アイのエムエムズィーが炸裂! 山岡計文が17キロで圧勝!
2021年10月15日~17日奈良県七色ダムでJBトップ50シリーズ第5戦がまかつCUPが開催された。夏と秋のはざまでバスのポジションが定まりにくい季節。初の秋開催も相まってサイズ狙いに苦戦する選手が続出。そんな中、初日7.7キロ、2日め4キロ、3日め5.4キロ、3日間トータル17キロを持ち込んだ超地元の山岡計文が2位に5キロ差をつけ優勝。圧勝のキーとなったのはワームのセッティング方法と引き方だった。
Day1 山岡計文が7785gでスタートダッシュ
今年で7回目の開催となるトップ50七色ダム戦。過去6回は全て4月か7月の開催で10月の七色ダムでの戦いは初。もっと言えばトップ50シリーズの第5戦が山間リザーバーで開催されること自体がかなり珍しい。大会会場の固定化でマンネリ感が強いトップ50シリーズだが、同じ会場でも季節が全く違うのは新鮮である。
七色ダムは小型~中型~大型~超特大まできれいな生態ピラミッドをもつ稀有なフィールドだ。200~300gがたくさん生息し、700~1キロも普通に居て、一発逆転の2~3キロフィッシュも大会中に狙えるほどの個体数が生息している。こんな豊かなトーナメント可能フィールドは日本にはめったにない。
ただし秋の山上湖は難易度が高め。ポテンシャルが半端なく高い七色でもそれは同じようでプラクティスの感触はけっこう厳しいという声が多かった。
大会サイトが設置されたスロープロクマル桟橋に58名が集結。10月半ばの山上湖なのに半パンの選手がチラホラ。朝6時で気温が18度もあった。今年の秋は異様に暑い。
今大会は3日間取材艇で回ってみた。まずは北山川上流へ向かってみる。春~夏の大会では大人気エリアになるが、秋の大会はガラガラ。放水口からの放水はない。最上流域も水が止まっているようで生命感に乏しい。
会場付近~旧発電所跡と西の川がやや人気。それ以外は中~下流域にボートが分散していた。
七色ダムの中でも特段に水がクリアで名うてのサイト勢があつまる西の川だが今年は濁り気味。初日は意外にボートは少なかった。静寂の西の川で謎のキャスト音を発してるボートが居た。おおよそバスフィッシングのキャスト音とは思えない音程・テンポのキャスト音。「ブゥ~オォワ~~ン」的な。謎のサウンドの発生源は優勝した山岡計文だった。あれは一体なにを投げているのか・・・遠目なのでルアーは見えなかった、が謎の音ははっきり聞こえた。あとで聞いてみよう。
下流域ではハイスピードで立木をランガンする藤田京弥を発見。桧原湖のお立ち台の頂点で「3連勝」を口にした。今の藤田なら実現しかねない(すでに今季JB戦10回優勝)。しばらく追ってみたが割と厳しそうな空気だった。藤田に限らず東日本の若手選手の場合、秋のリザーバー経験は少ないはずだ。更に「秋はベイト」と言われるが、七色ダムは関東勢に馴染みが薄いアユ・ウグイが多い。さすがの藤田京弥にも今の七色は手強いのか。
初日は終日快晴無風。長袖シャツを後悔したほどの暑さだった。
58名参加で55名が検量へ。60%の35名が5本のバッグリミットを達成した。前述のとおりサイズがまちまちの七色ダムらしく5本のウエイトが1600g~7700gと超ワイドレンジ。
初日トップは山岡計文の7,785g。2位は天野雄太の5,560g、3キロフィッシュを混ぜてのハイウエイト。七色のポテンシャルが発揮された。3位本堂靖尚、4位武田栄喜、5位五十嵐誠、6位林祐吾が4キロ台、7位から3キロ台。予選ボーダーの30位が2200gだった。
初日を終え会場を発とうと思ったとき、たまたま山岡計文のクルマが近くにあったので、西の川で凄い音を発していたルアーが何だったのかを尋ねてみた。答えは「OSP デカMMZのノーシンカー」だった。記者は一週間前の9日にFECOタックル認定商品ページにそれを掲載した。あのワームか! 超ロングワーム+PEライン使用時キャストのときに風切音は確かに発生する。が、あのときの音は並みのロングワームの音ではなかった。恐らくクネクネ曲がった形状ゆえの音だろう。そして、キャスト切れを防ぐためにかなりゆっくりスイングしていたと山岡は言った。それらが組み合わさって始めて前代未聞の風切り音が静寂の西の川に鳴り響いてたのだった。
Day2 ルーキーが活躍 青木唯が5455gでトップ!
