ハイプレッシャーな三瀬谷バスをモダンなサイトで攻略!
青木唯 今季4連勝
JBマスターズ会場の一つである「三重県三瀬谷ダム」。2000年代は夏に、2010年代は春に開催されていた。2020年代になって3年ぶりの開催となった今大会は「夏の陣」だった。2000年代に開催されていたのは7月末~8月頭の真夏。そして今年は一ヶ月早い7月頭の開催。真夏の危険な暑さを避けてのスケジューリングと思われるが、結果的に例年より20日以上早く梅雨明けし大会前日~初日は猛暑に見舞われての開催となった。
Day1 上流サイト組がハイスコアを連発!
無風快晴で始まった初日。朝8時の時点ですでに暑かった。JBマスターズメンバーは高齢化が進んでおり107名中40歳以上が61名、50歳以上が37名にのぼる。不安定な小型ボートにハイパワーエレキであること、風が無い猛暑での戦いであることなどなど懸念材料が多い今大会だった。
昼前から少し風が通るようになったが、なかなか過酷な状況での戦いとなった。
三瀬谷ダム戦は魚は多いもののエレキ戦であることとマスターズの人数に対してエリアが狭いことが選手たちの戦略に大きな影響を及ぼす。今回は夏の大会だったので上流方面へ進むボートが多かった。ボトム丸見えの浅い清流まで上がっていく選手も少なくなかった。
そして初日にハイウエイトを排出したのはやはり上流部だった。
初日1位 佐藤透 3本で4220g、2位小林知寛 3280g、3位の正木敦にいたっては1本で3270g。
一方でいわゆる「キーパーサイズ」と呼ばれる小型もたくさん持ち込まれウエイイン率84%、リミットメイク率17%と近年のトーナメントとしてはかなりよく釣れた初日だった。
キーパーサイズを5本揃えて1500g前後。上位に絡むには1キロフィッシュを混ぜ2キロ台に乗せる必要があった。近年死語になりつつある「キーパーで揃えてキッカーを入れる」という行為を狙える極めてレアなトーナメントフィールドとも言える。
Day2 まくりの青木唯が13人抜きで優勝!
猛暑は初日だけで2日めは曇天でのスタートとなった。適度なそよ風が吹き今にも雨が降りそうな場面もありいわゆる「釣れそうな天気」に見えた。
大別するとクリアな上流でサイトを行う派、中~下流の岩盤・カバーを普通釣りで狙う派に分かれている感じ。
曇天ローライトで普通釣り組みが好釣果だったのか、2日めながらよく釣れていた。検量率は81%とかなり高い。ただし初日にハイウエイトを釣ってきた上位陣が軒並み失速した。上流部はプレッシャーで潰れたようだ。
近年の複数日大会において、尻上がりに爆発的なウエイトを持ち込みまくる新星が現れた。そう青木唯だ。もう一人の超人藤田京弥はどちらかというと初日にスーパーウエイトを出すタイプ。そして青木唯はその逆で後半に爆発するタイプ。トップ50戦では誰もが枯れたと思った最終日にスーパーウエイトを出しまくる。複数日開催のペア戦があってこの2人が組んだらとんでもない記録が出まくる、と記者はいつも妄想している。
そんな「まくりのゆいP」が今回も本領を発揮。
初日は上流のレガシーサイトでキロアップを1本。その後はモダンサイトで300・400を釣って3本1894gで13位。初日の13位について尋ねると「過去の大会の結果を見ると、13位からの逆転は可能な湖だと思いました」と青木は語った。その心は「それくらいプレッシャーに弱い湖だから」だという。つまり、他の選手には釣れなくなったナーバスなバスも自分なら釣ることができる、と記者は解釈した。
そして有言実行。
2日めはエリア全域をモダンなサイトで釣っていった。モダンなサイトとはつまりライブスコープシューティング。その釣り自体は他の選手も当然のようにやっているが、青木唯のそれは日本最先端。
レガシーなサイトのテクニックの一つとして「バスが泳いでる方向のかなり先にルアーを投げておいて放置し、バスがルアーに近づいたらワンアクション加えて食わせる」という有名なのがある。最先端男はそれを100%画面の中で行うという。
それを完全に自分のものにしているのは、青木以外にいるのだろうか? ライバル藤田京弥はそつなくこなすのだろうか? ともかく今大会でそれを実行し結果に結びつけたのは青木唯ただ一人である。
そんなモダンサイトで400~500クラスを4本、1キロクラスを1本釣って2788g。単日3位の成績。前出の通り初日上位陣が総崩れしたため13人抜きでの優勝となった。結果発表まで優勝の行方が分からなかったため、優勝コールの瞬間青木唯は珍しく声と腕を大きくあげた。
青木唯は2022年のローカルJB戦で3連勝中(JBII河口湖・JB河口湖Aで2連勝)なので今大会で4戦連続優勝という快挙すぎる快挙。ライバル藤田京弥が渡米してるゆえに無敵状態だ。誰がゆいPを止めるのか。
2位はベテラン大薮秀樹で青木と同ポイント重量負け。4位の白鳥稔一、5位の光本暉も同ポイントと、今大会の上位5名はデットヒートの戦いだった。
全4戦中3戦を終えた2022年マスターズシリーズ。年間ランキング暫定トップは喜代浜友貴、2位江尻悠真が5点差で追う展開。
最終戦は10/01(土)~02(日) 長野県 野尻湖でダイワCUPとして開催される。
写真・レポート:NBCNEWS H.Togashi