SDGマリンCUP

JBトップ50第5戦SDGマリンCUPストーリー

2025年 10/17 (金) ~10/19 () 茨城県 霞ヶ浦

今泉拓哉が悲願の初優勝。青木大介は復帰2年目でA.O.Y.奪還

酷暑だった2025年も、10月半ばになってようやく秋の気配が漂いはじめた。 湖岸にはススキが揺れ、民家の軒先には熟れた柿。そこら中の梢ではモズの高鳴きが響き、稲穂は頭を垂れて秋本番を告げる。初日は朝の冷え込みが強く、肌寒さを感じるほどだった。

どこを切り取っても、秋
どこを切り取っても、秋

今大会の舞台・霞ヶ浦水系は、日本最大のトーナメントフィールド。湖岸の総延長はざっくり230km、東京から福島市や浜松市に届くほどの距離に相当し、総面積は約200平方キロメートル、実に東京ドーム45,000個分に匹敵する。この広大なフィールドの中から、選手たちはわずかなチャンスを求めてバスを探し出さなければならない。北浦最北部まではボートでおよそ50分を要するスケールである。

そして、今大会はシリーズ最終戦。来季の出場権が懸かる選手も多く、その緊張感は尋常ではない。さらに年間ポイントランキング争いも大詰め。若手の加木屋守が首位を守り切るのか、それとも王者・青木大介が逆転するのか──その行方に注目が集まった。

【DAY1】北東風が吹き荒れるタフな初日、青木大介が首位発進

大会初日は予報どおり北東の風が吹き、本湖西岸は波立ち、ボートの走行にも支障が出るほどのコンディションとなった。

波立つ本湖西岸
波立つ本湖西岸

気温もやや低く、秋が深まりつつある霞ヶ浦らしい肌寒さの中でのスタートとなった。

バスの活性は依然として低く、全体的に厳しい状況。参加52名のうち検量できたのは28名、リミットメイク(3匹)を果たした選手はわずか4名(7.7%)にとどまった。持ち込まれたバスは合計46匹。タフな展開をデータが物語っている。

青木大介	2,718g	2匹
青木大介 2,718g 2匹
藤田夏輝	2,642g	3匹
藤田夏輝 2,642g 3匹
梶原智寛	2,288g	2匹
梶原智寛 2,288g 2匹

そんな中、青木大介が2本ながらも2,718gを持ち込み、暫定首位に立った。タフコンディションを読み切った精度の高い釣りで、年間タイトル(AOY)に向けて大きく前進する形となった。2位には前戦の優勝者・藤田夏輝が3本2,642gで続き、勢いそのままに再び上位争いに食い込む。3位には梶原智寛(2,288g)、4位に芳賀龍平(2,100g)、5位に佐々一真(2,080g)が入り、上位5名はいずれも2kg超えをマークした。

一方、年間首位で最終戦を迎えた加木屋守はまさかのノーフィッシュ。わずか1ポイント差で追う青木が首位発進したことで、年間レースは一気に混戦となった。タフな初日を制した青木が、このまま流れを掴むのか。それとも加木屋が巻き返すのか。2日目以降の展開に注目が集まる。

【DAY2】穏やかな天候の中でも依然タフ、小森・今江・五十嵐らベテラン勢が浮上

大会2日目は前日の北東風から一転、当初予報されていた強い南風は外れ、湖上は穏やか。風波を気にせず広範囲を走ることができた。朝の冷え込みもやや緩み、陸上では温かさすら感じる気候となった。

初日はボートで霞ヶ浦を回ってみたが、選手を見つけるのは苦労した。2日目はクルマで北浦方面を回ってみたものの、やはりエリアが広大過ぎて選手の姿を確認することは困難を極めた。どのエリアに誰が浮いているのか、全く把握できない──これはこの霞ヶ浦水系の大会では毎回のことだが、改めてそのスケールの大きさを実感させられる。

依然としてバスの反応は渋く、状況が劇的に好転することはなかった。参加52名のうち検量を果たしたのは26名、リミットメイク(3匹)を達成した選手は6名(11.5%)と、前日よりやや上向いたものの依然タフなコンディションが続いている。