大会2日めもまた初日どうよう夏のような天気になった。紅葉皆無の山並みもあって写真だけみれば夏の大会のよう。
2日めは西の川のボートが増えていた。緊迫し張り詰めた空気を切り裂いたのはまたしても山岡計文だった。それはキャスト音ではなくドラグ音。なかなかのサイズをネットに収めていた。
いつの大会でもそうだが「10時頃」はなんらかの時合が訪れる。魚にでなく人間に。この頃から急激に場所移動に伴うボートの行き来が急激に増える。朝イチのパターンの終わりやプランの変更・焦りなどなどあるのだと思われる。トップ50シリーズも5戦中4戦目である。時間とお金、人生リソースの大部分をつぎ込んでみな大会に臨んでいる。4戦目2日めの10時過ぎといえば、予選を通過できるかどうか、年間ランキングで残留できるかどうか、今後の人生、いろいろな思いがMAXで錯綜するタイミングなのかもしれない。
15時に検量が始まる。七色はとても健康的なフィールドでこの日も56%がリミットメイクを達成。トップウエイトこそ低下したが4~5キロが上位を占めた。そして注目すべきは上位3名がルーキーだったこと。
1位青木唯5455g、2位吉川永遠5000g、3位佐藤圭吾4500g。全員が今年からトップ50に参戦したルーキーだ。トップの青木唯は他シリーズでの活躍や前戦でのお立ち台で名を上げたが、それ以外のルーキーはなかなか目立つことができていない。
コロナの影響で2021年のトップ50は
・メンバーが例年より多い(2割増し)
・ルーキーが15名も居る(2020年の繰越し含む)
・シーズン前半はマウスガード+マスク必須で顔が見えなかった
・前の3戦は雨が異様に多くレインウエアのフード+マスク+サングラス・・・
などなどの理由でルーキー選手は「顔」を覚えてもらうのが最悪に難しい2021年シーズンなのだ。更にボートの種類とラッピングで「あのボートは誰々」と紐付けして覚えられるのだが近年のトップ50は大会ごとにボートが異なるケースも多く、なかなか新人は覚えてもらえない受難の2021年なのだ。
今大会はレインウエアもマウスガードもなかったので、かなりルーキー選手の顔がわかるようになった。
予選結果 山岡計文がトップ通過
初日7.7キロでロケットダッシュした山岡計文が2日めも4キロを持ち込み11キロで予選トップ通過。2019年に続き2回連続のトップ通過。2.4キロ差でルーキー青木唯、同じくルーキーの天野雄太が3キロ差で王者山岡計文を追う展開。
4キロ後半が予選通過ボーダーラインだった。
なお2021年はコロナ禍での開催とあって予選落ちした選手はその場で解散となり帰宅が許されている(例年は表彰式まで全員残る)。開催中に帰路につく選手の無念さは計り知れない。
状況が変わった最終日 篠塚亮がドーーンと行った
予選の2日間は同じような天候だったが3日めは変わった。気温は相変わらず高めだが曇多めのローライトだった。そして今までにない強めの風が吹くシーンもあった。そして水位も変わった。
初日の夜もすこし水位変動があったらしいが、3日めは大会中もどんどん減っていた。春先のような「天候激変!」とまではいかないが、3日めは明らかに違う雰囲気だった。
そんな天気のおかげか減水の恩恵か3日めに火を吹いた選手が篠塚亮だ。2日めの後半からドン深の岩盤が良いかも?と薄々気づき最終日もその釣りをしてみればドーーンとハマってグッドサイズが連発。朝の8時には6キロ後半をキープしていた。
パワーフィネスでカバーを狙っていた小林明人もこの日は絶好調で6570g。
暫定2位、3位のルーキーはさすがに秋リザーバーの経験不足が露呈してしまったのか状況変化にアジャストできず。一方、暫定トップの山岡計文は貫禄の5475gを持ち込んだ。
キーはMMZのI字引き! 山岡計文が17キロで圧勝!
