初日ラージ3本含め6560gでスタートダッシュ! 残り2日は従来型ディープの釣りで手堅くまとめる
カジヤンこと梶原智寛 デビューイヤーでいきなり優勝!
2022年トップ50シリーズ最終戦がまかつCUPが10月14日~16日に福島県桧原湖で開催された。晩秋のスモールレイク戦の鍵を握ったのは2キロ超えのラージマウス。梶原智寛が初日3本のラージマウスを混ぜ6560gという桧原湖レコードを樹立しスタートダッシュを決めた。残り2日間はディープで手堅くまとめ小学生からの夢だったというトップ50優勝をルーキーイヤーで達成した。
過去最遅での開催・過去最多ラージ目撃タイミング
9月・10月の桧原湖戦は過去10回行われているが、多くはまだ夏の気配が残る9月に開催された。2019年は10月11日~13日の開催でそれが過去最遅。今年はそれよりも少し後ろにずれた過去もっとも遅い秋開催となった。9月中であれば20℃ある水温も10月半ばは15℃前後と湖のようすは変わる。そして2022年の特徴として8月3日に大雨に見舞われ大量の土砂が流入し広範囲に濁りが発生したことが挙げられる。その濁りの回復が長引くなかフォールターンオーバーも加わりいつもの桧原湖よりは濁っている状態での開催となった。
地元筋の話によれば例年この時期はワカサギ絡みの表層パターンが効くが今年はワカサギのレンジが深く(8~13m)表層の釣りは不調。ボイルもほぼ見られない。そして東日本を襲った10月1週目の急な冷え込みでシャローから魚が消えた。
が、10月9日ごろから冷え込みが緩みシャローにエビが差してきた。それに釣られるようにシャローに800クラスのエビ食いスモールや過去に例をみないほどのラージマウスがシャローに上がってきた。公式プラの12~13日頃はラージマウスが過去最多レベルで見えたらしい。そんな状況下での開催となったのだ。
結果的にサイトを得意とする梶原智寛・藤田京弥のワンツーフィニッシュだったのは、ラージが上がってきたという彼らにとっては神がかったタイミングで開催されたことが大きかった。
Day1 曇天・無風・温かい朝 ラージ狙い組が炸裂。梶原智寛6,560gの桧原湖レコード樹立
記者は予選の2日間陸上と湖上から全体を見てまわった。例年夏・秋の大会で人気となる早稲沢~最北エリアは人気薄で2~3艇のみ。馬の首エリアのワンド・バンクやちょい沖の水中立木にポツポツと点在し無名島周りに2~3艇。もっともボートが多いのが月島周辺。それでも大船団というわけでなく10艇前後。こたかもりエリアにポツポツ。京ヶ森はガラガラ、最南部にポツポツ。ここまで選手がバラつく大会は珍しいと感じた。
9割以上の選手の視線は水面になくフロントのモニタ。実釣時間の95%は画面を見ている。賛否あってもこの流れはもう止めることはできない。
そんな中、岸ギリギリのシャローを攻めていたのが藤田京弥と三原直之。藤田京弥はハイテンポなランガン、エレキMAXスピードでの魚探し、見つけたら手を替え品を変えてのアプローチをしていた。
初日は昼過ぎまで無風~微風のローライト。この時期の桧原湖にしては暖かめの気温。後から振り返ると全てがラージの狙いに適した一日だった。
朝のミーティングが長引いたため30分延長し15時30分から検量が始まった。
早々と検量台にやってきた藤田"兄"夏輝が特大ラージ1本(55cm 2312g)とそこそこラージを混ぜ4925g。負けじと"弟"京弥も特大含む2本のラージを釣り5320gを記録し会場を沸かせた。極めつけは梶原智寛。2キロ級2本とキロクラス、合計3本のラージ+スモール2本で6560gを持ち込んだ。2013年桧原湖大会で馬淵利治がラージ5本で6325gを持ち込みそれ以上の記録はなかなか出ないと思われたが、その記録が更新された。
普段よく釣れる湖でもトップ50の大会中に6キロ台がでるのはかなりレアケースだ。
以上上3位名が2キロクラスのラージを1~2本混ぜてきた。ラージ無しのトップは冨沢真樹で4,010g。桧原湖戦は僅差の戦いになりがちで、今回はラージなしの場合3キロ釣って予選通過、3500を超えるのが上位入賞の目安、夢の4キロ行けば万々歳という感じだった。故に梶原智寛の6560gは2日分のウエイトに相当しかなりのアドバンテージを得てのスタートだった。
Day2 ラージ沈黙の2日め。大塚茂がスピナーベイトでトップウエイト
2日目も曇りベースだが初日よりは青空多めで始まった。地上ではそれほど感じなかったが2日め朝の湖上はかなり寒かったと選手が口を揃えた。後に気象庁のデータをみたら確かに初日より朝の気温は数度低かった。
その冷え込みが効いたのか、初日に釣られてしまったのか結果的に2日めビッグラージを仕留めたのは藤田夏樹のみだった。
選手全体の分布は初日と変わらず月島周辺が一番人気。馬の首に点在という感じだった。
この日のトップは大塚茂。5本リミット揃った後に月島裏シャローに移動しスピナーベイトをキャスト。結果、下の450g2本を800gに入れ替え4064gまでウエイトアップした。
無名島周辺でマイクロベイトのホバストをしていた藤原啓司が4046gで単日2位。
唯一ビッグラージを持ってきた藤田夏輝が4,024g。続いて弟京弥が4,012gで4位。
梶原智寛は初日の試合中にエンジンが故障。2日めはレンタルボートで出船。GPSデータの移動などは行わず「山立て」でポイントに入ったという恐るべき22歳だ。またライブスコープは使わず従来型の2D魚探しか使っていない。その梶原智寛のウエイトは3,632gで単日10位だった。
