JBトップ50第4戦ケイテックCUP

2026年 09/11 (金) ~09/13 (日) 福島県 桧原湖

ライブソナーなき最終日も揺るがず。今泉拓哉、10キロ超えで桧原湖を圧倒

2026年9月11日から13日、福島県・桧原湖でJBトップ50第4戦ケイテックCUPが開催された。トップ50全戦を対象とする「最終日のライブソナー使用禁止」が、この大会から初めて施行。秋の桧原湖攻略に欠かせない武器を決勝で封じられる新条件は、選手たちの戦略に大きな影響を与えた。しかし、予選から始まったのは、その不安を吹き飛ばすかのような驚異のハイウエイト戦。その先頭を走り続けた今泉拓哉は、ライブソナーを使えない最終日にもトップウエイトをマークした。3日間すべてで3キロを超え、トータル10,843g。2位に931g差をつけ、経験を積み重ねてきた桧原湖で圧巻の勝利を飾った。

トップ50全戦に導入された、最終日のライブソナー禁止

今回からトップ50では、全大会を対象に最終日のライブソナー使用が禁止された。その新ルールが最初に適用された舞台が、桧原湖だった。

秋の桧原湖戦では、いまやFFSは欠かせない。沖の立ち木や回遊するスクールを捉え、魚の動きとルアーへの反応を見ながら釣る。ライブソナーの存在を前提として組み上げられてきた選手たちの戦略は、決勝だけ別の釣りを求められることになった。しかも今回はシーズン途中でのルール改定である。短い準備期間で対応しなければならず、選手たちの苦労は大きかったようだ。

禁止されたのはライブソナーであり、従来の2D魚探や最新鋭の360度魚探は使用できる。ライブソナーが登場する以前から、スモールマウス戦は魚探とにらめっこする釣りが主流だった。画面に映る情報は違っても、傍から見た選手の動作がまったく別のものになるわけではない。しかし、魚の位置や動きをリアルタイムで追えるかどうかは、狙い方やサイズの選別に大きく関わる。

新ルールをどう運用するかも注目点だった。昨今の魚探システムは複雑で、大会当日にトランスデューサーそのものを取り外すような作業は現実的ではない。そこで採用されたのが、アメリカの大会でも使われている方式だった。

コネクタを防水ケースに収納

魚探本体につながるライブソナー用振動子のコネクタを外し、防水ケースに収納。封印シールを貼り、インシュロックで固定する。朝のタックルチェックでは選手同士で封印を確認し、帰着後にはスタッフが封印を解かれていないか確認する。この手順で、トップ50の新たなルールが動き始めた。

Day1 3キロ釣って「普通」という異常事態

近年は全国的な酷暑が続き、桧原湖もその影響を受ける年があった。しかし今年の東日本は、冷夏と表現したくなるほど青空を見る日が少なかった。桧原湖も同様に雨の多い夏だったという。水位は例年の夏より高めだった。

雨のスタート

初日は小雨で始まった。雨が落ち着いた10時ごろ、取材艇を出して湖を一周した。

まず目についたのは、選手の偏りだった。ほとんどのボートが湖の北半分に浮いている。

無名島北側に浮く今泉

月島・孤鷹森のラインから無名島周辺に選手が集中し、南部の京ヶ森や最北部の早稲沢はガラガラ。なかでも一番人気は無名島北側の一角で、結果的にこの場所から多くの上位選手が生まれることになる。

15時に検量が始まると、検量台には長蛇の列ができた。そして、まさかと思うようなウエイトが次々と読み上げられていく。3キロ、また3キロ、さらに3キロ。昨年までの感覚なら、3キロを釣ればトップ5、優勝争いを意識できる数字だった。それが今年は、3キロ釣って普通の人。取材する側のウエイト感覚まで狂ってしまう、恐ろしいほどの釣れっぷりだった。

公式記録を見ても、その異常さは明らかだ。50人中23人が3キロを超え、3,010gでも23位。47人、実に94%が3匹のリミットを達成した。検量された146匹の総重量は145,273g、1匹平均は995gに達した。

これほど良型スモールが釣れるなかで、どうやって頭ひとつ抜けるのか。

桧原湖はもともとウエイト差を出しにくいフィールドである。現実的に狙えるスモールの最大級は1,200〜1,300g。さらに大きな魚も存在するが、それを何匹もそろえるのは不可能に近い。そこで、大型スモールを超える1匹として存在感を増すのがラージマウスだ。

