
青木大介、弥栄湖を制す。隠し玉“プロップヘアーボール”でトップ50通算7勝目
JBトップ50第2戦 東レCUPが、6月12日から14日までの3日間、山口県・弥栄湖で開催された。
弥栄湖でのトップ50開催は今回で6回目。そのうち6月開催は4回目となる。過去3回の6月開催はいずれも6月上旬だったが、今回はそれよりも約2週間遅い日程となった。
この「2週間の違い」は、バスの状態にも少なからず影響を与えていたように見えた。
湖全体としては、スポーニングの終盤期。アフタースポーンの魚がもっとも多いと思われたが、最終日が大潮に当たっていたこともあり、これから産卵に向かうバスも混在していたという。プリ、ミッド、アフター、そしてギルネストを意識する魚。弥栄湖のバスは、ひとつの季節感だけでは語れない状態にあった。
釣れる湖、弥栄湖。
だが、ただ釣るだけでは勝てないのがトップ50である。
3日間を通じてハイウエイトが続出するなか、最後に勝ち切ったのは青木大介だった。初日5,560gで大きく抜け出し、2日目も2,808gで首位をキープ。そして最終日、追い上げる小林知寛を300g差で振り切り、3日間トータル11,326gで優勝。青木はトップ50通算7勝目、そして弥栄湖では2017年に続く2勝目を飾った。
Day1 釣れる弥栄湖が本領発揮。青木大介5560gで開幕ダッシュ
初日の天気は晴れ。

朝イチは思いのほか冷え込み、Tシャツでは震えるほどだった。それでも日が昇った9時頃には快適な気温となり、10時頃からは少し風が吹いて湖面がざわつく場面もあった。
取材艇はまず美和筋を遡った。
各選手は、思い思いの釣りを展開していた。スポーニング絡みのサイトを行っているのか、ボートを一か所に固定して何度も同じスポットへキャストする選手。岬周りを狙う選手。岩盤やバンクを流していく選手。一般的なリザーバーの釣りとしてイメージされるような光景が、湖のあちこちで見られた。
もちろんライブスコープを確認する選手は多かった。しかし、完全にFFSだけで魚を追いかけるような釣りを展開している選手は、少なくとも取材艇から見た範囲ではそれほど多くなかった。

そして何より印象的だったのは、ヒットシーンの多さだ。
サイズは小さいながらも、至るところでロッドが曲がった。記者はこの仕事を25年以上やっているが、取材艇からここまで多くのヒットシーンを見たのは初めてかもしれない。桧原湖ではヒットシーンを目にすることも多いが、西日本のトップ50会場で、ここまで明らかに魚が釣れている光景を見た記憶はあまりない。
取材艇はその後、小瀬川方面へ向かった。

美和筋との合流部付近には数艇のボートが浮いていたが、小瀬川の下流から中流域にかけては、思ったほど選手の姿は多くなかった。一方で、最上流部はクリアウォーターで、サイトフィッシングの有名エリアでもある。そこには複数の選手が浮いており、弥栄湖らしい緊張感のある釣りが展開されていた。

その後、本湖下流方面も回ってみたが、エリアが広大なぶん選手の姿はまばらで、取材艇から写真に収められる場面は多くなかった。
やがて初日の検量が始まった。
取材中に小型サイズのヒットシーンを多く見ていたこともあり、検量率はかなり高くなるだろうと予想していた。その予想通り、検量台は大盛況となった。
しかし、ただキーパーサイズが多く釣れただけではなかった。
そこはさすがトップ50選手である。ハイウエイトが続出した。