予選結果 藤田兄弟がワンツー通過
ポイント順での予選結果は藤田京弥・藤田夏輝・藤原啓司・梶原智寛と藤と原の字が並んだ。
重量順の順位では初日の貯金が効きまくった梶原智寛が藤田京弥に860gの差をつけてトップ。ラージマウスが難しくなった状態で860gの差をひっくり返すのはかなり難しい。しかし藤田京弥ならそれをもやってしまいそうな強さであることは疑う余地も無い。
Day3 梶原智寛3キロをキープしトップ50初参戦初優勝
決勝日は朝から素晴らしい秋晴れになった。まだ紅葉のマックスは一歩手前だが色づき始めた木々と青空のコントラストは美しかった。が、選手たちに景色を楽しむ余裕はなくひたすらモニタに集中している。
こたかもりエリアの駐車スペース沖側にプレスを乗せたボートが浮いていた。暫定トップの梶原智寛だった。初日にエンジンが故障し2日めはレンタルボートで、そして最終日は林祐吾のボートを借りての参戦だった。先にも書いたが梶原智寛はライブスコープ等の最新デバイスは使わず従来型2D魚探をチラ見する程度。エレキのGPS自動ステイ機能も使わず自分の足でボートをコントロールしていた。
こたかもりの対岸にある月島周辺は今日も人気エリアで一般のかたのボートも含め10数艇浮いるのが望遠レンズ越しに見えた。その中には藤田兄弟の2艇が含まれる場面もあり、こたかもりは暫定上位3名が一望できるスペシャル観戦スポットだった。
朝イチに1本釣ったっきりバイトが無かった梶原智寛だが、ベタ凪からさざ波に変わった10時頃から頻繁にロッドを曲げていた。
結果、最終日は梶原智寛・藤田京弥ともに3100g台を持ち込んで予選通過時の860gの差は変わらず梶原智寛が逃げ切り優勝。
小学校のときに憧れたトップ50の舞台。齢22歳で初参戦初優勝の快挙。しかも福岡県からの参戦でかなり遠い地での優勝。昨今は藤田兄弟や青木唯の目覚ましすぎる活躍もありその意味や驚きが薄れがちだが、参戦一年目でこのメンツの中でトップになれることはひと昔前では考えられなかった。本当に素晴らしい快挙だと思うと同時に「新時代」が来たと痛感する。
総合2位は藤田京弥。初日の5300gはもちろん、2日めのスモールのみでの4キロはさすがとしか言いようがない。そして時間が短い最終日にもきっちり3キロを釣ってくる底力を見せてくれた。今回もYouTube「京弥のターン」カメラマンがフル同船している。本人も今回のシャローの戦いはかなり楽しかったようで、今までで一番面白い回だと思うと言っていた。来年のトップ50参戦は日本側のスケジュール次第と言っていたが、とりあえず最後の最後まで日本中を驚かせワクワクさせてくれたことに感謝したい。
3位は藤田夏輝。初日・2日めと連続してラージのキッカーを釣ってきた唯一の存在。そして最終日も単日4位の3450gを釣り弟と同じ計12キロ台に乗せ総合3位。ありそうで無かった兄弟並んでの初のお立ち台。
4位は冨沢真樹。4,010g・3,804g・3,892gで11,706g。オールスモール組での最高ウエイト&順位。現在は河口湖在住だがもともとは地元福島出身で桧原湖には昔からよく通っていた。トレーラーウエイイン、そして晴れ舞台にあがる姿をご両親に見せることができたそう。
5位は吉川永遠。第1戦遠賀川で39位を食らったが、それ以降はメキメキと頭角を現し参戦2年目にして5戦中3戦お立ち台に上がった。年間ポイントランキングも2位でフィニッシュ。小森嗣彦の結果次第では年間チャンピオンもありえる勢いだった。
吸収が早い20代の選手たち
去年秋の時点でマイクロベイトのホバストによるライブシューティングを実戦投入していたのは藤田京弥・佐々一真・青木唯の3名のみのシークレットで、その3名も試行錯誤中ながらも全員お立ち台にあがった。
その後、あの釣りが公開されたため、多くがあの釣りを導入。今大会も3位の藤田夏輝、4位の冨沢真樹、5位の吉川永遠がマイクロベイトのホバストによるライブシューティングを行っての入賞。タックル撮影時に全員のタックルを手にしたが、全員が同じようなタックルセッティングに辿り着いてることに驚いた。
今回はお立ち台5人全員が20代。若手は新しい釣り方への柔軟性や吸収力がずば抜けて高い。もちろんリグを真似したからと言って簡単に釣れるほど甘くはなく各自のセンスや練習量もすば抜けているんだと思う。
小森嗣彦が4回目のA.O.Y.獲得
年間ポイントランキングNo1のA.O.Y.は小森嗣彦が獲得。いままで青木大介と小森嗣彦が3回AOYを獲得しトップタイだったが、今回小森嗣彦が4回目を獲得しJB史上初のV4を達成した。去年はまさかの1点差で藤田京弥に逆転されたが、今年は初日31位スタートと危うい場面もあったがその後は20位台でうまくまとめ、7点差で逃げ切った。ベテラン小森嗣彦が48歳でAOYを獲得した一方、年間2位吉川永遠、3位今泉拓哉、4位青木唯、5位藤田京弥、6位江尻悠真と20代が続き新時代の到来でもある。激変したバストーナメント界、来年はどんな驚きを見せてくれるのだろうか。
梶原智寛ロングインタビュー

少年時代 青木大介プロに出会って中学生でトーナメントデビュー、そして優勝
---梶原選手の生い立ちを教えてください。福岡出身ですよね
はい。福岡県の宮若市です
---遠賀川の近くでしたっけ
そうです。遠賀川支流の犬鳴川という川の源流に住んでいる感じです
---何年うまれでしたっけ
1999年生まれです。
---つい最近ですね。99年生まれ22歳、いわゆるZ世代。釣りはいつぐらいにどんな感じで始めましたか?
