JBトップ50第3戦エバーグリーンCUP

2026年 07/10 (金) ~07/12 (日) 茨城県 北浦

江尻悠真、北浦トップ50前人未到の3連勝。Day2ノーフィッシュから大逆転

JBトップ50第3戦エバーグリーンCUPが、7月10日から12日までの3日間、茨城県・北浦で開催された。最大のトピックは、江尻悠真の優勝である。しかも、ただの優勝ではない。江尻は北浦会場で行われたトップ50で、これで3連勝。2022年7月末の北浦は、気温・水温ともに30℃を超える完全な真夏。2024年10月は秋。そして今回は、7月開催ながら梅雨の気配を残す北浦だった。水位も天候も試合展開も毎回違う難解な北浦で、江尻は前人未到の記録を達成した。

Day1 夏へ向かう北浦。シャローの手長エビパターンで開幕

ここ数年、関東地方の夏は猛暑、酷暑という言葉が当たり前になっていた。

しかし今年は少し様子が違っていた。気温は比較的落ち着き、どこか昔の関東の夏を思わせるような日が多かった。梅雨も空梅雨ではなく、しっかりと雨が続いていた。

その流れが変わったのが、大会前日の木曜日だった。

久々の快晴。

この時点での週間予報では、大会3日間は晴れ予報。まるで梅雨明けを思わせるような天候の中で、JBトップ50第3戦エバーグリーンCUPは開幕を迎えることになった。

大会初日も晴れ。

初日スタート時

気温は30℃近くまで上がり、前日からの晴天によって水温も上昇していた。エバーグリーンCUPということで、記者は同社契約プロである小林知寛に同船した。

ただし、北浦戦の取材は難しい。

北浦本湖だけでなく、北利根・外浪逆浦・常陸利根までフィールドは広大に広がる。選手がどこに散っているのか、メディア陣が全体像を把握することはほぼ不可能だ。

今回同船した小林は、常陸利根と外浪逆浦をメインエリアとしていた。思ったよりボートは少なく、他の選手たちがどこで勝負しているのかは、湖上からは見えなかった。

小林によれば、プラクティス期間は水温が25℃を超えなかったという。

しかし、大会前日からの晴天で水温は25℃を超えた。また、プラクティス期間よりも水位は下がっていたという。

季節が進み、水温が上がり、水位が下がる。

小林知寛

この変化の中で、小林が選んだのはシャローのカバー周りだった。バックスライド系ワームを使い、アシ際やカバーに付く魚を狙っていく。いわゆるこの時期の定番ともいえる「手長エビパターン」である。

これは小林だけの釣りではなかった。

北浦水系は広大だが、実際に選手が狙いたくなるような、そこそこ水深のあるアシ際は限られる。そのため選手たちは、入れ替わり立ち替わりで同じようなストレッチを流していく。広大なフィールドでありながら、釣りとしては同じスポット、同じ条件にプレッシャーが集中していく。これもまた、北浦水系らしいトーナメントの一面である。

ロッドは曲がるが他魚種

昼前からは南寄りの風が吹き始めた。

小林は帰着ギリギリまでバックスライド系ワームを投げ続けた。しかし、初日はノーフィッシュだった。

そして検量。

河辺裕和

初日のトップに立ったのは河辺裕和。3匹で3,298gを持ち込んだ。2位は南一貴の3,280g、3位は江尻悠真の2,964g。4位に今江克隆、5位に高橋瑞生が続いた。

南一貴
江尻悠真

 

参加51名中、検量したのは38名。リミットメイクはわずか5名。バス総数は57匹で、総重量は47,006g。1匹平均は824gだった。

弥栄湖戦のように各所でヒットシーンが見られる大会とは違い、北浦戦はやはり難しい。

その中で初日の大きなトピックとなったのが、ベテラン勢の活躍だった。

近年のトップ50は、FFSの発展とともに20代の若手プロの台頭が著しい。

しかし、この日の北浦で上位に名を連ねたのは、その流れとは少し違う顔ぶれだった。

初日トップは67歳の河辺裕和。2位には53歳の南一貴。そして4位には62歳の今江克隆。

今江克隆

いずれも長年JBトーナメントシーンを支えてきた大ベテランである。広大な北浦水系の中で、日々変わる水位、水温、風、プレッシャーを読み、魚にたどり着く力。その積み重ねてきた経験値が、初日の結果にしっかり表れた。