初日トップに立ったのは青木大介。3匹で5,560gという驚異的なウエイトを持ち込んだ。2位は吉川永遠の4,740g、3位は藤川温大の4,480g。さらに4位の今泉拓哉が3,880g、5位の山下尚輝が3,686gと続いた。
3kgを超えた選手は17名。参加51名中、検量したのは50名。リミットメイクは44名で、リミットメイク率は86.3%。バス総数は143匹、総重量は117,206g、1匹平均重量は819gという数字が残った。
ウエイイン率の高さでいえば、昔から「東の桧原湖、西の弥栄ダム」と言いたくなるほど、弥栄湖は安定して魚が釣れるフィールドという印象がある。
今回の初日はそのイメージをさらに強く印象づけるものだった。
釣れるだけではない。ビッグウエイトも出る。
2026年の弥栄湖戦は、初日からトップ50らしいハイレベルな殴り合いで幕を開けた。
Day2 釣れ続く弥栄湖。しかしウエイトは確実に落ち始めた
2日目も、朝イチこそ肌寒い場面があった。

しかし日中は爽やかな初夏の一日となった。初日よりも光量は上がり、無風の時間も多かった。水中が見やすくなったことで、サイトフィッシングを展開する選手にとってはプラスに働いた場面もあったかもしれない。
取材艇は2日目も弥栄湖の全域を回った。
初日同様、湖の各所でヒットシーンを見ることができた。やはり弥栄湖は釣れる。そこに疑いの余地はなかった。

ただし、湖の雰囲気は初日とまったく同じではなかった。
スポーニング絡み、あるいはフライガードの個体は初日にある程度釣られたのか、2日目はボートの往来が初日よりも多くなった印象があった。選手たちは前日の手応えをもとに、魚の多いエリア、ビッグフィッシュが見えたエリア、あるいは他の選手が釣っていたエリアへと動いていく。

晴れ上がったことも影響したのか、岸沿いのカバーを狙う選手も増えた。

岩盤、オーバーハング、ウッドチップ系のカバー、シェード。初日に比べると、より「晴れた日のリザーバー」らしい釣りが目立つようになった。
そして検量。
さすがの弥栄湖も、2日連続で初日のようなスーパーウエイトが並ぶことはなかった。
それでも参加51名全員が検量。リミットメイクは41名で、リミットメイク率は80.4%。バス総数は140匹、総重量は97,052g。1匹平均重量は693gだった。初日の1匹平均819gからは明確にサイズダウンしたが、それでもトップ50の2日目としては十分すぎる釣果である。
2日目トップウエイトを持ち込んだのは坂野純平。3匹で4,100gをマークした。

坂野は初日、唯一のノーフィッシュに終わっていた。しかし本人によれば、初日も大きいサイズを2本ミスしていたという。釣れていなかったのではない。紙一重でスコアに結びついていなかっただけだった。
その鬱憤を晴らすかのように、2日目は小瀬川でビッグフィッシュをキャッチした。
ひとつはO.S.P HP 3Dワッキーを使ったパワーフィネス。小瀬川のカバーを攻め、ビッグサイズを引き出した。もうひとつは小瀬川の沖をFFSで捉え、シャッドテールワームのジグヘッドで食わせる釣り。2kg近い魚を2本キャッチし、そこに小型1本を加えて4,100g。初日ノーフィッシュから一気に2日目トップへ。まさに紙一重のトーナメント展開だった。

2位は小林知寛の3,610g、3位は早野剛史の3,562g、4位は黒田健史の3,464g、5位は加木屋守の3,366g。初日のような5kg台、4kg台連発とはならなかったが、それでも上位陣はしっかりと3kg台を持ち込んだ。
予選結果 青木大介が独走態勢。決勝ボーダーは3740g
一方で、初日上位陣にも明暗が分かれた。