3歳からやってまして。3歳から小学校3年くらいまでずっと海をやってまして。お父さんの知り合いと一緒に。海でもずっとルアーフィッシングをしていました。船でやってました。
---え船で。それは凄い英才教育ですね。
ジギングとかキャスティングとか海をやってまして。で、お父さんの休みである土日が待ちきれなくて一人でバス釣りを始めまして。バス釣りを始めたら僕的には衝撃的に一番楽しくて。バス釣りと出会ってからはもうバス釣りしかできなくなりました。
---それは何歳くらいのとき
小学校3年生くらいなんで9歳とかですね
---釣り場は近所の川ですか?
犬鳴川が家の目の前でバスが居るのかも知らなかったんですけど、ルアーを知り合いにもらって投げに行ったら、まさかの、釣れまして。それで嬉しくて嬉しくてハマっちゃいました。
---そんな感じでバス釣りにハマって、トーナメントに興味が出たのはどんなきっかけで?
小学校3,4年生のころから雑誌なんかで青木大介さんを見るようになって。カッコよくてすぐに憧れちゃって。で、そっから色々勉強して、中学校一年生のときに青木さんのトークショーに初めていきまして。
トークショーが終わったあとに直接話すタイミングがありまして、青木さんに「ファンです。ディスタイルのプロスタッフになりたいです」って云ったんですよ。したら「君がいつかトーナメントで強くなったらサポートしてあげるよ」って言われました。
---えーーいい話だ
「頑張りな」って言われてまして。で、トーナメントってどういうのに出たらいいんですか?って聞いたら、NBCっていうのがあって、そっからJBに上がってっていうお話を聞きまして、じゃ来年からチャプターにでるって自分の中で思って。中学校2年生から北山ダムチャプターとヒューマン福岡校チャプターの2つにでました。
---(WHOIS3画面を見ながら)それは2014年ですね。
梶原智寛選手の優勝リスト
年 月日 | トーナメント | 順位 |
---|---|---|
2022 10-14~ | JBトップ50第5戦最終成績/桧原湖/がまかつCUP | 優勝 |
2022 10-14~ | JBトップ50第5戦1日目/桧原湖/がまかつCUP | 1位 |
2021 07-10~ | JBマスターズ第2戦最終成績/霞ヶ浦/サンラインCUP | 優勝 |
2021 07-10~ | JBマスターズ第2戦2日目/霞ヶ浦/サンラインCUP | 1位 |
2019 10-13 | チャプター九州ブロックチャンピオンシップ遠賀川 | 優勝 |
2019 08-25 | チャプター福岡第5戦遠賀川/タックルベリーCUP | 優勝 |
2017 | チャプターヒューマン福岡校年間成績 | 年間1位 |
2017 07-15 | チャプターヒューマン福岡校第3戦北山湖/イマカツCUP | 優勝 |
2017 06-11 | チャプター北山湖第3戦北山湖/デュエルCUP | 優勝 |
2017 05-13 | チャプターヒューマン福岡校第1戦北山湖/うおまんCUP | 優勝 |
2015 10-11 | チャプター九州ブロックチャンピオンシップ北山湖 | 優勝 |
2015 08-23 | チャプター北山湖第5戦北山湖/うおまんCUP | 優勝 |
2014 08-24 | チャプター北山湖第5戦北山湖/うおまんCUP | 優勝 |
そうです。手漕ぎボートで2年間でて初年度で優勝しちゃったんです。で、次の年も優勝したんです。


---凄いです。2015年はチャプターとブロックチャンピオンシップでも優勝。手漕ぎ中学生の優勝。
で、高校一年生のときに自分でエレキを買いまして。30ポンドくらいの。それで3勝くらいしました。その年の青木さんのトークショーに行ったら、青木さんが覚えてくれてて、優勝した成績も知っててくれて、その時点でサポートのお話をいただきました。
---超エリートですね。凄いです。
JBマスターズ昇格2年目で藤田京弥と争う~トップ50昇格
その後18歳になってようやくJBに上がれるってなって。
---JBルール的に18歳以上じゃないとプロ登録できないってやつですね
そうです。2018年に18歳でJB九州に登録しました。でもぜんぜんいい成績は出せなかったんですが、僕はなによりもトップ50に上がるのが小学校からの夢だったので、次のステップのマスターズに上がりたかったんです。が、運転免許もとったばっかりでボート引っ張ってのトレイルは不安でした。なので、知り合いが四国にいることもあって2019年はJB九州のほかにJBII四国にも登録してトレイルの練習しようと。
で、JBII四国もいい成績は出せなかったんですが、JBマスターズに上がれるということで、次の年にマスターズに上がりました。
でも、やっぱりマスターズはレベルが違って。今でもJB九州でもそんな成績出せてませんが、それでもやっぱりマスターズはレベルが違って、ちょっと度肝を抜かされたんですけど、その初年度で感覚的なものはわかって、次の年には絶対にトップ50に上がるぞ、って感じで2021年は優勝と準優勝とできまして。
---あっという間にもう去年、2021年の話ですね。
そうです。後半ちょっと落としちゃったんですけど、マスターズ年間9位でトップ50に上がれまして。
---あっというまの数年間でしたね
そうですね。僕も思ってたよりはサクッといけて。良かったなって。マスターズに5年間くらいチャレンジしないといけないのかな?ってのがあったんですが。ポンポンとリズムよく来れたので自分でも驚いています。
---だいぶ遡るんですが北山湖の優勝について。北山湖に私行ったことないのでわからないんですが、ディープの釣りなんですか?