過去には2キロクラスのラージが持ち込まれたこともある。今大会でも1キロから1,500gクラスが複数検量され、上位争いを動かした。バッグリミットが5匹から3匹に減ったことで、1匹が全体に占める割合はさらに大きい。良型スモールをそろえたうえで、ラージを交ぜられるか。それが周囲との差を作る現実的な手段になっていた。

今泉拓哉
山下尚輝

初日トップに立ったのは今泉拓哉。スモールでベースを作った後、ラージに勝負をかけ、1,596gのラージを含む3,915gを持ち込んだ。2位は3,726gの山下尚輝、3位は3,698gの吉川永遠。ハイウエイト戦の幕開けだった。

Day2 船団は一日にしてならず

2日目は終日曇りのローライト。

無名島北の船団

スタート直後から無名島北には十数艇が浮き、大きな船団が形成されていた。

ただし、船団に入れば誰にでも釣れるわけではない。そのエリアのキモを知らなければ、魚は見つけてもウエイトには結びつかない。特に桧原湖では、その差が顕著に表れる。隣り合って浮く2艇のうち、片方は入れ食い、もう片方はノーバイト。これまでの取材でも、そんな光景を何度も見てきた。

魚のいるエリアを知っているだけでは足りない。どの水深の、どの立ち木に魚が入るのか。どの方向から回り、どのタイミングで口を使うのか。狭い船団の中でも、積み重ねてきた知識と技術が釣果を分ける。

この船団のキーパーソンと呼べる選手が2人いた。今泉拓哉と山下尚輝。そう、初日の1位と2位である。

記者は2024年の桧原湖戦でも、2人がノーマークでガラガラなこの場所に浮き、怒涛の入れ食いを見せる姿を撮影していた。

2024年の入れ喰いシーン

今回だけ魚の多い場所を引き当てたわけではない。何年もこのエリアを見続け、魚の動きを蓄積してきた2人が、今年も船団の中心で釣っている。船団は一日にしてならず、である。

今泉拓哉と山下尚輝以外に船団でロッドを曲げていたのも、FFSで頭角を現してきた若手選手たちだった。同じ画面を見ても、同じ魚を狙っても、結果は同じにならない。ライブソナーを使いこなす力が、はっきりと釣果に現れていた。

松崎真生もよく釣っていた

月島北側にも常に数艇が浮いていたが、こちらはポツポツとヒットする程度。その対岸にあたる孤鷹森周辺が、今大会の2番人気だった。魚が濃いと感じさせるほど選手のロッドが曲がり、取材艇からも数多くのヒットシーンを撮影できた。

静音仕様ドラグで静かに釣る江尻悠真

総合2位となる江尻悠真は、3日間を通じてこのエリアをスモールの主軸とした。

この日も取材艇を南へ走らせ、京ヶ森、温泉ワンド、入船ワンドなどを確認した。しかし、選手の姿はほとんどない。取材艇から見た印象では、全体の7〜8割が月島・孤鷹森ラインから馬の首までに集中していた。

山岡計文

2日目も釣れっぷりは衰えなかった。単日トップは山岡計文の3,606g。初日トップの今泉拓哉は、わずか20g差の3,586gで2位。3位には3,536gの江尻悠真が続いた。3キロ超えは、この日も22人に達した。

今泉拓哉

今泉拓哉の強さは、初日にラージを釣ったことだけではない。2日目はスモールだけで3キロ半ばを超えた。魚の平均サイズが大きいエリアを探し、その中からさらに大きな3匹を選び出す。初日3,915g、2日目3,586g。2日間続けて見せた安定したハイウエイトが、今泉拓哉を一歩抜け出させた。

403g。それでも桧原湖では果てしなく大きい

予選2日間を終え、決勝進出者30人を総重量順に並べると、今泉拓哉が7,501gでトップ。2位の阿部貴樹が7,098g、3位の江尻悠真が7,046g。加木屋守が6,888g、藤田夏輝が6,838gで続いた。

今泉拓哉と阿部貴樹の差は403g。

阿部貴樹

他のフィールドなら、1キロ差でも十分に逆転は可能だ。しかし、桧原湖の403g差は果てしなく大きい。上位選手がそろって良型スモールを持ち込むなかで、その相手をさらに400g上回らなければならない。1匹ずつ数十g、100gと入れ替えていく展開では、簡単に埋まる差ではなかった。