最新のテクノロジーや若い世代の勢いが注目される今だからこそ、ベテラン勢が難解な北浦で上位に入ったことは、非常に印象的だった。

もちろん3位には、北浦戦で圧倒的な実績を持つ江尻悠真が入っている。若手、ベテラン、そして北浦を知る実力者が入り混じる形で、初日のトップ5は非常に見応えのある顔ぶれとなった。

初日から、北浦らしいシビアな戦いが始まった。

Day2 南一貴に同船。“THE夏”のフットボールが動き出した

2日目、記者は南一貴に同船した。

そのきっかけは、初日の検量後に撮影したバスの魚体だった。

初日、上位陣のバスを撮影している中で、江尻悠真と南一貴のバスは明らかにコンディションが違って見えた。少し疲れの見える居付き系の魚ではない。産卵から回復し、回遊しながら小魚を食べているような、健康的で力強い魚体だった。

その魚を見て、記者は南に尋ねた。

「あの釣りですか?」

南の答えは、3本中2本がYesだった。

「あの釣り」とは、2023年7月末に開催されたJBマスターズ霞ヶ浦戦で、南一貴が見せたフットボールの釣りである。夏らしい日差し、水温上昇、回復した魚。いわば“THE夏”の釣り。あのとき記者は、優勝した南に同船していた。

だからこそ、初日の魚体と、梅雨明けを思わせる突然の晴天を見て、ピンときたのだった。

南の初日は、朝に北利根のアシ周りで手長エビパターンの1本をキャッチ。その後、急に夏っぽくなったことを感じ、例のフットボールの釣りを試したところ、10時と11時に1本ずつキャッチしたという。

プラクティス期間中はまったく効かなかった“夏の釣り”が、大会初日になって機能し始めた。

前日からの晴天、水温上昇、そして季節の進行。そのタイミングに南は当てたのだった。

それを踏まえ、2日目も南は同じプランで挑んだ。

朝の1時間だけ、北利根エリアのアシ周りを手長エビパターンで探る。初日の1本を再現しにいった形だ。しかし、バイトはなかった。

そこで南は常陸利根へ移動。本命のフットボールの釣りへとシフトした。

2日目は、青空がのぞく時間はあるものの、初日のような快晴ではなかった。雲が多く、光量はやや落ちている。暑ければ暑いほど、この釣りは有利になる。そう考える南の表情には、わずかに焦りの色も見えた。

そんな中、小移動の途中で南がふとエレキを下ろした。

「なんか呼ばれた気がした」

そこは、過去に一度も釣ったことがないというストレッチだった。実績がある場所ではない。だが、なぜか気になったという。

そして、その一投目。

南のロッドが曲がった。

北浦水系では、ヒット直後からバスだと確信できることは少ない。キャットフィッシュ、シーバス、ダントウボウ、ニゴイ。むしろ他魚種のほうが圧倒的に食ってくることも多い。そのため、掛けた直後は「何だろう?」という空気になることがある。

この時も、最初はまだ緊張感が薄かった。

キャットか。シーバスか。

しかし、ボート際まで寄せて魚体が見えた瞬間、空気が一変した。

バスだ。

紛れもないラージマウスバス。

それまで立ったままやり取りしていた南は、バスだと分かった瞬間に腰を落とし、超慎重なファイトに切り替えた。無事ネットに収まったのは、コンディションの良い推定900gクラスのバスだった。

概ね予定どおり、10時に1本目がライブウェルに収まった。

2本目は約1時間後、11時5分にやってきた。

この魚も、1本目と同じくコンディション抜群の個体だった。シャローの居付きというより、回復して動いている魚。南が狙っている“夏の魚”そのものだった。

残り時間は約4時間。

あと1本は追加したいところだった。

13時頃には雲が抜け、太陽が照りつけた。いよいよ夏らしい光量になったが、同時に風も強まり、水面は波立ちはじめた。南によれば、この釣りにとって風波はあまり好ましくないという。