北山湖はこの時はデスレイクと呼ばれててウエイインが10人行くかいかないかだったんですけど、その頃の九州のかたはディープとかカバーの釣りをメインにされてました。僕は犬鳴川で育ってサイトが凄い得意というかやり込んでいたので、自分にはサイトしかないな、ってことで北山湖にサイトのパターンを取り入れました。北山湖って出会えないんですけど一日回ったら3匹50アップみたいな感じだったんですよ。それを仕留めれば勝てる、みたいな。そういう感じでサイトを軸として勝ってました。
---それは今回の優勝にも繋がるんですね
そうですね。もうサイト大好きなんで。
---去年の津風呂湖の準優勝はどんな釣りでしたっけ?
あの時も今回と同じような感じで
---あ、一箇所の立木にバスが湧いてくる的なやつでしたっけ?
そうです。みなさんがライブスコープで沖をやっているときにシャローになにか隙間があるんでないか?ってプラン組んでいたら一箇所のちっさいワンドのちっちゃい立木にスクールが入ってくるのに気づいて。
---あの時は京弥君がライブスコープで優勝したんですよね
そうです。めっちゃ悔しい思いしました(笑)
---で、その次のマスターズの優勝。これも凄いことです。これは確か野良ネズミのパターンで
そうです。野良ネズミのスロートゥイッチパターンでしたね
---それってバスが見える訳では無いですよね?
これもプラのときから、見えるやつは反応するけど食わなかったんですよ。でも、そいつらが入っていくのを見て、入ったらキャストする感じです
---バスの反応見て食わせてる訳ではないけどバスを目視してからキャストしてるってことですか。半サイト的な。古渡のあの水色で泳いでるバスが見えるんですね(驚)
昔から目がすごい良くて。青木さんとプライベートやロケで一緒に釣りした時も「お前目良いな」ってよく言われました。本当に目は良いんです。
---あのサイト名人青木大介プロも認めた目の良さ
「あそこにバス居ますよ」っていうと「見えない」って青木さんに言われて。「あそこ泳いでますよ」っていうと「お前凄いな」って言われまして。
---それは凄い超能力、特殊能力ですね
本当に目はいいんです


---で、この霞戦のときも京弥君が2位だったっていう
そうですね。あのときはもう何よりも嬉しかったですね。僕的には京弥君はJB九州時代から、18歳くらいのときにパッとでてこられて。自分の知ってる選手たちがもうボコボコに京弥君にやっつけられて。すげー倒したいって思ってて。
---そんな2021年のJBマスターズで年間9位になって今年トップ50に上がりました。第1戦め遠賀川は地元だったけどちょっと外しちゃって。
そうですね。
---よくある話なのでどんまいですね。第4戦くらいまでは普通な成績で。で、ようやく今回の大会の話になります。桧原湖は今年初体験でした?
2年前にマスターズが桧原湖であるってなって、あのときに一週間だけ練習しました。
---あ、結局中止になったときですね。あの時と季節は全然違うけど湖全体の雰囲気は知っていたわけですね
そうですね。
9月中旬のプリプラクティス期間
---で、今年のプリプラ期。プリプラは9月中頃?下旬?
霞戦終わって、そのまま行きました。みなさんより早く。
---その頃は夏の終わりというか秋の始まりというか
そうですね。僕が行った時はまだ朝は16℃とかあって、ちょっと涼しいなくらいで、まだそのころは夏の終わりくらいな感じで。
---水温も20℃くらい
そうですね20℃ジャストとか21℃とかだったんですけど、もう凄い釣れまして。でもその頃は周りも釣れてるって言ってたんで。特別自分だけ釣ってるって感じはしなかったです。
---それはディープだったりシャローだったりどこでも釣れちゃう的な?
そうですね。シャローもディープもミックスしてたんですけど、けどですね10日間プリプラしたんですけどラージは一回も見てないんですよ。
---それは意識してラージを探そうとはしたんですか?
ラージが見えるならラージを狙いたかったんで意識して探しました
---でも全く見えなかった、と
居なかったですね。スモールも今と比べると凄い小さいのが多くて。沖やったほうがウエイトでるかな?っていう感じだったんですね。
---5匹トータルでいうと4キロはいかないくらい
そうですね。良くて4キロチョイとかの日はあったけど4キロいかないくらいですね。けど3500釣れば割りと良いほうだろうとは思ってたんで、10日間の中で3500を釣るっていうプラクティスをしました。で、そのときに僕もライブスコープを付けたんですけど、圧倒的にライブスコープの技術が無いことに気づきました。
---え、あ、今までライブスコープは一切付けてもなかったんですか?
前回くらいからちょっと付けた感じです。夏前くらいから。でも霞戦だったので全然使わず。今回はイザってタイミングだったので使い始めたんですけど全然駄目でこれに囚われ過ぎたらマズイな、と。だから、なるべくシャローでパターンを組みたいな、ってずっと思ってたんです。あとは2日め3日めは絶対キツくなるだろうと。だから初日だけでも凄いウエイトだせないかな?っていうのはずっと狙ってて。
大会直前プラクティス
---そんな感じでプリプラを終え大会直前プラになりました。プリプラから1ヶ月弱経って
そうですね3週間くらい経って。とりあえずシャローをぱーっと流したら、もうびっくりするくらいラージが居まして。共通してたことがあってですね、全てちっさなワンドの中のポケットみたいなところに居たんですね。なのであんまり表側に居ないというか。なのであんまり水が動いてなくても良いんだ、って感じで。ちっさいワンドのポケットのレイダウンっていうのがすごい重要で。か、ウィードですね。
最初にラージを見つけた時、7匹のスクールだったんです。なのでまずはラージを見つけるプラをしました。そして4ヶ所ほどおさえまして。4ヶ所ラージ居るなーって感じで。で、釣り方は色々やった結果、圧倒的にゾーイへの反応が良くて。もう最初に魚を見た感じからしてゾーイかな?って思ってたんですが
---それは今までのサイトの経験からしてゾーイに反応する類いの魚だってわかるんですね?
