アウェイの春、レンタルボートの操船精度勝負──HPミノーで冨沢真樹が津風呂湖を制す
2025年3月22日(土)〜23日(日)、奈良県津風呂湖にてJBマスターズシリーズ第1戦「デジタルストラクチャーCUP」が開催された。全国から100名のJBプロが集結し、春の気配漂う津風呂湖で2日間にわたる熱い戦いが繰り広げられた。大会直前まで冬のような気候となり、前週には雪が降るほどの寒さも記録されたが、大会当日はまさに春の三寒四温の「温」にあたり、2日間とも気温は上昇。特に2日目は20度近くまで気温が上がり、水中のバスたちも一気に春モードに切り替わった。例年とは異なるスピード感のある季節の進行に、選手たちは臨機応変な対応を迫られる大会となった。
初日:快晴の陽気が春バスを動かす
朝は冷え込んだ
100艇規模のレンタルボート戦
上流部は大船団
ライブソナーで岸側を狙う選手が多かった
初日は早朝に気温4度と冷え込んだが、日中は快晴。日差しによって気温・水温ともに上昇し、春を意識したバスが動き出す絶好の条件となった。多くの選手がとび島周辺の上流エリアに集まり、およそ7割の選手が同一エリアに集中する“船団戦”の様相を呈した。
そんな中、その混戦を避けたのが冨沢真樹選手。みかえり橋上流エリアに狙いを定め、春バスの差し位置となるスポットをランガン。OSPのHPミノー 3.1インチを使用したスイベルキャロで3本4,112gを釣り上げ、初日を堂々のトップで折り返した。
冨沢真樹 4,112g 3匹
志逹海輝 3,694g 3匹
荒木凛太郎 3,502g 3匹
村上貴彦 2,276g
2位は志逹海輝選手(3,694g)、3位に荒木凛太郎選手(3,502g)、4位に村上貴彦選手(2,276g)、5位には小宮英明選手(2,124g)が続いた。初日は100名中24名がウェイイン。リミットメイクはわずか3名。バスの動きが読みづらい中、確実に結果を出した上位陣の精度の高い釣りが光った。
2日目:気温上昇で春バスの活性アップ!
上流域は2日目も船団になった
2日目はさらに気温が上昇し、20度近くまで達する春の陽気に。バスの活性も高まり、初日とは明らかに異なる展開となった。岸沿いのライブシューティングが有効になり、選手たちは変化に対応した柔軟な戦略を求められた。
新谷健斗 4,268g 3匹
北原麻七都 3,658g 3匹
この日最もウエイトを伸ばしたのは新谷健斗選手で、4,268gをマークして2日目トップ。2位には北原麻七都選手(3,658g)、3位に吉川永遠選手(3,142g)、4位には冨沢真樹選手(3,060g)、5位に宇佐美大輝選手(3,022g)が続いた。2日目は100名中27名がウェイイン、リミットメイク5名と、前日よりも多くの選手がバスを持ち込む結果となった。
総合優勝は冨沢真樹選手、4戦連続公式戦優勝の快挙
初日1位、2日目4位、合計197ポイントを記録した冨沢真樹選手が、堂々の総合優勝を果たした。今大会のウイニングパターンは、OSPのHP ミノー 3.1インチを使用したスイベルキャロ。
OSP HPミノー
冨沢真樹選手のSNS書き込みによると
「数年前から相模湖で詰めていた釣り方で、スイベルキャロで使うワームはいろいろ試しましたが、HPミノーがベストバランスで最強。上下左右対称の設計で、様々なアクションを高次元にこなしてくれる」
この釣りの最大のキーは、“i字引きしたときに不自然なアクションを出さないこと”だったと冨沢選手は語る。
「その自然さを出せるワームは本当に少なくて、HPミノーはその点で秀逸。フックセッティングはチョン掛けではなく、通し刺し。フックアップ率が圧倒的に違います」
「リーダーの長さは“自分が投げやすい長さ”にすること。これが一番大事です」
春のシャローに上がってきたビッグフィッシュを、違和感なく食わせるための“極めて繊細な釣り”。冨沢選手の経験と信念が詰まったスイベルキャロが、今回の勝利を決定づけた。
また、現地の取材艇からは「操船がうますぎる」と驚きの声も上がっており、
「普段はバスボート+自動エレキのスタイルなのに、今回はレンタル船+足踏みエレキの慣れない機材。それでも魚探を見ながらピタッと止めてクルクル回る動作がすごかった。本人のポストを読んで納得した」
と絶賛された。
冨沢真樹選手の見事な操船テクニック
本人もSNSで、
「プラクティスは3月頭に2日間だけ。長期練習はあまり意味がないと判断して早めに切り上げ。真冬のガイド期間はずっとレンタルボートに集中して準備した」
「エレキの踏み感などもかなりシビアに選んで、まさかの大会直前に普段踏み慣れているミンコタのエレキから、全く踏んだことのないモーターガイドに入れ替え。しかもペダルのスイッチも逆で、今回は本当に足が疲れました(笑)」
「でも、バスボートではなくレンタルボートで、いつも通りの精度で釣りができるよう調整してきたことが、すべてにつながった」
「入鹿池や津風呂湖で日頃からレンタルボートでの試合をバリバリこなしている、西日本のスーパー上手い若手選手が数名マスターズに今年からエントリーしていたのが分かって、絶対に負けたくなかったのでフィジカルもしっかり鍛えました💪」
と語っており、アウェイである津風呂湖という舞台で、西日本勢に一歩も引けを取らぬための準備と気合いが、この勝利の背景にあったことをうかがわせる。
混雑した上流船団を避け、ノーマークエリアを攻略しての優勝劇──。戦略、技術、そして準備力。すべてが噛み合った見事な勝利だった。
新生代の台頭と世代交代の兆し
平均年齢24歳!
今大会では、新谷健斗(26歳)、荒木凛太郎(20歳)、宇佐美大輝(24歳)、北原麻七都(21歳)といったZ世代の選手たちが大活躍。ライブシューティングやフィネスアプローチを自在に操り、確実にバスを引き出す戦略が光った。彼らの釣りは、もはやベテラン勢に引けを取らないどころか、むしろ現代のリザーバー戦において最適解のひとつとなりつつある印象を受けた。
新たな才能が次々と台頭しつつある中、ベテラン選手の技術と経験、若手の柔軟な発想とスピード感。この両者がぶつかり合うことで、今後のJBマスターズシリーズはさらに激しさと深みを増していくだろう。
総評
例年、津風呂湖では沖のライブシューティングが主流となるが、今大会ではその戦術が効きづらく、岸沿いのバンクやシャローのスポットにライブシューティングやフィネス戦略を合わせる展開が多く見られた。春の陽気と急な季節進行による地合いの変化、さらに船団戦という独特の状況下で、選手の実力と適応力が試された大会となった。
混戦を読み解き、的確にバスの居場所と状態を見極めた者が勝利を手にした津風呂湖戦。戦略の幅と精度、そしてフィールドへの理解力が、例年以上に問われた2日間だった。
2025年JBマスターズシリーズは、今大会を皮切りにさらに白熱していく。次戦・ サンライン&アフコCUP 霞ヶ浦戦ではどのようなドラマが生まれるのか。今後の展開にも大いに注目が集まる。
レポート作成:ChatGPT 4o
写真・構成:NBCNEWS H.Togashi