今江克隆	2,930g	3匹
今江克隆 2,930g 3匹
小森嗣彦	2,504g	3匹
小森嗣彦 2,504g 3匹
五十嵐誠	2,332g	3匹
五十嵐誠 2,332g 3匹

この日のトップは今江克隆。古渡の浚渫・北利根川で貴重な3本を揃え、2,930gで首位に立った。続く2位には小森嗣彦が2,504g、3位には五十嵐誠が2,332gをウェイインし、いずれも安定した釣果を記録。ベテラン勢が持ち味を発揮して上位を占める展開となった。

一方、初日首位の青木大介の1本1,040gをはじめ、初日上位陣の大半が0~1本の釣果に留まるなど、依然として厳しい状況を象徴する一日となった。

【予選結果】16名のみが連日検量、経験値がモノを言うサバイバル戦

2日間の予選を終え、決勝進出の30名が確定した。今回は全体のタフコンディションが際立ち、2日間とも検量できた選手はわずか16名。また、一日でも約900gを持ち込めば予選通過できるという、かつてないほどのロースコア戦となった。

予選トップ通過 小森嗣彦
予選トップ通過 小森嗣彦

上位はベテラン勢が存在感を示す展開。小森嗣彦、青木大介、五十嵐誠という顔ぶれが並び、まるでFFS(前方魚探)以前の時代を思わせる、経験値と対応力がものを言う展開となった。 首位は小森嗣彦の4,146g。2位の青木大介とはわずか388g差で、10位の藤田夏輝までの差も1.5kg台に収まっている。ここまでタフな状況下では、上位10名すべてに逆転優勝の可能性が残る混戦。 わずかな判断の差、1本の価値が極端に大きい霞ヶ浦らしい戦いが、いよいよ最終日に向けて動き出す。

【DAY3】曇天の決勝、今泉拓哉が大逆転優勝を果たす

決勝最終日スタート
決勝最終日スタート

大会最終日は曇り空の下でスタート。気温は20℃前後と過ごしやすく、風も穏やかでボート走行の制限はなかった。 時折小雨がぱらつく中、予選を勝ち抜いた30名が、2025年シーズン最後の戦いに挑んだ。 ただし、最終日は競技時間が通常より2時間短く、このタフコンディションの中ではその制限が選手たちをさらに苦しめる結果となった。

釣果データが物語る通り、最終日も極めて厳しい展開。参加30名のうち検量を果たしたのは15名、リミットメイク(3匹)を達成したのはわずか2名(6.7%)にとどまった。大会を通じてタフさが際立った霞ヶ浦を象徴する最終日となった。

大会の舞台となったSDGマリン横利根ベースは、バスのトーナメント会場として日本一整った設備を誇る場所。 3日間を通して選手や観客を受け入れ、最終日には多くのファンが詰めかけてウエイインショーを見守った。 その注目の中で、暫定首位の小森嗣彦がまさかのノーフィッシュに終わり、会場にはどよめきが広がる。

このタフコンディションで1本を確実に釣ってくる王者 青木大介
このタフコンディションで1本を確実に釣ってくる王者 青木大介

さらに暫定2位の青木大介も1本のみのウェイイン。確実に1本を持ち込む安定感はさすがだったが、逆転には届かなかった。

今泉拓哉	2,884g	3匹
今泉拓哉 2,884g 3匹

そして、この日もっとも鮮烈な結果を叩き出したのが今泉拓哉だった。 予選17位からのスタートながら、この日唯一リミットの3本を揃え、2,884gをウェイイン。 暫定トップとの差2,128gをひっくり返す劇的な大逆転優勝を果たした。 このタフコンディションの中、リミットメイクを果たしたのは今泉を含めわずか2名。 その精度と冷静な判断力が、霞ヶ浦の難しさを制し、1本1本の価値を際立たせる結果となった。

【RESULT】ホームレイクでの悲願達成。今泉拓哉が8年目でつかんだ初優勝

優勝:今泉拓哉(4,902g)