最後に南は、鰐エリアの消波ブロック帯を流した。

そしてついに3本目がヒット。

南は腰を落として慎重にやり取りした。しかし・・・残念ながらヒゲが付いていた。

結果、南の2日目は2匹で2,094g。

3本目を揃えることはできなかったが、初日の3,280gに加え、2日間トータル5,374g。重量順では予選トップとなるウエイトを持ち込んだ。

一方、この日の単日トップは鈴木隆之だった。

2日目トップ鈴木隆之

初日ノーフィッシュから一転、2日目は3匹3,242gを持ち込み、50ポイントを獲得。大きく順位を押し上げた。

エリアは常陸利根の息栖エリアにあるヘラ台群。鈴木はそこでO.S.P ドライブシャッド4インチのノーシンカーを投入し、約1時間で4本をキャッチしたという。まさに時合いに遭遇した展開だった。

さらに常陸利根の最下流では、エビを追うボイルが発生。そこではO.S.P ラウダー50を使い、ポッパーで1本を追加した。

手長エビを意識したシャローの釣りが目立つ一方で、鈴木は一段深いヘラ台周りのタイミングと、下流域のエビボイルをしっかり捉えた。北浦水系らしい一瞬の時合いを逃さず、初日のゼロから単日トップへと巻き返した。

そして、もうひとつ大きなトピックがあった。

初日3位につけていた江尻悠真が、この日はノーフィッシュに終わったのだ。

北浦をホームとし、過去の北浦開催トップ50でも圧倒的な実績を残してきた江尻。しかし2日目は、風向きと場所選びを読み違えたという。北浦を知り尽くす江尻でさえ、1日でスコアを失う。それがこの水系の難しさでもある。

このノーフィッシュによって、江尻は一度優勝争いから後退したかに見えた。

だが、結果的にはこの2日目のゼロが、最終日の大逆転劇をより劇的なものにする伏線となった。

黒田健史
宮嶋駿介
今泉拓哉

 

黒田健史も初日ノーフィッシュから3匹2,734gで単日2位。宮嶋駿介が2,634g、今泉拓哉が2,520g、吉川永遠が2,392gと続いた。

全体では51名中33名が検量し、リミットメイクは10名。バス総数65匹、総重量46,766g、1匹平均719gだった。

初日に比べてリミットメイク人数は増えたものの、北浦水系らしく全体としては簡単な展開ではない。

その中で南一貴は、季節の変化を読み、プラクティスでは機能しなかった釣りを本番で投入し、予選をトップで折り返すことになった。

予選結果 南一貴が重量トップ。江尻悠真は10位で決勝へ

2日間の予選を重量順で見ると、トップは南一貴だった。

予選トップ南一貴

初日3,280g、2日目2,094g。2日間トータル5,374gを持ち込み、唯一の5kg台で予選を折り返した。

2位は宮嶋駿介の4,646g。3位は初日トップの河辺裕和で4,178g。4位に吉川永遠の3,736g、5位に高橋瑞生の3,546gが続いた。

一方、初日3位につけていた江尻悠真は、2日目ノーフィッシュ。トータルは初日の2,964gのままとなったが、重量順10位で決勝へ進出した。

北浦をホームとし、過去の北浦開催トップ50で圧倒的な強さを見せてきた江尻でさえ、風向きと場所選びを読み違えるとスコアを失う。

それが北浦水系の難しさであり、同時にこの2日目のゼロは、最終日の大逆転劇へ向けた大きな伏線にもなった。

Final Day 曇天無風の北浦。最後に問われたアジャスト力

最終日朝

大会3日目。記者は陸上から選手を追うことにした。

しかし、前述の通り北浦水系の陸上取材は非常に難しい。フィールドは広大で、選手がどこにいるのかを把握するだけでも簡単ではない。北浦を半周するように各所を回ったが、撮れ高はほぼなし。やはり北浦戦の取材は一筋縄ではいかなかった。

終盤は、暫定5位のルーキー高橋瑞生が会場近くの水原リップラップをメインエリアにしていると聞き、その周辺でシャッターを切った。

高橋瑞生

この日の天候は、軽いにわか雨を含む曇天ローライト。さらに無風だった。

振り返れば、初日は真夏を思わせる晴天。2日目は雲が多く、やや風のある一日。そして最終日は曇天、小雨、無風。

3日間の天候は、まるで絵に描いたようにバラエティに富んでいた。

ただでさえ難しい北浦水系で、毎日変わる天候。選手たちには、日ごとの状況変化にアジャストする力が求められた。

最終日は競技時間が2時間短い。

しかし、この日は無風で波もない。エリア移動という意味では、どこへでも比較的自由に走れるコンディションだった。そして、蒸し暑い曇天無風という状況は、いかにもトップウォーターやシャローの釣りで魚が動きそうな雰囲気でもあった。