初日トップの青木大介は2,808gを追加し、2日間トータル8,368gで暫定トップをキープ。初日5,560gという大きな貯金を活かしつつ、2日目も崩れない強さを見せた。
初日2位の吉川永遠は1匹1,070gにとどまり、2日間トータル5,810g。初日3位の藤川温大は2,086gを追加し、2日間トータル6,566g。爆発した初日から一転、2日目は多くの選手がサイズアップに苦しむ展開となった。
予選結果では、青木大介が総合192ポイントでトップ通過。2位に宇佐美大輝、3位に小林知寛、4位に藤川温大が続いた。
一方、2日間の重量順で見ると、青木大介が8,368gでトップ。2位は小林知寛の6,736g、3位は宇佐美大輝の6,694g、4位は藤川温大の6,566gだった。
青木と重量2位の小林との差は1,632g。
弥栄湖のポテンシャルを考えれば決して安全圏とは言えない。しかし、2日目に湖全体のウエイトが落ちたことを考えれば、青木の初日5,560gはあまりにも大きかった。
そして決勝進出ラインとなる30位は、篠塚亮の3,740gだった。内訳は初日1,394g、2日目2,346g。31位の荒木凛太郎は3,604gで、その差はわずか136gだった。
2日間で3.7kg台。単純計算では1日あたり1,870g前後が、今回の弥栄湖で決勝に残るために必要なウエイトだったことになる。
キーパーは釣れる。数も釣れる。だが、勝つためには2kgクラスをどう混ぜるか。
2026年の弥栄湖戦は、予選2日目を終え、青木大介が大きく抜け出した形で決勝を迎えることになった。
青木大介の秘策。ギーラカンスではない“もうひとつの武器”
2日目の朝、記者は青木大介に少しだけ話を聞くことができた。
青木はその時、今回の試合について「誰もやっていない、特殊なルアーが効いている」と話していた。初日の5,560gという驚異的なウエイトも、そのルアーの力が大きかったという。
今大会、多くの選手が青木のメーカーであるDSTYLEのギーラカンスをキャストしていた。
実際、ギーラカンスはスポンサーの垣根を越えて、多くのトップ50選手が手にする人気ルアーとなっていた。弥栄湖のギル食い、ライブシューティング、ビッグフィッシュ狙い。そのどれにも対応できるルアーとして、今大会でも存在感は大きかった。
さらに面白いのは、予選で青木を追う小林知寛もまた、ギーラカンスを使っていたことだ。しかもそのギーラカンスは、青木本人からもらったものだったという。
自ら作ったルアーが、最大のライバルの武器にもなっている。
それでも、当の青木本人がメインにしていたのは、まったく別のルアーだった。

取材艇で青木を長時間追っていると、確かにかなりの時間をその秘策ルアーに割いていることがわかった。遠目にも通常のワームとは異なるシルエットと輝き。何らかのギミックが施されていることは明らかだった。
青木は「公表はしないつもり」と話していたため、その時点で深追いはしなかった。
この時点ではまだ、記者もそのルアーの正体を知らない。
ただひとつ確かだったのは、青木大介が今大会、誰もが注目するギーラカンスとは別に、もうひとつの強烈な武器を隠し持っていたということだ。
Final Day 曇天の小瀬川上流。青木大介と小林知寛が朝から動いた
最終日の朝は曇り。
予選2日間とは明らかに湖の雰囲気が違っていた。初日、2日目は晴れ間が多く、光量も強かったが、この日はローライト気味の空模様。アフタースポーンの魚が多いこの時期において、この天候変化はプラスに働く可能性があった。
さらにこの日から大潮。スポーニングに絡む個体が新たに動き出すことも考えられた。
予選2日間を終え、トップは青木大介。2位の小林知寛との差は、重量で1,632g。決して小さな差ではないが、弥栄湖のポテンシャルを考えれば、2kgクラス1本で一気に状況が変わる可能性もある。
フライトが始まると、暫定1位の青木大介、そして重量2位の小林知寛が、そろって小瀬川上流方面へ向かった。
取材艇もその2人を追った。

小瀬川上流には、決勝らしい緊張感があった。
クリアウォーター、岩盤、ギルネスト、サイトフィッシュ、そしてライブスコープ。今大会のキーとなる要素が凝縮されたエリアで、暫定1位と重量2位が同じ水域をシェアする形となった。