ただし、決勝はライブソナー禁止。予選と同じ釣り、同じウエイトを再現できる保証はない。新ルールによって、403gの意味さえ変わる可能性があった。

もうひとつ、桧原湖ではキープしたバスのケアも重要になる。釣った直後には問題がないように見えても、魚が突然弱り、死んでしまうケースが少なくない。せっかく釣った魚を失えば、3匹リミットでは致命的になる。魚の状態を見極め、ケアし、無事に検量台まで運ぶことも、桧原湖で勝つための大切なテクニックのひとつだ。

Day3 ライブ映像が消えた湖上で

最終日の朝は薄曇り、無風。取材艇で一番人気の無名島北へ向かうと、そこらじゅうでボイルが起きていた。

ボイル祭り

FFSを使える大会では、近くでボイルが起きても、選手が意外なほど反応しないことがある。画面の中に狙っている魚がいれば、そちらを優先するからだろう。ところが、この日は様子が違った。

選手たちはボイル音にも敏感に反応し、音がすれば視線を送り、すぐにキャストする。ボイル撃ちも普通に行われ、そのまま魚をヒットさせていた。

8時前になると薄日が差してきた。久々の青空が垣間見えた。雨と低い雲に包まれていた大会の最終日に、初めて桧原湖らしい景色が広がっていく。

8時半ごろ、孤鷹森へ向かった。こちらでもボイルが起こり、選手のロッドは次々と曲がっていた。

頻繁に釣っていた郡司潤

ライブソナー禁止の最終日でも、取材艇のカメラを向けるヒットシーンが途切れない。

もちろん、選手が常にライブ映像を凝視する姿はなくなった。それでも桧原湖では、2D魚探などを見ながら釣ること自体は以前から普通の光景である。傍から見て、湖上の釣りが激変したという印象はなかった。

少し目についたのは、何人かの選手がバックシートに座って釣っていたことだ。フロントデッキに立つと、つい、そこにはないライブ映像へ視線を送ってしまう。その長年の癖を断つために、あえて後ろへ移ったのだろうか。本人たちに理由を確認したわけではないが、取材艇からはそんなことも想像した。

2Dシューティングで佐々も見るたびにロッドを曲げていた

FFSを使えない最終日でも、これだけ多くのヒットシーンを見ることができる。桧原湖のポテンシャルの高さと、それに応えるトップ50選手の腕は、やはりすごい。3日間取材艇を出したことで、使える情報が変わっても魚を見つけ、釣ってくる対応力を間近で見ることができた。

だが、魚が釣れることと、大きな3匹をそろえることは同じではない。最終日に3キロを超えたのは5人だけ。その頂点に立ったのは、またしても今泉拓哉だった。

優勝・今泉拓哉 最終日の勝ち場所を、予選中に見つけていた

約400gのアドバンテージを持って決勝へ進んだ今泉拓哉は、最終日も3,342gのトップウエイトを持ち込んだ。

初日3,915g、2日目3,586g、最終日3,342g。単日順位は1位、2位、1位。トータル10,843gで、2位との差は931gまで広がった。ウエイト差のつきにくい桧原湖で、これほど明確な差をつけた。完勝、圧勝と呼ぶにふさわしい3日間だった。

今泉拓哉がプラクティスで探し続けたのは、キロサイズが出るエリアだった。数を釣れる場所よりも、ベースになる魚が大きい場所。無名島北、孤鷹森、中ノ島周辺などを見て、平均サイズの大きな魚が入る場所を絞り込んでいた。

初日は、通称「ワッフル」と呼ばれる護岸の北側に入り、立ち木を釣った。7本ほど釣ったものの、ベースは3キロに届かない。これでは勝てないと判断し、無名島北へ移動した。

そこには山下尚輝がいた。2人はサイド・バイ・サイドで釣り、今泉拓哉も1キロ強から1,100g強を加えて約3,200gまで伸ばした。しかし、その横で山下尚輝が大型スモールを釣るのを目撃する。今のウエイトでは優勝が遠のく。そう考えた今泉拓哉は、昼ごろからラージに勝負をかけた。

狙っていた立ち木には吉川永遠が入っていたため、周辺を回りながら空くのを待った。移動しようとした瞬間、その場所が空いた。すぐに入り直すと、まだラージが立ち木に浮いていた。テキサスリグをフォールさせると、そのままバイト。1,596gのラージが初日の首位を決定づけた。

