藤田(兄)晩夏の桧原湖で頂点に輝く!
兄弟で日米スモール戦制覇!
2023年9月8日~10日にJBトップ50シリーズ第4戦ケイテックCUPが福島県桧原湖で開催された。台風接近の初日から残暑厳しい最終日までコロコロと天気は変わったがライブスコープ時代はそんなのお構いなしに4キロオーバーが続々持ち込まれた。藤田夏輝は初日トップウエイト4122g、2日めもトップ4510g,3日め2位の4425g,トータル13057gという見事な成績で初優勝に輝いた。
Day1 台風接近の予選初日 3500超えが10名 藤田夏輝が4122gでトップ
2023年の夏は全国的に記録的な暑さになった。桧原湖も例外ではなく気象庁の過去データを調べてみると去年8月の真夏日は0日に対して2023年は9日だった。おそらく現存する桧原湖の魚たちにとってももっとも暑い夏だったに違いない。
その猛暑が一段落したのが大会初日。台風接近による曇・小雨の影響もあってか終日20℃以下の気温だった。
朝のうちは無風だったが9時頃から少し風が強まった。霧雨・小雨の場面も多くとても釣れそうな天候だった。
記者は湖岸道路を一周してみたが例年に比べ湖北側のボートは少なめ。道路から見づらい南半分にボートが多い感じだった。特に月島の南側と京ヶ森周辺が人気だった。
台風による混乱はなく無事に帰着時刻を迎えた。
結果、とてもよく釣れた初日で47/48名がウエイイン、リミットメイク率も75%にのぼった。3キロが団子状態で3500gがシングルのボーダー、4キロでトップ3という感じ。
初日トップは藤田夏輝で4122g。2位早野剛史 4050g。3位青木唯 3,938g。4位五十嵐誠 3,756gというライブシューティングとスモールマウスを得意とするいつもの顔ぶれが並んだ。
Day2 藤田夏輝に同船 朝の3時間で4500g!
予選2日めは明るめの曇り空で始まった。気温は22~27℃で昨日の寒さはなかった。
記者は初日トップの藤田夏輝に同船した。藤田のメインエリアは狐鷹森の少し北側の9~10mあたり。特に大きい地形変化があるわけでないが、大型スモールマウスの回遊ルートだという。そのルート上に沈む木や岩に立ち止まるバスをライブシューティングで狙う。
バスの群れやベイトフィッシュが映るわけでもなく忍耐の釣りだという。稀に回遊してくる一匹狼的な個体を迎え撃つと700後半~900台が釣れるというパターン。
7時18分に1本目 780gがヒットしたのを皮切りに
2本目 7:56 980g
3本目 8:12 700g
4本目 8:39 700g
5本目 8:51 730g
6本目 9:10 900g
7本目 9:20 900g
8本目 10:00 880g
という怒涛のビッグフィッシュ連発劇を見ることができた。ヒットした魚以外にも画面上では追ってきたり諦めたり躊躇ったりが全て見えるようで、藤田は頻繁に悶絶を繰り返してとても楽しそう。
10時の時点で推定ウエイトが4500g前後。このウエイトを朝の3時間弱で揃えていた。よくお立ち台の優勝者インタビューで「朝イチにはそのウエイトでした」と耳にするがまさにそんな展開。パターンが完全にハマって勝つときはこういう感じなんだろう。
最初に「忍耐の釣り」と言ってたが『こんなに釣れるのであればスモールマウスディズニーランドならぬスモールマウススーパーアリーナかスモールマウスソニックシティでね?』と埼玉県ネタで船上で盛り上がったが、2日めの今日は特に調子が良いらしい。初日は2時間ノーバイトという時間帯もありリミットが揃ったのは12時前だった。
なお、藤田が浮いている場所から見える範囲に選手は皆無。完全に貸し切り状態だった。
11時に初めてエレキを上げる。南部エリアや最北部へ大移動し念のためにラージマウスを探し回るも収穫はなし。最終日は心置きなくスモールに集中できる段取りに。
