降雨量が少なく大減水に見舞われた8月下旬の野村ダム。大会本部となる肱川上流のゲートボール場下ではボートの係留が出来ない為、急遽本部を中流スロープ横に設営する運びとなった。ダムの水質はステインで、水の動きが少ない場所にはアオコが浮遊していた。夏の定番となる肱川と稲生川の両バックウォーターへの流入は例年よりも少なく、稲生川に至っては流れが途中で寸断されて伏流化していた。点在する小規模インレットは干上がるか微量の水が流れ込む程度で、インレットパターンが消滅していた。その事から本命となるのは下流に設置されている2箇所の曝気装置周辺で、酸素を含んだ水の動きは多くのベイトやバスをストックしていた。しかし、少ない流入量にもかかわらず肱川最上流にはキロオーバーの個体が遡上していた事から、フライト順によっては上流狙いに切り替える戦略も伺えた。これまでの開催で最も水位が低下している状況の中、2016年8月28日、愛媛県野村ダムにてチャプター愛媛最終戦エバーグリーンCUPが開催されました。
今回優勝したのは、水深のある岩盤でキロクラスが獲れるパターンを見つけていた宮本拓哉選手。朝一に下流の曝気装置周辺でリミットを揃えた後、肱川上流のテトラを、エスケープツインの5gテキサスリグで攻めて1200gをキャッチ。その後、中流追い越し禁止ブイ付近の岩盤に入り、2.5インチシャッドテールワームの3.5gダウンショットをボトムでハングオフさせて1200gクラスを2本追加。入れ替えを行い3779gで初優勝を飾った。第2位は、ネコリグのベイトフィネスでパターンを組み立てた武田和志選手。稲生川の中流で1100g、最下流のブイ付近にある立木が絡んだ岬で1400g、下流側の曝気装置付近の岬で1200gをキャッチした。今回釣ったリグは全てラッテリーの2gネコリグで、惜しくも1位に40g届かずの3739gをウエインした。第3位は、肱川中流を攻略した昨年の年間王者、大西弘也プロ。肱川中流の大きなインサイドベンドから試合をスタートさせた。ベンド付近にあるハードボトムを、バイズクローの8.8gテキサスリグで攻めて一本目となる1000gをキャッチ。その後は下流に向かってストレッチを流して1400gを追加。更に垂直護岸際をスイミングトゥルーパ1/4オンスにヘッドシェイカーの組み合わせで通して1300gをキャッチ。グッドサイズでリミットを揃えて3718gをウエインした。第4位は、ヒューマン在学中でTOP50に参戦する若手実力者の樋口祐太郎プロ。最下流の曝気装置周辺で500gをベースにリミットを揃えた後、肱川上流に移動。サンドバーで見つけた700gをワムワムのボトムトゥイッチで釣って入れ替えを行った。その後、中流スロープ対岸の石積に移動して今大会の最大魚となる2183gを、エコフリックの0.9gネコリグでキャッチして3428gをウエインした。第5位は、中流沈下橋付近のストレッチをコンバットクランク250のクランキングで攻略した石川秀夫選手。1700gがキッカーとなり、全てクランクの魚で2879gをウエインした。
今回の最終戦は大減水、アオコ、インレット消滅と言った負の要素が先行して、釣れない試合を予想していたのだが、終わって見ると上位3名が3.7kg台で争うハイウエイト戦となった。本来野村ダムは魚影の濃い湖である。今回の大減水で魚の密度が増して、特に一等地となる場所には必ずグッドサイズの魚が付いていた様だ。天候は曇りの時間が多く、ローライトなコンディションが選手達に有利に働いたと思われる。ハイウエイトにリミットメイク率100%となった最終戦は、野村ダムの素晴らしさとポテンシャルの高さを改めて見させてもらった。2016年度の年間タイトルは、高知の岩井謙亮プロが獲得した。開幕戦から4位、2位、1位と3戦連続で表彰台に上がり、猛追する石川晴彦プロを2ポイント差で振り切って栄冠を手にした。岩井プロはNBCチャプター参戦2年目でチャプターさめうらの年間タイトルを獲った早明浦の覇者で、チャプター愛媛に戦いの場を移しても類まれな経験とセンスで年間王者に輝いた。ここ数年のトーナメントシーンを振り返って見ると、第三世代の活躍が目立ってきた。来期はベテラン勢の巻き返しに期待して2016年度のチャプター愛媛シリーズを締めくくりたいと思う。