そうですね。魚の動きとか泳ぎ方見てゾーイだなって感じで、最初にキャストしたのがゾーイでもう凄い反応が良かったんで。あ、もう辞めようってなって、そっからいろいろ試したんですけどやっぱり他の技で食うなら他の選手にも釣れると思って、色々やってみたんですけどそんなに簡単じゃなかったので、こんな感じかなって、残りの一日半はもうディープです。
で、前日からエンジンの調子がちょっとだけ悪かったんです。怪しいな、って思ってたんでコタカモリと月島に線を引いて会場からそこまでしかやらない(補足:湖の北半分だけ)って自分の中で決めて、その中でスモールがたまるようなフラットエリアやディープの立木を意識しプラをしました。で、そのときにライブスコープを使って。まだ魚とルアーを画面に映して釣るっていうのはまだできないんですけど、魚の動きを見るためにライブスコープをずっと見ていたんです。これは人それぞれ色々あったとは思うんですが僕的には9.3メートルにやったら魚が泳いでいたんです。9mにポジションとっても10mにとっても9.3mに凄い泳いでいて。
自分の中で「9.3」って決めつけまして。で、ベイトが差してくるのもフラットエリアにあるちょっとした岬状の9.3mとか。月島周りも9~9.3mが魚の動きが多いなって感じで。フィーディングになると凄い浮いてくるんですけど、それ以外はボトムにべったりお腹つけて泳いでるような映り方をしてたんですね。それが凄い多かったので、ボトムを這わせる感じでキャロを投げたら、それが凄い釣れまして。
で、キャロの時合が終わってもダウンショットを入れるとすぐ食うみたいな。サンスンのダウンショットをシェイクしまくる、みたいな感じで。凄い釣れることに気づいて、プラを終えた感じでした。
---キャロっていっても全国区のキャロでなく桧原・野尻トーナメント仕様のあれですよね。それを習得したのはマスターズ野尻湖戦で?
そうですね。野尻湖の試合のときに凄いやりました。スモールを釣ること自体、野尻湖マスターズが初めてだったので。それまでキャロってほぼ投げたことなかったんですけど、野尻湖で覚えました。
---その辺は習得が早いというかやっぱり釣りのセンスがあるというか
自分の中ではスモールって苦手、って意識してたんで初日~2日めくらいまで出来ればオールラージで行きたかったです
---それくらいの数が居たし釣る自信があったのですね
そうです。プラの感触的に食わせる力もあると思ってたんで
大会初日朝エンジンが壊れるもラージ3本で5500g
---本番初日を迎えました
フライトが25番くらいで。
---ちょっと微妙な番号ですね。早くもなく遅くもなく。

そうですね。ラージを他の選手に気づかれていたら嫌だなと。プラの感じだと3人くらいは気づいてる感じだったんですよ。河野選手とか井上さんとか、同じ場所を見ていたんで。あーどうしようかな?って思ったんですがとりあえず桧原大橋に走りまして。で、先にお二人とも来ていたんですが下流側をやっていました。自分は上流側やりたかったんでエレキで入っていったら(前日確認してたラージが)いたんですよ。で、たぶん開始3投くらいでゾーイで一番デカイやつ釣ったんです。2キロの。思い通りに釣れました。
---大橋下のM字型ワンドの上流側ですね

そうです。そこの枯れ葉が溜まっているような黒くなってるとこです。あそこに居たんですよ。
---そういうラージって動かないものなんですか?
僕が今回桧原湖のラージの動きを意識して見た感じだと、外に行くとスモールが居るからか、ラージは凄いロックしてました。逃げても絶対戻ってくるんですネストみたいに。それをプラで気づいたんで、入れればチャンスはあると思ってました。で、狙い通り入ってすぐ釣れたんで。
で、そこにあと2匹くらいいたんです。1500くらいの。でも沈んでいっちゃって。その場所は諦めて今度は無名島のほうへ走って。
あ、走ってっていうか走ろうと思ったらその時点でもうエンジンが駄目で。15キロくらいでゆっくり無名島に向かって。
---プレーンはできないけど一応動くは動く感じで
そうです。15キロだけは出せたんです。時間かけて無名島に向かうと沖に天野選手とか居て通させてくださいって誰もいないシャローに行きました。無名島のインサイドのウィードに6匹7匹居たんです。で、1匹だけウィードの中に入ってるのがいて、それは食いそうだと思ったんですがゾーイは入れられないし。
ギル系、扁平系に反応してるのがわかっていたんでDジグにブルフラット、あれは完全にその場で閃いてリグったんですが、Dジグ1.3gにブルフラット3インチをセットして、ウィードでチョウチンというか水面でシェイクする感じですね。水面下5cmとかで。

---えっと、それはウィードにリグを乗せて
そうですね。ウィードに乗せて半提灯みたいな感じで。ずーっとフワッフワッフワッとシェイクさせて。
---ワームの姿勢は水平になる感じで
そうです。で、バスが気づいたら上に来ると思って。プラの感じで賢い、なかなか食わないって分かっていたんで、水面で、壁で騙すしかないと思いました。ウィードの壁を使ってシェイクするとずーーっと見てはいたんですけど距離が縮まらなくて。それでもシェイクを続けていたら、あれ?なんかちょっとずつ近づいてる?みたいなスピードでゆーっくり来て近づいた瞬間ボフって食って、釣れました。
それが1500くらいですね。
その1500からルアーを外して結び替えてるときにパッと見たら6匹の群れが岸を向いてたんです。お、チャンスだな、って思った瞬間すごい奇跡的な現象が起きまして。スモールが見えないところから突然出てきてラージの群れの横でエビをババって食べたんです。その瞬間ラージのスィッチがめっちゃ入ったんですね。今だって思ってゾーイを投げて、ゾーイを水深10cmくらいのところ置いておいたら一番でかいラージが水面に身体乗り出してドーンで食べて。それで釣ったのが2キロジャストの2番めにでかいやつですね。
---ほえー、そんな釣り人として最高の体験を試合中のしかも初日の朝イチにしてたんですね
そうですね(笑)それ釣って吠えて。これでもう5500は行ったなって思って。これはキテるなって。でも、京弥君は絶対ラージやってると思っていたんでプラ見てる限り絶対ラージだと思ってたんで、これじゃ絶対に負けると思って残り2本もラージで、って思ったんですけど反応はするけど食わなくなっちゃってて。
で、馬の首の小さいポケットに55cmくらいのが居るのを知ってて、そこに行ったら、この横の小さいポケットに藤田夏輝さんが居て。ポケットを覗きに行ったら55cmが居なくて。あ、これは絶対に夏輝さんに釣られたな、って思って。
これじゃ負ける、って思ってたんですけど、でも途中からもうラージは完全に駄目かな?って残り1時間で思って。で、こたかもりフラットに15キロで戻って。開始3投で2匹釣ってリミットメイクして。そっからもう一回シャロー見に行って。桧原大橋のワンドに行ったら大きいスモールが居てそれをゾーイで食わせました。それが850g。
プラのときスモールにゾーイ投げるとすんごい反応したんですよ何よりも

---やっぱりゾーイって凄いルアーなんですね
そうなんです。で、スモールの場合ラージとは違ってゾーイを見つけたら2週3週回るんですゾーイの周りをスモールが。2週3週振り向きながら回るんです。で、動かしちゃうと逃げるんですが、放置してて2週3週してバーンって食うんです急に。それで帰着遅れが怖いので早めに早稲沢に戻って最後は早稲沢沖に浮いてました。
それで初日終わりました。
---初日終えて京弥くんとの差とか踏まえてどんな気持ちでした?