13時から帰着までは桧原湖大橋下でサブパターンの釣りをした。大橋下の立木周辺にいるバスを狙う釣り。リグはメインと同じヴィローラマイクロのマイクロホバストだが、ここは立木に巻かれるリスクがあるためラインをワンランク強いセッティングにしている。3本ほどヒットするも、その強めタックルのセッティングとそれに対する人間側の力加減のバランス取りがまだ完璧ではなく、ミスを連発してしまう。ただ、このミスは最終日への伏線になったと思う。
このとき、ワンドの向かい側に五十嵐誠が浮いておりラスト2時間でいいサイズを連発していた。おそらく日本で一番、少なくともトップ50メンバーの中ではスモールマウスバスの経験は圧倒的一番の選手。その落ち着いたスモールマウスとのやりとりは貫禄さえ感じる。
帰着が迫ったタイミングで藤田は会場近くのディープへ移動。700gクラスをキャッチするも一番下が780gなので入れ替えは容易ではない。
天気が回復し青空のもとで2日めの検量が始まる。この日もよく釣れて47名がウエイイン、リミットメイク率も68.8%という高水準。3500でシングルなのは初日と同じ。
藤田夏輝・五十嵐誠・青木唯・武田栄喜の4名が4キロオーバーを達成。全員がトップクラスのライブシューターだ。
予選結果 藤田夏輝が満点で予選通過
予選2日間トップウエイトだった藤田夏輝が首位通過。2位青木唯、3位五十嵐誠、4位武田栄喜、5位早野剛史と続く。1位と2位の差は「479g」もある。
今回は2キロクラスのラージマウスの可能性がほぼゼロ~もしくはイチ。河野正彦・三原直之らがキッカーラージを1本づつ持ち込んだが、エキスパートの彼らが全力でやって一日1本釣れるかどうかの世界。スモール・ラージの二刀流で釣れるような状況ではない。そう考えると「479g」という差はかなり大きい今大会。
決勝最終日 五十嵐誠に同船 4,605gでトップウエイト!
晴れの最終日。久々に青空が広がり気温も上昇。無風になるタイミングも多々あり夏が戻ってきた最終日。記者は2日めトップ、暫定3位の五十嵐誠に同船した。
五十嵐の最初のポイントはスタートしてすぐ左のバンク。前日の朝に900後半を釣ったという。この日も表層で1本600gをキャッチするが、天気が良すぎるため表層の釣りを早々に見切って大橋下へ移動した。結果、7時52分から帰着までこの場所から一歩も動かなかった。
動かなかった理由は釣れてくるバスのサイズが大きいこと。800~900gを狙って釣れるのはこの場所しかないからだ。
前日の藤田夏輝は「一匹狼のサイズがでかい」と言っていたが五十嵐は逆で、ここに回遊してくる群れの中の1匹を釣るとサイズが良いという。このサイズの良い群れは湖のあちこちに居るが足が早くて追いつかない。この場所は2つの立木がボトムにあり、その間に群れが来たときがチャンスだという。
プロトーナメント=彼らの収入に直結するため、リグの細かい操作方法やライブスコープ画面のことなどをここに書くことはないが、昨日の藤田夏輝と五十嵐誠の釣り方・アプローチはパッと見は全然違うようにみえるが核心の部分は同じだった。究極に行くところまで行くと同じところに辿り着くんだな、と感動した。
話を実釣に戻すと、五十嵐誠はそんな立木の間に回遊してくる群れを狙い撃つ釣りをメインとしてヒットを重ねる。序盤は想定外の600~700クラスが釣れたが、8時過ぎから800、850、900とグッドサイズを着実にライブウエルにおさめていった。
話が少し逸れるが、2日め藤田夏輝に同船していたときの話。10時に4500gのウエイトになって、昼前にラージマウスを探していたとき、ウィード周りにラージの小バスを見つけるとついついキャストしていた。100%入れ替えできる魚ではないのに、やっぱりキャストしてしまうのは優勝が懸かったトーナメンターである以前に釣り人だな、と思った。同じくこの日の五十嵐も画面上の動きで明らかにバスでは無い魚がチェイスしてくると釣り人の性が勝ってついつい釣ってしまうシーンが何度かあった。意識せず釣ったのも含めこの日、ウグイ・イワナ・サクラマスも釣っていた。
