ジャパンスーパーバスクラシックストーリー

2025年 11/01 () ~11/02 () 奈良県 津風呂湖

津風呂湖に響いた覚醒の瞬間
今泉拓哉、史上初の3週連続優勝

【クラシック概要】

ジャパンスーパーバスクラシック2025の舞台となったのは、奈良県・津風呂湖。
この大会は、全JBトーナメントの総決算とも言える年間最後の特別戦であり、各シリーズの年間上位選手のみが出場を許される、まさに“エリート・オブ・エリート”の戦いだ。

1987年の創設以来、クラシックは全国各地の名だたるフィールドで開催されてきた。
黎明期には琵琶湖・河口湖のダブル開催をはじめ、霞ヶ浦、北浦、旧吉野川、野尻湖、遠賀川など、全国を巡回しながら各地で名勝負を生み出してきた。
しかし2010年代に入ると、山梨県・河口湖での開催が定着。2017年以降は8年連続で河口湖が舞台となり、もはや「クラシック=河口湖」とも言われるほど、固定化された印象が強かった。

そんな中で迎えた2025年大会は、実に9年ぶりの地方開催。全国のトップアングラーが秋のリザーバーという未知のステージに挑む構図は、まさに新時代の幕開けを感じさせるものだった。

クラシックを制した者には「クラシックチャンピオン」の称号が与えられ、これはJBの3大タイトルのひとつとして、JBマスターズ年間チャンピオンやトップ50年間タイトルと並ぶ最高の栄誉とされている。
その称号を手にすることは、すべてのJBアングラーにとって特別な意味を持つ。

大会フォーマットはマスターズシリーズと同様に、2日間・各日3本リミットの合計重量で競われる。
シーズンの締めくくりにふさわしく、勝負のすべてが技術と経験、そして2日間の安定感にかかる。

そして今回、歴史あるその舞台に選ばれたのが奈良県・津風呂湖である。
ローカルJBトーナメントとしては20年近い開催実績を誇り、これまでに黒田健史や吉川永遠といったトップ50選手を輩出してきた。
近年ではU30トーナメントの開催地としても知られ、若手FFS世代と相性の良いフィールドとして注目を集めている。

ただし、11月上旬に開催されるJB戦は今回が初めて。
チャプターのチャンピオンシップとしては秋開催の実績があるものの、全国規模の大会としては前例がなく、多くの選手にとって“11月の津風呂湖”は未知の領域だった。
バスフィッシングにおいて季節の違いはフィールドの性格そのものを変える。
気温・水温・ターンオーバー・ベイトの動き――あらゆる要素が秋から初冬へと移り変わる中で、魚の動きを読み切ることが何よりも難しい大会となった。

必然的に、地元アングラーにとって有利な展開になるのでは――そんな予感の中で幕を開けた。

【DAY1】若きFFS世代が躍動、秋の津風呂湖でハイウエイト戦

前日までの大雨が湖に影響を与えた津風呂湖の朝。
水位は例年よりも大きく下がり、地元筋によれば今年の猛暑の影響もあってマイナス6メートル。大会当日は曇り時々晴れ、気温は10度台前半。多くの選手が防寒ウエアを着込み、晩秋の冷え込みを感じさせるスタートとなった。
秋が深まると日本へ渡ってくるジョウビタキの声が湖畔に響き、周囲の山々は紅葉こそ少ないものの、深い緑に包まれた晩秋の空気を漂わせていた。

取材艇で湖を一周してみると、51名の選手は湖全域に散開しており、特定のエリアに偏る様子はない。
沖の魚は少なく、多くの選手が岸沿いを中心に展開。ライブスコープの画面を見つめながらも、岬周辺やガレ場、地質変化のあるポイントなど、リザーバー特有の地形を丁寧に探っていく姿が印象的だった。

下流部の今泉拓哉に小型がヒット

取材中にも小型ながら複数のヒットシーンに遭遇し、魚影の濃さと津風呂湖のポテンシャルを改めて感じさせた。

結果として、全体の検量者は38名、リミット達成者は12名(23.5%)。
総匹数70匹、1匹平均881gと、この時期としてはかなりの釣果。
近年の秋トーナメントの中でも際立つ釣れっぷりで、津風呂湖のポテンシャルの高さが証明された一日となった。

