JBマスターズ第4戦ダイワCUP

2026年 09/26 (土) ~09/27 (日) 長野県 野尻湖

冨沢真樹、野尻湖最終戦V3!
沖の良型を捉え、河口湖から連勝

2026年のJBマスターズも、いよいよ最終戦。第4戦ダイワCUPの舞台は、長野県・野尻湖だ。来季のトップ50昇格を目指す選手にとっては、一年の戦いの行方を決める一戦となる。一方、長くトーナメントを戦ってきたベテランも多いマスターズ。それぞれの目標を胸に最終戦を迎える選手たちの間には、このシリーズならではの空気が流れていた。

Day1 静かな湖上、その裏で揃っていた良型

9月下旬の野尻湖は、まだ紅葉には早いものの、肌に触れる空気には秋の気配が感じられた。水温は21℃前後。小雨の残るなかで始まった初日は、日中も気温が15℃前後にとどまる、肌寒い一日となった。

午前8時から11時にかけて、取材艇で湖を反時計回りに約3周した。初日ということもあり、できるだけ広く選手の動きを追ったが、まず目についたのは、エリアによるボートの密度の違いだった。

琵琶島南

朝の琵琶島南には数艇が浮いていた。ボイルのチャンスを待っていたのだろうか。しかし、2周目にはその姿もまばらになった。大崎から砂間方面も、選手の姿が点々と見える程度。北側のワンド群に至っては、本当に90人が参加する大会が行われているのかと思うほど、静かな水面が広がっていた。

対照的に、多くの選手が集まっていたのが、竜宮崎と松ヶ崎を結ぶラインより菅川側のエリアだ。取材艇から見た印象では、全体の7~8割がこの範囲に集中していた。

菅川

なかでも菅川沖のディープフラットには、常時30艇近い船団が形成され、そのさらに沖には、中層に浮く魚を追う「空中戦」を展開する選手の姿もあった。

もうひとつ印象的だったのが、移動するボートの少なさだ。通常なら午前10時ごろから、朝のエリアを見切って次の場所を探す選手が増え始める。行き交うボートの引き波があちこちで重なり、湖の中央までうねりが広がってくる時間帯だ。取材艇でも湖をひと通り回った後は、その走行シーンを撮影することが多い。しかし、この日は待っていても、なかなかボートが走ってこない。

同じエリアで粘る理由があるのか、それとも動きにくい状況なのか。湖上の様子だけでは、各選手の手応えまでは読み切れなかった。

昼に近づくにつれて空は明るくなっていったものの、取材艇から確認できたヒットシーンは3回ほど。

船団外の佐藤一平

菅川沖の大船団では、一度も魚を掛ける場面を目にしなかった。それだけに、帰着後の検量は、湖上で受けた印象を大きく変えるものとなった。

90人中70人がバスを持ち帰り、39人が3匹のリミットを達成。3kgを超えた選手は9人に上った。誰もが簡単に釣れる状況ではない。それでも、静かに見えた湖上では、上位勢が着実に良型を手にしていた。

小林翼 3,682g!

初日のトップに立ったのは、小林翼。3匹で3,682gを持ち込んだ。14m前後の魚をヘビーキャロライナリグで狙う釣りと、沖の浮いた魚を追わせて食わせる釣りを組み合わせ、良型を揃えた。

冨沢真樹 3,288g
本堂靖尚 3,238g

2位には、野尻湖でのマスターズ最終戦3連覇が懸かる冨沢真樹が3,288gでつけた。3位は3,238gの本堂靖尚、4位は3,228gの宇佐見素明、5位は3,176gの山下一也。2位から4位までは、わずか60gの間に3人が並んだ。

ただし、マスターズは2日間の順位ポイント合計で争われる。トップウェイトの小林と2位の冨沢との差も、ポイントではわずか1点。2026年最後の一日を残し、優勝争いの行方はまだ分からなかった。