2019年大会で320g差で準優勝だった山岡計文だが、2021年大会は2位に5キロの差をつけて圧勝。自宅からキャストすれば湖に届くくらいの超地元。大会開催にあたっても尽力をしてきた功労者。悲願の地元初優勝に誰もが温かく祝福をした。西の川でのサイトフィッシングがメインパターン。キーとなったのはOSP MMZ3兄弟の頭刺しi字引き。誰もが諦めた西の川サイトパターンを成立させての優勝。詳細は文末のインタビューの項で。
総合2位は篠塚亮。初日1550g47位と予選落ちしてもおかしくないスタートだったが、2日目3758gで予選21位通過。前出のとおり3日めに爆発し一気に準優勝まで駆け上がった。総重量戦&ビッグバスレイク七色ダムゆえのジャンプアップ劇に会場は湧いた。
総合3位は小林明人。得意のスピンキャストリールを使ったパワーフィネスで浮きゴミや岩盤がらみのカバーを狙った。篠塚と同じく3日めに岩盤で爆発し6キロ超え。トータル11キロで総合3位。
総合4位は林祐吾。ロングワームの岩盤うちとサイトで4キロ、2.7キロ、4.8キロ。合計11キロでトップ50参戦2年目で嬉しい初お立ち台。
予選2位通過の青木唯だったが最終日は1794gで総合5位まで落ちてしまう。が、ルーキーで2大会連続お立ち台の快挙。予選2日めの立木ライブスコープシューティングによる5455gが効いた。
年間ポイントランキング 第5戦まで
暫定順位 | 氏名 | ポイント計 | 重量計 | 1位との差 |
---|---|---|---|---|
1位 | 小森嗣彦 | 180p | 37,427g | 0p |
2位 | 藤田京弥 | 166p | 34,733g | 14p |
3位 | 武田栄喜 | 161p | 32,716g | 19p |
4位 | 今江克隆 | 156p | 30,400g | 24p |
5位 | 佐々一真 | 151p | 31,148g | 29p |
6位 | 青木唯 | 149p | 30,241g | 31p |
7位 | 五十嵐誠 | 148p | 31,843g | 32p |
8位 | 早野剛史 | 139p | 30,909g | 41p |
9位 | 黒田健史 | 132p | 28,578g | 48p |
10位 | 山岡計文 | 129p | 31,770g | 51p |
続き.... |
暫定トップだった藤田京弥が28位、暫定2位だった小森嗣彦が8位だったため暫定トップが入れ替わり。そして14ポイントの差がついた。小森嗣彦が4度目のトップ50AOY獲得に王手をかけた。が、14点差は逆転は十分に可能。最後の戦いはもうすぐ11月1日に広島県・山口県の弥栄ダムで開催される!