取材艇からカメラに収めることはできなかったが、後にわかったことがある。青木も小林も、朝の早い時間帯に小瀬川上流域で2kgクラスをキャッチしていたのだ。
逃げる青木と、追う小林。
最終日の朝、勝負は静かに、しかし確実に動いていた。
青木は小瀬川を徐々に下りながら釣りをしていた。

取材艇もしばらく青木を追った。青木は例の秘策ルアーをキャストし続けていた。優勝がかかった決勝日ではあるが、その表情はどこか柔らかい印象だった。

この時点では知らなかったが、青木はすでに朝の早い時間帯に2kgクラスをキャッチしていた。追われる立場でありながら、試合を大きく左右する1本を手にしていたことが、あの表情につながっていたのかもしれない。
弥栄湖は、エレキ戦で回るには広い。
しかも決勝日は30艇に絞られる。予選2日間に比べてボートの数が減ったことで、フィールド上の選手を追い続けることは簡単ではなかった。取材艇はその後も各エリアを回ったが、広大な湖に散った選手たちの勝負をすべて追うことはできないまま、帰着時刻を迎えることになった。
Final Result 再び4kg台続出。小林知寛が猛追、青木大介が300g差で逃げ切る
天気が変わったこと。
大潮に入ったこと。
そして決勝日となり、ボートの数が予選の51艇から30艇に減ったこと。
それらのいずれか、あるいはすべてがプラスに働いたのか、最終日は再び4kg台が続出した。選手たちからも「今日は自分の魚が増えた」という声が聞かれた。
2日目に一度落ち着いたかに見えた弥栄湖のウエイトは、最終日に再び跳ね上がった。


最終日トップウエイトを叩き出したのは天野雄太。3匹で4,415gを持ち込んだ。藤田夏輝も4,335g、小林知寛も4,290g、比嘉大輔も4,080gと、4kg台が続出した。
なかでも青木を追い詰めたのは小林知寛だった。
小林は2kgクラス、1500gクラスを含む3匹で4,290gをマーク。2日間の時点で青木との差は1,632gあったが、最終日に一気にその差を詰めてきた。
だが、王者・青木大介は崩れなかった。

朝イチの2kgクラスが効いた。最終日は2,958g。小林の猛追を受けながらも、3日間トータル11,326gでフィニッシュ。小林の11,026gを300g上回り、逃げ切った。
青木大介、トップ50通算7勝目。
そして弥栄湖では、2017年大会に続く2勝目。
2017年、青木はステルスペッパーと、後に公開された“秘密の虫パターン”で弥栄湖を制した。そして2026年、再び青木は弥栄湖で、誰もが驚く秘策を用意して勝利をつかんだ。
5位 藤川温大

3日間トータル8,478g
5位に入った藤川温大は、3日間を通じて小瀬川上流から美和筋を軸に展開した。
直前プラクティスの感触は決して良くなかったという。しかし藤川が「大きな魚がいる」と感じていたのが小瀬川の上流だった。そのため下流方面は早い段階で切り捨て、3日間を通して会場前の橋より下流へは行かなかった。
初日は、まず小瀬川を上流へ向かいながらキーパーを揃える展開。上流方面は、キーパーサイズに関しては岩盤へダウンショットを入れれば釣れる感触があったという。使用したのはアンクルミノーの2.6gダウンショット。エレキで流しながら、フォールで食わせていく釣りだった。
そしてサイズアップは、よりスポットを絞った釣りで狙った。
小瀬川上流の最上流手前にある大岩。その岩陰で使用したのが、イマカツのプロトルアー「ビーストボーン」。フットボールヘッドにセットし、ボトムでシェイクし続けると、バスが寄ってきて食ったという。さらに美和筋へ移動後も、島のインサイド側にあるバンクと岩盤が絡むエリアで、同じくビーストボーンを使用。ライブシューティングで魚の反応を見ながら、ビッグフィッシュを追加した。