津風呂湖ローカル新谷健斗が初日トップ
トップ50ルーキー藤川温大が2位

その中で初日トップに立ったのは、地元・津風呂湖を知り尽くす新谷健斗。的確なレンジ選択とアプローチで4,165gをマークし、堂々の首位発進。
続く2位には今季トップ50で何度も見せ場を作ったルーキー、藤川温大が4,150g。
いずれも2kgクラスのビッグフィッシュを絡め、秋の津風呂湖を攻略してみせた。

3位には松崎真生(3,704g)、4位に荒木凛太郎(3,392g)、5位に志逹海輝(3,370g)と続き、上位7名までが3kgオーバーというハイレベルな戦い。
上位陣にはライブソナー(FFS)を駆使する若手アングラーがずらりと並び、とりわけ20代のZ世代が強さを見せつけた。
クラシック初日は、時代の変化を象徴するように、若い感性と最新テクノロジーが躍動する展開で幕を閉じた。

【DAY2】曇天の中で静かな展開、そしてドラマの始まり

大会2日目は、時折日が差すものの全体的には曇りベースの一日。

香束筋の今泉拓哉

気温は前日と同じ10度台前半。ボートは広く分散し、人気エリアの集中は見られなかった。
日曜日ということもあり、一般アングラーや岸釣りの姿も多く、秋の津風呂湖は賑わいを見せた。

競技時間が1時間短縮されたこともあり、全体の釣果はやや下降。
検量者32名、リミットメイク7名(13.7%)と厳しい数字が並ぶ中、一方で1匹平均ウェイトは1,064gとサイズアップ傾向。チャンスを掴んだ者が上位に立つ展開となった。

3本で 5,885g!

そして大会を大きく動かしたのが、上位2名による驚異のビッグウエイト。
5,885gを叩き出した今泉拓哉、5,530gを持ち込んだ加木屋守――2人が会場をどよめかせ、クラシックらしいドラマを生んだ。

【RESULT】見る力が導いた覚醒の3連勝、JB史上初の快挙

最終結果、2025年ジャパンスーパーバスクラシックを制したのは今泉拓哉(合計9,099g)。

初日6位(3,214g)からの逆転優勝。その勝因は、テクノロジーではなく、自らの観察眼と判断力にあった。

初日の朝、今泉は会場付近で偶然ボイルを目撃していた。
津風呂湖ではボイルが起きることは比較的珍しく、「この近辺にボイルする群れがいるかもしれない」と感じていたという。
そして迎えた2日目の午前10時半頃、ふとその記憶を思い出して再び会場周辺へ戻ってみると、沖合で単発のボイルを肉眼で発見。
すぐさまライブスコープでエリアをスキャンすると、水面直下に20匹ほどのフィーディングスクールを確認した。
それを攻略した20〜30分間が、このクラシックのハイライトとなった。

ルアーはエンジン「LIKE FIVE ES(5インチ・エラストマー)」+ジグヘッド3.5g。

ENGINE LIKE FIVE ES

高浮力エラストマー素材による独特の波動と反発が、ほかの素材では出せない“自然な食わせの間”を生み出した。
カラーはツートン系で、腹側の明滅が表層のフィーディング群れに強烈に効いた。
群れの進行方向へキャストし、一定スピードでスイミング。狙い通り、2kg・2.2kg・1.6kgをわずか20〜30分で連続キャッチ。12時以降はノーバイトながら、勝ちウェイトを積み上げて見事に逃げ切った。

今泉の釣りは、FFS(ライブスコープ)に依存したものではない。
きっかけは“自分の目”で見た単発ボイル。そこから仮説を立て、ライブスコープで検証し、最後は直感で仕留めた。
「見る力」と「読む力」――テクノロジーと人間の感覚が高次元で融合した勝利だった。

そしてもうひとつの大きなトピックは、今泉の3週連続優勝という前人未到の偉業である。
2週間前のJBトップ50最終戦・霞ヶ浦でJB初優勝を飾り、翌週のバスプロ選手権東日本大会でも連勝。
そしてこのクラシックで3週連続タイトルを獲得した。
人生初優勝からわずか3週間で、国内主要タイトルを立て続けに制覇。
JB40年の歴史の中でも前例のない快挙であり、本人は「覚醒した……かも」と笑ったが、もはやその勢いは本物だ。