山岡計文インタビュー
Q:最初に七色ダム全体のことをお聞きします。例年の夏~秋の七色について教えて下さい。今までトップ50は初夏までしか開催されてないので、それ以降の七色について。
A:例年は8月中旬、お盆くらいまでは初夏の感じが残っててシャローに魚が居て虫パターンだったりロングワームだったりのシャローの釣りが有効です。それ以降、朝晩が冷えてきたなっていうタイミングで魚が一気にシャローから消えます。
気づけば6~15mくらいに魚が散らばっている感じになる、というのが例年のお盆以降~9月10月の感じです。
Q:山上湖あるあるでお盆すぎると一気に難しくなる感じですね。
A:ですね。最高水温から落ち始めると一気に状態が変わりますね。
Q:ワカサギはほぼ居ないんですよね。
A:ほぼ居ないです。昔放流事業やってたんですが上手くは行かなかった。でもその時のワカサギが自然産卵して辛うじて生き残ってるレベルです。
Q:ワカサギレイクだとまだ秋もバスを追いやすいですが、それがないと結構難しそうですね。
A:そうですね。4月の大会だと遡上してくる稚鮎がメインベイトになるのでまだわかりやすい。これから11月以降になるとウグイの稚魚とか稚鮎が出てきたりでわかりやすいです。なので、今ぐらい、10月くらいの秋が一番読めないです。
Q:今年2021年はなにか特別なことはありましたか?
A:8月入ってから記録的な長雨でした。二週間とか連続で雨でした。水温気温が上がるべきタイミングで上がらず逆に下がって。9月に入ってダラダラ暑い日が続きました。で、やっと涼しくなってきたかなーっていうタイミング、大会前のタイミングでまた夏日が戻ってきました。桧原湖の大会のときの崩れた台風が通過したあとにまた急に暑くなりました。で、一気に下がってた水温が、トップ50大会の寸前に上がりだしたんです。
20~21℃に落ちてた水温が試合中は23とか24ありましたからね。
季節がそもそもハッキリしてなかったのに加えて、水温が上がったのでもう一回シャローに魚が戻ってきたというのが今回の試合ですね。
Q:ちなみにですが、記者の住む埼玉北部ではもう一ヶ月前から桜の葉っぱが枯れ落ちていますが、スポーツ公園の桜並木はまだ緑色でだいぶ残っていました。例年あんな感じですか?
A:たぶん例年は台風で飛んでるはずですが、今年は10月でもまだ一回も台風来てないんです。だから残っているんだと思います。台風来ると激変するんですよ。台風で水が濁ると七色のバスは視覚を奪われイケイケで波動が強いものを食うんです。なので巻物展開とかスピナーベイト、チャター、クランクベイトっていう釣りになるんですが、今年と去年はそれが一度もないですね。
Q:ではここから山岡さん個人の話になります。ご自宅が湖の目の前ですが、実際どれくらいの頻度で七色で釣りをしてるんですか?
A:ガイド入れると月に10日くらい。月によっては池原のほうが多いときもありますが、均すとそんな感じです。
Q:10月の七色の開催と聞いてどう思いましたか?黒田さんのブログで「10月は難しいから辞めようよ」と山岡さんが言ってたって書かれてたんですが、それは地元としての意見だったのですか?大会で釣れなくて七色のイメージダウンを危惧したとか?
A:辞めようと言ったのは僕自身が釣れなのでやりたくないと(笑) この時期本当に釣れなくてやりたくないと。
Q:周りが釣れないと地元は余計に有利になるとかでは?
A:毎年のことなんですが9月10月は本当に釣りが一番むずかしいんですよ。魚が結局シャローにも少ないし、じゃミドル~ディープでどっかに固まってるのかというと、そうでもなく散ってて。明確なパターンが無いんです。
過去の試合を20年遡って考えても、9月10月の試合でまともに釣ってないです。勝ったりもしてますが、それは台風直後の濁りを使ったり、急増水後のバックウォーターパターンとか、イレギュラーパターンでしか勝ってないんですよ。
Q:それはチャプター奈良とかの大会ですよね?