前日の藤田と同じく五十嵐の周りに選手はまったく浮いていない。貸し切り状態だった。しかし、それを打ち破ったのは・・・・暫定トップ藤田夏輝だった。前日は最後のほうにこの場所にやってきた藤田だが、今日は9時08分にやってきた。昨日の連発っぷりを知る記者からすると「バックアップ場のここに来るの早すぎでは?」と思った。風がなくても釣れる、ベタ凪のほうがが釣りやすいとも言っていたのだが・・・・
じゅうぶんに会話できる距離の2人だが言葉を交わすことはなかった。
10時38分に藤田は一旦この場を離れたが、11時20分再び戻ってきた。
お互いのウエイトを知る由もないが、どちらも見える範囲でポツポツとヒットが続く。前日この場所でミスをしていた藤田だが今日はノーミスで釣ってるように見えた。昨日の伏線を回収した。
12時30分に五十嵐から声をかけ、お互いのウエイトを言う。五十嵐は「4500くらい」と伝える。藤田は「4300くらい」と言った。この時点で五十嵐は負けを悟ったと思う。マクリの青木唯の存在も気になるところではあるが・・・。
*この2人の激戦を湖上ツイートで逐一報告したかったが五十嵐のボートポジション的にソフトバンク・auともに圏外だったのが悔やまれる。
Result 見事な成績で藤田夏輝 トップ50初優勝!
決勝最終日、五十嵐誠のウエイトは4605gで単日トップウエイト。今大会のトップウエイトでもある。一日同じ場所に浮き回遊を待つという忍耐力を必要とする釣りであるが人生を賭けた戦いであり彼らの仕事である。待つのも仕事。結果、900クラスで揃え4605gは見事な戦略。本人いわく「初日が駄目だった」。
というわけで総合優勝は藤田夏輝。メインの釣り方は前出のようにヴィローラマイクロ+1.3gネイルシンカーのホバストで単独系の回遊を待つ釣り。令和版ルートフィッシング。昭和のそれと違い現代は魚の回遊レンジやスピードが画面でわかる。サブで大橋下の立木に絡む群れを狙う釣り。リグは同じ。
ほとんどの選手が500~600gをベースとし、数を釣るうちに700~800を何本か混ぜるという戦略だったと思うが、藤田は最初から600は眼中になく700以上だけを狙う釣りをプラの段階から探していた。去年の桧原湖3位がトップ50最高成績だったが、今年遂に頂点に。
最終日はアメリカから帰国したばかりの弟「京弥エリートプロ」が成田から会場に応援に来た。ご存知のとおり藤田京弥プロは先日バスマスターエリートのレイクシャンプレイン戦で優勝。兄弟揃って日米でスモールマウス戦で優勝するという前人未到の快挙を達成した。
総合2位は五十嵐誠。2018年~2020年はトップ50を離れていたが、2017年までのスモールマウス戦無双状態は記憶に新しい。離れていた間も野尻湖でのガイドを続けており、先にも書いたがスモールマウスを釣った数・経験は日本トップクラス。近年はライブシューティングの釣りも取り入れ先頭集団に追いつこうと努力している段階。以前のイガジグスピンのように、いずれは五十嵐発のライブスコープを絡めたスモールマウスの新しいトレンドが生まれるかもしれない。
今大会は大会中に大橋下の立木の間ビッグフィッシュパターンを発見したそうで、さすがのアジャスト力を見せつけた。
総合3位は青木唯。自ら最先端を走っていた「マイクロホバストは卒業した」ということで今回の戦略のキーは「ハイスピード」。PE0.3号に1インチミノーをセットしたロングリーダーダウンショット。シンカーの重さがまさかの1/2oz。もう一つのタックルは1.5ozのフリーリグキャロ! この重さからくるスピードでプラ期間はグッドサイズを量産したという。が、大会前の雨で季節が進行してしまいその威力が衰えたと嘆いていたが唯Pの進化が止まらない!