大学生のときにトップ50へ初参戦してから8年。FFS(前方魚探)の習得が遅れ、同年代ライバルたちが次々と優勝していく中で、自身だけが取り残されたような感覚に苛まれた時期もあった。 それでも地道に練習を重ね、ホームレイク・霞ヶ浦で迎えた最終戦。長年追い続けた“初優勝”の瞬間が、ついに訪れた。

今泉が選んだのは霞本湖。プラクティスでは東浦から梶無川、外浪逆浦といった広範囲を見ていたが、最終的に「風が当たって生命感のある霞ヶ浦本湖」をメインに据えた。 エンジンのフォールクロー(5gテキサス)を中心に、バゼル(イマカツ)やフォールスティックのノーシンカーを状況に応じてローテーション。

風の当たり具合や濁りの変化を見極め、古渡のブッシュや霞ヶ浦大橋上流の石積み絡みブッシュなど、条件が重なるスポットを精密に撃った。

「毎朝、風の予報を確認してエリアを決めた」と本人が語るように、日替わりの気象変化に柔軟に対応。 3日目には、この日唯一となるリミットメイクを達成し、2,884gをウェイイン。予選17位からの大逆転優勝を果たした。 地の利を生かした判断力と、冷静なリズムコントロールが、8年越しの歓喜を呼び込んだ。

2位:青木大介(4,680g)

年間タイトルを意識しながらも、自らの強みを貫いた。 青木のメインベイトはシェーキングエビソン(エビソンボーイ)。従来の「パンパンアクション」ではなく、微細なシェイクによってプレッシャー下の魚を食わせる独自のアプローチを展開した。「パンパンすると出てくるけど食わない。シェイクすれば、ほぼ100%口を使う」と語るその釣りは、まさに精密操作の極致。

キーエリアは外浪逆浦・トンボ公園の右側(朽ちた電柱杭跡)。水質の変化と魚の定位を読み、視界に現れるバスを1匹ずつ仕留めた。 サブには弱めのブレードにデチューンしたDスパイカーコンパクト(スピナーベイト)と4インチカットテールのジグヘッドワッキーを組み合わせ、日によって微調整。 「プレッシャーの中でも、信じた釣りで1本ずつ拾っていく」──この言葉どおり、見えている魚を確実に仕留める冷静さが光った。

3位:芳賀龍平(4,578g)

パワーフィッシング一筋。3日間すべてをレインズホック10gテキサスリグで貫いた。 初日は夜越川のツルノゲイトウで午前中に3本を揃え、その後は大山・北利根へ展開。2日目は水の悪化に苦しみながらも、風裏のツルノゲイトウや石積みで追加を絞り出した。

夜越川のツルノゲイトウを狙う
夜越川のツルノゲイトウを狙う

最終日は11時半までノーバイト。それでも最後の1時間でブッシュ絡みのテトラから連続ヒットを導き、逆転で表彰台を手にした。 「テトラのちょっとへこんだところにルアーを落としたら食った。あの瞬間で救われた」と語るように、粘り強さと集中力が結果を呼んだ。 ブッシュ、ツルノゲイトウ、石積み──霞ヶ浦らしいストラクチャー撃ちを貫いた“信念のテキサス”が、見事に実を結んだ。

4位:小森嗣彦(4,146g)

2日目にリミットを揃えて首位に立ちながらも、最終日は無念のノーフィッシュ。 それでもこの試合で見せたアプローチは、長年トップを走ってきたベテランならではの完成度だった。 「今年はライブスコープ戦で全く勝てなかった。ここはそういう試合じゃないから、ここで勝たなきゃ終わりだと思っていた」と語るように、強い覚悟で挑んだ一戦だった。

小森が見出したキーは、エビを捕食するバス。ストラクチャーからふわりと出てくる個体をターゲットに、スペリオフックのジグヘッド+アンクルゴビーによる中層攻略を軸に展開した。 また、スモラバ+チビモコリークローをツルノゲイトウなどのカバー撃ちに投入し、的確なローテーションで2日間をまとめた。 走行エリアは北浦・土浦・古渡・北利根と広範囲。 「ジグヘッドで通しながら魚の出方を見て釣る」その丁寧なスタイルが、タフな霞ヶ浦でもしっかり通用することを証明した。