そうですね。2日めも絶対にラージ入れないと。けどたぶんラージを見つけているエリアは京弥君と被っていたんで、もう他の人には見えないぞ、って思ってました。俺が見えないんだから、京弥君もさすがに見えないだろうと。ですけど、とりあえず朝はラージの勝負しないとな、って思ってました。
大会2日め ラージを諦めレガシィな釣りでディープスモールマックス級の3600g
で、2日めも朝イチは桧原大橋に走りました。行ったけどやっぱりスッカラカンでした。帰ろうとしたとき下流側の出口にスモールの800くらいのが3本見えまして。同じように開始15分くらいでゾーイで釣りました。そっから他の2匹も追いかけたけど食わなくて。
で他のラージのスポットを3ヶ所、4ヶ所回ったんですけどやっぱり冷え込みで居ないだろうなって思ったんですけど
---あ、お立ち台でみんな2日目は冷え込んだ冷え込んだって言ってたんですが陸上だとそれが分かりませんでした。だいぶ寒かったんですか?
朝の冷え込みは湖上に出て、あ寒いなって感じまして。水温はそんなにでしたが、ちょっと放射冷却みたいな感じでした朝。なので、もうラージは居ないだろうな、って、居ないテイで見に行ったんだけど、やっぱり居ませんでした。これはもうスモールやろうって。朝の2時間くらいでラージは切りまして。こたかもりのフラットに行って。
あ、そう、プラの時からエンジンの調子がおかしいと思っていて最悪のケースを考えてプラのときに山立てしてたんです
---え、凄い。凄い危機管理能力

初日の時点でもう明日は無理(ボート走行不能)って分かってたんでレンタルボートか借り物しかないって思っていたんで。
---これを読んでいる方に補足すると、初日に自分のボートが壊れたので2日目はレンタルボートで出場しました。なので、自分のGPSも使えなくなるので初日の時点で昭和から続くアナログ手法の山立てをメモっていた、と。
そうです。初日の時点で3ヶ所ポジション決めて山立てしておいたんですよ。で、2日めそこに入って。2D魚探だったんで、あ、伝えるの忘れてたんですが、初日もライブスコープの電源は切っていました。プラの時点でだいたいの魚の位置は分かっていて、本番で変に気が逸れないようにわざとライブスコープは切って2Dでやってました。
僕的にはボート変わるのもそんな恐れてなくて、山立てして2D魚探でやればいいやって、初日と同じようにキャロを投げたら、初日の比でなくらい凄い釣れたんです。30本くらい入れ食いで。
周りも5~6艇居たんですけど一人勝ちなくらいで。ずっと入れ食いでそれで一番下で650くらい。3600くらいまで行けまして。どうにかこれで京弥君がラージ入れてたとして一緒くらいかな?って自分の中で駆け引きしながら。その山立てした3ヶ所で2日めは釣っていきました。
--- 3600ってディープのスモール5本だとかなり上位のほうですよねマックスに近いウエイト。
そうですね。上の4キロの人たちはたぶんシャローででっかいスモールを入れてた感じだったので。
--- 2日めトップの大塚選手はシャローのスピナーベイトで2本800を入れたとか
そうですね。だからディープで3600まで行った時は、よしこれで優勝争いができることろまでは行ったな、と。もうラージをやりに行っても無理だなって思って2日めの最後までディープのスモールをやり切りました。
--- 2日め検量を終えたら結局デカラージ釣ったのは藤田兄だけでしたね。京弥君もラージを釣ってない。なので今から振り返ると初日の曇の感じとか温かい感じとか、本当にラージ日和だったのかな?って
そこは思いましね。
--- 2日め以降はプレッシャー的な要因はあるにせよ明らかに初日はラージ日和だった
そこはやっぱり思いますね。ラージが浮き易い状況だったと思います。
---スペシャルなタイミングに大会初日が当たった
僕も凄いモッてるな、って思いますね。
---ですね。シャローサイトが得意な人にとってはボーナスステージ的なスペシャルな日だった
予選トップ通過 就寝前 緊張に襲われる
---で、2日目が終わり予選結果。ポイントでは京弥君が上だったけどウエイト順では800g差でトップでした。ブッチギリとは言わないけど桧原湖で800差はまーまー大きいです。結果を見ての感想は?