A:チャプターとかローカルの大会ですね。
苦手なんですよ、ガイドも9月10月は毎年苦しんでいます。日替わりで釣れる日もあれば、全く釣れないとか小バスだけとか。非常に苦手な時期です。10月末から11月になると、低いなりに水温が安定してくると今度はシャローとディープに二極化してくるんで、それこそホバストとかの季節になってきて釣りやすいんです。
Q:今回プラクティスはどれくらい行いましたか?
A:今回は7日か8日です。今回は気合入れて日程開けました。
Q:感触は?
A:感触はずーっと厳しくて、何も糸口が見つからなかったんですが、やっていくうちに、さっき云ったように水温が上がってきて、あれ?これどうやらシャローに魚が増えてきてる?っていう流れになって。最終的にはシャロー勝負しないとビッグウエイト出ないな、っていう感じでした。
Q:お立ちインタビューでMMZの頭刺しのi字引きを発見したのはプラの最後の方と言ってましたが、どれくらい最後でしたか?
A:最終日の午前中くらいに見つけたんですが、もはや試す魚がそんなに居なかったです。でも、たまにポロっと見つけたのに投げると凄い反応が良くて。
Q:ライバル的な人はいましたか?
A:一番怖かったのはコバさんですOSPの(注:小林明人選手)。
Q:それは同じの持ってるからですか?
(注:大会中にプロトのMMZデカを持っていたのは山岡さん・小林明人さん・鈴木隆之さんの3名のみ)
A:同じの持ってるのもあるけどMMZを作った本人ですから、いろんな特性を解った上で仕上げて製品サンプルまで仕上げてるんで。だから、ワッキー刺しじゃなくて頭に刺したときバスの反応が変わることまでコバさんは解っているんでないかと怖かったです。でも、コバさんが初日ローウエイトだったのを見てようやく、あ、大丈夫、って思いました(笑)
Q:他には?
A:もちろん京弥君は怖かったし、あともう1人のコバ、エバーグリーンの(注:小林知寛選手)。彼もちょっと見えてる感じで同じようなシャローでの動きをしてたんで、コバもちょっと見えてるなーって。あとプラで釣ってる印象で勝つかもなって思ったのは武田栄喜。みんなに分かるように釣ってましたね。
Q:西の川で何回か見かけましたが、あそこがメインエリアですか?
A:そうですね。西の川に入って下流から中流がメインです。
Q:釣ったのはほぼあそこということですか?
A:西の川全体で釣りました。初日だけ上流でも釣って2日め以降は中~下流域でした。
Q:いつもより西の川は濁ってたと思いますが、あの水色で魚が見えるんですか?
A:えーと、見えるやつは見えます。
Q:お立ち台インタビューによるとほとんどサイトで釣ったんですよね?
A:そうです。
Q:他の選手には見えてないんですか?山岡さんにだけ見えてるんですか?
A:いや、他の選手は見ようとしてないですね。僕は食わせ方とルアーを他の人よりも解ってたんで・
Q:あーなるほど。
A:ブラインドで釣ってってサイズを選べないよりも、サイトで魚を選んで釣ったほうが勝ちに近いと思って。そうすると小バス釣らなくても良いし。
Q:魚体が見えてるってことですよね?
A:魚体が見えててサイズがわかった上でのアプローチですね。
Q:ここが今大会のキモだと思うんですが、山岡さん以外にもトップ50にはそうそうたるサイトマンが居るじゃないですか。彼らには魚が見えてないんですかね?山岡さんにだけ見える。
A:もしかしたら彼らにも見えてたのかもしれないけど、アプローチしても食わないから諦めていたかもですね。試合中結構諦めていた部分あると思います。
Q:確かに例年に比べて西の川にサイトマンはあんまり居なかったですね。
A:サイトで見えた魚を釣るってことに関してはみんな諦めモードだっと思います。あまりに反応しなくて。
Q:ちなみにどれくらいのペースで見えるんですか?一時間に5~6匹とかのペースで?