3,900g近くまで伸ばした後、今泉拓哉は残りの約1時間を最終日のために使った。すでに十分なウエイトを持ちながら、ライブソナーが使えなくなる3日目に生きるエリアを探したのである。

2日目も朝から無名島北へ入った。初日のリードは約200gしかなく、まずはスモールで釣り負けないことを優先した。朝は周囲の選手が8本ほど釣るなか、今泉拓哉は2本ほど。決して順調なスタートではなかった。

それでも3,000g強をそろえ、無名島北の溝にある立ち木では、大型スモールが回遊して入ってくるピンスポットを発見した。「これは明日のキーになる」。そう判断した今泉拓哉は、その場所を最終日のために温存し、ほかのエリアで入れ替えを狙った。

流れの効きそうなメインチャンネル寄りを探し、14時ごろ、孤鷹森のやや大きな立ち木でスクールを発見。1,100〜1,200gクラスを釣って入れ替え、3,586gまで伸ばした。この日のスモールは、すべてベビーライク・エラストマーのホバストで釣った。

そして迎えた最終日。今泉拓哉は、2日目に温存した無名島北の立ち木へ朝から入った。

立ち木の真上でスポットロックし、ルアーを真下へ落とす。使えるのは2D魚探だが、魚が入ってくる様子は把握できる。前日には、バスのいる水深までルアーが届く時間も数えていた。約20秒。そのカウントを頼りに沈め、ただ巻きすると、最初の1匹となる1,050gクラスが入った。

その後は簡単ではなかった。そこで今泉拓哉は、5〜6年前、ライブソナーがまだなかった頃の釣りへ戻した。約1mのロングリーダーを取った1.3gのダウンショットで、立ち木の根元を探る。これで1キロを少し超える魚を追加した。

一度無名島を離れ、湖を回った。中ノ島のハンプでは、ボトムのゴリ系パターンで1匹を釣った。

今泉の雄叫びフィッシュ

しかし、その魚が弱ってしまったためリリース。キープできれば3キロに届いていたが、そのまま持ち帰る判断はしなかった。

最後に、もう一度無名島北へ戻った。入った直後にフィーディングが始まり、周囲の選手も今泉拓哉も次々とヒット。1,050gへ入れ替え、最後は1,200gまで伸ばし、3,342gに到達した。

ライブソナーが使える予選で魚を探しながら、その情報に頼れない最終日の釣り場を見つけ、温存する。そして決勝では、2D魚探とライブソナー以前の釣りを組み合わせて、再びトップウエイトを出した。新ルールへの対応まで含めて、今泉拓哉の試合運びは抜けていた。

昨年のトップ50最終戦で初優勝し、そこからメジャー大会3連勝。自ら「覚醒」と表現した今泉拓哉だったが、今年前半は20位前後にとどまる試合が続いていた。その流れを変えたのが、第4戦で挙げたトップ50通算2勝目だった。

桧原湖のローカルシリーズにも参戦し、この湖での経験値を高める努力を続けてきた。優勝できるところまで来ながら、なかなか届かなかった桧原湖。そのタイトルを、ついに圧倒的な内容でつかんだ。「ようやく勝てた」という言葉には、積み重ねてきた時間がにじんでいた。

2位・江尻悠真 スモールで作り、ラージで勝負する

初日3,510g、2日目3,536g、最終日2,866g。江尻悠真はトータル9,912gで2位に入った。前戦からの2連勝には届かなかったものの、2大会連続で優勝争いを演じた。

年間順位で上との差が開いていた江尻悠真は、今回は勝負をするためにラージを探した。プラクティスで湖の全域にラージがいることを確認し、スモールでベースを作ってからラージへ向かうプランを組んだ。

スモールの主戦場は孤鷹森の8mフラット。マイクロホバスト、3インチグラブのテールカットを使ったライトキャロ、エラストマー系ワームのホバキャロなどで釣った。初日は朝にジグストでラージを1本釣り、その後、孤鷹森でスモールを入れ替えて3,510gまで伸ばした。

2日目も朝からラージを狙ったが反応がなく、釣れたのはキロクラスが1本。いったん孤鷹森へ戻り、スモールで3キロ少しまで作った後、残り1時間余りで再びラージへ向かった。月島でジグストを使って1本を追加し、3,536gとした。

江尻悠真は、スモールだけで周囲より抜き出たウエイトを作るのは難しいと考えていた。だから常に、どこでラージを入れるかを頭に置いて試合を進めた。その狙いが、予選2日間の3,500g台につながった。

2日連続ラージ!