藤川の特徴は、3日間同じことを押し通したのではなく、日を追うごとにルアーパワーを落としていった点にある。
初日はビーストボーンのフットボールヘッド。2日目は、ビーストボーンへの反応が弱くなってきたと感じ、プロトの「クジャラ」をフットボールヘッド5gで投入した。強いルアーで釣ったエリアに対して、少し弱いルアーを入れ直す。その調整で1,400gクラスをキャッチし、2日目を凌いだ。

最終日はさらに反応が落ちたと判断し、「ダンベルクラブ エラストマー」のジグヘッドワッキーへローテーション。朝の30分ほどでキーパーを揃え、3日間で最も魚を感じていた美和筋の島のインサイドバンクで勝負した。最終日は1,400gクラス、1kgクラスをバラしながらも、最後にキロフィッシュをキャッチして5位に踏みとどまった。
使用ラインは、フットボールヘッド系が東レ・エクスレッド12ポンド。ダンベルクラブ エラストマーのジグヘッドワッキーでは、スーパーライトPE0.4号に、パワーゲームルアーリーダー5〜6ポンドを組み合わせた。
初日から最終日まで、軸になったのは「上流の魚」と「島のインサイドバンク」。そこに対して、ビーストボーン、クジャラ、ダンベルクラブと、日々のプレッシャーに合わせてルアーの強さを落としていった。藤川の5位入賞は、同じ魚を追いながらも、魚の反応の変化に細かく合わせ続けた結果だった。
4位 藤田夏輝
3日間トータル8,977g

藤田夏輝のテーマは、明確に「ギル」だった。
プリプラから公式プラクティスにかけて湖全体を見た藤田は、スポーニングの進行具合を確認していた。その中で小瀬川上流へ入った際、ギルネストを襲っているビッグバスを目撃した。そこから、今回の弥栄湖ではギル系のルアーが効くのではないかと判断したという。
ただし、藤田の釣りは単純なギル系ルアーのサイトではなかった。
ライブシューティングで使用したのは、DSTYLEのギーラカンス4インチ。いわゆる“お魚セッティング”を、5/8oz、約17.5gという重めのダウンショットで使った。狙ったのは小瀬川上流の岩周りや、ギルネスト周辺に絡むビッグフィッシュである。
藤田が語った食わせ方は、非常に高度だった。

バスに向かってルアーを投げ、真上から一気に落とす。しかし、バスは一度では追い切らない。そこで何度も落とし込み、バスのレンジを少しずつ下げていく。魚を9〜10mレンジまで追わせ、最後にボトム付近でルアーをゆっくりシェイクする。そこで食わせる。
つまり、見えている魚、あるいはライブで捉えた魚を、上で食わせるのではなく、暗い深いレンジまで誘導してから食わせていたのだ。
小瀬川上流は、多くの選手が目視できるシャローの魚を狙うエリアでもある。しかし藤田は岸に寄りすぎず、沖側にボートポジションを取っていた。岸沿いを泳ぐ魚だけでなく、川の真ん中を泳ぐ魚、10m前後のボトムの岩から出てくる魚まで視野に入れていた。タイミングを見て回遊を待ち、岩から出てくるビッグフィッシュを狙い撃つ。そこが他の選手との違いだった。

最終日は、ギルネストに付くバスをビッグベイト「ゾーイ」でサイトフィッシング。小瀬川上流のギルネスト絡みで50アップを2本キャッチし、4,335gをマークした。
藤田の釣りは、ギルを意識した魚を狙うという意味ではシンプルに見える。しかし実際には、シャローのギルネスト、沖を泳ぐ魚、ボトムの岩に付く魚を、ライブとサイトの両方で追い分ける複合的なものだった。
「どっちがメインですか?」という問いに対して、藤田は「どっちもメイン」と答えた。
その言葉どおり、リアルサイトとライブシューティングのどちらか一方ではなく、両方を同時に使うことで、小瀬川上流のビッグフィッシュにたどり着いた4位だった。
3位 天野雄太