5位:五十嵐誠(4,078g)

武器は最も得意とするネコリグのボトムシェイク。狙いは「昔アシが生えていた根っこ」のような小さなピン。 「プラでは釣れなかったけど、初日に入ったらすぐ釣れた。2日目に2連発して“激アツだ”と思って3日目も粘った」と笑う。

3日間で同じアシから3匹をキャッチ。入ってすぐ反応が出るが、粘ると食わないという特性を見極め、短時間勝負で効率的に釣果を積み上げた。 「バンクベタではイメージが湧かない。オフショアの食わせポイントを探して釣った」と語るように、岸から離れたピンを見抜く感覚の鋭さが際立った。 派手さはないが、緻密で再現性の高い釣りが上位を支えた。

【大会総括】シリーズ最終戦が映し出した、霞ヶ浦の現実と選手たちの進化

2025年シーズンのJBトップ50シリーズは、この霞ヶ浦戦をもって全日程を終了した。 年間を通じて各地で試合が行われ、どのフィールドでも例年以上に「対応力」と「修正力」が問われたシーズンだった。 その最終戦が霞ヶ浦というフィールドに舞台を移したことは、象徴的でもあった。 広大な水域と複雑な環境変化、そして魚の気難しさ。トップカテゴリーのプロたちが、まさに“日本最大の実戦舞台”で技術の総決算を競い合った。

大会全体を通して極端なタフコンディションが続いたが、それでも上位陣はわずかな変化を的確に捉え、 1本1本の重みを積み重ねた。ライブソナー等のハイテクデバイスの有無に関わらず、「そのフィールドをどれだけ理解し、日替わりの状況にどう順応するか」が勝敗を分けた大会だった。 そして、今泉拓哉の優勝はまさにその象徴。フィールド理解と経験を駆使し、確実に掴んだ一勝が、彼のキャリアを新たなステージへと導いた。

【AOY結果】青木大介、王の帰還。復帰2年目で4度目の年間タイトル

2025年シーズンのJBトップ50年間王者(A.O.Y.)に輝いたのは――やはりこの男、青木大介だった。 日本が誇る最強のトーナメンターは、今季も圧倒的な安定感と完成された技術でフィールドを支配した。

青木は2018年まで日本の頂点を極め、その後は単身で米国のB.A.S.S.に挑戦。海外のトーナメントシーンで磨かれた経験と視野を携え、2023年にJBへ復帰。翌2024年にトップ50へ帰還すると、わずか2年で再び年間タイトルを奪還した。 それは2017年以来となるA.O.Y.であり、自身通算4度目の栄冠。この記録は、同じくレジェンド・小森嗣彦に並ぶ歴代最多タイの偉業である。

今季の青木は、派手さよりも“結果を積み上げる強さ”が際立った。どの戦いでも決して崩れず、フィールド特性や気象条件が大きく変わっても、常に上位で試合をまとめてきた。霞ヶ浦で迎えた最終戦でも、確実に1本を手にし、勝負どころでポイントを積み重ねる冷静さは健在だった。

現代トーナメントはライブテクノロジーをはじめ、戦略・展開ともに激変の時代を迎えている。それでも青木大介は、観察眼と判断力、そして釣りに対する精度と緊張感で、時代を超えて結果を残し続ける。 彼がフィールドに立つ姿は、すでに“日本最強”の称号を超えた存在感を放っている。

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風を読み、水を信じ、最後は自分を信じる。今泉拓哉の初戴冠と青木大介の王座奪還は、霞ヶ浦という巨大な舞台が選手に求める普遍を示した。2025年のJBトップ50はここで閉幕。次章の幕は、もう上がり始めている。

レポート作成:ChatGPT5
写真:NBCNEWS/BASS MAGAZINE
構成:NBCNEWS H.Togashi

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