総合4位は武田栄喜。早稲沢と狐鷹森のディープをホバストのライブシューティングで。居るけど食わないバスに対してワームのカラーやシンカーの重さなど手を変え品を変え、飽きさせないように攻めて連日3キロ後半~4キロ持ち込み4位に。
総合5位は今江克隆。南エリアのディープフラットを超軽量キャロ・2.5gジグヘッド+スーパーリアル110で攻め3日間平均3600を持ちこんだ。詳しくはこちら。
優勝 藤田夏輝インタビュー
桧原湖は第二のホームレイク
--よろしくお願いします。まずは藤田夏輝さんと桧原湖の関係についてお聞かせください。
桧原湖は21歳くらいのころからJB桧原湖に登録したことがります。そこから2~3年でてました。
--(WHOIS3画面をみつつ)2016年からですね。
それくらいからやってて、練習はしていた感じです。第二のホームみたいな感じです。元々カスミに通っててそっちが第一ホーム、桧原湖が第二ホームって感じです。
--(現在は滋賀県在住)その頃は埼玉県に住んでいたのもあってけっこう近いし、ってことですね。
同年代のトップ50メンバーの中では比較的桧原湖経験が多いというこですね。
たぶん。そうですね。
--今回は優勝だけを狙ったようですが、藤田くんくらいの年齢・キャリアだと、優勝だけを狙うというより、第4戦ということもあって、来年の残留のために守りに入ったりとかあると思うけど、今回は優勝だけを狙った、と。
今回年間18位くらいで桧原湖を迎えたんですが、別に来年のこととかどうでもよくて優勝したかったです。
去年3位に終わっちゃったんで。
プラクティスの感触
--では優勝だけ狙う感じでプラクティスに入った感じですね。
はい。9月2日から5日間。
--どんな感触だったのでしょう
去年に比べたら季節が早くて、まだ暑くて夏っぽい感じでした。水温26℃とかあって。毎年桧原湖戦ってラージを釣らないと優勝に絡めないんで、ラージを探しました。が、ハイシーズンってこともあって、ちょっと小さいサイズ、キーパーないくらいから800gとかが多い印象でした。デカいのは居るけどウィードもまだ濃くてサイトで釣るもの難しい印象でした。50アップのラージは1匹しかみれなくて、ラージを試合に組むのは難しいかな、って印象でした。
で、スモールのデカいのはどうやって釣るのかな?ということで、ホバストの釣りは毎年やってて僕の中では最強だと思ってるんです。最近の釣りでは。
他にもフットボールとかダウンショットも投げたり色々試したけど自分にはホバストが一番簡単に釣れる、と。なので釣り方はホバストで決定。
色々回っていくうちに数が釣れる場所とかデカいのが釣れる場所とか色々見えてきて、で、やっぱり優勝したいのでデカいのだけが狙える場所を探してて。
6~7mくらいのエリアは数が釣れるイメージ。例えば月島の南とか、狐鷹森スロープとか、雄子沢のあの辺のエリアとか、700までは数が釣れるけど800はちょっと厳しいなという印象でした。
--2日めに南へ移動したときにけっこう船団になってたあたりですね。
そうです。魚探にもいっぱい映るし、ノンキーも混じって数はよく釣れるんです。
ただ、今回の釣りはあんな感じ(記者が同船したときの感じ)でサイズは良いけど数は釣れないんです。練習のときから数は釣れなかった。
数はぜんぜん釣れないけど、あの釣りを信じてやり切って15時までに5匹釣れたら4キロとかいくので、それでいいや、っていう感じ。
5匹で良いのでそっち(サイズ優先)で行こうって感じでした。
*注:桧原湖は大会中でも30~40匹とか釣れることがあります。だから、一日5本というのは桧原湖ではとても少ない釣り。
--あのメインの場所のサイズが良かったのは場所的な話ですか? あの場所になぜ辿り着いたのかを知りたくて。
早稲沢とか有名大場所にもデカいの釣れるところがあったんですが唯Pがいうように(青木唯がプラ後半~大会中に季節が進んでサイズが変わったと言っていた)、なんか練習最終日に早稲沢とかにいたデカいのが800以下のが釣れるようになって。それに練習最終日に気づきました。なんかポテンシャル不足を感じました直感で。
で、狐鷹森から無名島方面でウロウロしていたら、岩と枝が沈んでいる場所があって、ホバスト落としたら下からバスが出てきたんです。だから、そういう魚を釣る方が簡単なのかな?って。
--岩とか枝に着いてるバスが画面には映ってないけど、ホバストを落とすと出てくるのが画面に映るってことですよね?