えっと、僕、マスターでも最終日をトップで迎えた経験が無くて。もう体調崩しそうなくらいドキドキしちゃって(笑)
自分はそういうの絶対に緊張しないタイプって思いこんでいたんですよ。マスターズで3位とか4位で最終日迎えても全然緊張しないですし。2日め検量終わった瞬間もそんなにでした。
でもホテルに帰って寝ようかなって思ったときに、なんか寝れなくて。これ絶対に緊張してるな、って思って、思えば思うほどなんか具合が悪くなって(笑)
トップで迎える人たち、京弥君とかもすげーメンタルなんだ、って。
2位だとそんなことなかったのかもですがトップっていうのはいろんなのと勝負しないといけないのだなって。
---ちなみに飲酒はしないのですね。最近の若い人はあんまり飲まないし
僕は一滴も飲めないんですよ
---あ、私も同じく一滴も飲めないんですが、飲める人はそういう時はちょっと飲んで気持ちをリラックスさせたりするのかなーって思って
飲めないので、そういうのも無くて、とりあえずコンビニでカツ丼買いました(笑)
決戦の日曜日 ラージに想いを馳せつつディープで心中
---緊張しつつも3日めを迎えました
3日めは初めてのファースフライトでした(注:決勝は成績順でスタートする)。寸前まで考えたんです。860g差か、4キロ釣ったら4800。3500釣れば安心だろうと思ったんです。(注:3500+860=4360。藤田京弥選手でもスモールのみで4360は超えられないだろうという計算)。
けど、これで最終日に京弥君にラージ入れられたらもう俺は別に悔いはないと思ったんで、もう今日は6時間スモールをやろうと腹をくくりました。

朝イチからこたかもりに走ったら京弥君もこたかもりに来たんですよ。うわぁ嫌だなって思ってたら、京弥君はたぶんスロープ側のシャローを見ていたんで、あっち側のスモールを狙いにいったんだなって。でも、目の前ででっかいスモール釣られたら俺終わるな~って思ってたんですが、開始早々自分に釣れまして。
サカマタのミドストで京弥くんの目の前で釣って見せつけて。でもそっから釣れなくて。魚探の映り方とかも全然変わっちゃったな、って。
--- 3日めは秋晴れで凄い天気良くて朝はけっこう風も無くて。スモールにしてもなんにしてもちょっと釣りには厳しいのかなーって感じでこたかもりの駐車スペースから梶原艇~対岸の船団を見てました

ラージも気になって、ラージに行こうかな?っても思ったんですがまずスモールで3000。京弥君が4000釣ってくると思ってたんで3500を釣らないと負けるな?ってラージとスモールを頭の中で格闘しつつ10時くらいまであんまり釣れなくて。1匹朝イチ釣ったっきりで。
10時くらいのタイミングでこのへんくらいから釣れるんですよねなんて言ってたら3連発くらい。それで2700か800くらいですね。
---そのシーンは見てました
そうですね。写真撮っていただいてました
---全部背中向きで残念でしたが(笑)
そうでしたね(笑)
---大丈夫です。だいたいみなさん後ろ向きなので。ルアマガさんに期待です。
前の日も10時とか12時のタイミングですっごい釣れたんですが、最終日は釣れないからもう具合悪くなってきて。ルアマガの人が乗っていたんですが「何も食べないし飲まないから心配してた」って言われまして。で、ちょっと休憩がてら飲みもの飲んだりして。いや、トップで迎えるってこんな辛いんだ、って思って。
で、何回もライブウエルの4匹の魚の重さを測って自分の中で格闘してたんです。あーやっぱりこれくらいか、これじゃ負ける、これじゃ負けるって。
で11時半くらいに掛けたんですけど凄いデカかったみたいで凄い走られてミスって。うっそーって、また精神的にやられて・・・。でも大丈夫あと1本釣ればいけるあと1本釣れば、って頑張っていたらそっから2本くらいポポンと釣れて入れ替えはできなかったけど揃ったと、3キロくらいで。そっからいかにウエイトを伸ばすかっていうところで、思った以上に時合が来なくて。そっからずーっとノーバイトで。あー3100か200で終わっちゃうな、って思ってて、帰着間際の12時40分くらいにダウンショットに来まして。それで10gくらい入れ替えできまして。あー終わった~って。帰り道はもう半分ベソかきながら。負けたわ~って思ってたんで。
--- 梶原選手のボートポジションと向きだと京弥選手のボートはあんまり見えなかったですね。南側向いてて。京弥君はそれより北側をランガンしてた感じで。朝イチ以外は視界に入らなかった
そう、そう、そうです
---視界にはいらないけど気にはなりますよね
860差だと、京弥君ならスモールで勝負してこないと思ったんですよ。さくっとスモールで揃えて絶対にラージで勝負してくると思ってたんでもうドキドキしながら釣りしてて(笑)
---たぶん京弥君もラージを狙ったとは思うけどさすがにあの天気で3日目で。結局あの日誰も大きいラージは釣ってきてなかったですね
僕の中でもラージで勝負したいって葛藤しつつも今日の感じはラージは違うなって思っていました。でも、京弥君にもしでっかいラージを釣られたらもう負けだって素直に諦めようって6時間スモールをやり切りました。
---そういえば吉川永遠君があそこのシャローで
そうです。眼の前で雄叫びを上げられて。ラージかな?って思ったんですがアミに入ってるのがスモールっぽくて
---でかいラージ居て狙ってたけどスモールが食ってきたと
ずーっと、あそこでラージをサイトしてる雰囲気だったので僕も行きてーーーって思いながら、見えるんだったら行きたいと。でも、こういうときに行ったら負けちゃうんだろうなーって。あと永遠君とは結構な差があったので。永遠君が5500くらい釣ってきたら負けですが。それは仕方ないと思ってて。
暗算しまくりのウエイインショー~夢叶う
---トレーラーウエイインは初体験?
