,960g・2日目4,300g・決勝日3,146g。トータルウエイト12,406g。

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ライバルが同エリアで同じような釣りをしていた中、決定的な差が付いたのが釣り方だった。
プリプラクティスではイージーに釣れていたが、前日プラではかなり釣れなくなってしまった。そんな中、自分が撃って何も起こらなかった杭で同船者にヒットし「場所はあっている。けど、釣り方で差が出る」ことに気づいた。プラ終盤ではボトム付近でのみバイトがあることも掴んだ。

同選手は自他とも認める「ネコリグ」マニアである。おそらくネコリグを投げている時間はどのプロよりも長い。第1戦ではジグヘッドワッキーにも目覚めた。もちろん今大会も初日の前半はもっとも自信のあるネコリグとジグヘッドワッキーで釣りをしたが反応なし。

前日プラの教訓を活かし場所ではなく釣り方を変える事に。ノーシンカーのワッキーリグ(ゲーリーヤマモト・シンセンコー)に変えた途端に連発モードに。

一旦ボトムまで落としてから横方向にフワフワ泳がせる、いわゆる「ボトスト」がメインのパターン。

高比重とはいえ、ノーシンカーワッキーを風の中で使うのは高度なテクニックを必要とする。特にラインコントロールが大変だ。記者は普段から同選手と釣りをする機会が多いが、驚くほど軽いネコリグでたまげる水深を難なくこなしている。風があろうとなかろうと(同じリグだと記者レベルはでは底を取れません・・・)。

普段からそのようなテクニックを普通にこなしているため、ネコリグからノーシンカーワッキーに変わっても完璧な操船とラインメンディングで狙い通りのスポット・水深を釣ることができた。

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メインエリアは北浦中流部の東岸。狙ったのはドック周辺の杭や壁・石積み周り。余裕があるときは下流へも足を伸ばした。

最終日は早めにリミットメイクしたもののウエイトが伸びず3146g。結果的に市村直之との差はキーパー1本分の427gだった。なお、3日間5本釣ってきたのは五十嵐誠だけだった。

2005年のクラシックウィナー、2013年マスターズ優勝&アングラーオブザイヤー獲得、ローカルJB戦での優勝2回・AOY獲得と、多くの栄光を掴んできた同選手。トップ50シリーズは参戦7年目。2010年から2012年までで4位を4回! 他にも単日上位は多々あるものの、優勝カップは遠かった。

中堅どころの同期が次々と優勝する中、自分だけ優勝できない・・・「優勝って難しい」と、今年の第1戦後に漏らしていたが、ついにその番が回ってきた。現在のポイントランキングは2位。既にクラシックとアングラーオブザイヤーを獲っているだけに、ワールドチャンピオン獲得でのグランドスラムに期待がかかる。

総合2位は市村直之。2日目5,580g、3日目4,465gでいずれも単日トップウエイト、初日の1,934gは悔やんでも悔やみきれないだろう。

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大会前日同選手に状況を尋ねると「最悪です。こんな釣れないの初めて」と嘆いていた。確かに初日は終了間際までノーフィッシュだった。なんと最初の1本目は帰着が始まった14時30分である。会場横リップラップのシャッドに食って来た。そして、10分後に2本目が来た。そのパターンに気づくのがあと少し早ければ・・・

2日目は風が強く当っていたため、そのパターンは更に威力を増し5580g。途中から「岩に当たって抜けた時にバイトが多い」事に気づきシャッドを一段深く潜るタイプ(フローシャッドタイプ0から1に)に替えるなどの的確な判断も功を奏した。

決勝日は風が弱かったが、少しでも風が当たるスポットを探したり、よりリアクション的な動きを出すなどして4465gを持ち込んだ。最終日は月刊バサー誌記者さんが同船したので詳細はそちらで。

「霞水系が一番好き」と公言する同選手、2011年優勝・2013年3位・エリート5優勝と相性も抜群。今回はあと一歩及ばずだったが、7位からの逆転優勝か?!という総重量制ならではのドキドキなウエイインショーで大いに盛り上げてくれた。

総合3位は同じ市村の修平のほう。

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初日は前出のとおりジャークベイトやキャロライナリグで好成績を残したものの、2日目以降はエリアのパワーが大幅ダウンした。徐々に釣り方をスローにライトにシフトしていき、後半はなんとか絞りだすような展開に。初日5,910g、2日目3,156g、3日目2,385gと失速したものの、初日の貯金が効いて3位。トップ50に参戦し5年。嬉しい初のお立ち台となった。

4位はSHINGO。

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完全にパターン的なものが見えている訳ではなく、割りといろいろな釣りで釣れていた。故に「不安だよ~」と記者に何度も言っていた。ダウンショットリグ(HMKLアライブテナガ)とシャッド(ラッキークラフトベビーシャッド)がメイン。前出の通り、五十嵐誠・市村修平をはじめ、単日好成績を残した選手とエリアが被っていた。ベイトフィッシュや白い鳥が多く、フィーディング系もスポーニング系も狙える札~江川~武井エリアだ。
他の選手より少し沖側を攻めたのが功を奏し、初日・2日目はメスっぽいビッグフィッシュに恵まれた。実質暫定トップで迎えた3日目は失速してしまうがそれでも10キロの大台を超えて4位に踏みとどまった。

5位は篠塚亮。

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市村直之とともにこの水系では抜群の強さを見せる。自宅から大会に通勤するくらいのローカルアングラー。メインエリアは北利根。リング系ワーム(レイン・Gテールサターン)のダウンショットを主軸に置き、スポーニングを意識した個体を狙った。
風の弱かった初日と3日目はリミットメイクに成功。強風だった2日目は同エリアの他の選手に釣り負けてしまい2本2292g。トーナル10343gでお立ち台に滑り込んだ。同選手には3日間ルアーマガジンさんが同船しマメにツィートしてくれた。ツィッター同様、次号のルアマガも期待大。

なお本大会のビッグフィッシュ賞は1972gで関和学が獲得した。


という感じで、前日プラ時の暗いムードから一転、終わってみれば10キロ超えのそれなりなハイウエイト戦になった。この記事を書いてる4月27日の関東地方は夏日を記録。前日プラの寒さからは想像出来ない暑さに。例年、GW頃から霞ヶ浦水系は一気にオカッパリで釣れるようになる。「北利根の上流・鹿行大橋周辺~中流域の東岸」これらが今回、魚が多かったエリア。これをご覧のお近くの方、GWは霞水系にぜひ!

次の第3戦は東レ・ソラロームCUPとして6月5日~7日に徳島県の旧吉野川で開催される。

写真:NBCNEWS・オブザーバーの皆様
レポート:NBCNEWS H.Togashi

メディア同船情報(実際にリリースされるかはわかりません)

  • 月刊Basser 澳原潤の予選。市村直之の決勝。
  • つり人社DVD 青木大介に3日間
  • 月刊ルアーマガジン 篠塚亮に3日間
  • ルアーマガジンDVD黒帯リアルファイト 今江克隆の予選・本堂靖尚の決勝
  • 月刊ロッド&リール 市村修平の決勝・河辺裕和のウィニングパターン検証
  • 釣りビジョン 五十嵐将実・小池貴幸の予選・五十嵐誠決勝
  • 小森嗣彦に動画カメラ3日間(リリース方法は未定)

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