そうです。最初の一投めだけ落としたらすぐ出てくるんです。
で、居るな~って思って、で、他のエリアでもそんな場所を探したんですよ。一緒に乗った2日めにも行ったと思うんですけど、後ろにあった木とか
--はいはい。メインスポットの北側にあった沈んだ木。
あういう木とかをずーっと無名島の方までずっと釣りしたんですが、あの辺(メインの場所)で釣れるバスがデカかったんですよ。そういう印象をうけてあの辺の(狐鷹森の北側)のエリアをやろうとプラで決めたんです。
--なるほど。狐鷹森エリアから無名島あたりまで、馬の首東岸?を流したけど、狐鷹森エリアのサイズが良かったと。
はい。無名島まわりでも釣れたんですが600とかも釣れて。そうやって数を釣ってると時間がかかるんで、デカいのがでてきたところだけをやろうと思いました。練習のときは、あのエリアの木とかも1キロとかも釣れてて、もうこのエリアだな、って決めました。
あと桧原大橋の下。あそこも釣れたらデカいな、って。もともとあそこはデカいのが釣れるところですが、1本いいのが釣れたので、あそこも抑えておきました。
伝説の2時間垂らし!やや苦戦の初日
--で、初日です。もう朝からずっとあの場所で?
はい。初日はほぼあそこです。ラージを見に行ったりもしたんですが釣ったのは全部あの場所です。
--初日はわりと苦戦したとか?
初日は朝イチ一投目で釣れて。落としたら出てくるタイプを一投目で釣って、20分間隔で2本目、3本目って感じで。
--そっから釣れなくなった?
そう。3本目からマジで釣れなくなって。2時間くらい垂らしてて。
--お!!伝説の2時間垂らし(笑)
で、そのあと2本はすぐ釣れました。木と岩を意識してたんですが、2時間垂らして4本目が木で釣れたので、次は岩を狙って5本目はすぐ釣れました。
たぶん12時ちょい前くらいに5本やっとそろった感じです。その時点で4キロくらい。そっから、ラージにいくも釣れず、戻ってきてちょろちょろ入れ替えとかもして、最後に大きいのがきて4100まで行きました。
10時には4500g!好調の二日目
--2日めは私が乗って。初日よりはぜんぜん良いペースでつれましたね。
そうですね2日めは一番調子良かったです。
--事前に「我慢の釣り」って言った割にはよく釣れるな、と思った。
ですね(笑)初日キツかったけど2日めはそうでもなかったですね。
--すごい楽しそうだったから
人と乗ると楽しいです
--終盤に大橋行って、あのときミスを連発したじゃない。でも、あのときのミスのおかげて3日めに繋がった、って思ってるんだけど。
3日めに繋がった点が一個あって。3本くらいバラしたんですよね。あのミスをもとにタックルセッティング変えたのを最終日に1本用意したんですよね。
--でしょ!そう思ってSTORYの本文に書いておいた!伏線回収と。
そう。もともとあのタックルで大丈夫だろうと思ったけど、やばいバレた。フックが伸びてた。
--あ、あのときフック伸びだったのか。
練習のときは普通に釣れたけど、試合で力入っちゃって
--なるほど~
これじゃオレ、明日も同じことやるな、って思って変えました。
青木唯と同じ釣りに辿り着いてたが・・・
--2日めに話を戻して。で、帰着したら4510gでトップウエイトでした。後ろにいたのが、いつものメンバーというか、だろうな、っていうメンバーのひとたちで。あのときの感想は?