初体験です。
---一番最後の検量でしたっけ?
最後でした。
---京弥君のウエイトを聞いた時点で勝ったのはわかってたんですよね

そうですね。ずっと頭の中で計算していたんで。夏輝さんくらいのときからずっと頭の中で計算してて、夏輝さんはこんだけあったら負け、京弥君はこんだけあったら負け、ってずーっと計算してまして。で、京弥君が僕と一緒くらいだったんですよね、で、あー勝ってしまった~って。とうとう小学校から目指してたこの場所でとうとう勝ってしまったと。いろんな感情が込み上げてきました。
---ちょっとウルッときちゃった
そうですね。トップ50に上がるときにたまたま僕の部屋から作文みたいなのでてきまして。それに「トップ50で優勝すること」って書いてたんですよ。そんなのを思い出しちゃって。自分のウエイイン始まる前にちょっと泣きそうになりました
---夢叶えるのちょっと早すぎたかも
そうですね。自分でもびっくりしました。
---初年度でいきなり優勝。最近は時代が変わってそんなに珍しくなくなったんですが
京弥君にゆいピーに江尻くんと
---本当に時代が変わったな、って思って。
今年のトップ50は終わってしまいましたが年間は12位。来年は宿敵京弥君が居ないわけですが
そうですね。僕はいつでも京弥君からマスターズのときから一番刺激もらってて
---ですね。お互い1位だったり2位だったり
で、優勝するよりも京弥くんより上にいたいって思ってたんで。それがもう10位9位でもいいから9位になりたいと思ってたんで(笑)
それで今回は京弥君との最後の勝負だったので本当に嬉しいです
---さっきも言ったけどほんと初日のあの天気、雰囲気のラージ日和、ラージがいっぱいシャローに差してきたタイミングが大会初日だったっていうのは神がかったタイミングだったなって
ほんとうに自分のスタイルに神様が合わせてくれたみたいな、あの時から自分のターンが来てたんだな、って思ってました
---ほんとそうですね。もちろん京弥君もそれには気づいてて初日はずっとシャローでラージ狙いしてたけど、それに釣り勝てたんだから凄い
そうですね嬉しかったです。
三原直之先輩からのアドバイスで改心
---トップ50には京弥君以外にもサイト名人がいっぱいいるけど、誰よりも釣り勝ったっていうことで
そうですね。今年の3戦目くらいまでは自分に自信が無かったんですよ。なんか徐々に自信を失っていたんですよね。自分の中で九州の中では自分が絶対に一番上手いって思ってたんで、九州の代表として俺は絶対に勝つ!って思ってたんですけど、現実は甘くなくてこんなにも差をつけられるのか・・・って思ってました。
もう僕はトップ50に残れないって思ってたんですよ。でも考えてみれば3戦目までは優勝とか目指してなくて予選通過しか考えてなかったんですよ。だから駄目だったんだろうな、って思って。残り2回優勝したら残れるなって思いながら。で、自分の強いスタイルを取り入れて。
で、僕が最初の3戦とも落としたときに三原さん(三原直之選手)がですね「スタイルがカジヤンらしくない」って試合中に見てて思ったらしくて「落ちたら落ちたでまた上がってくればいいんやから勝負せな」って言われたんですよ。
---三原選手も独自スタイルを持ってる個性派ですからね

今年の春に僕、三原さんと初めてお会いして一緒に釣りしたんですよ。金森さんとかのセッションで一週間くらい一緒にいさせていただいて。そっから三原さんすごいよくしてくださって。
「勝負せな」ってゆっていただいて、なんかスィッチが入った感じで。じゃ勝負するか、って自分の中で吹っ切れて。第4戦の霞戦もちょっとだけ上がって12位に。その前が17位とかで。徐々に来てるなーって思って今回優勝できたので、三原さんにも感謝しています。
感謝と次の目標
---すばらしいいいお話をたくさん聞けました!
最後にこれを読んでる方へメッセージをお願いします
僕はとりあえず小学校からの夢が叶っちゃったのですが、優勝して余韻が残るのかな?って思ったけど意外に残らなくて。なんでだろう?って思ったら、やっぱり小森さんが年間取ったのがやっぱりカッコいいなって思って。やっぱり年間取るって本当にスゲーなって思ったんで、次は年間取りたいって意識にすぐ変わりました。
やっぱり今のままでは全然だめなのでもっと練習して、今回やられそうになった自分のメンタリティーも強くして、で、成長できたらなって思いますし、サポートしていただいてるメーカーさんには本当に感謝しかないですし。応援してくれる友人や知人、で、僕は何よりも中学校の時佐賀県まで一時間半かけて送り迎えしてくれ、ずっと親が応援してくれてたんで、本当に親に一番感謝してますね。なによりも喜ばせたくて親孝行したかったので、ちょっとは親孝行になったのでないかなって思っています。
---さすがに福岡から福島まではサクッと応援にはこれないし
そうですね。見にこれる距離の遠賀も弥栄も僕やっちゃったんで(笑)
あと今回はレンタルボート屋さん本当に感謝しかないです。
次はAOYを目標に頑張りたいと思いますので引き続き応援をお願いします。
---ちょっと話それますが今はバサーオールスタークラシックの練習期間ですよね?
そうです。桧原湖の次の日から入ってます。
---大多数のトーナメンターが憧れる最も観客が多い晴れ舞台。しかも数年ぶりの有観客で。
やっぱり青木さんのDVDで憧れていた試合で、しかも初めて青木さんと直接勝負できるんで、それもまた一つの夢だったので凄い楽しみにしてます
---おじさん世代だとB.A.S.Sクラシックの舞台を夢見てってひとが多いけど若者世代だとTOP50やバサーオールスターの舞台が夢なんですよね
そうですね僕はあれが夢でした。
---いい話だ!ではオールスターも頑張ってください。長時間ありがとうございました。
写真・報告 NBCNEWS H.Togashi