成績表
順位 | 氏名 | 重量 | 匹 | ポイント |
---|---|---|---|---|
1位 | 宮本拓哉 | 3,779g | 3匹 | 30Pts. |
2位 | 武田和志 | 3,719g | 3匹 | 29Pts. |
3位 | 大西弘也 | 3,718g | 3匹 | 28Pts. |
4位 | 樋口祐太朗 | 3,428g | 3匹 | 27Pts. |
5位 | 石川秀夫 | 2,879g | 3匹 | 26Pts. |
6位 | 坂本信之 | 2,780g | 3匹 | 25Pts. |
7位 | 牧野陽平 | 2,532g | 3匹 | 24Pts. |
8位 | 石川晴彦 | 2,510g | 3匹 | 23Pts. |
9位 | 吉村真幸 | 2,417g | 3匹 | 22Pts. |
10位 | 植田誠寛 | 2,306g | 3匹 | 21Pts. |
11位 | 普光江哲也 | 2,239g | 3匹 | 20Pts. |
12位 | 岩井謙亮 | 2,207g | 3匹 | 19Pts. |
13位 | 寺田直人 | 2,042g | 3匹 | 18Pts. |
14位 | 藤井春平 | 2,015g | 3匹 | 17Pts. |
15位 | 井原浩二 | 1,924g | 3匹 | 16Pts. |
16位 | 赤松克弘 | 1,892g | 3匹 | 15Pts. |
17位 | 髙橋政義 | 1,855g | 3匹 | 14Pts. |
18位 | 上村利弘 | 1,845g | 3匹 | 13Pts. |
19位 | 岸本司 | 1,819g | 3匹 | 12Pts. |
20位 | 菊池芳郎 | 1,742g | 3匹 | 11Pts. |
21位 | 窪田廉 | 1,700g | 3匹 | 10Pts. |
22位 | 小川修司 | 1,570g | 3匹 | 9Pts. |
23位 | 山原新平 | 1,560g | 3匹 | 8Pts. |
24位 | 篠永修一 | 1,473g | 3匹 | 7Pts. |
25位 | 金子博文 | 1,369g | 3匹 | 6Pts. |
26位 | 福田祐気 | 1,340g | 3匹 | 5Pts. |
27位 | 伊藤達弥 | 1,300g | 3匹 | 5Pts. |
28位 | 橋本幸司 | 1,151g | 3匹 | 5Pts. |
29位 | 乃村厳 | 1,122g | 3匹 | 5Pts. |
30位 | 普光江たけし | 1,062g | 3匹 | 5Pts. |
31位 | 村上仁 | 1,038g | 3匹 | 5Pts. |
32位 | 角元孝生 | 987g | 3匹 | 5Pts. |
上位の釣り方
優勝 宮本拓哉 選手 3,779g
〈タックル〉
ロッド:ベイトフィネス63ML ソリッドチューン
リール:アルデバラン ベイトフィネスチューン
〈エリア〉
追い越し禁止ブイの近くの岩盤
〈リグ・ヒットパターン〉
2.5inchシャッドテールワーム 3.5gダウンショット
カラー:エビミソ
〈タックル〉
ノリーズ ロードランナーストラクチャー6100MH
〈エリア〉
テトラ
