激釣れな秋の野尻湖
冨沢真樹が驚異的ウエイトでパーフェクトゲーム達成
2024年JBマスターズ最終戦が長野県野尻湖でダイワCUPとして開催された。野尻湖の湖中央部は水深が30mを超えるが、ボトムの深さは関係なく表層~中層でワカサギを捕食するのが野尻湖のバス。初日~2日め午前中まで曇天・無風~微風の天気でバスの活性は高く、湖の至るところでナブラが発生していた。上位陣の多くは20~30mラインの表層~中層にいるキロアップのみに狙いを絞り、連日ハイウエイトを重ねた。冨沢真樹は初日4,220g、2日目3,995gという圧倒的ウエイトを持ち込み両日ともトップの成績で完全優勝を果たした。
Day1 3キロが続々! 冨沢真樹はまさかの4キロ超え!
大会初日は終始ローライトな曇天無風~微風の天気だった。記者は取材艇で湖を2周ほどしたが、琵琶島の南側や湖中央部ではひんぱんにナブラが発生していた。
人気エリアとなっていた琵琶島南は特にナブラ発生が多くヒットシーンを何度も見ることができた。
FFS前の秋の野尻湖戦では湖西側のディープフラットや菅川ワンド沖のフラットにボートが多く集まっていた。野尻湖は20mを超えるエリアがほとんどなので、10m台のディープの釣りをするとなると必然的にそれらのエリアを攻めることになる。
FFS導入以降は状況が変わった。もともと湖中の表~中層にバスがいることはわかっていたが、ボイル撃ち以外でそれらを狙うのはかなり困難だった。しかしライブソナーの普及によりバスたちの聖域はなくなった。
FFSを使いこなしている選手は各自、湖のど真ん中をハイペースで小移動を繰り返しながらライブシュートしていた。
マスターズシリーズは去年からバッグリミットが3本になった。そして今大会が野尻湖戦で初の3本リミット制での戦い。過去の感覚だと900g✕5本=4500g釣ればお立ち台~優勝ライン。3本リミットなら3キロ釣れば圧勝?というイメージだった、が、近年の野尻湖のコンディション向上は記者の想像を遥かに超えていた。
初日トップは冨沢真樹。脅威の4220gをマーク。3で割れば1406g。1400のスモールマウスは概ね50アップらしいので、大会中に50アップ3本という驚異的な結果だ。
初日2位はマスターズルーキーながら第3戦でお立ち台に立った北原麻七都で3,860g。
3位中田敬太郎、4位藤田夏輝、5位小林翼らは湖中央のFSS組。アベレージが700~800gという野尻湖で1200クラスで揃えるという頭一つ抜けたウエイトを持ち込んだ。
6位の船本尚宏から24位の鬼形毅までが3キロ台。93名中3キロ超えが24名という劇的な釣れ釣れ状態だった。違う湖ではあるが、先日開催されたトップ50桧原湖戦でも3キロ超えはほぼなかったことを考えると、この日のウエイトの凄さがよくわかる。マスターズ戦はタフな大会ばかりだが今大会は類稀な釣れた大会だった。
Day2 冨沢真樹が2日めも3995gを持ち込み圧倒的完勝!さらにV2達成
2日めも朝から曇天無風・微風でそこら中でナブラが発生していた。この日も取材艇でまわってみた。選手分布は前日とあまり変わらず。琵琶島南側に小船団、それ以外は広範囲に散らばっていた。
初日上位陣の多くは湖中央部に浮いている。一箇所で粘ることはなくハイテンポで小移動を繰り返していた。ある選手によると「釣れる群れと釣れない群れがある」「何回もアプローチするとスレる」それらの理由で粘ることなくハイテンポでアプローチ・見切り・移動を繰り返すという。
帰着2時間前の11時過ぎに天気が回復し青空が覗くようになった。すると湖にはちょっとタフな空気になりそれまでの釣りを諦めボートの往来が激しくなった。ヒットシーンも見ることはなくなった。
13時に検量が始まる。この日もよく釣れて38%がリミットメイク。3キロ超えが15名。圧巻は冨沢真樹。この日も脅威の3995gをマークし単日トップ。マスターズはポイント制で競われるので初日満点・2日め満点の合計220ポイントでパーフェクト優勝を果たした。ちなみに冨沢真樹は今年マスターズに2回だけ参戦し2回とも優勝という超ハイコスパな2024年シーズンだった。
冨沢真樹はプリプラに10日間ほど入り今までの8~9mのエリアでは勝てないと思い20~30mラインまで捜索範囲を広げ、大きい個体がいるエリアを探しまくった。その結果、国際村沖や龍宮沖に大きい魚がいることを掴んだ。
表層ではなかなか食わせられず、なるべく深いレンジを狙いビッグフィッシュだけを釣っていった。数をたくさん釣ってウエイトを伸ばしたわけでなく、初日9本、2日め5~6本であのウエイトを達成したという。とにかくでかい魚だけを狙うという戦略が見事にはまっての完全勝利だった。
準優勝の小林翼も結果的に冨沢真樹とほぼ同じような釣りにたどり着いていた。両者とも3/4ozのフットボールヘッド+5インチの小魚タイプワーム(フラッシュJスプリット5インチ・サカマタシャッド5インチ)を使用。小林も浅めのレンジでは食わせられず、なるべく深いレンジにいる個体に20mくらい追わせて口を使わせるという超ハイテクを投入し頭ひとつ抜けたウエイトを持ち込んだ。
上位2名の共通点は「深め・5インチワーム・重めのジグヘッド」だった。
その一方で3位の藤田夏輝は得意のマイクロホバストを使用した。朝イチは表層を狙い、魚が沈みだした9時以降は8~14mを泳ぐバスに狙いをシフト。マイクロワームを10m前後に送り込んでのシューティングという匠の技で初日3700、2日め3300台をキープした。
総合4位は佐々一真。こちらは去年秋のトップ50桧原湖で青木唯が公開したスピニングPEタックルによる3/4ozシンカー+マイクロワームのスーパーヘビーダウンショットの釣り。速いフォールやロッドをパンパン煽ってのリアクションで口を使わせた。
ボイル狙い組みの最上位が西川慧。唯一ライブソナーに頼らず目・耳でボイルを狙い撃ちし両日3400台を持ち込んだ。
2024年JBマスターズシリーズA.O.Y.は加木屋守が獲得
2019年までJB参戦し、その後去年までアメリカにチャレンジしていた加木屋守が2024年マスターズに復帰。第3戦終了時で暫定ランキング1位となっていたが、2位、3位は現役トップ50選手が僅差で追っていた。初日終了時点で加木屋守は27位、佐々一真が11位となり一時的に逆転を許した。
2日目に加木屋守は3550gで単日5位の成績を収め総合14位まで復活。佐々一真は総合4位で超絶激戦となった。結果、両者まさかの同ポイントとなり重量差で加木屋守がA.O.Y.を獲得した。
年間上位20名にはトップ50昇格への道が開かれる。
写真・レポート:NBCNEWS H.Togashi