A:そんな程度ですね。その代わりMMZ投げると高確率で口までは使います。
Q:凄い釣りだったんですね。
A:特に初日はすごかったですね。木曜日のオフリミットでプレッシャーが抜けたぶんもあってことごとく釣れて。でも、オレが西の川でめちゃ釣ったことを知ってて2日めは西の川の人が増えすぎて、やるところがなくなって。常に人がいる状態になって魚もシャローに上がってこないし。
Q:あ、すいません、初日に戻りますね。初日は何匹くらい釣ったのですか?
A:何匹だろ?10本以上。初日に釣った一番大きい2900ってのが1匹めなんですよ。朝イチきなり岩盤にあれが見えて。岩盤際にぴゅっとMMZ投げたら一撃で食ってきて。ネットに入れた瞬間過去最大の雄叫びあげました(笑) 横にいた前田憲次朗に山岡計さん叫びすぎですよって言われました(笑)
Q:その後の展開は
A:西の川で釣って北山川でも釣って、入れ替えはなかったけど下流でも釣って。とりあえず見えれば食うな、っていう感じでした。
Q:具体的にMMZ3兄弟(チビ・ナミ・デカ)で釣った割合はどんな感じでした?
A:基本的にはナミをセットしたタックル使ってて。初日はナミとデカが多かったかな。2日めは逆にナミとチビ。ナミで食わないけどチビ投げると食ったみたいな。で、最終日はデカのほうが反応良かった。トガシさん(記者)が居るときに釣ったのもデカだったと思います。
Q:デカ持ってるの3人だけだったんですよね
A:そうです。デカだけはボートの横にぶら下げておきました(笑)
(注:他の選手にバレてもデカはまだ売ってない)
Q:でもナミでも釣れたということは、もしかして頭刺しのi字引きを他の人が気づいていたら、ってことですよね
A:そうですね。その可能性はありましたね。でも、そんな刺しかた一つで劇的に変わることに気づく人は居ないだろうと思ってました。
Q:よく気づきましたね。
A:i字引きしてみよう、から始まったんですけどね
Q:ライン撚れないんですか?
A:案外クルクルは回らないんですよ。全体で水を噛むんで。でもたまに回るのもあります。でも回ったら回ったでトラウトにもありますよね
Q:グルグルエ・・でなく
A:セニョール・・
Q:あ、セニョールトルネード!
A:あのノリで意外に反応いいんじゃね?みたいな。
Q:2日めに入ります。天気とかほぼ同じで。水位がちょっと違ったんでしたっけ?
A:水位がちょっと増えました。天気は変わらず。ただ西の川は人が増えたのとプレッシャーとで全く食わなくなって。二日目は凌ぐのにネコリグも使いました。
Q:ネコリグはブラインドですか?
A:サイトでデカイのも釣ったけど、後半はリミット揃えるのにネコリグ入れました。300gが最後まで残ってて、それをMMZのネコリグで1キロに入れ替えできて4キロ行った感じですね。
Q:では二日目は案外キツかったんですね。数もそんな釣ってない
A:7~8匹は釣ったけどサイズが伸びず。闇に落ちてましたね(笑)。同船してたBasserの金沢さんに当たってました(笑)。かなりダークサイドに落ちてました。
Q:確かに初日7700で2日め4000ですからね。
A:あーやばいな、みたいな。
Q:とはいえ予選トップ通過でした。ウエイト差がゆいピーと2500。でも七色のポテンシャル的に2500はぜんぜんアドバンテージじゃない感じで。どんな気持ちでしたか?ゆいピーとか怖いですよね。
A:めっちゃ怖いですよね。なんか2日めはディープやってる組とか立木のライブスコープやっている組がウエイト上げたんですよね。で、あーやばいな、と。
シャローにプレッシャーがかかってきて魚が沖に出た、と。これはマズイぞと。
ただ最終日は30人になるじゃないですか。人が減ったら西の川に魚が戻ってくるだろうというのがあって。もうやることは一つ、上がってきて見えた魚をMMZ三兄弟でやっつけるしかないと。で、自分のウエイトが5キロ超えた時点で、もうこれで負けても仕方ないなって思ってました。
Q:3日めは天気変わったじゃないですか。雨曇りで風も吹いて。水もだいぶ減ってました。影響は無いんですか?