やがて検量が始まった。

最終日は時間が短いぶん、釣果はさらに厳しくなるかと思われた。しかし、曇天無風という条件がプラスに働いたのか、予想していたよりも魚は持ち込まれていた。

最終日にしてリミットメイクは4名。

初日、2日目と厳しい展開が続いた北浦水系だったが、最後の最後にもう一度、勝負を動かすだけの魚がウェイイン会場に運ばれてきた。

Final Result 江尻悠真、北浦トップ50で前人未到の3連勝

検量が進むにつれ、最終日の北浦は想像以上に動いていたことがわかってきた。

この日のトップウエイトは江尻悠真。3匹3,712gを持ち込んだ。

2日目ノーフィッシュで一度は後退した江尻だったが、最終日に今大会最大のウエイトを叩き出し、3日間トータル6,676g。河辺裕和の6,112g、吉川永遠の6,034gを上回り、JBトップ50第3戦エバーグリーンCUPを制した。

そして、これで江尻は北浦会場で行われたトップ50で3連勝。

2022年7月の第3戦北浦、2024年10月の第5戦北浦、そして2026年7月の第3戦北浦。北浦を舞台にしたトップ50で、3大会連続優勝という前人未到の記録を達成した。

トップ50という舞台で、しかも毎回異なる季節感、異なる天候、異なる水位、異なる展開の中で勝ち切ることは簡単ではない。

今回も江尻は、決して順風満帆ではなかった。

初日は2,964gで3位発進。だが2日目は風を読み違え、ノーフィッシュ。予選を重量10位で通過したものの、優勝争いからは一歩後退したかに見えた。

しかし最終日、江尻は再び北浦を捉え直した。

3日間のメインエリアは北浦本湖。北浦大橋から鹿行周辺までを中心に組み立てた。狙いは大きく2つ。ひとつはワンド入口や矢板護岸のインサイドなど、浅いシャローでフィーディングしている魚。もうひとつは沖の杭や縦ストラクチャーに絡む、コンディションの良いキッカーフィッシュだった。

初日はシャローのフィーディングフィッシュを、もじゃもじゃ系ルアーで2匹キャッチ。さらにミスした魚をヤバイグラブでフォローして1kgクラスを追加し、午後には杭でレッグワームの5gダウンショットを使って入れ替えた。

2日目は、初日に杭で釣れた魚のコンディションが非常に良かったことから、晴れと風でミドルレンジにサスペンドする魚が強くなると読んだ。シャローでワンチャンスはあったが、その後は沖のサスペンドする魚に時間を割き、結果はノーフィッシュ。北浦を知り尽くす江尻でさえ、読み違えればスコアを失う。それがこの水系の怖さでもある。

そして最終日。

曇天、無風、小雨。江尻は「2日間とは違う展開にしなければならない」と判断し、いったん考えをリセットした。基本はシャロー全振り。アシ前やアシ原絡みを回遊しながらフィーディングする魚を狙いにいった。

10時から10時半頃までに3匹を揃えた。500g、1200g、1200gという展開だった。

そこから勝負は入れ替えだった。

シャローを流しながらも、江尻の頭の中には「やはり沖だ」という感覚が残っていた。そこで矢板護岸絡みの杭、縦ストラクチャーにレッグワーム5gダウンショットを入れると、1300〜1500gクラスが食った。これで500gを入れ替え、3,712gに到達した。

江尻が見ていた魚は、決まった場所にじっとしている魚ではなかった。

本人によれば、バスはゴリも食べ、ハクも食べ、エビも食べていた。特定のベイトだけを追っているというより、横にも縦にも回遊しながら、その時その場所に入ってくる魚だったという。

だから足を止めると出会えない。

場所だけを決め、ベイトを決めすぎず、魚が入ってくるタイミングを拾う。早い動きではなく、中層から表層をゆっくり横方向に引っぱる。杭やドック先端、縦ストでは、レッグワームのダウンショットや4インチグラブ、ジャンボグラブなどを使い、カーブフォールを主軸にした。