一方、ライブソナー禁止への不安は大きくなかった。桧原湖では自分でマップを作っており、地形を見て魚が入ってくる場所を練習中に見つけていたからだ。

最終日はスモールの数こそ釣れたものの、サイズを選ぶのに苦しんだ。12時50分ごろまで450gが残り、ラージを狙いに行く余裕もない。最後の一投という場面で、3インチのイモグラブを使ったライトキャロに800g弱が食った。土壇場の入れ替えで2,866gまで伸ばし、2位を守った。

3位・郡司潤 2D魚探でライブソナーに迫る

郡司潤は初日3,040g、2日目3,384g、最終日3,208g。3日間すべてで3キロを超え、トータル9,632g。予選総重量11番手から3位へジャンプアップした。

2日目は、予定していた立ち木でまったく釣れず、9時までノーフィッシュだった。南側のゴールドハウス目黒沖を回っていると、時折スクールが入ってくる場所を発見。そこで約1時間のうちに900gをベースに3匹をそろえた。その後も別のエリアを探り、キロアップを2本入れて3,384gまで伸ばした。

最終日、郡司潤は午前中に2D魚探を使い、ライブソナーに近い釣りを見つけた。ルアーはマイクロホバスト。2D魚探にもルアーをしっかり映し、レンジを刻みながら釣っていく。

ライブソナーのように魚の細かな動きまでは見えない。それでも、群れが画面に入ってきたタイミングと手元に伝わる反応を結びつけることはできる。午前中に小型のスモールで感覚をつかみ、それをメインの深い立ち木へ応用。最終日単日2位となる3,208gを持ち込んだ。

ライブソナーがなければ、魚探を使った釣りができないわけではない。限られた情報の中から新しい釣り方を組み立てた郡司潤の対応力が、最終日に順位を押し上げた。

4位・山下尚輝 13mラインで大型スモールを狙い撃つ

山下尚輝は初日3,726g、2日目2,902g、最終日2,914g。トータル9,542gで4位となった。

3日間を通じて釣ったのは、無名島の会場側。予選2日間は、水深13mの立ち木をメインにした。10mラインにもスクールやバスは多いが、中心になるのは800〜900g。山下尚輝が狙ったのは、数は少なくても1,300gクラスが回ってきて、たまる13mラインだった。

初日はその狙いがはまり、1,374gのスモールを2本。さらにキロクラスを加え、3,726gを作った。2日目も3,500gほどを目標にしたが、ミスもあり2,902g。本人が今大会で最も厳しかったと振り返ったのが、この2日目だった。

山下尚輝は、もともとブラインドの釣りにも自信がある。新ルールへの準備では、シューティングとブラインドを織り交ぜて練習した。最終日も同じポジションと、その内側のスクールを狙った。

基本はルアーを真下へ落とし、ステイとシェイク。予選ではホバスト、最終日は1.3gのダウンショットによる一点シェイクも使い、2,914gを持ち込んだ。船団の中でも、どの水深の、どの魚を狙うかで結果は変わる。山下尚輝の釣りは、無名島北で生まれていた釣果の差を具体的に示していた。

5位・阿部貴樹 予選で作った貯金と、最後の1時間

阿部貴樹は初日3,634g、2日目3,464g、最終日2,414g。トータル9,512gで5位となった。

最終日はウエイトが下がると予想し、ライブソナーを使える予選2日間で、できるだけ貯金を作る。それが阿部貴樹のプランだった。狙ったのは、水深16m前後の沖にある立ち木やレイダウン。その周囲を回遊する大型のバスだった。

桧原湖大橋方面にも似た場所はあるが、選手が多く、魚がかなりスレていると感じた。そこで東側、孤鷹森方面の、ほかの選手があまり触っていないと思われるエリアを選んだ。

初日は1,200g、1,200gと釣り、さらに1,400gを掛けたが、これはバラしてしまった。それでもキロクラスを追加し、3,634g。2日目は同じ釣りが難しくなったが、午後から良くなる孤鷹森の岬周りに入り、3,464gまでまとめた。予選総重量は今泉拓哉に次ぐ2番手。狙いどおり、決勝へ大きな貯金を作った。