3日間トータル10,073g
3位の天野雄太は、最終日に大会トップウエイトとなる4,415gを叩き出した。
天野の3日間は、キーパー確保の釣りと、ビッグフィッシュを狙う釣りを明確に分けた展開だった。
初日は美和筋も見たが、自分には手に負えないと判断し、その後は基本的に小瀬川を中心に組み立てた。キーパーパターンとして持っていたのは2つ。ひとつはドリフトフライ2.5インチの1.8gジグヘッド。もうひとつはパワーフィネスである。
パワーフィネスでは、ジャッカルのスモラバ「ビーク」4.3gのラバーをむしり、発売されたばかりのキングジミーヘンジのミディアムサイズを組み合わせた。狙ったのは水深のあるウッドチップ系カバー。特に岩盤や垂直系の地形に絡むウッドチップを重視した。

プリプラでは、この釣りで1,500g以上の魚が何本も釣れていたという。しかし公式プラクティス以降、日に日にパワーダウンしていく感触があった。最終日にはギルや小バスのようなバイトも増え、キッカーパターンとしての威力は落ちていた。
それでも、天野にとってこのパターンは大きかった。
なぜなら、キーパーを安定して確保できる釣りがあったことで、精神的な余裕を持ってビッグフィッシュを探しに行けたからである。
初日はライブシューティングで沖を泳ぐ魚をドリフトフライエラストマー2.5インチのジグヘッドでキャッチ。2日目は苦しい展開の中、下流方面のナチュラルバンクをサイトで探し、1,800gクラスをロングワームのノーシンカーで仕留めた。
そして最終日。
朝にドリフトフライエラストマーでキーパー3匹をすばやく揃えると、天野はサイト勝負に移行した。カバーの釣りではなく、見えるビッグフィッシュを狙いにいったのである。
エリアはササガワ谷方面。前日には見えなかった魚が、この日は5匹いたという。天野はそのうち3本を、ジャッカルの虫系ルアー「ニードバグ」のチョウチンで仕留めた。
10時半から11時過ぎにかけて良型を2本キャッチし、さらに12時半頃に1,100gクラスを追加。これで朝に揃えた小型のキーパーをすべて入れ替え、4,415gまでウエイトを伸ばした。
最終日の天野は、天候変化と大潮によって新たに差してきた魚を見つけ、それをチョウチンで仕留めた形だ。本人も「昨日はいなかった」と語っており、最終日に魚が増えたことをはっきり感じていた。

キーパーはドリフトフライ。カバーはキングジミーヘンジのパワーフィネス。そして勝負どころはニードバグのチョウチンサイト。
複数の釣りを用意し、最終日にもっとも強いカードを切った天野が、3位表彰台を獲得した。
2位 小林知寛

3日間トータル11,026g
2位の小林知寛は、3日間トータル11,026gという、通常なら優勝してもおかしくないビッグウエイトを持ち込んだ。
小林はプリプラに入っていなかった。前日プラクティスの2日間で湖をざっくり見て、アフターのギル食いが最も狙いやすいと判断したという。
メインルアーはDSTYLEのギーラカンス4インチ。
しかも面白いのは、そのギーラカンスが青木大介本人からもらったものだったという点である。青木が作ったルアーを、青木を最も追い詰めた小林が使っていた。この構図も、今大会の面白さのひとつだった。
小林のギーラカンスは、フリーリグではない。アゴ下に2.7g前後のネイルシンカーを入れた、ノーシンカーに近いタテネイル系のセッティングだった。オフセットフックを横刺しし、ラインは12ポンド。狙った水深は最大で3.5mほどだったという。