フォール中に横走りするバイト。

それが、今回の江尻の勝負を決めた。

2位は河辺裕和。

初日トップに立った大ベテランは、最終日も1匹1,934gを持ち込み、3日間トータル6,112gで準優勝。最終日のその1本はビッグフィッシュ賞の魚でもあった。

河辺は初日、会場裏手側のエリアでカットテールのノーシンカーを軸に展開。柳の下でノンキーパーを掛けたあと、同じエリアでキーパーをキャッチし、その後に起きたボイルへトップウォーターを投入。朝の早い時間に3匹を揃え、さらに常陸利根方面やスロープ周りで入れ替え、初日3,298gでトップに立った。

2日目は一転して厳しい展開だったが、ヘラ台でカットテールのノーシンカーに880gが入り、首位争いに踏みとどまった。

最終日は、曇天無風でいかにもトップウォーター日和に見えた。しかしなかなか反応はない。アシも違う。そこで河辺はヘラ台周りに狙いを絞り、カットテールのノーシンカーを投げ続けた。

一度は魚をキャッチしたものの、残念ながらデッドフィッシュとなってしまう。時間だけが過ぎ、帰着が近づいた終了間際。あと5分ほどで帰ろうかというタイミングで、ヘラ台周りに投げたカットテールを少しスイミングさせるとバイトが出た。

プラクティスではヘラ台でスイミングさせるとナマズが多かったという。河辺も最初はナマズだと思っていた。しかし上がってきたのはバス。しかもこの日のビッグフィッシュとなる1,934gだった。

ベテランの経験と、最後まで投げ続ける集中力。

江尻の3連勝という大記録の陰で、河辺裕和の準優勝もまた、今大会を語るうえで欠かせないトピックとなった。

3位は吉川永遠。

3日間トータルは6,034g。最終日は2匹2,298gを持ち込み、表彰台に上がった。

吉川は今回、霞ヶ浦水系でこれまであまり見えていなかった新しい釣りを探そうとしていた。プリプラではライブシューティングを中心に、常陸利根の少し深い側、なだらかな護岸からフラットへ変わるエリアの杭や、回遊している魚を探した。

しかし試合直前に風向きが変わり、やりたかった北面の釣りが成立しにくくなった。そこで吉川は、3日間を通してその日その日を釣る、いわばジャンクな展開へ切り替えた。

初日は常陸利根の南側で、ボウワーム4.2インチの1/64ozネコリグをカーブフォール気味にスイミングさせ、サイトで見つけた魚をキャッチ。2日目は水原エリアを中心に、石積の角へ落としてシェイクしながら沈める釣りで2匹を釣り、その後はドックの鉄杭を回ってキロクラスを追加した。

最終日はローライトと雨。

吉川は、ショアラインそのものではなく、少し離れたところを回遊する魚を狙った。神宮橋周辺の木の囲いがあるインサイド。浅く、風裏になっている場所で、トップウォーターの可能性を感じた。岸から50cmほどのところに落とし、ゆっくり巻いてくる。すると岸から1〜2m離れた場所でバスが出た。最終日はこの釣りでキロアップを2匹キャッチ。天候、魚の位置、ルアーを日ごとに変えながら、3位に食い込んだ。

4位は南一貴。

4位は南一貴。

予選を重量トップで通過した南だったが、最終日はノーフィッシュ。3日間トータル5,374gで4位となった。

初日、2日目に南が主軸としたのは、常陸利根のチョコレート護岸をフットボールジグで釣る“夏”のパターンだった。

プラクティスでは機能していなかったその釣りが、初日の晴天と水温上昇によって一気に動き出した。ナカダジグ1/4ozにゲーリー4インチグラブを合わせ、ボトムを取らずにカーブフォールさせる。ラインはエクスレッド10ポンド。できるだけ抵抗を減らし、自然に落としていくことがキモだったという。

初日はエビ系ワームをアシ際に落とす釣りで1匹をキャッチしたあと、フットボールジグで2匹を追加。2日目も同じ釣りで2匹を持ち込み、予選トップに立った。

しかし最終日は、曇天、小雨、無風。

南が求めていたのは、もっと強い日差しと暑さだった。水温が25〜26℃の段階では1/4ozでないと追い切らない。さらに暑くなり、水温が30℃を超えるようになれば、3/8ozの出番になってくる。そうした微妙な季節の進み具合と天候のズレが、最終日の南には向かなかった。

