トップウォーターで35m先のキッカーラージを狙い撃ち!
宇佐見素明ルーキーイヤーで初優勝!
トップ50シリーズ第4戦はケイテックCUPとして、秋の桧原湖で開催された。秋の桧原大会は恒例化しているが、今年から適用された3本のバッグリミットルールは新しい風を吹かせた。桧原湖は他の会場に比べて圧倒的に数が釣れるため、リミットメイクは当たり前だが、900g以上のスモールマウスを揃えなければ上位は狙えない。そして、さらに差をつけるには1.5~2キロ台のラージマウスを狙うことが勝利への近道となる。結果として、初日に2,300gのラージマウスをトップウォーターで仕留めた宇佐見素明が3,918gをウエイインし、その後の2日間はスモールマウスで安定した釣果を重ね、初日のリードを活かして見事に優勝を果たした。
予選初日 宇佐見素明が3,918gでロケットダッシュを決める!
大会初日は雲が多めながら青空も覗く天気。風は無風~微風。10時ごろから取材艇で湖の北半分をまわってみた。近年人気がなかった早稲沢沖にボートが多く、ヒットシーンに遭遇する回数も多かった。通称ワッフル前、狐鷹森スロープ前も人気。月島周りは空いていた。
秋の減水期の影響なのか、ショアを流すボートはなく、皆、沖のワカサギ絡みの釣り・立木の釣りを行っているように見えた。また、マイクロホバストを会得しているであろう選手は頻繁にロッドを曲げていた。
初日は53名中46名がリミットメイクを果たし、相変わらずよく釣れる桧原湖だった。バス持ち写真を撮影するメディア陣は、概ね上位20%程度であろうウエイトを事前に予想し、ボーダーウエイトを決める。この日のボーダーは2500gに設定したが、その読みは外れた。ちなみに、ローカルJBやチャプター戦で2500g釣れば、だいたいお立ち台に上がれる。さすがトップ50、2500g釣っても「普通のひと」だった。
去年の覇者藤田夏輝がラージマウスを混ぜ3,198gをウエイイン。今泉拓哉はスモールマウスだけで3,118g。小森嗣彦も1400gのキッカースモールを入れ3,062g。そして最後に検量にやってきたのが宇佐見素明。ど迫力の2キロオーバーラージマウスを混ぜ3,918gをマーク。800gのスモールマウスを釣るのですら容易ではない中、それの3匹分のスーパーキッカー2300gフィッシュである。結果的にこのスーパーアドバンテージが優勝に繋がった。
予選2日目 五十嵐誠が3132gで単日トップ、宇佐見素明が予選トップ通過
予選2日目も初日と似た天気で始まった。この日は取材艇で全域をまわってみた。近年ほとんどボートが浮いていなかった京ヶ森にボートが多く浮いていた。去年はこのワンド出口~本湖側が人気だったが、今年はそうでもなかった。ここ数年続いたボート分布傾向が今年は大きく異なる印象を受けた。 この日はお昼前から晴れ間が広がったうえ、ほぼ無風状態になり、前日ほどヒットシーンには遭遇しなかった。
2日目の単日トップは五十嵐誠。1500gクラスのスモールマウスを混ぜ3,132g。2位は梶原智寛、こちらもオールスモールで3,014g。この日、ラージマウスを検量した選手はいなかった。
検量率100%、リミットメイク率86%と釣れ釣れ具合は相変わらずだが、初日より若干トータルウエイトが落ちた2日目。上位陣の顔ぶれも初日とは変わった。そんな中、宇佐見素明は2日目15位となる2506gをウエイイン。トータル3918gで予選をトップで通過した。2位は桧原湖2連勝が懸かる藤田夏輝。3位はすべてスモールマウスで驚異的なウエイトを重ねている今泉拓哉と続いた。
決勝日 宇佐見素明逃げ切りで初優勝
決勝最終日は8時から本降りの予報。湖畔を一周し地上から撮影を試みた。前日人気エリアだった京ヶ森はまさかのガラガラで、あてが外れた。ワッフル前と呼ばれるスポットで今泉拓哉の6キャスト連続ヒットショーを撮影することができた。大会中にここまで釣れるのは、今の日本では桧原湖だけだろう。 予報が外れることに期待したが、11時過ぎについに雨が降り始め、豪雨とともに雷も鳴り出した。大会本部は大会中止の決断をくだし、30分前倒しでの帰着となった。
検量中も雨が強かったため、インスタ中継やトレーラーウエイインショーも中止し、淡々と進行した。降雨で活性が上がったのか、最終日になって2700g超えの釣果を出した選手が7名にのぼった。単日トップは志達海輝で3,156gをマーク。
暫定トップの宇佐見素明は2,318gで単日17位。宇佐見を追う選手らも同じようなウエイトで逆転はできず、最終的には432gの差をつけて宇佐見素明が逃げ切り、初優勝となった。 初日の2300gフィッシュは湖南部のロックエリアで釣り上げた。ライブスコープの範囲を40mにセットし、35m先の個体に対してプロップ系の大型トップウォータープラグをキャストして食わせたというスゴ技。その後はマイクロホバストでスモールマウスを確実に釣り上げ、スコアを積み上げた。
宇佐見だけでなく、上位陣は軒並みマイクロホバストで結果を出した。撮影中もロッドを曲げている選手のほとんどが、その釣りをしていた。2021年秋に藤田京弥・佐々一真・青木唯らが使い始め、瞬く間にスモールマウス戦を席巻した釣法。未だにその力は衰えていないようだ。
次回最終戦は10月25日~27日に茨城県北浦で、エバーグリーンCUPとして開催される。
写真・レポート:NBCNEWS H.Togashi