2位にゆいPがいて。ゆいPが一番怖かったです。ダウンショットの、ヘビダンの釣り、それも僕も練習のときに同じことやってて。で、試合初日にタックルチェックのときボート横だったんですが、そのときに(デッキのタックルを見て)同じことやってると気づいてゆいPが「さすがですね~」って言われて
--えーーすごい
でも、それオレやんないわ、ってゆいPに言ってたんです。その釣りでサイズがデカいのが釣れにくくなってるのを練習最終日に気づいてて。なんか調子よくないな、って感じて辞めてんたんです。
--あの超ヘビダンのスピードの釣りは教え合ったわけでなく自発的に同時にやっていたってこと?
そうですね。僕もちょうど1/2ozシンカーをつけてて。ただ僕のワームは色々試してサンスンとかヴィローラマイクロとか色々試したんですけど僕はワカサギのサイズに合ってるヴィローラスリムを付けてたんです。それで釣れるんだな、ってのを見つけてて。
--へーーー。すごい。
スーッと速く落とすとバスの追う勢いが半端なくて。フットボールの釣りってそのまま落としたら追ってても食わないバスが多いじゃないですか。バスがボトムから2~3mくらいで追うのやめるのが多いんです。
ゆいPがお立ち台でロングリーダーって言ってたじゃないですか、それはその理由だと思うんですけど。ボトムまで追わずにその前に辞めちゃうみたいな。
ヘビーダウンショットで釣れるな、とは思ってましたがゆいPほどリーダーは長くなかったです。
--そこに辿り着くのは凄いです。で、やっぱりゆいPは怖い存在です。
そんなかんじでゆいPがやってる釣りも知ってるから余計に怖いなって思いました。
--ただ479gの差でした。
そう、けっこう差がついたなとは思いました。
で、五十嵐さんが結構釣ってて。2日め。
--2日め終盤同じエリアで五十嵐くんが釣ってるのを2人で見てたけど、まさか4300gも釣ってるとは!って驚きでしたね。同じ群れを釣ってたんですかね?
僕自身は2日めの時点では群れが居ることに気づいてなかったんです。
--あーそうか。2日めは水面からでてる水中の木の周りをやってた感じでしたもんね。
そう、木に着くやつを狙ってたんです。それもデカいってのを知ってて木を狙ってたんです。
で、五十嵐さんはスモールは上手いから3日めの絶対に釣ってくるとは思ってました。(状況が)見えたら釣れるタイプの人だから絶対釣ってくると思ってました。でも、あんまり周りを気にしてはいなかったです。ゆいPが怖いなーくらいで。けっこうウエイト差があったので明日も同じことやればいいか、と。
決勝の朝、メインパターン崩壊
--3日めです。天気が変わったけど、それはあんまり関係ない?
関係ないと思って出たんですが、本当に3日めは苦しかったです。スーパー無風になったんですよ。ベタベタになって。朝は必ず一投目に釣れるバスが居るので釣れて。2匹めも30分くらいかかったかな?3匹目はそっから更に40分か50分くらいかかってます。
で、本当に苦しくて色んなところを回りました。たぶん1時間とか1時間半くらい釣れなくて。その時点で桧原湖大橋が気になりだして。で、桧原湖大橋の下に行ったらあの群れと出会ったんです。
--そういえば3日めのボートポジションは前日よりも沖側でしたね。
で、3日めに見つけたんですよ。木と木の間のフラットにバスが毎回突っ込んでいくなーって。
--それは五十嵐プロと全く同じ!木と木の間のフラットに突っ込むバスを五十嵐くんも狙っていた。五十嵐くんも試合中にそれに気づいたそう。
たぶん右も左も(橋から見て右に藤田艇・左に五十嵐艇のポジションだった)同じだったんでしょうね。
--その大事なキモに試合中に2人とも気づくって凄すぎ!