A:影響あるってゆっても、七色は水が減ったとか増えたは毎日起こるんで。それを理由に釣れた釣れなかったって云ってる時点で駄目なんですよ。
Q:なるほど~
A:他の選手はよく云ってるけど、もう目の前を釣るしかないんですよ。こうなったら、ここに魚がいるだろう、と常に臨機応変で。
で、風と濁り対策で僕は西の川と北山上流をメインエリアに選んでいました。そこは両方に強いんで。
Q:3日め5キロくらいでした。どんなペースだったんですか?
A:8時半ごろに3本で、10時前にはリミット揃ってたかな。
前日の釣れない状況があったんで、最終日の朝イチで前方にMMZのネコリグを投げながら魚を探してました。そしたら勝手に食ってる、みたいなのが朝イチありました。で、ポロポロ3本釣って、これで5本揃うのは問題無いって思ってサイズ狙いのサイトメインにして。で、MMZナミで食わないのもデカだと反応いいな、みたいな感じで、そっからはデカで入れかえしました。
Q:取材艇で2~3回西の川に行って9時過ぎに山岡さんに聞いたら「5」を指で示してくれました。他の上位陣は苦戦してそうな中、山岡さんはリミットメイク。
なんか、もう美しすぎる完璧な展開じゃないですか?
A:美しすぎるけどやってる本人はもう必死ですけどね(笑)。でも、蓋開けてみたら最終日、1匹釣った時点で優勝だったんですよね。実は朝イチ1匹釣った時点でオレ勝ってた、みたいな。
Q:5キロ差で優勝ってめったにないですもんね。そんな湖もトップ50の会場ではなかなか無い。
A:あのメンツでやったらそんなに差がつかないですからね。
Q:もしMMZの頭刺しに気づかなかったらどうなっていたと思います?
A:たぶん9~10キロは釣れたとは思うんですが、ただの人で終わってたと思いますね。お立ち台に絡むか絡まないくらいの。
Q:それだけ凄い発見だったんですね
A:あのルアーと、あのセッティングのコンビネーションが完成したときの爆発力は凄かったですね。明らかにルアーパワーが凄いですね。MMZに勝たせて貰えましたね。
Q:でもそれをプラの最後に見つけるって神がかってますね。
A:そうですね。だから、もう神様がもう”いい加減勝って良いよ”って教えてくれたんだと思います(笑)
お立ち台でも言いましたが、OSPのコバさん、小林明人プロにはエリートも勝たせてもらって(注:2017年エリート5を小林が開発したOSPドライブビーバーで優勝)、七色戦トップ50で勝たせてもらって本当に感謝しかないです。
Q:小林さまさまですね
A:両大会ともコバさんも出てるのに、小林さんはそんなに使ってないっていう。
Q:最後になにかありますか
A:今回、僕の場合初日が全てでした。釣れるだけ釣ろうと、覚悟決めてましたから。スタートダッシュ決めないと勝てないと。
Q:初日に5キロとかでセーブしたら駄目ってことですね
A:一昨年は2日めにセーブして三原に負けたんです。あれが良い教訓になりましたよ。あのときは2日めの朝9時に5700かなんか釣って、そこでセーブして翌日のプラをしてました。結果、最終日にひっくり返されて逆転されたんです。
だから釣れるときに貯金しておかないと絶対に勝てないと思って。今回は初日がその貯金チャンス日でした。余裕ぶっこいてたら勝てないです。
Q:長い時間ありがとうございました。
PS:山岡計文選手には3日間Basser誌が同船しました。詳細はそちらをご覧ください。
写真:NBCNEWS/BASS MAGAZINE
レポート:NBCNEWS H.Togashi