Day2 膨らむ船団、その外で進んでいた優勝争い

2日目もスタート直後から11時ごろまで、取材艇で湖を回った。この日は初日の上位陣を中心に、その釣りを追ってみた。

初日に上位へ名を連ねた選手たちは、大船団の外で、それぞれの魚を釣っていた。その姿は、選手の分布だけを見ていた初日とは違う野尻湖を見せてくれた。

小林翼

初日トップの小林翼が浮いていたのは、大崎から国際村沖。初日の取材ではほとんど注目していなかったエリアだった。取材艇が近づいたときには、すでに1匹目をキャッチし、エア抜きをしているところだった。

2位の冨沢真樹は、松ヶ崎付近で姿を見ることが多かった。午前10時ごろに声を掛けると、「3キロは行ってる」との返事。初日に続いて、この日も着実にウェイトをまとめていた。

3位の本堂靖尚は、初日の上位5人のなかでは唯一、バンクを主軸に据えていた。

本堂靖尚

急深な岩場をランガンし、大石の周囲へフットボールジグを送り込む。沖で魚を追う選手たちとは異なる組み立てで、上位を争っていた。

4位の宇佐見素明は、初日は沖で空中戦を展開しているように見えたが、この日は菅川沖の船団に加わっていた。

宇佐見素明

初日の終盤にフラットで連発した手応えから、2日目は朝からこの釣りを選択。しかし、前日に反応した魚が、この日は同じようには口を使ってくれなかったという。5位の山下一也は、2日間を通じて寺ヶ崎沖でライブソナーを使い、魚を追っている様子だった。

一方、菅川沖の船団は初日以上に膨れ上がっていた。参加選手の半数がここに浮いているのではないかと思うほど。

入鹿池戦では船団の密集がSNSでも話題となったが、長年マスターズを取材してきたなかでは、決して珍しい光景ではない。ワカサギが集まる場所にはバスが集まり、そこへ選手も集まる。多くの選手が同じエリアを有望と判断した結果が、この船団だった。

ただし、魚がいることと、釣れることは別だった。魚探にはワカサギもバスも多く映るというが、口を使わせるのは難しい。この日も、取材中に船団のなかでヒットシーンを見ることはできなかった。目にした魚とのやり取りは、いずれもその外側だった。

大薮秀樹

天気は予報どおり回復し、午前10時ごろには青空がのぞき始めた。昼には気温も21℃台まで上昇したが、湖上には前日よりも少しタフな空気が漂っていた。

その印象は、検量結果にも表れた。バスを持ち帰った選手は67人と初日から大きくは減らなかったが、リミットを揃えた選手は39人から23人へ減少。3匹を揃える難しさが増した最終日となった。

この日、最も大きなウェイトを持ち込んだのは、初日18位の山下尚輝だった。3匹で3,945gは、今大会を通じての単日最高ウェイト。初日の出遅れを取り戻し、総合4位まで順位を上げた。

山下尚輝

山下が狙っていたのは、水深10~30mの沖を回遊する魚だった。初日からバイトは多く、ビッグウェイトを出せる手応えはあった。しかし、チャンスを取り切れず、500gクラスが1匹残った。2日目はエリアを変えず、タックルとリグを調整して同じ魚に向き合った。

軸となったのは、マイクロホバストによるシューティングと、表層系のプラグやワームを使ったボイル撃ちだ。なかでも特徴的だったのは、ボイルが収まった後の魚にルアーを追わせ、下から上へ誘導して水面で食わせる釣りだった。水面を逃げ場のない壁として使い、自らボイルを起こさせるようにバイトへ持ち込んでいた。

ルアーを動かすスピードも速い。回収するほどの速さで巻き、魚が食いそうなところで止める、あるいは上へ逃がす。ライブソナーで魚の反応を見ながら、その間合いを調整していた。ルアーが届くか届かないかという位置から狙い、魚を警戒させずに追わせていた。