〈リグ・ヒットパターン〉
エスケープツイン 5gテキサスリグ
カラー:バンドウカワエビ
〈メッセージ〉
初お立ち台 初優勝 大変嬉しいです。
今回優勝できたのは、普段から釣りに連れて行ってくれている先輩方のおかげです。ありがとうございました。
第2位 武田和志 選手 3,739g
〈タックル〉
ロッド:スティーズ ハーミット 641LXB-ST
リール:T3 AIR 6.8L-TW
ライン:10lb
〈エリア〉
稲生川の下流に向けて左岸側の小さなポケット
最下流のブイ下流に向かって右岸側の岬の小さな立木
下流の循環器の右岸側の岬
〈リグ・ヒットパターン〉
ルアー:ノリーズ Fラッテリー
リ グ:ネコリグ シンカー2.0g
パターン:湖全体の小さな変化をテンポよく打って行く
〈メッセージ〉
チャプター愛媛運営スタッフの皆様のおかげで楽しく参加させてもらっています。本当にありがとうございました。
第3位 大西弘也 選手 3,718g
〈タックル〉
ロッド:ヘラクレス7
リール:メタニウムmg7
ライン:シューター20lb
リ グ:テキサスリグ8.8g
ルアー:バイズクロー4.5インチ(グリンパンプキンシード)
〈エリア〉
中流スロープ下流のインサイドのハードボトム
〈リグ・ヒットパターン〉
テキサスリグをゴロタに打つ。
〈タックル〉
ロッド:ブルーマイスター67MH
リール:メタニウムmg
ライン:FCスナイパー14lb
ルアー:スイミングトゥルーパー1/4オンス(グラスギル)ヘッドシェイカー5インチ(リバースフロッグ)
〈エリア〉
中流の垂直コンクリート
〈リグ・ヒットパターン〉
壁と平行にスローリトリーブ
〈メッセージ〉
石川会長はじめスタッフ役員の皆様、いつもありがとうございます。来年も参加させてもらうので、よろしくお願いします。
第4位 樋口祐太朗 選手 3,428g
〈タックル〉
ロッド:ポイズングロリアス265UL-S
リール:ヴァンキッシュ2500HGS
ライン:レッドスプール4lb
ルアー:フリックシェイク5インチ(コーラ)
〈エリア〉
中流スロープ対岸の石積み、板ヶ谷橋下の岩盤
〈リグ・ヒットパターン〉
石積みに対してのネコリグのフォール&ボトムシェイク、曝気装置による流れに対してのドリフト
〈タックル〉
ロッド:Newポイズングロリアス2511UL
リール:ヴァンキッシュC2000HGS
ライン:レッドスプール2.5lb
ルアー:ワムワム48(グリーンパンプキンペッパー)
〈エリア〉
最上流手前のサンドバー
〈リグ・ヒットパターン〉
ボトムでトゥイッチさせるサイトフィッシング。
〈メッセージ〉
久しぶりのチャプター愛媛での入賞、大変嬉しく思います。
2キロオーバーのビックフィッシュを獲っていながら勝てなかったのは悔しいです。ミスもあったので・・・
選手、運営のみなさんお疲れ様でした!ありがとうございました!!
第5位 石川秀夫 選手 2,879g
〈タックル〉
ロッド:コンバットスティック・ヘラクレス マニピュレーター
ライン:BASS SEIL マジックハードR 12lb
〈エリア〉
中流域・沈下橋ワンド上流に位置するストレッチ
〈リグ・ヒットパターン〉
ルアー:コンバットクランク250 #215 ライムダズラー
〈メッセージ〉
ウェイインした魚はすべてクランクベイト!
前日プラで見つけていたパターンが崩れたあと、釣り方を変えられた事がウェイトアップへと繋がりました。
大会開催のあたり、いつもお世話になっている西予市の皆様とS.A.Cの皆様・運営スタッフの仲間には感謝しています。
また、サポートしていただいているエバーグリーン様、マルキユー様には心より御礼申し上げます。
選手の皆さんも一年間お疲れさまでした。