最初は群れが2mとか4mとかに浮いてたんです。めっちゃ浮いてるーって思ってジョーダン投げたんです。でも、何回やっても上には上がってこない。投げてちょんちょんしても、それは無視で群れが下に突っ込んだり上がったりしてて。これは、ボトムに突っ込んだタイミングでワームがあれば釣れるんだろうな、ってことを発見して、あそこで4本くらい釣ったのかな。
あのポイントが僕が最初に行ったときは3本しか持ってなくて。
--写真みると9時08分くらいです。
入って2本釣れて。余裕が出来てまた向こう(メインの狐鷹森)に戻ってデカいの狙って。でも、あっちで釣れなかったんじゃないかな。もうかなりキツイなって感じで。で、また桧原湖大橋に戻って。もうこいつらを釣ったほうがウエイトアップできるな、って思って。
最後まであの場所でやりきって終わり、って感じです。
最終的に上位2名はまったく同じバスを狙っていた
--聞いててびっくりです。五十嵐プロと全く同じところに辿り着いてた。すごいです。聞いてて鳥肌です。五十嵐くんも全く同じこと言ってた。木と木の間に突っ込むタイミングがあってその時に釣れるとデカいって。
なんかあいつら木の上とか周りに立ち止まってて、その時は釣れない
--っていうのも全く同じこと言ってた(笑)
木のやつは釣れないんですよなんか(笑)
--100%同じこと言ってた!で、木の間のボトムに突っ込んだときしか食わないって言ってた
そうそうなんです。だからそのタイミングを狙ってました。
1本釣ったらあの群れ以外にデカいなってのがわかって。
--それも全く同じ!群れのはデカいと
1本デカかったから、この群れ全部デカいなって思って。
--まったく同じ!完全に一致。群れでなく単発のも映るけど、それは小さいか他魚種って言ってた。
それを三日目にしてやっと辿り着いて。で、結局4400くらいまでウエイトアップして。あそこで最後12時くらいに960gくらいの釣れたんです。それで、よーしこれでちょと来たかもしれないって。
--五十嵐艇と藤田艇でターンみたいなのがあって。あっちが釣れるタイミングとこっちが釣れるタイミング、みたいな。で、藤田君が出ていくタイミングで五十嵐くんが釣ってたり、五十嵐くんのロッドが曲がっているときに藤田君がやってきたり。と、五十嵐くんもめっちゃたくさん釣ってるわけでないけど、たまたまそんなタイミングで釣ってて。藤田くんには「すごい釣ってるな」って見えてるんだろうな、って。
僕もそう思ってました。絶対やばいって。
で、五十嵐さんが12時半くらいに聞いてきたじゃないですか。どう?って。聞いてきたので、正直に4300くらいです、って言ったら五十嵐さんは4500くらいっていうので、あ、これはゆいP次第だなって。さすがに5キロは釣ってこないだろうし。
この状況で五十嵐さん訊いてくるんだって思いました(笑)
--私はもっと早い段階で会話するのかと思ったけどそうでもなかった。
たぶん、早い段階で訊いたらそっから本気だされても嫌だと思ったんじゃないですかね。
--色んな駆け引きがあるんですね。
あのタイミングってのが面白かったです。僕は一切話しかけるつもりはなかったです。さすがに怖いから(笑)
で、12時半くらいにゆいPが。ボートに付くバスがいる場所があるんですが、そこでゆいPが釣りをし始めたのを見たんですよ。これは、デカいのが揃ってて更にウエイトアップしようとしてるのでは?ってめちゃくちゃビビりました。絶対にやばいって。
--そのボート下につくバスって2キロとかあるんでしょう?
そうです。2キロ近いのがいっぱいいるから。それを狙ってるってわかった瞬間怖かったです。見ちゃったんです。
--ちょうどギリギリ見えるくらいの距離だもんね。
それもあったので最後のほうで900釣れたときも油断せず、まだまだウエイトあげないとって火がつきました。
--優勝を確信したのはどのタイミング?ゆいPのウエイトをきいたとき?
