レジェンドを退けた逆順ルーキーの執念──宇佐見素明、時短決戦を制覇
【DAY1】テナガエビを追う戦略が光る、真夏日の霞ヶ浦
真夏を思わせる強烈な日差しと気温31℃のなか、JBマスターズ第2戦サンライン・アフコCUPが茨城県・霞ヶ浦で開幕。
梅雨はどこへやらの真夏日
参加97名のうち、検量に成功したのは50名。リミットメイクはわずか5人と、決して簡単ではないコンディションだった。
この日、霞ヶ浦全体を支配していたのは、春の産卵から回復したバスが、シャローに上がってテナガエビを捕食する“エビパターン”。流入河川や本湖の比較的クリアなエリアを得意とする選手には好条件だった。
宇佐見素明 3,444g 3匹
そんななか初日首位に立ったのが宇佐見素明。西浦のアシやシートパイル、ハードボトムといった「エビがいる」場所をランガンし、9回のバイトから6本をキャッチ。3本のリミットを揃え、戦略が完全にハマった形となった。
鈴木晋平 1,974g 2匹
このほか、鈴木晋平は大山の桟橋を丁寧に攻めて2本1974g、青木大介は桜川で沈みモノとシャローカバーを組み合わせた攻めで2匹1508gを持ち込み、それぞれ上位に位置づけた。
【DAY2】強風と時短のサバイバル、わずか23人が検量
2日目は南西の強風により、競技時間が10時30分帰着の短縮開催に。広大な霞ヶ浦において、この“2時間短縮”は選手に大きな影響を与えた。
風裏の北利根が人気エリアに
風の影響でエリア移動が制限され、釣果にも直結。検量に持ち込んだのは98名中わずか23名で、リミットメイクはゼロという厳しすぎる状況となった。
正木敦 2,452g 2匹
そんな中で2日目トップウエイトとなる2452gを叩き出したのが正木敦。強風を避けた風裏のドック壁でボイルを発見し、そこにエバーグリーンのゲジー(沈む虫系ワーム)を投入。2本を仕留め、大逆転で総合4位まで駆け上がった。
鈴木晋平は2日目も初日と同じく大山桟橋に張り付き、1本746gを追加。荒天下での安定感が際立った。
大野春人 1,602g 2匹
注目を集めたのは大野春人。この日はエンジントラブルに見舞われ、エレキのみでの釣りを余儀なくされた。それでも会場近くのシャローでラストエース(エビカラー)+ラバーチューンのチューンワームを駆使し、2本で1,602gをキープ。単日3位、総合5位とお立ち台入りを果たした。
青木大介 1,412g 1匹
青木大介は初日と同様に桜川へ。朝から快晴だったため、バスが早い段階でシャローカバーに上がってくると読み、ディスタイルDジグカバーにディトレーターをセットしてアプローチ。見事に1412gをキャッチして猛追をかけた。
【RESULT】── 霞ヶ浦を制したのは、逆順の快進撃ルーキー
勝負を決めたのは、宇佐見素明。この日も前日同様に西浦の4箇所を回ったが、バイトが得られずまさかのノーフィッシュが脳裏をよぎる展開。だが、会場へ戻る途中に立ち寄った和田エリアのシートパイルで、1176gの貴重な1本を釣り上げた。2日目7位でまとめ、初日1位・2日目7位という安定感と粘りで、合計194ポイント。2位の青木に8ポイント差をつけて、マスターズ初出場・初優勝を飾った。
宇佐見素明 2日めのキロフィッシュ
この勝利にはもう一つ、忘れてはならない意味がある。2位に迫ったのは、日本バスフィッシング界のレジェンド──青木大介。経験・実績・対応力すべてにおいて国内トップレベルの存在であり、その猛追を真正面から受け止めての逃げ切り劇だった。しかも2日目、青木は前日好調だった沈みモノに早々見切りをつけ、シャローのカバーに切り替えるという柔軟な戦略でキロオーバーを絞り出し、最終盤まで宇佐見を追い詰めた。
そんな状況下で、宇佐見はノーフィッシュの恐怖と闘いながらも、最後の最後で「絶対に1本獲る」と信じて動いた。そして実際に結果を残した。これはまさに“執念”であり、レジェンドすらも封じ込めた勝負強さが光った。
2023年にはジャパンスーパーバスクラシックで優勝。翌2024年にはTOP50参戦初年度で優勝。そして今年初参戦のマスターズでも結果を残し、まさに“逆順の快進撃”とも言うべきルーキーイヤーを飾っている。
大会前にはボートトラブルに見舞われ、周囲の協力でなんとか出場にこぎつけたというエピソードも。お立ち台では「優勝という形で恩返しができて本当に嬉しい」と語り、場内は温かい拍手に包まれた。
次回、JBマスターズ第3戦は8月9日〜10日に山梨県・河口湖で開催される。
第1戦を制した冨沢真樹、そして今回霞ヶ浦を制した宇佐見素明。ともに夏〜秋の河口湖では無類の強さを誇る存在だ。
この二人の牙城を崩す選手は現れるのか。注目の舞台は、真夏の河口湖へと移る。
レポート作成:ChatGPT
写真・構成:NBCNEWS H.Togashi