2日目は、キロオーバーが4~8匹ほどで動く群れを2カ所で捉え、ベイトへ突っ込むタイミングにキャスト。キロオーバーを10匹ほどキャッチし、1,100g、1,200gと入れ替えを重ね、最終的には1,200~1,300gクラスで揃えた。同じエリアにいた魚を、調整によって獲り切った一日だった。

小林翼

初日首位の小林翼は、2日目に2匹で2,346g。あと1匹が揃わず、総合3位でフィニッシュした。

小林の釣りは、大きく二つに分かれていた。ひとつは、14m前後でボトムから1~2m浮いている魚を、カバースキャットのヘビーキャロライナリグで狙う釣り。魚のいるところへキャストし、ルアーを追わせてから、フォールで口を使わせていた。初日の3匹のうち、最初の2匹はこの方法でキャッチしたものだった。

もうひとつは、21gのフットボールヘッドに5インチのワームを組み合わせ、沖の浮いた魚を狙う釣りだ。こちらも魚にルアーを追わせ、逃がす動きからバイトへつなげていた。小林によれば、今回は水深20mを超える場所では魚が追ってこなかったため、ボトムまでの水深が20m以内のエリアを選んでいたという。沖ならどこでもよいわけではなく、魚の追い方を見ながら釣る範囲を絞っていた。

メインは大崎沖。初日の取材では目立たなかったエリアで、小林はトップウェイトを作っていた。2日目は大崎沖と紫岩で1匹ずつをキャッチしたが、リミットまであと1匹。初日に掴んだ首位を守り切ることはできなかった。

総合2位の本堂靖尚は、沖を追う選手が多いなか、バンクの大石を釣るゲームを貫いた。

亀石、砂間、竜宮、プリンスなどを回り、狙ったのは水深10m前後にある大きな石。その周囲へ、TGブロー3/8オンスとゾワゾワ3.5インチを組み合わせたリグを送り込んだ。スカートをカットし、ワームを縦刺しにした「お魚セッティング」で、ボトム付近を泳がせるボトストだ。

TGブロー3/8オンスとゾワゾワ3.5インチ「お魚セッティング」

このセッティングには、石へ素早くルアーを入れたいという意図があった。スカートを減らしてフォールを速める一方、ジグそのものを重くしすぎると石に引っ掛かりやすくなる。その兼ね合いから選んだのが3/8オンスだった。ラージマウスを狙う際にも使う方法を、スモールマウスの口に合わせた3.5インチのワームで持ち込んだ。

本堂は、魚探に魚が映っているかどうかにかかわらず、大石へキャストしていた。石に当てるようにルアーを寄せてくると食う。入ったバンクの1投目で釣れることも多かったが、その後は反応が続かないため、次のバンクへ移動する。その繰り返しで、2日目は湖を3~4周したという。

キャッチしたのは両日とも4匹ずつ。数多く釣って選ぶ展開ではなく、走り続けて得た魚で初日3,238g、2日目2,960gをまとめた。自分の釣りを貫いた2位に、本堂らしい戦い方が表れていた。

総合5位の宇佐見素明は、初日終盤の好反応と、2日目の変化に向き合うことになった。

宇佐見素明

初日は終盤まで1匹にとどまっていたが、帰着の約1時間前にフラットへ移動。フットボールジグにクロー系ワームを組み合わせ、スイミングさせる釣りで連続してキャッチし、リミットを揃えた。野尻湖でのガイドでも実績のあった方法が、この時間帯に噛み合った。

その手応えをもとに、2日目は朝からフラットを選択した。しかし、前日のようには反応しなかった。魚がいる場所へ入り、実績のある釣りを持ち込んでも、同じ結果にはならない。本人も、スモールの気分が変わったようだったと振り返っている。