狙った場所は、小瀬川上流から会場前周辺までの岩盤のエグレや、ギルネストがありそうなフラット。キーになったのは、カーブフォールと巻き始めだった。
まず岩盤のエグレやフラットの上へキャストし、カーブフォールでバスにルアーを気づかせる。バスはすぐには食わず、ゆっくり追ってくる。その状態で巻き始め、3巻きほどの間にルアーの角度が変わった瞬間、コンとバイトが出る。
小林は、その一瞬を狙っていた。
初日、2日目は晴れていたことで、そうした場所に魚が入ってきていた。キーパー自体は20匹前後釣れていたという。ただし、500g前後の魚が釣れている時は、デカい魚が食わない。逆にアタリがなくなった時に、突然ビッグフィッシュが来る。そんな状況だった。
小林が面白いのは、ライブスコープに頼らなかった点である。

本人は「一切、時計しか見ていない」と語った。ライブで魚を見てしまうと、見切られたことに自分がイラッとして釣りができなくなる。だから、あえてライブではなく、自分の目とタイミングを信じた。
青木や藤田がライブとリアルサイトを組み合わせていたのに対し、小林はあくまで自分の釣りを押し通した。決め打ちの人間だから、ハマればウエイトは出せる。その言葉どおり、3日間すべてで3kg超え。最終日には4,290gを持ち込み、青木を300g差まで追い詰めた。
最終日は2kgクラスと1,500gクラスを含む3本。トップを射程圏に入れる猛追だった。
青木本人からもらったギーラカンスで、青木を最後まで追い詰める。
だが、青木にはもうひとつの隠し玉があった。
そのわずかな差が、300gという結果になって表れた。
1位 青木大介

3日間トータル11,326g
青木大介は、3日間トータル11,326gで優勝した。
初日5,560g、2日目2,808g、最終日2,958g。初日の圧倒的な貯金を作り、2日目以降も崩れず、最後は小林知寛の猛追を300g差で振り切った。
今大会、多くの選手がDSTYLEのギーラカンスをキャストしていた。ギーラカンスは、弥栄湖のギル食い、ライブシューティング、ビッグフィッシュ狙いに対して非常に強い存在感を示していた。実際、小林知寛、藤田夏輝をはじめ、上位選手の中にもギーラカンスをキーにした選手がいた。
しかし青木本人がメインにしていたのは、ギーラカンスではなかった。
青木が使っていたのは、今江克隆がインタビュー中に“プロップヘアーボール”と言い直した独自のセッティングである。
ベースになったのは、DSTYLEのシュウチンガン16mm。そこにラバーを刺し、さらにプロップジグヘッドを組み合わせた。モジャモジャ系のシルエットに、ラバーのキラキラ感と、プロップによる明滅を加えたものだった。

プリプラの段階から、モジャモジャ系ルアーへの反応は良かったという。さらに、キラキラするラバーに対する反応も良かった。そこから青木は、2017年に弥栄湖で優勝した時に使ったステルスペッパーの存在を思い出した。ステルスペッパーもまた、プロップによる明滅を持つルアーである。
そこで思いついたのが、シュウチンガン16mmとプロップジグヘッドを組み合わせるセッティングだった。
試してみると、通常のモジャモジャ系よりも明らかに反応が良かった。青木はそれを秘策として温存し、スタートしてからリグって使ったという。
3日間でウェイインした9匹のうち、ギーラカンスで釣ったのは1匹のみ。残り8匹はすべてこのプロップヘアーボールで釣った魚だった。
初日は美和筋を中心に展開した。