準優勝は松崎真生(7,959g)。鬼輪筋の“回遊の通り道”を2日間通して軸に据え、ライブスコープで魚の進行方向を読んで「先置き→中層漂わせ」で食わせる精密戦。メインはHIDEUPコイケ13mmのシューティング。フォールに気付かれると口を使わない傾向を徹底観察し、あくまで“先に置いてから”中層で自然に漂わせる戦法に徹した。2日目は香束筋寄りでキーパー〜20cmクラスの群れ下にビッグが付くことを見抜き、ダウンショットでショートバイトを拾ってアジャスト。その後、鬼輪筋の同バンクで再びコイケに持ち替えて2本を追加し4kg超え。新規開拓に走らず“通り道”の再現性で押し通した判断と、コイケ13mmのレンジキープ力が準優勝の根幹となった。

3位の加木屋守(7,254g)。初日は大雨明けの差しを狙って香束筋最上流右岸ドンツキの“濁りポケット”をチェックするも伸びず、昼の鬼輪筋で良型+小型の2本(1,724g)に留まった。2日目は発想を転換し、“誰もが狙う木付きの魚”を捨てて、フレッシュな単発回遊の拾い釣りへ全面シフト。鬼輪筋で1,500gクラスを仕留めたのち、見返り橋右側の岬群で入り直しを繰り返し、連続流入する新しい群れを捉えて3連発・入れ替えに成功。武器はHIDEUPコイケ17mmのフットボールヘッド7gでのライブシューティングと、Jackallキングジミーヘンジ素材をカット+ラバー追加した2.3g“モリケンリグ”。“小さく、やわらかく、でも存在感のある”サイズ感と素材感の出し分けで、反応の良い個体だけを選別して積み上げた。濁りとプレッシャーの向きまで読んで“入り直しのタイミング”を当てたことが、爆発の引き金になった。

4位の青木大介(6,696g)。鬼輪筋上流域〜入野筋にかけて、サイト×ライブ×ブラインドを融合した“状況適応型”の王道展開。リグはDSTYLEギーラカンス4インチ(お魚セッティング+フリーリグ5g+アゴ1.3g)と5.8インチ(アゴ2.8g+フリーリグ7g)を使い分け、前者はスイミング用の新ロッドDAIWAxDSTYLEのスト、後者は硬めのディハイロ701でボトムスイムに振り切ってレンジを明確化。カラーは単色が明確に有効で、スカッパノンやグリパン系が反応を引き出した。2日目は朝イチに20本以上の差しを確認しながら食わせ切れず、10時半の“入り直し”で2.5kgクラスを攻略、続けて12時前後にキロ強を追加。バイト数は4回ながらサイズアップのスイッチ(4→5.8インチ)で局面を突破し、年間タイトルホルダーらしい取捨選択でウェイトをきっちり構成した。“見せる・泳がせる・置く”の三段活用で、群れの気分を終始コントロールした印象だ。

5位の藤川温大(6,312g)。香束筋の曲がってすぐのワンド〜左岸バンク、さらに吊り橋手前の両サイド岩盤までをテンポ良く面で押さえる“即応型フィネス”。ライブスコープに映らない個体でも、バンク沿いでの浮上やチェイスを視界で捉えた瞬間に、横引きとフォールを即座に切り替える判断が光った。主力はImakatsu「ダンベルクラブ エラストマーのホバスト1.8gと、ジグヘッドワッキー2.2g。3〜8mの中層レンジを、一定シェイク/一定巻き/完全静止という“変化を付け過ぎない一定リズム”で運用し、スモーク系単色の“輪郭の薄さ”で口を使わせる。2日目はサイズの変動とミスが出たが、再現性の高い基礎メソッドで貯金を削らずまとめ切った。Z世代らしい観察眼とテンポの良さ、そして素材パワーの信頼が、上位キープの原動力になった。

今回のクラシックは、ライブソナー世代の技術と読みの精度が存分に発揮された大会だった。
中でも「時合」「レンジ」「素材パワー」を完璧に噛み合わせた今泉の釣りは圧巻であり、
人間の直感とテクノロジーが共存する“新時代の勝ち方”を示した象徴的勝利となった。

そしてこの津風呂湖クラシックをもって、2025年のすべてのJBトーナメントが終了。
新たな世代が主役となり、時代が大きく動いた一年だった。
“覚醒”の言葉がこれほど似合うシーズンは、これまでになかっただろう。
2026年、新たな戦いの幕が、静かに上がる。

レポート作成:ChatGPT5
写真・構成:NBCNEWS H.Togashi

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