最終日はシャローとミドルを中心に釣った。しかし、終了間際の1時間で3度のミス。「だいぶ悔しい。本当に心残り」と率直に語った。最終日は2,414gにとどまったものの、予選で積み上げたウエイトを生かし、5位のお立ち台を守った。

20年前の2.3倍。検量台が映した桧原湖の変化

3匹リミット制になって、まだ3年目。しかも今回は最終日のライブソナー禁止という新条件が加わった。それでも優勝ウエイトは、3日間で10キロを超えた。

今大会を取材して何度も驚かされたのは、選手の技術とともに、検量される魚の大きさだった。

ウエイインの際、我々メディア陣は「上位20%くらいのウエイト」をざっくり予想し、写真撮影のボーダーを決めている。今回は最初、2,700gにするか、2,800gにするかで悩んでいた。

ところが、検量が始まると3キロ超えが続出した。上位を意識して決めたはずの2,700gは、予選通過さえ厳しい水準だった。実際、2日間とも2,700g台後半を持ち込みながら予選落ちした選手もいる。取材する側の予想を、大会のウエイトがはるかに上回った。

1990年代、桧原湖の魚はとても小さかった。全国のチャプターでも、この会場だけは25cmのキーパーサイズという規定を適用しなかったほどの、稀有な存在だった。その時代を知る者にとって、現在の検量台の光景には隔世の感がある。

水の中で何が起きているのかは分からない。ただ、長年取材してきた実感として、桧原湖の魚は年々大きくなっている。かつてのサイズ感を思い浮かべながら目の前のキロフィッシュを見ると、同じ湖なのかと思うほどだ。

そこで、9月に開催されたトップ50桧原湖戦の成績をさかのぼり、約20年間の推移をグラフにした。対象はDay1・Day2でリミットメイクした選手。それぞれの検量重量を、その年のバッグリミット数で割り、1匹当たりの平均重量を算出した。

数値にはラージマウスも含まれる。ただし、検量魚の大半をスモールマウスが占めることを考えれば、ラージだけでこの推移を説明するのは難しいだろう。

JB TOP50 / LAKE HIBARA

9月の桧原湖戦
1匹平均重量の推移

Day1・Day2でリミットメイクした選手のみを対象に集計

428.1g2005年
993.7g2026年
約2.3倍2005年比

※リミットは2023年まで5匹、2024年以降は3匹。9月に該当大会がなかった年は掲載していません。

2005年の平均重量は428.1g。それが2026年には993.7gとなった。約20年で、検量された1匹の平均重量は2.3倍になっていた。

もちろん、これは湖全体に生息する魚の平均ではない。大会で選び抜かれ、検量された魚の数字である。2024年にバッグリミットが5匹から3匹へ変わったことや、選手の技術、魚探の進歩も数値に影響する。

それを踏まえても、この変化には驚かされる。3キロを釣っても抜け出せない現在の桧原湖。その姿を、今大会は湖上でも検量台でも鮮烈に見せつけた。

年間首位は江尻悠真。1ポイント差で最終戦へ

全5戦のうち4戦が終了し、年間争いも大きく動いた。

https://www.jbnbc.jp/_JB2026/point_rank.php?series=top50

第3戦で優勝し、今大会を2位で終えた江尻悠真が164ポイントで年間首位に浮上。青木大介が163ポイントで続き、その差はわずか1ポイントとなった。

3位は159ポイントの藤田夏輝。黒田健史も同じ159ポイントで4位につける。首位からわずか5ポイント以内に4人が並ぶ大混戦だ。桧原湖を制した今泉拓哉も、今回の50ポイントを加えて149ポイント。年間5位まで順位を上げた。

2026年のJBトップ50も、残すはあと1戦。最終戦は10月16日(金)から、霞ヶ浦を舞台に開催されるSDGマリンCUPである。

江尻悠真と郡司潤にとってはホームの霞ヶ浦。今泉拓哉は昨年の同大会を制しており、2連勝を目指す。そして年間タイトルは、江尻悠真と青木大介の1ポイント差を中心に、最後の最後まで分からない。

桧原湖で大きく動いた優勝争いと年間ランキング。その決着は、秋の霞ヶ浦へ持ち越された。

レポート作成:GPT-5.6 Sol 
写真・構成:NBCNEWS H.Togashi

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