ゆいPのウエイトをきいたときに(トレーラーウエイインの待機中)、クルマの運転手の藤森さんがよっしゃーでガッツボーツしてるのをみて、あれ、もしかしてオレ勝つのかな?って
--で、最後の検量でステージに立ったら報道陣に混じって弟さんがカメラ構えてて
そうそう(笑)なんでいるの?って。あ、でも最終日の朝に来てるのは見てました。
--朝は会話はしてない?
そんときは「どうなの?」って聞かれて「やり切るだけだよ」って答えたかんじで。
--すごいサプライズでしたね。
初優勝して実感は?
そうですね。おめでとうのコメントとかお祝いをしていただいて、優勝したんだなって。会場では頭真っ白でしたね。
--マスターズの優勝とはやっぱり別格?
マスターズのときは2日めが中止になっての優勝だったから、あれ?オレ優勝?みたいな感じだったけど今回は勝ち取った感じです。
--ほんとに綺麗な優勝でした。2日めに同船してこれ絶対に優勝するな、って思って。ネットには載せないけど船上で話してくれた言葉からして、タックルやフックに対する考え・情熱がとんでもないレベルで感動しました。
ハリについては少しだけジャッカルのサイトのコラムに書かせてもらう予定ですのでぜひそちらも読んでいただければ。
--いつ頃UPされるんだろ?タイミングによってはこのページにリンク貼れるけど。
JB TOP50 初優勝を手繰りよせた「正しいフックのチューニング」
--では最後になにかあれば
桧原湖はゴールドハウス目黒さんっていうところで寝泊まりさせてもらってて、すごい快適だし、夜の食事もみんなですごい楽しいしぜひ利用してもらいたいです。
あと靴なんですが、僕は元々サンダル派だったんですが、冬はもちろん靴ですが。サンダル派だった僕がOnの靴を試着して釣りをしてみたら、一日釣りをしたあとの夜の疲れが全然違ったんですよ。それに感動して、サポートしていただけるようになって。
ライブスコープの釣りってすごい脚がすごい疲れるんですね。負担が凄すぎて。で、その負担が減ったことによって釣りの精度を落とさずに高精度を持続できるんです。それは僕にとってすごいアドバンテージだなって。おすすめなんで、夏場サンダルで釣りされてるかたぜひ履いてもらいたいです。
--モデル名とかは?
Cloud5 Waterproofってのが防水モデルでハイカットのと普通のがあって。タウンユースでも使えますし釣りでも使えますし、軽くていいです。
--私も藤田くんに売ってる場所をきいて買いました!
はい! 防水モデルよりも普通のはもっと軽いです。釣りにはこのクラウド5っていうモデルがおすすめです。突然の雨でも全然濡れないですし。
--年間はそんなに気にしてない?
年間がいま7位まであがりました。7位まで上がったらクラシックの権利は確保(15位)したいです。あとトップ5に入りたい。一位の佐々さんとはすごい点差ついちゃってるので年間優勝は厳しいけど、でも年間上位は狙いたいな、って思うようになりました。今回の優勝で。
--長時間ありがとうございました~
年間ポイントランキングは佐々一真が首位をキープ
全5戦中4戦を終えた暫定ポイントランキングTOP10は以下。佐々一真が暫定トップをキープしたものの、3位の梶原までの差は僅か。AOYとクラシック出場、そしてトップ50残留をかけた最終戦は福岡県遠賀川で10月13日から開催される。
暫定順位 | 氏名 | ポイント計 | 1位との差 |
---|---|---|---|
1位 | 佐々一真 | 171p | 0p |
2位 | 志達海輝 | 168p | 3p |
3位 | 梶原智寛 | 165p | 6p |
4位 | 青木唯 | 155p | 16p |
5位 | 鈴木隆之 | 155p | 16p |
6位 | 今泉拓哉 | 139p | 32p |
7位 | 藤田夏輝 | 138p | 33p |
8位 | 早野剛史 | 138p | 33p |
9位 | 市村修平 | 135p | 36p |
10位 | 黒田健史 | 133p | 38p |
写真・レポート:NBCNEWS H.Togashi