美和筋上流の橋手前のベンド、トナカイワンド奥のインレット手前の岩盤、そして会場前から小瀬川方面へ向かった岬の左側にあるオーバーハングのシェード。いずれも、シェードやスポーニングエリアの周辺に絡むビッグフィッシュだった。
朝の段階で、ライブで大きな魚を確認し、シェードへ入る魚を見てギーラカンス3インチで1,800gクラスをキャッチした。その1本から、魚がシェードを意識していることを確認。以降はプロップヘアーボールを軸に、50アップを含むビッグフィッシュを重ねていった。
初日の5,560gは、11時頃までに揃ったという。
その時点でルアーが完全にハマっていることを感じた青木は、むしろ見せすぎないことも意識した。あまりに反応が良いため、途中からはそのルアーを投げすぎないようにしたという。
2日目以降は、明らかに状況が厳しくなった。

プロップヘアーボールの威力は残っていたが、初日のような圧倒的な反応ではなくなった。プレッシャーによって魚の反応はパワーダウンしていた。それでも青木は、美和筋、小瀬川、会場前周辺をスピーディーに動きながら、見える魚、ライブで映る魚、そして自分の感覚で「いるはず」と思える魚を拾っていった。
青木の釣りは、ライブスコープに張り付く釣りではなかった。
本人は、ライブを使いこなしているというより、自分の釣りと上手く合わせられるようになったことが近年の成績につながっていると語った。見る時は見る。見ない時は見ない。常に画面を見続けるのではなく、自分のリズムの中で必要な場面だけライブを使う。
今江プロはそれを「リアルサイトとライブサイトの狭間」と表現した。
見えるギリギリの距離。ライブで映しても逃げられない距離。そこから素早く撃ち込み、素早く反応を見て、次の魚へ移る。青木は、前後のエレキバッテリーを毎日使い切るほど、フィールドを高速で動いていたという。
最終日も、小瀬川上流で朝の早い時間に2kgクラスをキャッチした。この1本が大きかった。小林知寛が4,290gで猛追してくる中、青木は2,958gを持ち込み、300g差で逃げ切った。
当初、青木はこのルアーを公表しないつもりだった。
しかし優勝したことで、お立ち台インタビューではその正体を自ら明かした。
2017年の弥栄湖戦では、ステルスペッパーと後に公開された“秘密の虫パターン”で優勝。そして2026年は、プロップヘアーボールで再び弥栄湖を制した。
多くの選手がギーラカンスを投げる中で、青木本人はそのさらに先にある答えを見つけていた。
ギーラカンスを作った本人が、ギーラカンスを超えるために別のルアーを用意する。
その発想と実行力が、青木大介のトップ50通算7勝目、弥栄湖2勝目を生んだ。
弥栄湖が見せた、トップ50らしい3日間
2026年の弥栄湖戦は、釣れる大会だった。
だが、ただ数が釣れただけではない。初日は青木大介の5,560gを筆頭にハイウエイトが続出。2日目は湖全体のウエイトが落ち、決勝進出ラインを巡るシビアな戦いとなった。そして最終日は、天候変化、大潮、ボートプレッシャーの低下が重なったのか、再び4kg台が連発した。
3日間を通じて、弥栄湖のポテンシャルは十分すぎるほど示された。
スポーニング、アフター、ギルネスト、カバー、シェード、ライブシューティング、サイトフィッシング、ビッグベイト、虫、そしてプロップヘアーボール。
ひとつの正解ではなく、複数の正解が存在した大会だった。
その中で青木大介は、自らのルアーであるギーラカンスが大会全体を席巻する状況を見ながら、本人だけが別の武器で一歩先を行った。
2017年に続き、2026年もまた、弥栄湖は青木大介の“秘密の釣り”によって語られる大会となった。
そしてその秘密は、今回は優勝とともに明かされた。
青木大介、トップ50通算7勝目。
弥栄湖2勝目。
釣れる湖、弥栄湖で行われた2026年トップ50第2戦は、王者が王者らしく、しかし誰も見たことのない一手で勝ち切った大会として記憶されることになるだろう。
レポート作成:ChatGPT 5.5
写真・構成:NBCNEWS H.Togashi