初日、2日目に動き出した“THE夏”の釣りは、最終日のローライトで沈黙。

3日間で天候が大きく変わった今大会らしく、予選トップ通過の南もまた、最後に北浦の変化に阻まれる形となった。

5位は宮嶋駿介。

3日間トータル4,646gで表彰台に立った。

宮嶋は、台風後の増水を期待していた。しかし練習に入る頃には水門が開き、水位は低下。得意とするシャローを押し切るには難しい状況になっていたという。

それでも初日は、北浦下流の津宮エリアにある粗朶、消波ブロックの岸側でテキサスを入れ、1200gクラスをキャッチ。その後、水原のドックの壁で700〜800gクラスを追加し、2匹2,012gでまとめた。

2日目は、初日に1200gを釣ったエリアへ入ったが、風向きが変わって機能しなくなった。そこで同じような風裏を探すも反応はなく、魚影の濃さを感じていた水原エリアへ移動。リアクションテキサスで1時間ほどの間に2発をキャッチした。

使用したのは、ゲーリーヤマモトのファットイカ系ワームに10gテキサスシンカーを合わせたセッティング。水深に対してかなり重めのシンカーを使い、ストンと落として最初のフォールで食わせる。多くの選手がふわっと落とす釣りをする中で、宮嶋はリアクションに振り切った。

さらに曇ったタイミングではトップウォーター的な釣りも試し、9時半頃にはリミットメイク。その後は最終日を考えて魚を触りすぎないようにし、他のエリアを見て回ったという。

最終日は水原を中心に、初日の津宮、鹿行より上流の深めの粗朶なども回ったが追加できず、ノーフィッシュ。それでも初日、2日目の貯金で5位に入った。

減水、風向き、プレッシャー。

シャローが得意な宮嶋が、そのまま得意な釣りだけで押し切れない状況の中、深めのスポットとリアクションテキサスにアジャストしたことが、5位入賞につながった。

釣りビジョン 8年ぶりのTOP50取材再開で生まれた奇跡

今大会には、もうひとつ大きなトピックがあった。

釣りビジョンによるJB TOP50の取材が、8年ぶりに再開されたのである。

シーズン途中からの再開となった今回、その最初の大会が第3戦エバーグリーンCUP北浦戦だった。しかも、その再開初戦で釣りビジョンのカメラが3日間同船したのは、優勝した江尻悠真だった。

2日目ノーフィッシュから、最終日に3,712gを持ち込んで逆転優勝。そして北浦開催トップ50で前人未到の3連勝を達成するまでの3日間を、釣りビジョンのカメラが追っていたことになる。

さらに最終日には、2位となった河辺裕和にも釣りビジョンのカメラが同船。終了間際にビッグフィッシュ賞となる1,934gをキャッチした劇的なシーンも、映像として残されているはずだ。

8年ぶりの再開初戦から、優勝者と準優勝者のドラマを追うことになった釣りビジョン取材。

江尻悠真の北浦3連勝、河辺裕和のビッグフィッシュ、そして難解な北浦水系で何が起きていたのか。

後日の放映をぜひ楽しみにしてほしい。

Closing 北浦を知っているからこそ外し、北浦を知っているからこそ取り戻した

今回の北浦戦は、3日間の天候が大きく変わった。

初日は真夏のような晴天。2日目は雲が多く、風も出た。そして最終日は曇天、小雨、無風。

手長エビ、ハク、ゴリ、エビ、回遊する魚、シャローのフィーディング、沖の杭、ヘラ台、消波ブロック、ドック、リップラップ。

北浦水系らしく、ひとつの答えだけでは勝ち切れない大会だった。

その中で、江尻悠真は2日目のノーフィッシュから最終日に立て直した。シャローへ振り切りながらも、最後は沖の縦ストラクチャーでキッカーを入れ替えた。

北浦を知っているからこそ外した2日目。

北浦を知っているからこそ、取り戻した最終日。

江尻悠真、北浦開催トップ50で3連勝。

難解な北浦水系でまたしても勝ち切った江尻の強さは、もはや偶然ではなく、ひとつの記録として残ることになった。

レポート作成:ChatGPT-5.5
写真・構成:NBCNEWS H.Togashi

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