2日目に持ち帰った3匹は、すべてダウンショットでキャッチした魚だった。初日終盤の連発を再現することはできなかったものの、2,240gを持ち帰り、最終日も3匹を揃えた。メインスポンサーであるダイワの冠大会で、総合5位のお立ち台を確保した。

そして、優勝を決めたのは冨沢真樹だった。

冨沢真樹

取材艇に「3キロは行ってる」と答えていた魚は、検量台で3,712gを記録した。本人もそこまでのウェイトがあるとは思っていなかったという。初日、2日目ともに単日2位。順位ポイント合計198ポイント、総重量7,000gで、野尻湖でのマスターズ最終戦3連覇を達成した。

今回の勝利の出発点は、例年との違いを見極めたことだった。冨沢は9月上旬から、ガイドとプラクティスを合わせて約2週間、野尻湖で魚を見ていた。そのなかで感じたのが、バンクに大型魚が明らかに少ないという変化だ。一方で、沖のワカサギに付く魚や、ディープの小さなワカサギを食べている魚はいる。そこで今回は、沖の釣りを2日間やり切ることを決めた。

本人が挙げたメインエリアは、菅川沖から亀石沖にかけての、水深20~30mのバンク周辺。バンクから少し離れたところを、大きな魚が2~3匹で泳いでいたという。

用意した釣りは三つ。ウィスプル1.5インチのダウンショットとキャロホバスト、そしてHPミノー3.1インチのヘビーキャロライナリグだった。魚のいるレンジや動きに合わせて使い分けるなかで、初日と2日目では、釣果につながるリグも変わった。

初日は沖でボイルが起こり、魚が浮き上がる場面があった。そこでキャロホバストを使い、水深10mほどまで浮いてフィーディングする魚に対応した。対して、2日目にキャッチした魚はすべてダウンショット。ウィスプル1.5インチに7g、10gのシンカーを組み合わせる釣りが機能した。

ただし、冨沢が勝因として強調したのは、魚を見つけることだけではなかった。ライブソナーによって、魚がいる場所は多くの選手に分かっている。そのなかで差をつけるには、魚が食うタイミングに、よい場所へ入ることが大切だという。

風が強まる場所、湖流が効く場所、そしてそのタイミング。魚の位置に加えて、周囲の変化まで読んでエリアへ入り直す。その判断が、両日とも良型を揃える結果につながった。大船団に多くの魚と選手が集まる一方で、冨沢は沖の魚が食う時間を捉え、2日間の順位を高い位置で揃えた。

第3戦河口湖に続く連勝、そして野尻湖最終戦3連覇。例年との違いに合わせて狙いを変えた冨沢が、得意の舞台で再び強さを示した。

全3戦お立ち台の二人。年間争いは同ポイント、総重量で決着

年間タイトルを争った新谷健斗と中田敬太郎は、ともに第1戦から第3戦まで、すべてお立ち台。新谷は4位、優勝、2位。中田は5位、4位、3位という驚異的なハイスコアで、わずか5ポイント差のまま最終戦を迎えた。

初日は新谷が先行。しかし、最終日は新谷が1,280gにとどまったのに対し、中田は2,336gを持ち込んだ。中田が逆転したと思った人も多かったが、集計結果はさらに際どかった。

最終戦は中田が総合7位、新谷が12位。中田が詰めたのは、ちょうど5ポイントだった。年間ポイントはともに385。タイトルは年間総重量に委ねられ、24,830gの新谷が22,217gの中田を上回り、年間優勝を手にした。

全3戦お立ち台の二人が、最後は同ポイントで並ぶ。ハイレベルな年間争いは、一年間で積み重ねた魚の重さによって決着した。年間3位には、河口湖と野尻湖を連勝した冨沢真樹が入った。

こうして全4戦にわたる2026年のJBマスターズは幕を閉じ、選手たちはそれぞれの成果と課題を胸に、来季へと歩みを進める。

レポート作成:GPT6 Astra 
写真・構成:NBCNEWS H.Togashi

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